つぼみ VOL.2

百合度★★★★★

百合アンソロジー「つぼみ」、待望の第2巻がいよいよ発売されました。表紙を見ても分かるとおり、今回は玄鉄絢先生も参戦ということでますます豪華なVOL.2です。
事実上百合雑誌も毎月読めるようになったことだし、読んでも読んでもまだ未読の百合物件が残っているというこの幸せ(笑)。

今回の帯の文句は「少女ねぇ、おねえさんおねがい初恋……?こっちをむいて。」ということで今回も強引なルビが冴えてますね。私も負けじとタグでルビ振ってみましたが(笑)。

・表紙(玄鉄絢)
表紙の少女2人は、裏表紙で鳥居の影に隠れてこっそりキスしているんですよね。左の少女が右手にちゃんと自分の傘持ってるのもポイント高いですね。2本あっても百合少女の前では1本しか必要ないんです(笑)。カバー下には玄鉄絢先生のイラストも含めて他の作家さんたちのラフイラストもたくさん載っています。

・イラスト(ナヲコ)
空のよく見える柵の上に乗って手を繋いでいる少女2人が危うげですが、裏のもう一枚のイラストを見ると2人は空が飛べるようで、案外身軽なようです。

・「しまいずむ」(吉富昭仁)
よく見ると扉絵の新聞紙に映っているお姉ちゃん2人が容疑者の写真みたいに写っていて面白い。そんな2人は本編でもお互いの妹のぱんつの柄を情報交換して萌えていたりしてやっぱり……なのでした(笑)。大恐慌を潤してあげるというお姉ちゃんは経済のことはまるで考えておらず、潤したいのは妹の新聞紙で覆われた部分の中身のことばかりなんですね。

・「コブリアワセ」(宇河弘樹)
これはネタバレすると面白くないんで詳細を書くのはやめましょうか。しかし構成も作画も上手かったです。

・「∞遠点」(関谷あさみ)
出来の良い姉と比較されるのが嫌だった妹だが、出戻ってきた姉と一緒の布団で寝て話をしているうちに、自分が本当は姉を大好きで、誰にも渡したくないと思っている事に気付き、ほっぺにキスしてしまうお話。その後2人だけで遊びに出かけたり、仲良くなった2人が良いですね。

・「エビスさんとホテイさん」(きづきあきら+サトウナンキ)
相変わらずあの手この手でエビマヨを落そうとするホテイさんですが、一枚上手なエビマヨの前ではただのツンデレ娘になってしまっていて面白いですね。しかしエビマヨが大切に育てているハナちゃんに気に入られ、家に行く約束をこぎつけたり昼食を誘って一緒に食べるようになって2人の距離も縮まったようです。しかし出くわしたお姉ちゃんらしき人に今度はエビマヨが真っ赤になってしまい……。子供を預かるという大変な仕事を引き受けてしまった辺り、エビマヨはお姉ちゃんには一筋縄ではない想いも抱いているのではと想像するのですが、どうなるんでしょうね。

・「愛の研究」(小川ひだり)
愛する先輩のために、男に変わるという怪しい薬を飲む人体実験に協力するミカ。ミカの目には優しい姿に映る先輩ですが、ちゃんと「ミカ」と名乗ってるのに「モルちゃん」などと呼んで何気にひどい人ですね(笑)。
毎日のど仏や胸、さらには股間も触って確認された挙句結局男にはならなかったミカですが、先輩に欲情して押し倒して……ってこれは薬は関係ないような気もする(笑)。
実験は失敗に終わりますが、とりあえず約束どおり責任を取ってもらって付き合うことになったようでめでたしめでたし?

・「胸の炎」(宮内由香)
いつも気軽に部屋に泊まりに来る友人瞳のことを愛子は本当は好きでたまらないお話。こちらのイラストはやはり今回のお話のヒロインでしたね。優しい友人の振りをしつつも瞳が男とくっつくんじゃないかと絶望的な気持ちになってしまう愛子が切ないですね。結局男とは結ばれなかったものの、やはり愛子が自分の気持ちを伝えることが出来るのはもう少し先のことのようです。

・「ツンペロ」(裏次郎)
普段自分の気持ちを伝えられないものの沢口さんに恋心を抱いていたクラス委員のりんが、死んだ飼い犬に乗り移られたことから思う存分沢口さんといちゃつくお話。首輪をつけたまま散歩に外出するのは結構勇気ありますね(笑)。

