GIRL FRIENDS-ガールフレンズ- 1
森永みるく
百合度★★★★★

至高の百合作品を描くと評判の森永みるく先生の最新作「GIRL FRIENDS」、いよいよ発売されましたよ。
相変わらずみるく先生の描く表紙の女の子2人絵はうっとりするような素晴らしい雰囲気がありますね。百合好きなら悩殺されること必至です。

同じクラスだったのに話をしたことのなかった2人の少女が、2学期になって初めて話しかけることから交流が始まる、少女2人の友情&それ以上の感情を含む絆を描いた作品です。

みるく先生の以前出した百合な単行本(の中でまだ絶版でない)「くちびるためいきさくらいろ」の紹介はこちら「あまいくちびる」の紹介はこちら

第1話
こちらで冒頭数ページが立ち読み出来ます。
あっこに話しかけられて下の名前で呼ばれたり、頭を撫でられたりするまりがこの時はまだ「なれなれしいなぁ……」と感じているところがリアルで面白いですね。その後何気なく誘われて普段は行かないまっくや美容室に連れて行かれ、最初は戸惑うものの徐々にあっこのペースにハマっていき、学校生活が楽しくなっていくまりが良いですね。何気なく声をかけたようにみえたあっこですが、実は前からまりのことを狙っていたことが後ほど分かります。今読み返してみてもこの第1話は素晴らしい導入部ですね。

第2話
仲良しの2人組を加えて4人でプリクラをとりに行く話。子供の頃一度だけ撮ったことがあるだけで実はその後全くプリクラというものを撮ったことがなかったというまり。みるく先生は(失礼ながら)私同様プリクラ世代でも携帯世代でもないと思うんですが、この辺の描写はうまいですよね。帰りにプリクラを鏡に貼って「友達の基本っしょ!」と言われ食事中にもにやけてしまうまりが可愛いですね。
あまり服をたくさん持っていないことを打ち明けるまりを、速攻で自分の家に連れ込み、部屋で2人になったとたん脱ぎだしてファッションショーを始めるあっこ。(こういう子をはしたないと思う読者はみるく先生の作品から去るが良い!)そのまま2人でファッションショーに熱中していたあっこですが、突然まりの着ていた服を脱がせて押し倒して……?
雑誌掲載時は冒頭4ページが美麗なカラーでしたが単行本はやっぱり白黒でした。抜けるような青空だったイラストが、どんより重苦しい黒雲が立ち込めてる絵になってしまっています。でもこれは雑誌掲載時ちゃんと断わっておいたことですからうちのサイトに一年前からお越しの方ならいまさら焦る人はいませんね。手元に残っている雑誌の切り抜きは大切に保存しておきましょう。

第3話
押し倒されたまりですが、その状況にも関わらず接近したあっこの長いまつげや少しお化粧をしているような綺麗な顔に見惚れてしまいます。強引に自分好みを押し付けたことを謝るあっこですが「そっ……そんなことないよ!」とまりは自分が嬉しかったことをあっこに伝えます。その後まりのために好みの異なる他の友達も誘って服を買いに行くあっこが良いですね。

第4話
今回はまりとあっこが一緒にダイエットしながら、裸も見せあう仲になる話。お風呂で半身浴しながら女子同士写メを送り合うシチュエーションって斬新ですね。
顔を寄せて「私ね、まりと友達になれてよかった」と言って照れるあっこが可愛い。ダイエットも無事終わり、「まり」「あっこ」と呼び捨てで呼び合う仲に進展しました。まりのパンツが見えたと告白するあっこはなんだか楽しそうですね。

第5話
風邪で休んでいる間、あっこの話をする3人ですが、自分があっこの一番仲の良い親友だと思われてまりが嬉しくなるシーンはリアルで共感しますね。
登校してきたあっこがいきなり手を繋いできてドキドキするまりですが、これは落とし忘れていた(とあっこが思った)ネイルのことを心配してのことなのでした。この方法を使えば、女子高生はネイルを落とし忘れたと言い訳をして一日中手を繋いでいられるかも(笑)。
しかし普通の友達同士なら、手を握られただけでそんな赤くはならないでしょう〜(笑)。この辺はみるく先生のすごいところ。

第6話
クラスが変わって新しいクラスメートに「まり」と呼ばれたり、自分以外の人が「あっこ」と呼ぶことに抵抗を感じるまり。「あっこ」「まり」と呼び捨てで呼び合う関係は2人だけにしたいという独占欲の強いまりが良いです。さらに意識してしまってあっこの好きな人も聞けないまり……。合コンは気がかりですがやはりあっことまりの関係は完全に友情関係を超えていますね。

