「もうすこしがんばりましょう」(山口舞子)

百合度★★☆☆☆

発売前からかなーり期待していた注目物件だったんですが、実際に買ってみるとその期待を全く外さない予想以上の面白さでした。
雑誌掲載時はちょっと分かりづらい部分もあったけど、こうして通して読んでみると分かりにくい部分なんて全然ないです。

うちのサイト以外であまり話題になっていないのは掲載誌の問題でしょうかね。
この作品を「花をゆめ」でやるのは画期的といえば画期的ですが……萌え系漫画の好きな人達にもアピールしたら絶対もっと話題になっていたと思う。
うちのサイトをご覧の百合好きの方は多分少女漫画も萌え漫画も楽しめる人が多いと思うので、丁度良いと思います。

しかしこの作品、ほんとに個性的ですね。
ショートギャグ漫画というのは大抵キャラクターの奇抜な特性を生かしてそれをネタにするのが普通なんですが、「がんばり」の場合キャラクターの設定がほとんどない(苗字すらないとは!)。日常のほのぼのネタだけで進んでいきます。それゆえにネタに困ってネタキャラがどんどん増えることもない。
単行本収録分では3人+いいんちょしかキャラクターがおらず、ゲストキャラすら全くいません。
それでも面白い話を作れるというんだから……さすがですね。新人とは思えません。

話はほとんどが女子高の中の休み時間での出来事をほのぼのと描いています。
女子高の外の話が全くないのがすごい。
登下校のカットが数点あるだけで、むっちゃんなんかは本編では全部制服を着たままです。
完全に女子高の外の風景を描いてるのは番外編のいいんちょにっきだけですね。
夏休みの話までカットされてるのには笑った。
「え?もう新学期?」
「波打ち際で戯れてたわね私たち」
「そんな気がしてきたかも……」
洗脳されてる?(笑)
結局夏休みの話もうやむやにされてしまうのが面白い。

恋愛話がないので、もちろん百合的にはそれほど高いわけではありません。
大体「三者三葉」とか同じ。かおりんのいない「あずまんが大王」や、ニワちゃんのいない「トリコロ」と考えてください。
しかし暖を取るとか言いつつ後ろから抱きついたり、お腹の肉をつかんだり、冷たくされてすねてるむっちゃんをふみがなでなでしてあげたりと、じゃれてるシーンはあちらこちらで見られます。
深い恋愛関係に至るカップリングはありませんが、終始女子高を舞台に男性も一切出てきませんので、百合好きなら安心して読んでいられます。
なにしろ舞台がほとんど女子高の中ですからね。それどころか授業風景すらないので教師すら登場してないという状況です。
それ以前に同じ作者さん作の「エビスとカネコ」なんか読んでるとこの作者さん、ひょっとして男の子キャラが描けないんじゃ……などという疑惑すら浮かんでしまいます(笑)。

で、「がんばり」ですが本屋で探す際はちょっと注意してください。
「花とゆめ」掲載なんですが、通常の「花とゆめ」コミックスのサイズではなくA5の「あずまんが大王」等と同じサイズの単行本になっていますので、「フルバ」とかと違う場所に置いてあるかもしれません。
ひょっとして、きららなど萌え漫画のほうに店員さんが間違って置いてしまう可能性もあり(笑)。
まぁ要するにどこに置いてあるかはさっぱり予測できないということですね。
本屋で探すのが面倒な人は通販でどうぞ〜。