つぼみ VOL.3

百合度★★★★★

芳文社の百合アンソロジー、「つぼみ」の3号は8月11日発売。いよいよ発売されました♪

前回Vol.2はラストで完全に結ばれたり、キスまでもいかないお話がやや多かったたので、ちょっと物足りないという意見も聞かれましたが、その辺の影響はやっぱりちょっとあったように感じますね。キスシーンやそれ以上の行為をしていることも匂わせる作品や、ラストで結ばれるラブラブな話も気持ち増えました。
しかし直接的な行為が増えたからと言って精神的な面が弱くなったかというとそんなことは全くなく、今回も女子同士の密やかだったり大胆だったりする関係描写は素晴らしく、今回の本も本当に良かったです!

・「ひみつのレシピ」(森永みるく)
やっぱり若槻さんの本命は部長だったのでした♪せめて最後にキスをさせて貰ったらそれで満足して部活をやめようと、結構切ないことを考えていたんですね。しかし必死で部長が引き止めるのでつい、「もうちょっといけるかナーと」考えて今に至るわけです。
「自分以外の女の子を可愛いと思うなんて!!そんなの女として負けじゃん!?」と、元々そういう気がなかった女の子の、プライドがある故の葛藤もあるのがリアルです。
部長はそんな思惑も露知らず、若槻が何気なく言った「適量」の意味を必死で辞書で調べていて健気ですね。若槻もますます惚れてしまいます♪「それって本当に恋愛感情なのかな?友情じゃなくて?」と聞く部長の言葉で自分の感情に気付いた若槻は、「私、部長に発情してるみたいです!!」と……これは果たして告白なんでしょうか(笑)。料理部だけどしまいには料理だけじゃなくて部長まで食べてしまいそうな勢いの若槻が面白いです。

後輩の若槻さんにキスされたりそれ以上のこともされそうになったりと災難に感じる部長の堀川さんですが、卒業した女の先輩たちとは良い雰囲気で楽しくやっていた思い出があって、女同士でも先輩と後輩の関係に憧れていたようなので、若槻ちゃんが優しく迫ったら案外簡単に落ちるかもしれませんね(笑)。

なんとなくですけど、今回のお話は、特にみるく先生のファンというわけではない百合好きの人にもじわじわ来るような展開だったんじゃないでしょうか?個人的にも大満足の展開でした♪みるく先生はいろいろ百合作品描いても、毎回女子同士の関係性が絶妙ですね。
来月には「GIRL FRIENDS」3巻も出るし、今月22日の「コミックハイ!」では「GIRL FRIENDS」の連載も再開されるし、みるく先生の作品、しかも百合作品がたくさん読めて幸せな時代になりましたね(笑)。

・「星川銀座四丁目」玄鉄絢
前回Vol.2の先生&生徒が同棲をしているお話の続きです。
お風呂上りに急に裸で目の前に現れたり、パンツ一枚で膝を割って身体の上に乗ってきたり、食べてるアイスを横から取って食べたり、一緒にお風呂に入ってきたり、無防備にくっついてくる乙女はまだ小学6年生ということで、意図的というよりは無意識の行動なんでしょうが、乙女との甘いロマンスを夢見ている先生はドキドキしっぱなしの生活ですね。相手が無意識なのに、自分は意識しまくりというところがリアルで怖いなぁ(笑)。
後半、お金に困ってるんじゃないかと心配してする乙女の行動は、私も心当たりがありすぎて怖い。熱中症で倒れた乙女を介抱してあげる先生は良い感じですね。

・「エビスさんとホテイさん」きづきあきら+サトウナンキ
ホテイさんが好意を寄せるエビマヨが、お姉ちゃんと呼ぶ人物と出会った途端真っ赤になって、急に弱弱しい意外な表情を見せ今後どうなる……という展開の続き。
好きなものは他に一杯あるのに、なぜか「キライ」なエビマヨが一番気になってしまうホテイさんが面白いですね。エビ姉はエビマヨの家にも出現し、食べ散らかし飲み散らかし、ハナちゃんのためにやってきたホテイさんもボロボロになってしまいます。
さらにホテイさんの気持ちに気付き「女同士ですよ!ちがいます」と否定するホテイさんに「なに言ってんの?あるでしょ別に」と女性同士でも恋愛感情が普通にあることを示すためか、なんとホテイさんにキスをしてしまいます。
女同士でもキスをするのが普通なエビ姉は、エビマヨやハナにも同じようにしてきたらしい。エビマヨがエビ姉の前では変に意識しているのは、その辺の過去も関係しているのかもしれません。
恋愛感情があるからこそ、好きな人以外にはキスされたくないというホテイさんの気持ちが分からないところにエビ姉の無茶苦茶なところが現れていますね(笑)。そんなホテイさんのほっぺにキスをしてあげるエビマヨは、多分自分が好きなホテイさんに気遣って慰める気持ちもあったのだと思うのですが、「意味なんてありません」と言ったことを後でホテイさんが悪く解釈して落ち込まなければ良いのですが……。