第7話
まりとあっこの2人が、合コンに行く事になって雲行きの怪しくなくもなかった前回ですが一転、よもやこんな神展開になろうとは……。
「あっこに彼氏が出来たら……」と考え、切なくなって泣き出してしまうまりに気づいたあっこが、即決で合コンをドタキャン、会場に着く前に2人とも抜け出してしまって、そのままあっこの家にお泊り、2人でお酒を飲む展開になります。さりげなくたまみんとすぎさんを引き合わせるところも気が利いていますね。
ラストまりがあっこの寝顔に見惚れながら、そのまま唇にキスをしてしまうというとんでもない展開に。
第7回目にして「ガールフレンド」の壁をついに越えてしまった?今後の展開はさあどーなる!

あとがきによるとこの作品はまりこのいろいろな「目覚め」そして2巻は「恋心」を描いていくという事で要注目!

■あとがきでは他にも物語世界の設定にみるく先生自身の女子校時代の思い出がベースになっている話や、ストレートロングちゃんやおかっぱちゃんに対する想い入れなどが語られています(この辺はファンならお馴染みのエピソードかも…笑)。

■「ごきげんよう」と挨拶するのが普通だったリリアン女学園のような女子校に通っていたみるく先生が描く女子校漫画が、こんな風になってしまうというのも面白いですよね。ふわふわした雲の上の世界ではなく完全に地上の世界なんですが、しかしそこにドキドキのある素敵な要素があるところなんかがほんとにすごいと思います。大島永遠や紺條夏生など、リアルな女子高生を描く事が出来る作家は何人かいますが、リアルな姿のまま平凡な生活を薔薇色に描けてしまえる作家というのはほんとに稀有な存在ですよね(あとは大島弓子御大くらいか)。

■こういう話、普段おしゃれな女子高生生活を地でしてた人も描かないだろうし、オタクで内気でおしゃれを全然してなかった人も描かないと思うし、こういう作品をいとも簡単に作れてしまうみるく先生は相変わらずすごいですね。神のように卓越した観察眼と俗っぽい事も楽しんでしまう事も出来る資質の両方を持ち合わせているからこそこういう作品が描けるんじゃないかと思います。

■女の子の友達と深い関係を作りたいというリアル女子中高生のバイブルとしても使っても良いんじゃない?……てこれは私の願望も少し入ってますが(笑)。

■森永みるく先生の単行本が1年に2冊も出たことが過去にあっただろうか?今年は恵まれてますね。百合姫に掲載されていた作品とは違って「GIRL FRIENDS」は最初から主人公が百合属性全開、というわけではないですが、友情とそれ以上の感情に揺れ動く主人公の心情の描写が秀逸ですね。まりとあっこが早く恋人同士になってほしい!と思っている人も多いと思いますが、焦りは禁物です。最初からラブラブカップルになってしまってはありがたみもないし話も終ってしまいますからね。出会いから描いて友達になり、そこからじっくりじっくりそれ以上の関係になっていくところを描いていけば、最高の作品になると思います。今回の1巻はまりちゃんがあっこにキスをしたところまで収録されていましたが、ここまでの展開だけでも神のように素晴らしいと思います。ここからさらに2人の関係をじっくり描いていくわけですから、たまらないですよね。同人時代からの森永みるくファンも新しいファンも必見です!

■しかし、みるく先生の作品がここまで百合好きの間で高評価されることになるとは思ってなかったですね。いやもちろんみるく先生は10年前から神のように素晴らしいレイ×亜美同人誌を出されてましたが、それはファンとしては百合だから買っていた、というより、みるく先生の作品だから買っていた、というつもりだったと(少なくとも私は)思っていたんですが、商業誌で(ヘテロのエロ漫画でなく)百合を描くようになってここまで評価されるようになったことを考えると、やはりみるく先生と百合とは切っても切れない関係がどこかにあるのかもしれません。百合と関係なく好きだったとか戯言を言ってる私にしたって、やっぱり百合好きの縁で惹きあわされたという線も否定しきれませんんし。
なんにしても百合好きの間でみるく先生が絶大な人気を得る事になった事は素直に嬉しいですよ。私は百合もみるく先生も好きですからね。まとめて一緒に応援出来るならこんな嬉しい事はありません。