GIRL FRIENDS 2
森永みるく
百合度★★★★★

神のように素晴らしい森永みるく先生の「GIRL FRIENDS」、待望の第2巻が発売されました!もう届いているころでしょうが、皆さんも待望だったんじゃないでしょうか。

こちらに立ち読みページが。扉ページには新しいクラスメート、くのちんとうららの姿も見えますね。第8話をまだ読んでない人はちょっとだけ読める?まぁ皆さん買わない予定の人はいないと思うのでそんなお得な話でもないかもしれませんが(笑)。
帯の文は……
彼女は私の一番の親友。なのに私は彼女にをしてしまった。
「気づかなければよかった。こんな気持ち」
あっこの寝顔に思わずキスをしてしまったまり。なぜ自分がそんなことをしてしまったのか自問自答し思い悩む中、偶然あっこの初体験の話を耳にしてしまう。それをきっかけに自分のあっこに対する気持ちが恋であることを自覚したまり。親友であり、しかも女の子同士なのに……
2巻の表紙で相合傘をするあっことまり、あっこがまりの肩に手をかけて(右端でちらっと手が見えますね)体を抱き寄せているのは、多分雨がかからないようにという、あっこにとっては何気ない行為なんだと思うんですが、自分に寄り添ってくれるあっこを見るまりの眼差しは友情以上の感情がにじみ出ていて、素晴らしい表紙です。
森永みるく先生の作品はモノローグも多くてひとつひとつの短いセンテンスの中にも深い想いをこめることも出来る人なんですが、こういう風に例えセリフがひとつもなくても、一枚の絵の中にいろいろな感情やシチュエーションを織り交ぜることが出来てしまうし……ほんと、どこまですごいんだという感じですね。

1巻の表紙はお互いに友達として無邪気に笑いあっていたという絵だったと思うんですが、2巻ではまりの感情が徐々に変わってきた様子が窺えて面白いです。3巻はどんな感じになるか、今から楽しみになってしまいました。

1巻あとがきでも仰られている通り、1巻では「目覚め」そして今回の2巻ではあっこの「恋心」が描かれていきます。

第8話
前回1巻の終わりで主人公のまりが友達のはずのあっこに寝ている間にこっそりキスをしてしまってさあどーするという第8話。
あっこの顔をまともに見れなくて唇ばかりに目がいってしまうまりが可愛い。あっこともギクシャクしてしまいますが、疎遠になりつつあったところすぎさんと一緒にファーストフードに入るあっこをみてたまらなくなってしまい、屋上に呼び出してキスをしてしまったことを正直に打ち明けることにします。
「嫌だよね……友達なのに」と震えながら打ち明けるまりですが、「なーんだそんなことか〜〜〜☆」と答えるあっこに一時ほっとするものの、「友達とちゅーとかよくあるし!!」とすぎさんやたまみんとも以前にキスしたことがあることを打ち明けられ、友達のキスは挨拶程度と考えられていることに対して、逆にある種の寂しさを感じてしまうまりですが、「そんなんじゃなかったけどな……私がキスしたのは……キスしたのは――?」と考える自分自身の感情に戸惑ってしまいます。
「まりってばかーわいい♪」と言うあっこの笑顔をみて、またキスしたくなってしまうまり。相手も全然嫌がっていないどころかむしろ嬉しそう♪
ファーストフード店に一緒に行っていたすぎさんも実はあっこから「まりがへんなんだよねー。最近私の事ちゃんと見てくれないし……」と相談を受けていただけだというオチで、それを聞いたすぎさんがまりとあっこが痴話喧嘩しているだけなんじゃないかと答えてあっこが真っ赤になってしまうシーンも良かったです。
友達にキスをしてしまって戸惑うまりの描写は、読んでてごろごろ転がってしまうほど悶えますね。

第9話
友達にキスをしてしまい、しかも未だに顔を見るたびにあっこにキスがしたくなってしまう自分の感情に戸惑うまり。
小さい頃猫にキスをしたことを思い出し、あっことのキスはそういうものだったと思い込もうとしますが、合コンの事など何も知らないまりにいろいろ教えてあげようとあっこも含めた女友達4人で王様ゲームをする中でたまみんにキスをされそうになり、ペットのようで可愛いたまみんを目の前にしながらも、やっぱりあっこの見ている前でキスをすることは出来ないと拒否してしまうまりちゃんはやはりあっこだけに特別な感情を抱いている事を再確認してしまいます。
拒否られたたまみんは傷心をアピールしますが、その場で上半身を脱ぎだしたすぎさんに濃厚にキスをしてもらって嬉しそうです。この2人もできちゃうかも?