・「ピンク色」(大朋めがね)
前回の「ついでの話」で恋愛相談をしていた緒方さんを含めての女子同士の三角関係のお話でした。
前回ヒロインだった先生もちらっと出てきますが、ルームメイトの看病をするからと病気の女生徒を残してさっさと帰ってしまい、生徒に対しては相変わらずてきとうですがルームメイトのまゆとは熱々なようです。3人の少女はそれぞれ一方通行の想いを抱いています。異性愛だけの関係だとこういう現象はありえないんですが、同性愛を含む関係だとこういう風にぐるっと回って一周してしまう関係もあるんですよね。咲かない花もあるというヒロインの新村さん。なにせアンソロジーのタイトルが「つぼみ」ですからね。それに合わせた上手いお話とも言えるでしょうが、本当にこのまま咲かないのかどうか、3人の今後の関係がやっぱり気になります。

・「つばきごと」(天乃タカ)
着物姿の立ち振る舞いや花の描写など、女性的な絵柄が非常に丁寧で綺麗ですね。
ストーリーが前回VOL.1の久遠あき先生のと少しダブってしまったのは割り食ってると思いますが、この辺は2年目のジンクスの難しさかもしれません。いろいろなパターンの話が出揃ってくるとオリジナリティのある話を作るのがだんだん難しくなってくるんですよね。

・「オオカミの憂鬱」(水谷フーカ)
女の子を簡単に一目惚れさせてしまうという能力を持った女の子好きなデパガが、靡かないゴスロリ少女に振り回されて自分が逆に一目惚れしてしまったことに気付くお話。

・「Gift」(吉田美紀子)
何も持っていなくとも互いに何かを贈りたい薔薇少女と鳥少女のお話。

・「Scent of Sweet」(吉田美紀子)
Fカップ娘とAカップ娘が、互いに胸の大きさのことで悩みつつも、胸を触りあったりして結局親しげなお話。

・「オチョー夫人」(吉田美紀子)
タオルを渡すことも出来ないヒロミが、せめてもとオチョー夫人のスコートの匂いを嗅ごうとバッグの中を漁っているお話。
今回掲載された吉田美紀子先生の作品は、1本目がメルヘンファンタジー、2本目がわりと大人の女性同士の関係、3本目が少女漫画のやけくそパロディということで、3つとも作風が全然違うのが面白い(笑)。
この人の作風はパッと見、百合を描く作家の中では珍しい女性キャラを描く……というかぶっちゃけ少女単品を見ただけでは百合属性があるとは判別出来ないタイプの女の子を描いていると思うんですが、しかし作品は確かに百合でしかも好きで描いてる感じがひしひしと伝わってくるし、その辺のアンバランスさが個人的にすごいツボですね。

・「ひみつのレシピ」(森永みるく)
後輩の若槻にキスされたりそれ以上のエロエロなことをされたりと散々な堀川さんですが、ある日若槻が自分で作ったお菓子を持ってやってきて少しは可愛いところも……と思いきや、やっぱりオチが、というお話。
最後「1回でいいからお試しで〜!!ねっぶっちょ〜」とせがんでる内容はなんなんでしょうね(笑)。みるく先生の作品は百合好きには切ない系のお話が人気がありますが、こういう明るい作品も私は好きです。森永みるく先生のちょっと悲しげな切ない話と馬鹿みたいに明るい作品は、私の中では裏と表のようなものでワンセットですね。

・「星川銀座四丁目」(玄鉄絢)
家庭環境に問題を抱えている女生徒乙女を自分の家に引き取った湊先生。家に帰ってくるなり乙女を抱きしめたまま離せなくなってしまったり、自分と同じ苗字にしようなどと将来のことを語ったりとラブラブな時間を過ごすのですが、実は先生のほうも学校に行ってないことをある日知ってしまいます。学校へ行けない先生が乙女と会えない学校へ行くのが嫌だと言う先生もズレてますが、それを責める乙女の言葉も「どうして学校へ行かないの!?」ではなく「どうしてあたしと一緒にいてくれないの!?」ということで2人ともズレてるのが面白いです。結局先生のことを放っておけなくなった乙女も学校へいくことになって結果オーライ?
豆テストは当然「ア・イ・シ・テ・ル」と言わせたかったんでしょうね。
しかしテストの答案の学年を見るどうやら乙女は小学生のようで、結構危ない年の差です(笑)。
玄鉄絢先生の作品が1話でこんなに綺麗にまとまっているのは珍しいのではないでしょうか?単品でもエロなしでも素晴らしいと思える作品でしたね。