・「しまいずむ」吉富昭仁
相手の妹の生着替えを見たがるお姉ちゃんたちが相変わらず邪ですが、妹たちは素麺を両端から食べあい、麺がつながっていたら「当たり」だと、女子同士普通にキスをしていて、お姉ちゃんたちの目は再び<●><●>になってしまいます(笑)。お姉ちゃんたちは早速意中の子とやってみるものの縁がないのか全部失敗。最後に何気なく取った麺を食べたらお姉ちゃん同士で一発で当たってしまい、さあキスするか……となるものの「なんつーか、芳子とすんのは照れくさい」と止めてしまうのが妙に生々しくて面白い(笑)。
同い年の幼馴染みや、自分の妹相手だと近すぎて照れくさいことはありますよね。

後編では肝試しで意中の妹を自分に抱きつかせようとするもののことごとく失敗するお姉ちゃん達。思い返してみると、2人とも初めて会って恋をしたと思っていたお互いの妹たちの姿はお互いの姿だったことに気付き、頭が混乱してきますが、ともあれ妹たちにほっぺに「ちゅー」してもらったお姉ちゃん達は大喜びで、とりあえず幸せな気分になったようです(笑)。

・「プライベートレッスン」ナヲコ
従姉妹で、最初は怖がっていた鳥子を、ピアノでアニソンを連弾してからすっかり仲良くなったたまこはその後大きくなって、ピアノを教わるという名目で半裸でリラックスして鳥子の家に居座っていたりして、すっかり鳥子に夢中になってしまった様子が微笑ましいですね。
やっぱりサイトの方に映っている少女は今回のお話のヒロインのひとりでした。
女子同士連弾をして恋心が芽生えてしまうというお話は「からだのきもち」でもありましたし、「voiceful」も音楽を通して気持ちが伝わるお話でしたし、音楽を題材にして女子同士が通じ合う、ナヲコ先生らしいお話でしたね。

・「ふへんの日々」秋★枝
物心付いた時からずっと好きだったものの、相手は全然気持ちに気付いてくれなくて振り回されてつつも、離れられない、好きにならずにはいられないヒロインが良いですね。社会人になってからもいつも一緒にいられるというのは理想ですね。羨ましい。
作者さんのサイトに数ページサンプルも来ていますね。秋★枝先生は「純真ミラクル100%」の百合描写も面白かったんですが、やっぱりこの人の描く、愛憎入り混じる女子同士の愛は良いなあ〜。
作者さんコメントによると「前々から参加したいと密かに想いを寄せていたので、お話を頂けて嬉しかったです」とのこと。同人でも結構百合作品を描いているようですし、やっぱりこの人は百合を描きたかったんですね〜。

・「恋路」大朋めがね
今回のお話は、性格が対照的な2人のお話ですね。
かな子は、振られた先輩と一緒に部活もやめてしまう新村さんが「女の人を好きになるなんてやっぱり変だもの」と心細い心境を語っているのを見て気にしてしまったり、恋人のちなを想いながらひとりHをしてますますうしろめたくなってしまったりする内気な女の子。
一方かな子が付き合っている相手ちなは、友達になる前にかな子にキスをしてしまったり、女子同士でHをするのは自分もはじめてなのに物怖じする様子もなくリードしてあげたり、新村さんがいる前で2人でHする話をしたり、弟が階下で寝ているのにHをしようとしたりして、あっけらかんとした性格です。
かな子は不安で一杯なため、本人が女性同士付き合っているもなよ先生の言う「女の子同士の恋愛って特にアブノーマルでしょ?そういうのってロマンチックだわ」という言葉すら他人事のようでいいかげんに感じてしまいますが、ちなはやっぱりかな子のことを想っていて、恥かしいかな子の日記を見たのも、かな子が心配でたくさん知りたかったんですね。
「私といるのはつらい?」と気遣ってあげ、「好きな子と顔あわせれば、キスしたいって思うのはすごく普通でしょ?」と諭して、怪我をした足が痛くない体位でHをしてあげるちなの優しさを感じたかな子は、安心したのでしょう。最初は人事のようで無責任だと感じた先生の「ロマンチックだわ」という言葉も自分で思える程、心に余裕が出来るハッピーエンドが良いですね。

