薔薇姫(西 炯子)
百合度★★☆☆☆

新創刊の「百合姫」のライバルBL雑誌……というわけではありません(笑)。以前紹介した「放課後の国」の作者さんの作品ですね。短編集のうち、1編が芥川龍之介の「蜘蛛の糸」をモチーフ(故に相手の正体が蜘蛛ですが)にした百合話でした。

・「くも」
百合度★★★★☆
学校でクラスメートにいじめられ、教師からはセクハラを受けて、虫けら同然に扱われている主人公のともみが、転校してきた縞田さんという美しい女生徒に好かれて、縞田さんがべったりくっついて手を繋いだり、いじめてくる人間を撃退する話。
あまりに縞田さんがともみにべったりなため、周囲からは「レズ!!不潔!学校から出て行け!」などと迫害されてしまいますが、それでも体を張ってともみを守る縞田さん。
クラスメートに傷つけられた縞田さんの顔をともみが拭きながら「縞田さんは……あたしのこと……好き……なの?」と照れながら訊いて、それに対して縞田さんが優しく微笑み返すシーンが良い感じですね。
しかし「私が守るから学校なんてやめてしまえば?」と言う縞田さんにともみがついていく勇気がなかったのは惜しい。いじめられっこが勇気を持てない心境は分かりますが痛いシーンです。
その後ともみはまた教師に襲われてしまいますが、縞田さんが助けに現れます。しかし縞田さんが人間が持っていないような力を見せたことから、縞田さんの正体が実は昔助けた一匹の蜘蛛であることが分かってしまいます。
それ以来女性の姿をした縞田さんは消えてしまいますが、その後強くなったともみの胸には一匹の蜘蛛の姿が見える……という結末でした。

少し悲しいお話ではありましたが、心に残る良作ですね。品切れ(もう絶版?)なのが惜しいですが、古本屋などで見かけたら読んでみてください。