ネムルバカ
石黒 正数
百合度★★★★☆

メジャーデビューできないけどバンドやってる先輩ルカのことを大学の女子寮でルームメイトで同居している柚実が慕っているという話。
目標を持っているルカに柚子は憧れ、さらに柚実が人ごみに潰されないよう気遣ってあげたり、ゲロの世話をしてあげたりするルカに柚子はさらに惹かれていきます。言い寄ってくる男もいるんですが露骨にウザがる柚実と、全く興味なさげなルカが良いですね。

自分の価値を低く見積もり始めた柚実に「私はお前が大事だよ」といってあげたりして嬉しく思うものの、「カモフラージュ」という言葉をルカが使っていたことや「私は男には興味ないから」と言っていたことを思い出し女の子が好きなんじゃないかと疑ってしまう柚実が面白いですね。「ちょっと待て!私レズじゃないってば!!」と弁解するルカですが本当のところはどうなんだか(笑)。

一緒の布団で寝るのは恒例のようですが、寒い日には「お前もっとくっつけよ」と寄り添って寝るのも良い感じ。
思ったよりやわらかいんだ」と言うルカの頭にあったのは今まで打ち破れなかった音楽への夢の壁のことだったんですが、実際の行動では柚子に抱きついてお尻触っていて、柚実は赤くなって戸惑ってしまいます。

大学をやめて部屋も出て行くというルカに「やだーーっ!何勝手な事言ってんスか!私こりからポッチひとりでどげすりゃよがんね。先輩の辛辣な言葉を指針に生きてきたのにさー」とお酒を飲んで寂しがる柚実ですが、結局ルカは出て行ってしまいます。
最後夢がかなってメジャーデビューすることになったものの、業界の枠にはめられる現実に失望したルカは最初で最後のツアーで言ってはいけない自分の名前と柚実の名前を呼び、柚実への気持ちを歌にぶつけます。
「僕が食べるまんじゅうにもし毒が入っていたらお前がすぐに教えてくれ。いいかおい頼むぞ!何黙ってんだ!何か返事をしてくれ!!」と熱く歌うルカに柚実も「先輩!先輩!!」と応えますが、その後ルカは姿を消してしまいます。
その後別の女性とルームメイトになった柚実ですが、CDを大切にしたりしていてルカへの想いは大切にしていることを窺わせるエンドでした。

上の表紙、文字で隠れてるんですが、カバー外したところではお互いしっかり手を繋いでるのが分かりますね。

1巻で完結ということですが今月号のコミックリュウも表紙&番外編が載っています。番外編は特にルカが在籍していたバンドの3人♂の話。面白いけど百合目当てに買う必要はありませんよ。

打ち込みたいことが見つからないと悩む柚実ですが、ルカのことを慕う気持ちだけは終始一貫していて、そういうところは百合的には評価大ですね。アイドルに憧れる気持ちくらいはあるようですがお互い男っ気も全然なく、終始お互いのことを意識しあっていて、明確な恋愛感情は描かれてないですが、友情以上の絆を感じさせる作品でした。