・「しまいずむ」(吉富昭仁)
相手の妹の脚を見て欲情してしまった芳子、代わりに姉の遥に脚をすりすりさせてほしいとお願いします。代わりに芳子が妹にさせてもらったら大変だと自分の脚を差し出すことになり、お互いの自分の妹の真似をしていたらすっかりそのプレイにハマってしまい、本気になってキスをしようとしてしまいそうになるお姉ちゃん達が良いですね。

こっそりつぼみアンケート、切り取るのも嫌だけどコンビニ等までコピー取りにこの本持っていくのも恥かしいです(笑)。スキャナとプリンタ持っていれば良いんですけどね……。だから「こっそり」なのか(笑)。はがきに文面書き写して送ればいいんだと思いますけどね。アンケートの項目、「百合は好き?」は多分ジョークだと思いますが、あるいは本格的に百合専門誌を刊行するのが初めてな芳文社が、本気で探りを入れているのかも……いやあやっぱりジョークですよね(笑)。マジレスして自分の百合への熱い思いのたけを思い切りぶつけてみるのも面白いかもしれません(笑)。

今回も森永みるく先生、吉田美紀子先生、きづきあきら先生の作品など面白かったですし、新たに参加した玄鉄絢先生、関谷あさみ先生の作品など良い作品がたくさんありましたね。今回も充実していました。ただ2年目のジンクスというのもありますし、努力は努力。進歩は進歩。いつでもいつでも綱渡り。最初は目新しさで満足していた読者のハードルもだんだん高くなっていくことも考えられますし(制作者に甘えてばかりいるのもどうかと思いますが…)、大変だとは思いますがこれからも頑張って欲しいですね。

今回は露骨に女子同士絡んでいる作品がやや少なかったですが、物足りないという人はもうすぐリリースされる百合姫コミックス、極上ドロップス2巻」や、「愛しをとめ〜君がこころは〜」を買うと良いでしょう。こちらは女子向け風ではありますがちゃんとH描写も含む百合作品になっていると思います。男性向けで露骨にエロエロで百合百合なのはあまり見かけないのでそっち系の雑誌アンケートなどで請願しましょう。
私は今回のVOL.2のほのかなスキンシップも良かったです。関谷あさみ先生の作品とか吉田美紀子先生の作品とか大朋めがね先生の作品とか、こういう雰囲気は好きですね。一度パッと読んで理屈で考えただだけだとイマイチピンと来ないかもしれませんが、何度か読んでるとじわじわきます。

以下予告から次回VOL.3の作家ラインナップ。

秋★枝
井ノ本リカ子
宇河弘樹
大石まさる
大朋めがね
きづきあきら+サトウナンキ
久遠あき
玄鉄絢
ナヲコ
堀井貴介
宮内由香
森永みるく
吉富昭仁

カバーイラスト 宇河弘樹

というわけで秋★枝先生、井ノ本リカ子先生、大石まさる先生、堀井貴介が初参加、久遠あき先生が復帰ということになりそうです。
井ノ本リカ子先生がいてBENNY'S先生がいないのは珍しいかも(笑)。ちなみに2人ともレズスペシャルというH百合アンソロジーで良い作品を描かれていたんですよね。
ちなみに休刊する「コミックエール」に載っていた秋★枝先生の「純真ミラクル100%」は「まんがタイムきららフォワード」に移籍することがすでに決まっているので別タイトルでしょう(スピンオフあるいは番外編ということも無きにしも非ずですが)。こっちに来て作品も百合方向にシフトしないかちょっと期待してたんですけどね。まあでも別タイトルでも秋★枝先生の百合漫画が読めるのは嬉しいですよ。
大石まさる先生は「水惑星年代記」などでちょいちょい百合っぽいのを描いていました。
堀井貴介先生は存じ上げなかったんですが今調べたら百合姫でデビューした竹宮ジン先生と一緒に「マリア様がみてる」などの同人活動やサイト運営をされている方のようですね。

上であがってるのが13人で今月漫画が掲載された作家の数も13人ということで、予定通りならこのままでしょうかね。これから誰か作家さんが追加されるとなると誰か弾かれなければいけないっぽいですが前回の予告がほぼ完璧に予定通りだったので、とりあえずVOL.3の作家陣はほぼ決定済みと言って良いでしょうね。アンケートには作品を読みたい作家さんを書く欄があるんで来て欲しい作家さんをいろいろ書きたいところですがこの辺が反映されるのはVOL.4以降ということになるでしょう。


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