しかしこの作品、女子高生がお酒を飲むシーンが多いのがアニメ化にする際のネックだな……とか思ってしまう私は考えすぎですか?(笑)まぁでも、アニメ化すれば大ヒットは間違いないしだけどこの作品の場合私は超原作至上主義になってしまいそうなので、別に本気で望んでいるわけではありません(笑)。

王様ゲームのは一件落着したものの、ドアの外からあっこの初えっちの相手云々の話を聞いてしまって……。

第10話
あっこの初えっちの相手云々の話を壁越しに聞きつけてしまったまり、「なんか…疲れちゃった……」と家に帰ってもその事が頭から離れず、「いつ?どんな人と?まだその人を好きなの?」
と考え込んで泣き出してしまい、その後あっこからの携帯電話にも出ず学校も休んで泣き明かしてしまいます。この辺は痛いですが、現実には結構あることなので共感してしまいます。切ないですね。
「あっこに好きな人がいてもおかしくないし、関係ないのに……何で涙が出るの?何で――胸がこんなに痛いの」
そこへ母親から電話がかかってきた事が伝えられます。相手はもちろんあっこ。家の電話にかけることがあまりないので緊張したことをいきなりおおげさに騒いで伝えてくるあっこに、落ち込んでいたまりも「ぷっ」と笑ってしまいます。
そして自分のことを心配して電話をかけてくれたあっこのことを嬉しく想い、「本当はずっとこの声が聞きたかった。今すぐ――会いたいよ」と気持ちを取り直し翌日あっこに会いに電車のホームに駆けつけます。
再会したあっこの顔をみてまりは「そうか……私……恋してるんだ――」とついに自分の気持に気づくところで第10話は終わっていました。

まりちゃんの視点から物語を見てしまうので、もちろんあっこが男とHしたかどうかとかまりちゃんの気持ちと同化して一緒に気になってしまいますが、でも作品を読んでるとまりちゃんがこうして自分の恋心に気づいていく過程がじっくり描かれていて、思わず引き込まれてしまいますね。

第11話
あっことまりが全裸でうっとり向かい合ってまりの指にあっこがキスをして腕をまりの肩に回している扉絵がすごいですね。
今回は新しい友達の久野に彼氏が出来てはしゃぐ姿を横目でみてうんざりするもう田口に同感なあっこが「あそこまで束縛されたらきっついなー」と言ってるのを聞いて、あっこが初Hをしまったことを聞いただけで頭がいっぱいになってしまうまりには思い当たる節があったのか「まりはさー、好きな人を束縛したいタイプ?」と聞かれてうろたえてしまいます。心の中では自分が束縛される事に、あっこになら平気どころかむしろ嬉しいかも……と真っ赤になってしまい、お風呂に入っていても「あっこのこと考えると胸があったかくなって……会いたくなって……最近はちょっと、苦しい。声を聞くと嬉しくて、目があうとドキドキして……ずっとずっと一日中そばにいたいよ」と自分の気持に葛藤するまりが可愛いです。

学校で出会ったたまみんが学校に持ってきていたのはなんとHな百合同人誌でした。「セーラームーン」と「少女革命ウテナ」を割ったような同人誌ですが、この2つの作品はみるく先生も百合同人誌をやっていた作品ですね。みるく先生の同人誌では「お姉さま」とか言ってなかったし、もちろんこういう雰囲気ではなかったけど(笑)。
それを見て「もしかして……私ってあっこにこーいう事がしたいの?やだでもすごい私動揺してない?どうしよう!!」動揺してしまうまり。その夜はあまり眠れなくて変な夢まで見てしまい寝不足とのことですが、どんな夢を見ていたのか気になる(笑)。あっこののどをゴロゴロしていた夢なのかあるいはやっぱりあの同人誌のように……?(笑)
そんな中電車で声をかけてきた男はまりと面識があるようですが、まりは「誰だっけ?」と全然男の顔も覚えておらず、ラストもそんなことすっかり忘れてあっこの元へ走り出しているところで終わっていました。

第12話
気が付くと頭の中はあっこのことでいっぱいになってしまうまり。学校でもつい見惚れてしまい、友達に「あっこがどうかした?」と聞かれて「かわいいなー」とぽろりと本音が出てしまいます。慌てて取り繕うとしますが「あのっほっぺがピンクでね、かわいいなって、ふんわりで……ええと……」とさらに余計なことを言ってますます墓穴を掘ってしまいます。しかしそんな言い訳でも友達同士なら相手を可愛く思うことは不思議なことでもなんでもないので、友達にも軽く流されてあっこの綺麗さについて女子同士で話題に花が咲いてしまいます。
「友達で……女の子同士でよかったのかも……」と思うまり。

