半熟女子 1
(森島明子
百合度★★★★★

クオリティの高い百合作品を最近連発して、百合好きにもすっかりお馴染みになった森島明子先生の百合姫コミックス新刊です。


森島明子先生の前回の単行本「楽園の条件」の紹介はこちら


今更なんだけど、去年の個人的年間百合ランキングは1位「百合姫Wildrose」、2位「麗わしき鬼」3位「GIRL FRIENDS」まで発表したんですが4位は「楽園の条件」だったのでした(ちなみに5位は「かわいいあなた」)。森島明子先生の作品は去年の百合姫本誌の作品の中で毎回掲載作品中No.1を総なめにしていたくらいですから当然の結果ですね。どの作品もクオリティ高かったです。

今回のお話は前回の単行本に比べると、一本の作品が丸々1冊に収録されているということで、登場する2組のカップルがより深く描かれています。メインカップルの八重とちとせが第2話ですでにお互い両想いだと気持ちを確認しているのが象徴的ですね。しかもTL風の作品ということで、雑誌に掲載されなかった3話以降ではさらに女子同士のHシーンも踏み込んで描かれています。

1・2話は百合姫の小冊子で発表されたので冒頭だけは読んだことがある人が多いと思いますが、3話以降は全くの描き下ろしなので、初めて読む部分が多くて読み応えのある単行本になっていると思います。その分森島明子先生や、同じように単行本を出す事になった三国ハヂメ先生のスケジュールはかなりきつかったのではないかと推察されるのですが、2人とも本当にお疲れ様でした。

さて本編の紹介を。

boiling.1
主人公の佐倉八重は女の子女の子した自分の容姿&性格に引け目を感じて、女しかいない女子高にいれば「自分が女である」ことを意識しなくて良いのではと思って高校から編入してきた少女。一方八重のことをいつもかまってくれる早水ちとせは幼稚園から女子高育ちで家は5人姉妹の女だらけの環境で育ったため、自分が女であるということを全く意識してなくて、八重の前でもいきなり着替え中に上半身裸で現れて食べかけの半熟卵にパクついたりするボーイッシュな自然体の娘。
八重を強引に推薦していきなり委員長に2人でなってしまったことに対しても「私の好みだったから。ちっちゃくてフワフワな女の子」と八重の顔に自分の顔を近づけ、自分の気持ちを隠そうとしません。
初恋の子も女子だったらしいちとせに対し「女子高って!?」と赤くなる八重ですが、自分も初恋の相手は女子だったらしいのでした。
そんなある日「トイレいこうトイレ!」と無邪気に人気のないトイレに連れて行かれたもののいきなり一緒の個室に入ってこられ鍵を閉められ「服を脱げ!」と言われ胸を触られ男っぽく迫るちとせに一瞬おびえる八重ですが、これは実は大きい胸を気にしてサイズの合ってないブラをつけている八重のことを心配しての行動だったのでした。

boiling.2
それを確かめたちとせは「これははずせ!」とサイズのあってないブラは奪い取り、自分が今着けていた伸縮性のあるスポーツブラを貸してつけるように言います。
「八重は八重のこと嫌いでも私は違う。八重がかわいそうだ」というシーン、八重の胸に手を当てそっちを見ながら語るちとせは真剣に八重のことを想っているんですね。その後は「私は好きだな。八重らしくて大好き!!」と言ってくれたちとせにたいし八重も「ありがとう。私もちとせが好き」と笑顔で応え、ちとせと一緒にいると窮屈なブラを外して楽になったはずの胸が別の意味で苦しくなってしまうようになって良い雰囲気でした。

boiling.3
華嶋マリ先輩に自分たちのことを「恋愛ごっこ」と馬鹿にされ、対抗心を燃やす2人はますます意気投合し、もつれて重なり合ったところで流れからキスまで交わしさっそくラブラブに……と思いきや直後に「ハハハ、確かに。八重が初恋の女の子に似ていたからそのコの代わりに恋愛ごっこしたかったのかな?」などと無邪気なちとせに悪びれる風もなく言われ、さらに貸していた教科書を返しにきた女生徒からは「ありがとね」と軽くほっぺにキスをされ、それを受け入れてしまうちとせを見て、「女子高って……」とショックを受けてしまいます。
しかし「恋愛ごっこじゃイヤなの……」と自分の気持ちを打ち明けた八重にちとせが今度は舌を入れるキスをしてあげ、「待って!その前に……バカ!」と言う八重が「好きだ」と言って欲しかったことを気づき、ちゃんと気持ちも伝えてキスを交わしてまたヨリが戻ります。

