初恋の共有
時遠季沙

2年ほど前に雑誌掲載時に紹介した女子同士の恋愛を真正面から描いた漫画「凹凹」が今回ようやく収録されました。これは作者さんの記念すべきデビュー作なんですよね。

・「凹凹(ボコボコ)」
百合度★★★★★
成績優秀眉目秀麗で生徒会長までこなす親友(沙恵)をもつ主人公(蜜)は地味な娘。
蜜には片想いの男の子がいて、彼が沙恵のことを好きなんじゃないかと心配するんですが、実は蜜のことが好きだったという紗恵。
「あたしが好きなのはあんただよ 蜜」
最初は戸惑う蜜ですが強いはずの紗恵が泣いているのが我慢できず、キスを受け入れてしまいます。
「2度目のキスは紗恵の舌がとけるように入ってきた。紗恵のオレンジリップの不思議な香りを拒めない……。拒まない私が確かにいた」

その後も保健室などで女の子同士でキスしまくりの展開に、クラスでも噂になって「レズってんじゃねーよっ」などと中傷されたりします。
中傷にも動じず、大好きな紗恵のことを庇う蜜。しかしいざ紗恵とHする……という時になってそれが出来ずに思わず拒んでしまいます。紗恵のことは好きだったが、「そっち側」から越えることが出来なかった事実。
沙恵とのHを受け入れることが出来なかったことで、次第にふたりの距離は離れていきます。
結局主人公は最初に片想いしていた男の子の元に。
「『凹』と『凹』には穴がぽっかり。空いた穴には何が入るのかな?」
最初は意味が分からなかった紗恵の言葉ですが、愛と欲情、どっちもないと埋まらないということに気が付くようになります。

いったん沙恵を受け入れる主人公なのですが、それは主人公が自分をビアンとして自覚したからではなく、キレイで優秀な沙恵が自分のレベルまでおちてくれたからだというところに少女漫画としてのリアルな主人公の気持ちが描かれていると思います。
でも、2年越しの沙恵の気持ちに応えたかったという主人公の気持ちは共感出来ますね。

悲恋ではありますが、少女漫画でこれくらい百合度の高い作品が読めるのはデザートくらいですね。貴重です。是非おさえておきましょう。