この人の作品は、雰囲気が好きなんですよね〜。言葉で説明しろと言われると難しいですが、どのキャラのどのシーンも好きで、読み返しては堪能してしまいます。
新村さん、緒方さん、保健医のもなよ先生もやっぱり登場していましたね。

・「野ばら物語」(星逢ひろ)
小学生同士の初々しい恋のお話ですね。
作中劇の「あなたの美しい姿を見れてよかった……他の者はあなたのことを、僕ほどには見ていないのでしょう。僕はずっとあなただけを見ていました……」という台詞通り、部長は誰よりも空知のことをよく見ていたので、一見ボーイッシュな空知にお姫様の役が似合うことを知っていたんでしょう。最後まで愛を告げあうことのない2人は、これも作中劇通りですが、空知に向けるすべての言葉に愛を込めていた部長の気持ちは空知には伝わっていたのでしょう。中学になっても2人は変わらず愛し合っていそうです。

Vol.1に登場していた夜羽とさくらもちらっと登場していましたね。
TL作品は短いページの中に花や風景などと絡めた心理描写も上手く取り入れていて私は好きな作家さんです。それとこの作家さんといえばなんと言っても「百合天国」収録の「火星輝く」ですね。この作品を海外の方が好きだという話を耳にしたことがあるんですが、この作品が分かるというのは、ほんとに海外の人も百合が好きなんだなぁということが、今までのように頭で理解するというよりは実感として感じられて、百合好きの趣味に国境はないんだなぁと改めて理解した覚えがあります。
遠くて今は存在するかどうかも分からないような星でも、光を放てばいつか届くこともあるんですよ。

・「アンバランス」(きぎたつみ)
Vol.1の「ランナーズハイ」で登場していた部長さんのお話ですね。前回のヒロインニシオもちらっと登場しています。
部長に菓子パンばかり渡しておにぎりを隠していたりするサトは、怒られるためにわざと挑発していますね(笑)。おっぱいをバインバイン叩かれるて「アン、そんなに責めない……で!」と嬉しそう。頼まれて女装(?)をしてあげる部長もなんだかんだ言ってサトの言う事には逆らえないようです。
髪を長くすると意外に女っぽかった部長。お堅い響がそっちの姿の方に悩殺されて腰が抜けてしまうのが面白いですね。

・「ともだち」(小川ひだり)
内気で友達を作る勇気がなかったすみ子ですが「殺人的にかわいい」と思うあやのという少女に声をかけられて、ドキドキしながら一緒に過ごす日々を送るものの、あやのは独占欲が強く、ちょっと他の女の子がすみ子に声をかけただけで猛烈に怒り出してしまい、以後怖くなって、ついにはあやのを用具室に閉じ込めて逃げてしまいます。
しかし「いつもみんな私から離れて行っちゃうの……おいてかないで」と泣いているあやのを見て、「ごめんね……つらかったね」と謝り話し合ってあやのは他の人とも喋れるようになりました。周りから置いていかれたり独りぼっちになったり、仲良くなった相手の事をホントに可愛いと思ったり、手を繋いだりしてドキドキする2人は、案外似たもの同士だったのかもしれませんね。

・「ままごと」(杉浦次郎)
Vol.2にも参加されていた裏次郎先生です。今回から「杉浦次郎」名義に変わりました。日記にも一部掲載されていますね。
女子同士、大きくなったらハナをお嫁さんにすると誓った天井さんですが、女子同士では赤ちゃんが作れないと保健の授業で聞いて愕然としてしまいます。しかしハナはそれでも全然めげず、保健室で寝込んでいた天井さんに飛び掛り、「私は産むつもりですよ。天井さんの赤ちゃん。もう天井さんのお嫁さんになるって決めたから」とキスをしまくって、赤ちゃんが出来るまで挑戦し続けようとする姿が素敵ですね。

・「シュガー」宮内由香
こちらに出てるのは今回のお話ヒロインでしたね。
笑われたくなくて虫歯のことを黙っていた園子ですが、結局真樹ちゃんとノブちゃんに可愛がられていて、本人は子供っぽいと言われたくないようですが、虫歯のある部分のほっぺにキスされて赤くなったり、最後のモノローグもほんとに子供みたいで可愛いですね。「明日おかえしに2人にうつしてやるんだ」と計画を立てている園子ですが、やはりキスをしてうつすつもりなんでしょうか(笑)。

・「ペダルにのせて」堀井貴介
堀井貴介先生は百合姫でデビューした竹宮ジン先生と一緒に「マリア様がみてる」などの同人活動やサイト運営をされている方のようですね。
酒屋の娘がたこ焼きやの孫娘にデートのお誘いをするお話。熱を出したりして結局目的の場所までは行けませんでしたが、パトカーに追いかけられる自転車でも、お互い苦手な観覧車の中でも、一緒なら楽しいと感じる2人が良いですね。

