百合姫VOL.9
公式
百合度★★★★★

コミック百合姫もいよいよ2周年か……うちのブログより1年遅れて創刊したんですね。あの時は「百合姉妹」がポシャってしまって出版社を変えてかろうじて生き延びる事は出来たものの、また今度も1年くらいで休刊になってしまうんじゃないかと心配していた……というより長年の経験からしてほとんど諦め気分だったんですが、なんとか2周年続いたどころかページ数も多くなり新人作家の単行本も一辺にたくさん発売されるような日が訪れるとは、正直夢にも思っていませんでした。
ここ1〜2年の間に百合ジャンルに興味を持つようになった人も多いだろうし、そういう人達はもしかしたら、百合な雑誌が発売されるのは当たり前で、もっと淘汰されてレベルの高い作品だけが生き残れば良いと考えている人もあるいはいるかもしれませんが、そんなことはありません。20年くらいのスパンで見ると、ここ数年だけが百合ジャンルが恵まれているだけの話で、ちょっとでも気を抜けばまた百合作品の全くない暗黒時代に逆戻りしてしまう可能性もあるということは充分自覚して欲しいですね。
高い山を作るなら、まずは裾野から広げていかなければなりません。裾野を広げずバベルの塔のようなものを積み上げていっても、必ず途中で崩れますからね。

さてちょっと真面目な話になってしまいましたが、改めて今の恵まれた状況の幸せを噛みしめつつ個々の作品の感想を。

・表紙(林家志弦
表紙は「わーいカニですよ見て見てうわ(コケ)」と「あっカニが胸元に!起さないように取……」の2パターンがあるそうです。うまいですね。
最近私上下逆転の姿勢で見つめあうシーンにハマっているので、このイラストも鼻血ものです。

・ピンナップ(木下さくら
三つ編みを結んであげてる少女の絵ですね。これはいいかも。バックはやはり百合の花なのか(笑)。

・2周年記念作家直筆色紙プレゼント
う〜む、良さそうなイラストが多いのでどれを選ぶか迷う……。

・「アオイシロ-青い城の円舞曲-」(江戸屋ぽち
田舎に引っ越してくることになった元お嬢の百子が、苦労して女子校の寮に入る話。田舎で遊ぶ所がなくても女子寮に入ることが出来た百子は幸せそうですね。冒頭寮に辿りついて目を輝かせているのが面白い。
相部屋の相手は身体の弱い相沢保美という少女。暗い表情をしている保美を笑わせるため、エアギターを弾いたりして百子はかなりテンション高いです。
しかし保美は倒れていた自分を助けてくれた格好良い先輩に惚れてしまったようで……?
この人は「BLEACH百合アンソロジー雅 花鳥風月」で乱菊×雛森のシリアスな百合話書いてた人ですね。まだデビューしたばかりの新人さんのようなので絵柄はところどころ粗い部分もありますが、設定を意識しすぎて堅くなりがちな原作モノを勢いのある展開で描いていて良い感じなんではないでしょうか。

・「ストロベリーシェイクSweet」(林家志弦
リゾートホテルの宿泊券を手に入れた樹里亜が、蘭を誘って宿泊先でお互い邪な妄想をあれこれしてもんもんとする話でした。林家先生の作品は少年漫画ギャグより妄想全開な今回の作風の方が個人的には好みですね。個人的にはこれまでの「ストシェ」の中で一番面白かったかも。

・「夏窓シンドローム」(かずまこを
「百合姫VOL.6」に収録されていた「パジャマ夜話」の出ていたななおと保健の先生の馴れ初めの話でした。意識しすぎてしまうということで名前で呼ばれることを拒絶する初々しい女子生徒にキスをしてあげる先生が良いですね。その後も駄々をこねてキスをせがむ先生に、女子生徒のほうも「私……遊びでもいいぞ」と謙虚に申し出ますが、本気で応えてあげます。

・「Epitaph」(硝音あや
今回は十和が過去に病院に捨てられて、アーシェが引き取ってあげる過去のエピソード。ドジで役に立たない十和がアーシェの頬の傷を舐めてあげたり、寝ている十和にアーシェが顔を寄せたり抱きしめたりするシーンがありました。

