ピエタ 1(榛野なな恵)



ピエタ 2

百合度★★★★★

今うちのサイトでやってる人気百合作品ランキングの方にも上位にランキングしてる作品なんですが、この作品を全然知らなくて「どういう作品なんだ?」と気になる方が何人かいるようなので、良い機会なのでちょっと紹介。
後にNHKドラマ化された「Papa told me」の作者さんが2000年頃に書いた作品です。もう7年近く前の作品になるんですか。ついこないだ読んだばかりのような気もするんですが時が経つのは早い。

ストーリーは、家庭の事情から精神的に弱くなってリストカットしたり臨床心理士の元に通っていたり学校で悪い噂を立てられたりしていた主人公の理央が、同級生(ただし2つ年上)のもうひとりの主人公の比賀さんに出会うことによって精神的に救われ、また比賀さんのほうも理央を必要としている事を感じ、一緒に暮らしていこうとするお話です。

自傷癖のある少女を救う、という展開からすると「問題のない私たち」3巻に似てるような気もしますね(今から考えると)。しかし作品のイメージはかなり違うと思います。「問題のない私たち」は今時の等身大の少女を描いているという事で少女漫画的ですが、「ピエタ」のほうはもっと壮大で運命的な……まあ要するにちょっと大げさなところもあるんですがとにかくドラマティックな展開です。
途中理央が投身自殺を図ったりするシーンもあって痛い展開がありますが、最後比賀さんと一緒に幸せに暮らしてるシーン、これが結構長めにページ数を取ってるんですが非常に良いのです。

理央と比賀さんはキスしたり一緒に抱き合ったりするシーンがありますし、冒頭理央が比賀さん以外の少女とセックスをしていることを匂わせるシーンがありますがエロティックな描写はないです。もちろん萌えとかそういうのもなし。

この作品はかなり他の百合作品とは違う雰囲気ありますよね。キスもするしお互いがお互いを必要としている描写も強いし、明らかに友人以上の関係(家族?)であることは確かなんですが、キスして抱き合って同棲もするとはいえ明確な恋愛描写があるとも言いきれず、レズだからまわりがどうのこうの、とかそういう描写も全くありません。冒頭理央が他の少女と寝ていたり、その後理央の気持が比賀さんに傾いていくのをその少女が嫉妬したりと、女同士で恋愛する事が当然のような世界でもありますが、逆に別に理央の性別が男だったとしてもそれほど違和感はないようにも見える……不思議な作品ですね。

理央は精神的な弱さから時に幼児のようになってしまいますし、そのせいか比賀さんが母親の役割になってしまって母と子供の関係に近い事もありますが、とにかく母性愛を感じさせられる百合です。
多分この作品、理央の性別を男にしてもあまり違和感はないと思うんですが、しかし理央が立場的に弱い女性であることで、弱い立場の女性同士がお互いを助け合って生きていく……という構造は面白く、百合としても興味深い作品になっているんじゃないかと思います。

百合好きなら万人向け、というわけではなく好みがはっきり分かれる作品だとは思いますが、他の百合作品とは一味違う雰囲気を持っていて、未だにこの作品の熱心なファンが多いのも分かる気がしますね。


■突発的に読みたくなって読んだら突発的にレビューが書きたくなったので勢いで書いてしまった。勢いで書いたので少々粗いレビューですがご容赦を(笑)。