boiling.4
本を返しにきた2人が目撃したものは、堅そうな江戸川蘭先生とヤリマンの噂の立っているマリがHをしている姿。びっくりするもののどうやら2人は付き合ってやっているわけではなく、男がヘタで女同士でちょっとやってみたかったというマリに先生が押し倒されただけで愛なしでセックスをしていたと聞き、ますます混乱してしまいます。

boiling.5
オリエンテーションの宿泊先でうまく2人きりになり、八重を押し倒すちとせですが八重はほんとに嫌がって泣き出してしまいます。昔好きだった女の子を泣かせたまま離れ離れになってしまった過去を思い出して一瞬暗い気持ちになるちとせですが、しかしこれはちとせとするのが嫌だったというわけではなく、なんと八重のほうからしたかったということだったのでした。ちとせもそれを快く了承し、今度は八重がちとせを愛撫していく展開に。

boiling.6
初めてのHということでどうすれば良いか迷いつつも、あれこれ試していく2人ですが、蘭先生に見つかってしまいさすがに「あなたたちはまだまだこれから。もう眠りなさい」と言われてしまいます。
一方マリは男とセックスはしても恋をしていなくて、充実感を得られない日々を送っていたのですが、唯一恋らしきものをしている相手が蘭先生だったんですね。男としていても「私が欲しいひととは違う体」としか感じず、以前押し倒した時も、先生が失恋した時に「チャンスだ」と思って自分が最低の女であることを自覚しつつもセックスをする展開に持ち込んだということで、意外に一途に蘭先生のことを想っていたようです。

boiling.7
部を引退してもう会う事もなくなる蘭にマリは最後のお願いと1日だけデートしてもらいます。デートの後、付き合っている男とホテルへ行く蘭の姿を見て涙を流してしまうマリですが、しかしその後雨の中走ってきた蘭と再び遭遇することに。意を決して初めて男とセックスしようと試みたものの、結局出来なかったから逃げてきたという蘭をマリはホテルに匿います。
好きな人以外とセックスすることが出来ないという蘭に、ならなんで自分とはセックス出来たのか聞くマリ。「私のこと好きなの?」と聞いても「わからない……まだ」と答える蘭が自分のことをまだ想ってくれている可能性があることを知り「じゃあ確かめてみようよ。好きになるまでしよう!」とその後はホテルで激しく絡み合う展開に。この辺のシーンは熱いですね。

boiling.8
一方八重はまた大きい胸とちとせとの仲のことをクラスメートにからかわれ、軽く言われた冗談でも深く傷ついてしまい「もうやめる……」と一旦は決めるのですが、やはりちとせの姿を見てやめることは出来ないと悟ります。
自分のことを大切に想ってくれているちとせに、閉じていた心も開いていき、誰もいないシャワー室で素肌のまま抱き合います。こちらも熱いですね。

boiling.9
今までは八重→ちとせ、マリ→蘭の方向で受け攻めが決まっていたそれぞれのカップルですが、今度は逆に相手も愛撫してあげて、新しい試みにも挑戦し、さらに深い関係になっていく様子が描かれていますね。
エッチはしたものの、大人になったという実感はなく、まだまだ半熟な少女たちですが、これから少しずつ大人になっていく様子も描かれていくんでしょうか。2巻以降の展開も楽しみですね。


そういえば森島先生は雑誌「百合姫」の最初のほうではレポート漫画ばかりで、ちゃんとした作品はあまり描いてなかったんですよね。レポート漫画ももちろん面白かったんですが、森島明子先生は漫画が一番だろうと思ってアンケートにもその由を書いて送ったりしたんですが、大当たりでしたね。ここまで素晴らしい作品を連発されるとは、正直予想していた以上だったかもしれません。皆さんも森島明子先生の漫画作品、ほんとに素晴らしいと思うでしょう?(笑)