「まり〜、私が年取ってシワシワになっても、ずーっと一緒に居てくれる?」と言い寄るあっこは冗談まじりで言っているように見えますがまりはドキンとしてしまい「当たり前だよー」と答えてあげます。すっぴんのまりの顔に手をあて、「すべすべ〜。きもちい〜」としげしげと見つめるあっこですが、あっこの手のひらを感じたまりちゃんは真っ赤になってしまいます。

そして問題のカルアミルクの君登場。すぎさんたちはあっこの初Hの相手だと思っていたようですが、実は酒のせいで立たなくて何も出来なかったんですね。酔った女を無理矢理ホテルに連れ込む男は最低ですが、あっこの方も気が付いたらホテルにいただけで「全くその気はなかった」そうです。
お互い良い思い出ではなかったのでこのことは周りには言わないでいようと確認するあっこと男ですが、その姿を遠目から見ていたまりちゃんは考えないようにしていた自分の感情に気づいてしまい……。

第13話
あっこが元カレと一緒いるところをみて息が苦しくなってしまうまり。その男から離れてよ、と胸の中で願うものの口には出せません。
さらにあっこが男としたことを想像して、自分も触って欲しいと思ってまた苦しくなってしまい、こんな苦しい想いをするくらいなら……と思い詰め、顔も覚えてなかった声をかけてきた男に告白されそれを受け入れてしまう展開になるのですが……。
切ない展開ですね。あっこにお尻を触ってもらって嬉しそうなまりは良いんですが。

第14話
あっこがいずれ男の元へ行ってしまうのでは……という不安から顔も覚えていない男と付き合うことを了承してしまったまり。話しかけてきた彼氏をまりは全く覚えてませんでしたが、以前まりが女友達との付き合いで一緒にバレンタインチョコを渡した相手だったんですね。こういうのは男子だとありえないけど女子だと結構ありえそうな話なんでこの辺もみるく先生はうまいですね(笑)。
そのことをあっこも知りますが、一瞬驚くもののすぐに「おめでとー!」と明るく祝福してくれる事に対してまりは「ありがとう……」と答えながらもさらに落ち込んでしまいます。
正直私、この話を読むまではあっこは、まりに恋心を抱いていることを最初からはっきり自覚していて、あっこがまりに接触してきたのも天然を装っての計画的確信犯的行動……という風にも解釈が出来るように話が展開されているのかと思って、実際にここまで2通りの読み方で読み進めていたんですが、この第14話であっこが確信犯ではなく、やはり天然であることがはっきりしましたね。まぁしかし無自覚であるにしても、あっこのまりに対する気持ちが友情以上のものであることは、やはり間違いないと私は思っていますけど。

男に会うのだからと以前約束していたメークの仕方を教わる事になり、あっこの部屋に招かれたまりは、すぐ近くでメイクしてくれるあっこの顔にドキドキしてしまいます。
しかしまりの様子がやっぱりおかしい事に気づいたあっこ。「ほんとにその彼氏のこと好きなの?」同情してるだけなんじゃないかとまりに気遣いますが、「同情でも嬉しいよ!私の恋は絶対叶いっこないもん!」と強く言うまりに「好きな人いたの?大丈夫!!まりの恋はちゃんと叶うって!!私が男だったら絶対まりに恋してたと思う!なーんて……」と無邪気に笑われ、「あっこって残酷だよね……」とまりが今度は目が覚めている状態のあっこを押し倒して唇にキスをしてしまいます。
その場を逃げ出してしまったまりですが、さすがにまりの本当の気持ちに気づいて真っ赤になってしまうあっこは……。

以下本編は3巻に続きます。

巻末にはコミケなどで販売されていたらしい「コミックハイ」の同人誌からのおまけエピソードが3本載っています。(故に1巻より若干ページ数が多い)
一本目はまりとあっこがたまみんにさそわれるがままコミケで「うる星やつら」のコスプレして、ラムちゃん役のあっこが、諸星あたる役のまりの腕に必殺の虎縞模様ビキニの豊満な胸をムニッと押し付け、「ダーリン愛してるっちゃ」と決めセリフとともにほっぺにキスをして、まりが真っ赤になって照れてしまうお話。「うる☆」といえば本放送時は私が「エスカレーション」以前……つまり私が百合に目覚める前に(主に)放送されていたため全然そういう観方をしてなかったんですが、再放送時ではバリバリ百合視点で作品を見るようになってしまっていて、振り返ってみると「エスカレーション」以前と以後で全然自分の作品の観方が変わってしまっていることに自分でもちょっと驚いた作品だったのでした。ちなみに私が好きだったのはラム×ランちゃんのカップリングです。今回たまみんがコスプレしてるのがランちゃんですね。あっことたまみんで百合妄想してしまいそうです(笑)。

