百合姫Selection

百合度★★★★★

「百合姉妹」に過去に掲載されていた作品に、描き下ろしの作品を加えた「百合姫」の姉妹誌が発売されました。再録と描き下ろしの比率はだいたい6:4くらいです。「百合姉妹」を買いそびれてた、という人は紺野キタ先生の作品なども要チェックなので当然買いですが、それ以外の描き下ろし作品も乙ひより先生や森島明子先生の作品など素晴らしいので、百合好きならやっぱりおさえておきたいところ。
amazonでは「百合姫Selection 2007SPRING (2007) 」という表示が出ているので、次は「2008」や「SUMMER」なども来るのではないかと期待してしまいますね。

・「ラブレター」(乙ひより
描き下ろし。好きだった相手の少女に告白する事が出来ず、それどころかキューピッド役をやらされてしまう展開になってしまうお話。ラブレターを相手の意中の男に渡す事を了承して「ゆうちゃん大好き!」と抱きつかれるものの、複雑な心境ですね。
勢い余って相手の少女の写真の入った写真立てをはさみで割って、さらに渡された相手の男へのラブレターもずたずたに……したようで実は破いたのは、昔相手の少女に向けて書いた自分のラブレターでした。
「美和へ。好きです。私と付き合ってください。夕香」という渡せなかったラブレターが悲しいです。

・「星の向こうがわ」(森島明子
描き下ろし。前回の百合姫VOL.8に載っていた「楽園の条件」の2人の、ちょっと過去に遡ったお話です。理解のある友達を装っていた澄ちゃんですが実は、サリーのことが大好きで、欲しくて欲しくてたまらなかった気持を押し隠していたものの、彼氏に振られて泥酔してるサリーを見てつい本当の気持を告白してしまいます。最初はピンと来なかったサリーですが、彼氏とも完全に切れ、澄ちゃんにほっぺを触られた手を握り返して、次第に気持に変化が現れていく様子が良い雰囲気ですね。

・「アップルデイドリーム」(城之内寧々
描き下ろし。由真と薫が出会ったときのエピソードです。意外なことに実は最初は由真に全然興味をもっていなかった薫。しかし由真の胸が大きいという事を知って、態度が豹変してしまいます。物欲しそうな顔をしていたところ、触らせてあげてしまったことからこの2人の関係が決定してしまいます。押したり引いたり由真も大変ですね。
ところでこの2人、高校時代にも出会ってるような気がするんですが(笑)。

・「彼女の猫は夢の番人」(袴田めら
描き下ろし。次々と新しい女生徒と付き合って肉体関係も持つ仲になるものの、次々と振られていく少女の話。最後の少女に振られた直後にもその場で慰められていた女生徒に新しく付き合うことを提案されそのままH展開に……なるはずが、最後に別れた少女にもらった猫のことが忘れられず、自分が相手を好きだったということに気づく話。

・「南波と海鈴」(南方純
描き下ろし。今回は三波とるなメインの番外編っぽい話でした。メイド服着まくりで相変わらず萌え度は高い。

・「ヴィダーシーク」(及川じんこ)
一迅社コミック大賞少女漫画佳作作品。誰に頼まれてもモデルを断り続けてきた相手に、「女神になってくれませんか……っ」とプロポーズしたことからモデルを引き受けてもらう話。妊娠した事から学校を辞めてしまうことになりますが、相手のために描いた花嫁衣裳の姿は渡す事にします。

・「under the rose」(紺野キタ
百合姉妹VOL.1収録作品。
それまで別々に暮らしていたのに母親が亡くなった事から一つ屋根の下で暮らす事になった異母姉妹の話。
秘密を隠すため学校ではよそよそしくしていますが、実はお互い愛し合っている関係で、ベッドの上でキスをしたり、お風呂で背中を流したり、足の爪を切ってあげたりするシーンが死ぬほど良いです。
紺野キタ先生の3作は雑誌掲載時に比べて背景など少し修正が入っています。

・「いずこともなく」(紺野キタ
百合姉妹VOL.2収録作品。
自分のベッドが謎の雨漏りで汚れてしまい、代わりに幽霊が出るという事で逃げてしまった少女の部屋に移ることになったが、実は全部同室の娘守谷さんが意中の主人公三輪さんを自分の部屋に引き入れるために仕組んだ作戦だったという話。
勝手な守谷さんに振り回されてしまう三輪さんですが、遠足の前日の夜のようなわくわくした感じを楽しんでしまいます。

・「昼下がりの…」(紺野キタ
百合姉妹VOL.3収録作品。
上記「いずこともなく」の続編。同室になった守谷さんに夜中にベッドに潜り込まれたり、「視線がエロい」などと言われたり、キャンディを口移しされたり、ブラを外して腕から抜かれたりと振り回されっぱなしな三輪さんが良いですね。結局あの後本当にふたりで「昼下がりの情事」を楽しんだんでしょうか?(笑)

・「月夜の来訪者」(椋本夏夜
百合姉妹VOL.4収録作品。
女子寮に出るという幽霊の話をしていたところでルームメイトとケンカしてしまった少女の前に、話題に出ていた幽霊らしき少女が現れて、仲直りの手助けをしてくれる話。

・「24、25。」(テクノサマタ
百合姉妹VOL.3収録作品。
出席番号が24番、25番で前後の席に座っていた中川さんと二宮さん、試験のヤマを教えてあげたりするだけの仲だったものの、手違いで偶然もらってしまったサイン帳をいつまでも大切に持っていたという話。

・「ふたり」(速瀬羽柴)
百合姉妹VOL.2収録作品。
転校してきて、再び遠くへ行ってしまう少女と、自分の殻を破れずにいる主人公の少女との交流の話。転校してしまう前に声をかけたから、転校していってしまった後も手紙のやりとりを続けることが出来るようになります。
ファンタジーものが多い羽柴先生にしては普通の学園ものは珍しいですが、1人で生きる強さを持つことと、好きな相手と一緒にいることの大切さのバランスがテーマのひとつになっているところは相変わらずですね。

・「星に願いを」(日輪早夜
百合姉妹VOL.4収録作品。
仲良しだった少女3人のうちひとりが星になってしまって、残された2人がいろいろ一緒に考える話です。

・「楽園の小鳥」(さかざき咲羅
百合姉妹VOL.1収録作品。
田舎の学校でいつまでも相手の少女と一緒にいられると思っていた主人公だったが、実は相手は遠くの学校へ進学しようとしていたという話。

・表紙(影木栄貴
肩の辺りを相方の蔵王くんに直してもらったそうです(笑)。

・百合姫S予告
VOL.8に載っていた内容とほぼ同じですが、1名だけ名前が消えた作家がいます。あまり深くつっこむ気もありませんがその判断は賢明かも(笑)。

「百合姉妹」を全部持ってる人はもちろん描き下ろし作品が一番気になるところだと思いますが、持ってない人には紺野キタ先生の作品なんかかなり読み応えがあるんじゃないですかね。残念ながら百合姫本誌のほうには参加されてませんが、「百合姉妹」創刊当時は森永みるく先生と並んで人気のあった作家さんでした。

個人的には乙ひより先生の作品が一番印象的で良かったです。ちょっと悲しい話ですがこれが今回のベストかな。
森島明子先生の作品も、ほのかに恋心を予感させる終り方で良い感じでした。