・「百合の花粉は落ちにくい」(三浦しをん)
今回は「ひみつの階段」シリーズの話。

・「南波と海鈴」(南方純
耳ネタのオチは読めますね(笑)。耳がなくなると姉妹でなくなるという発想はよく分かりませんが、姉妹でなくなってなんでも出来る間柄になったことを喜ぶ二波はちょっと良いかも。

・「そして僕らは愛を目指す」(森島明子
出版社に勤めて女性誌みたいなステキ生活を送る元僕ッ子と、コスプレ衣装を作ってるお店で働く4つ年上の女性との話。同居して眠れない夜にキンチョーをほぐしてあげると言ってキスをしたり抱きしめてあげて、普段堅いことをやってる相手の女性がだんだん力が抜けて安心出来るというシーンが良いですね。

・「DREAM DROPS」(CHI-RAN
夢のかなう飴をもらって夜毎片想いの相手の夢を見続け、デートから最後はHまでしてしまう夢を見る主人公が良いですね。お互いHをする夢をみてしまって、次の日顔をあわせづらい2人が最高です。

・「ときめき☆もののけ女学園」(南国ばなな
何もいうまい。馬鹿馬鹿しすぎる展開に笑わせてもらいました。

・「森奈津子の百合道場」(cut:及川じんこ)
おや、カットが先日新人賞を取って「百合姫Selection」でデビューした及川じんこさんに代わっていますね。表紙のクレジットでは水上カオリになってるんですが。日記を見ると水上カオリ先生は過密スケジュールだったのかも。

・「初恋姉妹」(東雲水生
やっぱりてっしーは前回登場した少女とフラグが立った感じですね。リエっつーか亜里沙って感じですが(←なんだそりゃ?)。
千夏に顔を寄せる榛菜はやっぱり天然っぽい。生徒に手を出そうとする教育実習の先生は犯罪っぽい(笑)。

・「紅蓮紀」(武若丸
相変わらずボーイッシュな総受けを2人の少女が奪い合う展開。「気に入らないとは口をきかない」……人という文字が抜けてるような。

・「ひとつぶの海」(タカハシマコ)
海だけじゃなく相手の少女にも溺れている少女と、その少女のことが好きで付き合ってあげている少女の話。「マナちゃんのことすきになったらどうしよう」と、相手の目の前で相談する少女が面白いですね。

・「マーメイドライン〜めぐみとあおい3」(金田一蓮十郎)
男と付き合うことで自分がレズではないということを証明しようとしためぐみですが、やはり自分の身体は男を求めていないことに気づき、あおいと一緒にいるしかないことに気づきます。
めぐみ&あおい編は今回で終わりなのかな?レズ疑惑とか根本的な解決はしていないし完全なハッピーエンドには描かれていませんが、このほうが現実的なオチですよね。

・「黒づくめの女の子」(袴田めら
小さい女の子が背伸びて大人の女の人にアピールする話……と思いきや今回もオチは予想外の展開に。

・「恋の証明」(乙ひより
女子校で、頼まれたからと言って好きでもない女の子にキスをしてあげる女生徒が、女教師に一途に恋をしていたことを証明する話。誰もいない教室で女子同士キスをするシチュエーションは良いですね。

・「アップル・デイ・ドリーム」(城之内寧々
今回は浴衣の話。薫さんは浴衣に気を取られていて花火は見てませんね。「近いとでかいねー」と言う由真に打ってる相づちも別の意味で同意してるのかも(笑)。

・「Butterfly69」(夏猫)
つっぱってる格好良いバンド少女と、そのファンの大人しい娘のカップリング……と思いきやバンドの少女のほうが受けで教室で濃厚にHされて「ほしいならほしいってちゃんとお願いしなさい」と言われ「ほ、ほしい……」と顔を赤らめながらおねだりする展開が意表をついていて面白いですね。楽器の形は微妙に違和感があるけどスタイリッシュで独特な作風は新人にしてはかなり完成度が高いと思います。

今回再び参加した新人作家さんはどちらも個人的にまた作品を読みたいと思っていた作家さんだったので嬉しいですね。
ここ最近毎回ボリュームアップを更新してるページ数も、今回もまた大幅に増えて誌面が充実しつつある印象です。同日発売のコミックスも含め、近くの本屋に未だに全然入荷してない状況が気にならないわけでもないですが、これからも着実に成長していって欲しいですね。