二本目はすぎさんが男を振り回してるお話。
三本目はたまみんがWEBでなるちゃん先生が陵辱されてる18禁漫画を描いたりしてなるちゃん先生がいじめられているお話でした。

一本目は「百合のコミックハイ」、二本目は「Sのコミックハイ」、三本目は「Mのコミックハイ」に載っていたそうですね。「S」と「M」のほうはネタに困ったらしく「この先のハイの同人誌は全部『百合』にしてくれないかなー」と提案するみるく先生、素晴らしい提案です!(笑)
しかしそういえば最近のみるく先生の百合作品はSとかMとかあんましないですね。昔はこんな話とかもちょっと描いていたんですが(笑)。
レイ×亜美同人誌時代はレイちゃんがS、亜美ちゃんがM、とわりと決まっていたような気がするし、「メア」なんかでもメアがSで月子がM、「時が許す夢の罪」では後輩ちゃんがS……といった具合に、今よりはわりとはっきりしていたような気もします。寝込みを襲ったり押し倒したりしてキスをしているのは実はまりのほうからなんですがもちろんまりがSという風には見えませんし、もちろん性愛描写を含むかどうかが大きいと思いますが、みるく先生の作風も微妙に変わってきている部分も感じられて、この辺を考証してみるのも面白いですね。


こちらは「コミックハイ!」で表紙になった時のイラスト。
カーテンに隠れてナイショ話してたりしてる女生徒2人のシチュエーションも素晴らしい絵です(笑)。

■サイトの拍手のほうで「3巻はあと5回」などと仰ってるので、みるく先生は少なくとも4巻以降までは描く気がありそうですね。「コミックハイ」の同人誌は3巻には2本収録される予定だそうです。
またこれも拍手情報ですが(もう流れちゃったかな?)、瞳×奈々シリーズは来年創刊されるらしい新雑誌で描く予定ということでこちらも超楽しみです♪


1巻の紹介はこちら


そういや1巻分の時も私が読んでたのは雑誌掲載分の切り抜きがメインだったはずなんですが、所持している単行本1巻を今見てみたらいつの間にやらすでにぼろぼろに……自分でも気がつかなかったんですが、単行本もいつの間にか擦り切れるほど読んでいたようです。雑誌で散々読み返した後だってのにね(笑)。
発売から1年経っているとはいえ、他の単行本でこんななってる本はないですよ。まるで10年くらい読み込んだようです(笑)。1巻ももう1冊買い直そうかなぁ。

その他現在新品で手に入るみるく先生の作品は……

あまいくちびる


……この1冊だけか。みるく先生の作品は絶版になるのが早いですね。印税なんか全然入ってきてないんじゃないかと心配してしまいますが。

さて、気になるところで終わった第2巻ですが、3巻ではいよいよこれまで描かれてこなかった、あっこ視点からの物語展開が描かれます。この話がまたすごいんだわ。単行本派の人はかなり先の話だと思いますがお楽しみに〜。
2巻冒頭では「ともだちに、キスしてしまいました」というまりのモノローグから始まって、3巻冒頭では「ともだちに、キスされてしまった」というあっこのモノローグで始まるんですよね。さらに2巻冒頭であっこがすぎさんに相談を求めるシーンは3巻冒頭でも同じように繰り返されていたりして、この辺の対比もうまいです。
あとがきでも「人生で初めての2巻!」と仰られていましたが、私も当然ながらみるく先生の単行本の2巻目を見るのは初めてです。で、思ったんですが……みるく先生は長編の構成力もすごいある!!ファンになって10数年にしてこれは初めての発見でした!

例えばこのサイトを見ている人で、吉屋信子先生の作品をリアルタイムで読んでいた、という人はまずいないでしょう。ギリシャの詩人サッフォーの作品をリアルタイムで読んでいたという人もいないでしょう。あるいは100年後にすごい百合作品を描く人が現れるかもしれませんが、私たちは多分それを読むことは出来ないでしょう。
しかし私たちは森永みるく先生の作品はリアルタイムで楽しむ事が出来るんです!これは、幸せなことだと思いますよ〜。ひょっとしたら100年後の人たちも羨ましがっているかもしれません(笑)。みるく先生と同じ時代に生きている事の喜びを噛みしめながら幸せに浸って2巻も読んでください(笑)。