パリ~東京,さくら並木
(高橋真琴)
百合度★★★★☆

なかなかすごいものを見つけてしまいました。
少女漫画なんですが表紙を見ての通りえらい古い作品です。1956年から57年に貸本漫画として発刊されていたものの復刻版だそうです。
少女漫画百合といえば山岸凉子の1971年の作品、「白い部屋のふたり」が最初だと言われていますが、それよりさらに14年も早い。そんな古い時代から少女漫画百合が存在していたとは驚きですね。
2冊セットで売ってるんですが、そのうちの「さくら並木」のほうが完全に百合。吉屋信子とかの「エス」の世界がそのまま少女漫画になっていたとは驚きです。「マリア様がみてる」にも通ずる世界なので「マリア様がみてる」が好きな人も一度読んでみて欲しいですね。

・「さくら並木」
百合度★★★★★

父親の病気のせいでお金が足りなくなり家を手放す事になってしまった少女(由紀子)が、売ってしまった自分の家を眺めているうち、新しく住むことになった少女(千景)と出会う事からふたりの親密な関係がはじまります。
ふたりでバレエを見に行ったり買い物に行ったり一緒にピアノレッスンを受けたりして楽しそうにしてるシーンが良いですね。その後千景お姉さまがキャプテンをしている卓球部に入部し、猛練習の成果もあって上達し、校内球技大会では決勝で千景お姉さまと対決する事になります。
しかしお姉さまが体制を崩したところでスマッシュを打ち込むはずがゆるやかな球をおくってしまい、由紀子は負けてしまいます。
自分ではさっぱりした気持ちで試合を終えたものの、後から千景を愛している由紀子がわざと負けたのではないか、とクラスメートに陰口を言われて落ち込み、千景お姉さまともギクシャクしてしまい顔を会わせられなくなってしまいます。

「ああ、お姉さまにあいたい。
お姉さまの胸にすがっておもうぞんぶん泣きたい……。
甘えたい……」
千景お姉さま恋しさしたわしさが
はげしく由紀子のこころをゆりうごかすのでした


しかし意を決して千影お姉さまにもう一度試合を申し込み、全力で戦って負けることでしこりも溶け、お姉さまと和解することが出来ます。
由紀子はニッコリ、ほほ笑もうといたのだけれど
それより先に涙がホロホロとこぼれ落ちていった
ふたりはそっと顔を見合わせて明るい微笑を返す。
これも幾日ぶりのことだろう
桜並木もふたりの乙女の仲直りを
よかったよかったと喜んでいるようでした……


・「パリ〜東京」
百合度★☆☆☆☆

こちらは家族モノで「さくら並木」ほど百合度が高いわけではありませんが、男女の恋愛はなく女学生同士の交流シーンとか良い感じです。
作中に出てくる吉屋花子先生って……どうみても吉屋信子ですね(笑)。


■ありそうでなかったコテコテの少女漫画百合ですね。表紙の絵は目が細くてイマイチですが中身の漫画は目がくりくりしてて可愛いです。お姉さまに会えずに涙を流す主人公、涙が星のように光ってるのも面白いです(笑)。

高橋真琴という人は検索してもあんまし出てこないんですが、貸本でしか発刊されてなかったから知名度がなかったのかもしれませんね。しかしこの作品は少女漫画百合好きとしては非常に貴重な物件ですので要チェックです。
非常に良かったのでこういう復刻版はまた出して欲しいですね。欲を言えばもうちょっと値段を下げてくれると一般の人が買いやすいかと(笑)。