温泉惑星
作 かくばやしつよし 画 睫攷孝
百合度★★★★☆

百合好きにはお馴染み高木信孝先生の描く、温泉宿を経営する4姉弟が毎回ゲストの女性キャラを温泉に迎え入れるお話。毎回女子同士温泉に入るシーンもあり、ゲストも百合キャラが多く、百合的な見所もたくさんあります。

3姉妹に加えて弟がひとりいて、この弟が裏表紙で温泉の反対端にいるのが、かなり離れているところとはいえ女子と同じ温泉につかっているのがちと違和感があるんですが(こんな大きい弟が姉妹と一緒にお風呂に入るのが果たして世間的には普通だろうか……と)、別に弟が恋愛に絡んでくることもなく(ほとんど空気ですね)、それ以外の温泉シーンは全部女子ばかりで、女子同士裸でまったりしているところが楽しめます。

第1話では作曲家の女性と温泉に入りながら、結果的に曲作りの手助けをすることに。
第2話ではまだ父親の愛が恋しい幼いお姫様のわがままを叱りつつ、いい子になったお姫様と最後一緒にお風呂に入り、背中を流してあげることに。
第3話ではヒロインのアクアに想いを寄せる幼馴染み、ニィノという百合キャラが登場。学校時代もクラスメイトの粋を出ておらず、恥かしくて学校を卒業してからメールすらしておらず、誕生日でもないのに薔薇(バスローズ)の花束をを抱えてやってきたニィノは勇気を振り絞ったんですね。そんな幼馴染みをアクアは、親同士ライバルであるにもかかわらず快く花を受け取り、客間ではなく自分の部屋まで招きいれてあげます。
「まさかアクアの部屋に入れるなんてーこうなったら友達の段階を超えて、いよいよ次のステップに」と思ったニィノは、窮地に陥ったアクアを助けてさらに親交を深めようと、営業妨害を企てようとしてしまいますが、姉の返り討ちに合い匂いが染み付いてしまったところ、バスローズを持ったアクアが一緒に温泉に入ってきてくれ、立ち上がったアクアの大事なところもばっちりみてしまったニィノは鼻血を吹くものの幸せそうで、良かった良かった?(笑)
第4話では名物を作るのを手伝ってくれた女性と一緒に温泉に入り、温泉の中で完成したジュースがかかったアクアの身体を女性がペロペロ舐める展開が。
第5話でやってくる女性カメラマンも百合っぽい人で、長女のパールのことを「私の子猫チャン」と呼んで猛烈に希望してパールの一糸まとわぬ美しい姿を激写したり、最後は自ら希望していたヒロインのアクアの全裸の写真も美しく撮ってあげます。
最終話では、宇宙一になるより、ひとりひとりのお客様に満足してもらえる温泉になろうと、決意しつつ最後女子同士一緒に温泉に浸かってまったりするエンドでした。

巻末の描き下ろし漫画では邪な事を考えた百合キャラのニィノが、アクアが自分の元へ泣きついてくるよう、温泉に人が来るのを妨害する凶悪なお話が(笑)。
カバー下の描き下ろしもニィノ。ネコミミを生えさせる薬を使ってアクアをネコミミにして愛でたり、自分でネコミミを生やしてアクアに抱きしめられたりする妖しい妄想を膨らませていました(笑)。

毎回ある温泉シーンは「きらら」にしては描写もぎりぎりで、幼いルミナ姫が温泉に入るシーンとか際どいんですが、基本的に温泉でリラックスした気分になることで話が上手い方向に進んだり、物事を良い方に考えることが出来るようになっており、癒し効果もよく表現されていますね。もちろん何も考えずに女子同士仲良く温泉に浸かってるシーンを鑑賞する楽しみ方もアリでしょう。


「カシオペア・ドルチェ」など高木信孝先生の他の百合作品の紹介はこちらからリンクを辿ってください。