BLUE(咲坂伊緒)

百合度★★★☆☆

掲示板からキクさんの情報より。
基本的にはいとこの男に恋する少女杏奈の視点で話が進むんですが、主人公杏奈に密かに恋心を抱く瑠海という少女がいまして、この少女の想いがめっちゃ切ない。
単行本半分くらいまで瑠海の気持は隠されたままなんですが、眠っている杏奈のほっぺにキスをするところを杏奈に気づかれてしまい、気持がバレてしまいます。
自分の気持がバレて慌てる瑠海。
「気持悪いでしょ!?ひいたでしょ!?友達だと思ってた奴にあんな事されたらさ〜。でも安心して!もう杏奈さんに近づかないし目も……」とその場を取り繕うためまくし立てたところで思わず涙が零れてしまいます。
「変な事してゴメンね。杏奈ちゃんのこと好きになっちゃってゴメン……。なんで私女なのかなぁっ。なんで生まれてくる形間違っちゃったんだろぉ……」
この辺の展開は涙なくしては読めない……。

瑠海が男に興味がないことが分かったため、最初に「私彼氏いるんだー」と紹介した男もただのカモフラージュだったということが分かってしまいます。カモフラージュの男が他の少女とデートしてるところを、余計なおせっかいからわざわざ知らせにきた主人公の想い人の男に対して、
「分かりやすいものだけが真実ってワケじゃないっ。見えてるものだけが全てなワケじゃないんだよっ!」
と叫ぶ瑠海の言葉が深い。
その後瑠海が杏奈にキスしてる場面を撮られた写真を廊下に張り出されてしまっても、気丈に振舞って杏奈を庇う瑠海が泣ける。
主人公は結局いとこの男と結ばれてしまいますが、この本筋のヘテロ話の安直なオチに比べて瑠海の百合ルートの話のなんと切ないことか。表紙にも瑠海(杏奈のお腹に頭を預けて寝てる少女)はいますが、完全に主要キャラですね。もはやこちらのほうが物語の本筋と言っても過言ではないでしょう。

ちゃんと紹介しようと思っていたら紹介がちょっと遅れてしまいましたが良い作品でした(私の場合、思い入れの強い作品はなかなかすぐに紹介が出来ない事が多いのです)。
瑠海というキャラクターが象徴していますが、最近の少女漫画での百合描写は、露骨に求愛してるものは読者の理解を得る事はなかなか難しいですね。熱い気持を持っていてもそれを全面に出しても、少女読者は厳しいので「キモいっ」の一言で片付けられてしまいます。
嫌われないよう周りに引かれないよう……密かに熱い気持を隠していなければいけない厳しい事情があるのは現実の世界と同じですね。

こういう少女漫画百合作品は読みたいと思っても、恋心をひた隠しにしてて露骨な絡みは少ない場合が多いので発見は難しいですね。最近私が少女漫画百合作品の発見に難航しているのもこのへんの事情が絡んでいると思います。
キクさん素晴らしい少女漫画を紹介してくれてありがとうございました。