・「秘密基地」(吉田美紀子)
女の子2人と男の子1人で仲良しだった3人組は、かなんちゃんはエロ少女まんが、ワッキーは万引きしたもの、そして咲は女の子のかなんちゃんのことが好きだという感情を、秘密基地の木の下でそれぞれ秘密として持ち寄っていたのですが、ワッキーが咲に告白し、それを咲が断り、本当に好きな相手がかなんちゃんだということもバレてしまい、それぞれの秘密はなくなり木も公園ごとなくなって秘密基地はなくなってしまって、ワッキーはもう戻ってこない寂しさを感じつつも、咲とかなんちゃんは手を繋いで良い雰囲気で、2人の良い関係だけは残ったのは良かったですね。

・「つぼみがはじまるよ」大石まさる
大石まさる先生は「水惑星年代記」などでちょいちょい百合っぽいのを描いていました。クレジットの上になにか青い文字が出ているような気がしたんですが、やはりこれは「color illust」ということで今回はカラーイラスト&1ページのショート漫画のような短い作品が寄稿されていました。
海の上で暮らしているのでしょうか?夜一緒に手を繋いで星空を見ながら寝ている2人が良いですね。

カバーイラスト 宇河弘樹
ひまわりの中でフルートの練習をしながら、同じ髪留めをつけようとしている少女の図でしょうか。裏表紙も描かれていますが、こちらはよく見ると表紙の女子同士キスをしているようで、裏の方はさらに良い感じですよ。
カバーをめくると、他にも表紙候補だったらしい少女2人の良さげな絵がたくさんありますね。

追記:46さんに表紙について詳しい説明をいただきました。
まず、あのイラストに描かれている楽器ですが、フルートではなくクラリネットです。童謡で「壊れてラの音が出なくなる」楽器です。で、この楽器は口に咥える部品(マウスピース)に、リードという薄い葦で出来た板を付けて、それを振動させることによって音を出します。リードは乾燥したままだと振動させることが出来ないので、奏者が唾液でふやかしてから付けます。

つまり、あのイラストは自分(右の子)のリードを相手(左の子)にふやかして貰おうとしている場面なのです。さらに、右の子のリードを固定する金具が楽譜の上にあるのに対し、左の子の金具は既に装着済みである点も注目。お互いのリードを舐め合いっこした可能性が・・・!裏表紙も、二人の楽器のリードが重なり合っている
のは、キスしていることの暗喩のようです。

このイラスト、すごくよく出来ていて、書店で見た瞬間一人で心の中で悶えてしまいました。私は昔吹奏楽部だったのですが、実際に女子ばかりの学校が多く、楽器(パート)別の練習の際、外で練習もしました。少人数のところだと、「二人きりのクラリネット」もありえるので、こんな場面が本当にあるかも・・・と妄想が人一倍膨らむ訳です(笑)しかもこの二人は練習中ずっと相手がふやかしたリードを舐るわけですから、ますます妄想が止みません。

カバー下のイラストはチアガールもいるので、野球部応援のブラスバンドかもしれませんね。この時期、甲子園観戦の秘かな楽しみでもあります。
なるほど、何かあるような気はしていたんですが、あのイラストはそういう意味だったのですね。補足ありがとうございました〜。

そして次回の執筆陣は以下の通り。

蒼樹うめ
秋★枝
大朋めがね
小川ひだり
きづきあきら+サトウナンキ
久遠あき
玄鉄絢
コダマナオコ
関谷あさみ
ナヲコ
堀井貴介
水谷フーカ
森永みるく
吉富昭仁

カバーイラスト
鳴子ハナハル

次回は芳文社4コマ漫画の顔とも言える蒼樹うめ先生や、「マリア様がみてる」同人などもされていたコダマナオコ先生が参加されるようです。コダマナオコ先生はティーンズラブや「あまだれ!」なども良かったんですが、やはり百合作品を見てみたかったので、個人的にはとても楽しみです。
鳴子ハナハル先生の百合なカラーイラストは映えるでしょうね〜。

芳文社の作家さんもじわじわ増えてきましたね。しかしそれでも、今までそれほど百合度の高い作品を商業誌で描いた作家さんが多いわけではなく、新しい百合ジャンルの地平を切り開いていこうとする編集部の心意気はなんとなく伝わってきます。


VOL.1の紹介はこちら



VOL.2の紹介はこちら


VOL.1、VOL.2ともによく売れているようで、未だにちょくちょく品切れになったりしています。今回はどうなりますことやら。

以下在庫チェッカー