100億年後のきみの声も
「100億年後のきみの声も」(岡井ハルコ)

2年ほど前にデザートに掲載されてた作品です。本屋を回っていたら単行本が出ていたので紹介。

「本能と染色体」(岡井ハルコ)
百合度★★★★★

少女漫画百合というか、かなり現実寄りな内容なのでビアン漫画といっても良いかもしれません。原作者さんは別に同性愛者というわけではないらしいですが、「100億年後のきみの声も」のあとがきなどをみるとたくさんの女の子読者に共感してもらえたらしいです。確かに私も描写がうまいと思いました。

冒頭、「私ミユキのこと好きなんだ」とクラスメートに告白するものの、「うわ、なんか吐きそぉ」などと言われたあげくトイレでバケツ水をぶっかけられたりとヘビーな展開です。

そして高校を卒業した後の主人公(奈々子)はやっぱりビアン体質のまま。
大学の友達が男の子の話題をしているのに、「あんな汗臭くてゴツゴツした体はいや。もっと華奢で柔らなあなたたちの……」とひとり妄想しています。なんだか妙に生々しくて面白いシーンですね(笑)。

そうしてるうちに主人公にも彼女(百合)が出来、間もなく一緒に寝たり、一緒にお風呂に入ったり、下着や化粧品を共有したりと幸せな日々を送るようになります。
道行くナンパ男に「うーわーエロいっつーかキモいっつーか」などと言われようと、ふたりでいれば気にすることもない。そんな幸せな日々が続くのですがある日突然恋人から「会社の人と結婚する」と告げられ、一気に奈落の底に落ちます。

道端ナンパされてる最終に泣き崩れてしまいます。しかしこのナンパ男が意外に良い奴で、「レズなのあたし。なんかもう生きててスイマセンって……」と悲観的になる主人公に「オレも女の子大好きー」と自然に慰めてくれます。
ナンパ男としばらく一緒に話をして思ったよりも男も優しい事に気がついた主人公は「これが自然の姿なのかも」と思うようになり思い切って男とセックスしてみようと決意します。
しかし女の子とのセックスが忘れられず男とのセックスも気持ち悪くて耐えられず、結局未遂に終わります。
男のもじゃもじゃしたすね毛に「うえー」としてる主人公が面白い(笑)。

男のほうも無理に遂行しようとはせず、そのまま気持ちよく別れます。
「あたしはこのままで生きていく」と決意した主人公をアパートの前で待っていたのは元の恋人、百合だったのでした。

途中かなりツライ展開にはなりますが、百合的にもハッピーエンドだし男も悪者に描かれているわけではないので、読み終わって非常に読後感の良い作品ですね。
ビアン寄りな少女漫画作品が好きな人には良い物件だと思います。

■ちなみに「本能と染色体」はこっちの↓アンソロジーにも収録されてます。


「10代の女の子のセックス」


私が買ったのは「100億年後のきみの声も」のほうですが、パラパラ立ち読みしたところこっちのほうが良いかも。
「100億年〜」のほうは個人誌なんで「本能と染色体」が気に入った人が読むには良い……といいたいところなんですが同じ作者さんが描いているにもかかわらず表題作がいまいちなような気が私はしました。ちと荒唐無稽すぎるかな〜…と。
ちゃんと買って確かめてないですがこっちのアンソロジーのほうがお買い得のような気がする。
まぁお好みでどうぞ。

■ところで調べたら雑誌掲載時に私が昔書いたレビューが見つかりました(笑)。HN違うのはイーエスブックスで登録する時「時雨」は既に使われていたから「雨傘」に改名したという経緯があります。
昔の文章なんであまり作品の紹介に慣れてないですね(笑)。まぁ今も紹介文書くのはあまりうまくはないですが。