チャームエンジェル3
もりちかこ)

百合度★★★★☆

「ララナギ」でお馴染みもりちかこ先生が描く、友達のいない孤独な星天使候補&不幸体質の天使の少女2人組みのコンビの話の3巻です。
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今回はリコルの事が好きな表紙の少女ミルメインの話……といことでリコルを巡ってのアミーとミルの争奪戦が繰り広げられます。ララナギが登場する番外編は今回も収録されず4巻以降ということですが、それでも百合度は全然高い。先日紹介した「白いバラの乙女」と並んで今年これまで発売された中では最も百合度の高い少女漫画の単行本ということになると思います。
リコルとミルの過去の話は悲しいですが一方ギャグの方も冴えていて、めりはりがついていてめちゃくちゃ面白いですね。

リコルの不幸体質が最近ひどくなってきたことを気にするアミー。ボロボロのアミーをみて「パートナーの管理もできないのか?」と嫌味を言うミルに、アミーも引け目を感じてしまいますが、リコルの明るい笑顔に救われます。
嫌味を言うミルも相棒のティリにリコルを怪我させてしまって、やったのは相棒であるにもかかわらず自分が謝り、「好きなもの持ってって」と突然金銀財宝をリコルの前に差し出します。
それに対抗心を感じたアミーも景品を取ろうとダーツに熱中しますが、逆にミルに「パートナーを放っておいて……私なら大切な人にそんなことはしない」と言われてしまいます。
「ミルさんはどうしてアミーを嫌うのですか?」と訊くリコルに「それをあなたが言うの?」と少し悲しそうな顔で答えるミルが意味深です。
景品でアミーが必死で取ったのは、リコルの不幸体質を少しでも改善させるためのクローバーのついたキーホルダーでした。「リコルが幸せになれるなら、私も幸せになれるんだよ。だから笑って。リコル大好き!」と抱き合う2人。

一方そんな仲の良い2人を見つめるミルはなにやら心穏やかではない様子。「私……決めたわ。あれを使う」
いきなりアミーとリコルの部屋に飛び込んできたミルがリコルたちにかけたのは人間が天使になる時に消された記憶を呼び覚ます、天界ではタブーとされているアイテム「記憶の香水」。
リコルとアミーが記憶の中で見たものは、幼い頃のミルが天使の像を謝って壊してしまったことから、不幸体質を背負ってしまい、親にも迫害されて一人ぼっちの境遇の中で、まだ人間だった頃の幼いリコルと出会うシーンでした。
悲しい時は2人で歌を歌ったりしてつかの間の楽しいひとときを過ごしますが、幸せもつかの間、リコルが病気で倒れてしまい先が長くないと言われている事を知ります。
「私が死んだら、天使になってミルの幸せを祈るわ」
間もなくして最期の時を迎えてしまったリコル。お墓の前で悲しみに暮れ、神様を恨むミルですが、そこへ天使の姿になったリコルが現れます。
「私は長く生きる事が出来ませんでしたが、ミルと出会えて幸せでしたよ。最後に私がミルの『悪いもの』持っていきます」
その時ミルは自分から不幸体質が消えていくのを感じます。リコルの不幸体質はその時ミルから受け継いでしまったものだったんですね。
ミルは大好きで強い思い入れのあったリコルが、自分の事をすっかり忘れてしまっている事に我慢が出来ずについ禁断のアイテムを使ってしまったのでした。

過去の記憶を取り戻したリコルは決断をします。
「アミー……私ミルの所へ行きます。少しでもつぐないたいの。私はパートナー天使失格かもしれません」
アミーの元を去り、ミルの元へ行ってしまったリコル。アミーのほうもまたひとりぼっちになってしまって寂しい朝を迎えてしまい、リコルが向かったミルの家に様子を伺いに行きますが、「ミルのそばにいたいの!」と抱き合って寄り添う2人を見て、自分が入り込める場所がないことを悟り、一旦はその場を去ります。
しかしラミエルから天界の掟を破っている2人がこのままでは危ない事を知らされ、再びミルの家まで戻り家の前で捨てられていた(笑)ミルの相棒だったティリ(♂)と期間限定のコンビを組み、ミルとリコルの2人の前に行き賭けを持ちかけて勝ったら「記憶の香水」を使う事をやめさせるように約束させます。
リコルをかけたアミーとミルの一騎打ち、勝敗はいかに!……4巻に続きます。

ミル編はあと1話で終わりだったと思います。先の展開が気になるという人にちょっとだけネタバレ

今回は本編も濃いですが番外編も多く収録されていて、こちらで紹介したディナ(♀)とハルダ(♀)のコンビの友情話やソーダで酔ったリコルがアミーのほっぺにキスしたり、一緒にお風呂に入る番外編も収録されています。

今回はミルがメインということもありますが、女子率が高いですね。男キャラはあまり出てきません。ミルはもり先生の日記によるとやっぱり男の子に興味が全然ないらしい(笑)。

しかしミルとリコルの過去の話は泣けるなあ……。このレビュー書いてる間もちょっと泣けてきてしまった。「ララナギ」は1巻がクライマックスですが、「チャームエンジェル」はこの3巻がクライマックスですね。ララナギ1巻以来の感動展開でした。今年の私的年間百合BESTの超有力候補作品です。