つぼみ VOL.4
公式
百合度★★★★★(5.5)

百合アンソロジー「つぼみ」VOL.4。今年最後の「つぼみ」です!
年末に入って新しい百合アンソロジーが次々と新創刊されることになったため、なんだかこのアンソロジーはすでに中堅的な百合アンソロジーのような気になってしまうんですが、今年創刊されたばかりの、まだ新しい百合アンソロジーなんですよね。創刊されたばかりなのに中堅扱いになって「つぼみ」も大変です(笑)。しかし内容はその重責にもしっかり応えることが出来るような、非常に充実したものになっています。
他にもいろいろ百合アンソロジーは創刊されるので、どれが一番か……などと考えてしまう人も多いだろうし、そういうことも楽しいと言えばまあ楽しいですね。要は全部応援すればいいというだけの話なんですけど(笑)。

「つぼみ」も1周年もまだのアンソロジーですし、安定した軌道に乗ったと考えるのはまだまだ尚早ですね。しっかり応援したいものです。

・カバーイラスト(鳴子ハナハル)
HPのウラにもあるし、雑誌掲載の百合っぽい話もちょくちょくあるんですが、なかなか単行本化されないのが惜しかった人なんですよね。今回が百合アンソロジー初参加です。
図書室で一緒に本を読んでる少女2人。読書の秋ですね(笑)。激しい絡みをしているわけではないんですが、お互いを意識してる視線や、本をなぞる指先など、何気ないところで百合っぽさが醸し出されています。

表紙絵も良いんですが、裏表紙の絵はさらにたまりません!思わず拡大コピーして部屋に貼って堪能したくなるくらい(笑)。可愛くて立体感もある少女2人の絵が素晴らしいです♪
……しかしバーコードのある方の絵がこれだとレジ持ってく時にちょっと躊躇ってしまうかもしれませんね(笑)。

・カラーイラスト蒼樹うめ
初参加。いまや芳文社4コマ漫画の顔とも言える人ですね。
2枚イラストを寄稿されていますが、密着している2人がちょっとヒロ×沙英っぽくてドキッとしてしまいます(笑)。2枚目の絵は今にもその2人が顔を超接近させてキスをしてしまいそうな雰囲気で、これもたまりませんね。作者さんコメントによると
女子高生が好きです。じゃれあう女子高生はもっと好きです。ムダに手をつないでお手洗いとか行っちゃうのも良いですよね、ふふふ、楽しく描かせていただきました♪
コメントも嬉しいですね。

・「星川銀座四丁目」玄鉄絢
第3話。クリスマスイブということで、もじもじしながら意識しまくりな湊先生が面白いですね。学校で「先生の奥さんみたい」と言われた乙女はイブの夜一緒の布団で同衾しながら、じっと見つめあい、キスしそうになります。
このシーン、お互い意識しまくりで時計の音や蛇口の水の音、さらにお互いの息遣いまで聞こえてしまうくらい言葉もなく静かになって、真剣にキスをしようとしてる描写が良すぎです!
相手が小学生ということで自制を聞かせた湊先生ですが、乙女の方はキスをしてもらいたかったんですね。キスしてくれなかった湊先生の気持ちを疑う乙女ですが、しかし先生はキスだけじゃなく「乙女とえっちしたい!」とまでうっかり言ってしまい、今度は乙女の方が真っ赤になって眠れなくなってしまいます。やはり小学生の乙女はそこまでは考えてなかったようで、この辺の無邪気さが危うい(笑)。

・「しまいずむ」吉富昭仁
桜の足を舐めたい(!)けど出来ないからと、代わりに遥の足を口に含んでしまう芳子と、させてしまう遥がすごい(笑)。足をすりすりする話はVol.2でもやったような気がしましたが、あの時はよく見ると結局未遂に終わっていたのでした。今回はほんとにやっています(笑)。
芳子に足を舐められてしまいえっちな声を出してしまう遥。「気持ちいいの?」と聞かれても「やっぱりヘンだよ、友達同士でこんなことするなんて……」と息を切らしながらもなんとか返事をするのですが「でも……遥となら全然平気。ひょっとして私たち……」と肝心なことを言い出そうとしたところで妹達が入ってきて1話目は終わり。
2話目では、今度は胸をモミモミしたくなったという芳子の願望を叶えるため、また遥がさせてあげることに。なんでもさせてあげてますね。またえっちなこえを出す遥に芳子もドキドキしてしまい「キスしてみよっか……」とついに……というところで再び妹が来てやはりお開きに(笑)。
足を舐めても、胸を揉んでも、キスしても抵抗がなさそうなお姉ちゃんたちが結ばれるのは時間の問題のようですね(笑)。

・「無限遠点」関谷あさみ
タイトルが漢字表記になりましたが、VOL.2のお話「∞遠点」の続きです。
今回は妹のクラスメートの、朝長さんという少女がクローズアップされています。ずっと自分達の方を見ていた朝長さんを見て、妹は一緒に話していた子に気があると思ったようですが、実際は妹のことの方が好きなようです。
「同性だと自分と同じモンなだけ嫉妬するんやと思う」と言われ「あっ……たまええぇ〜〜!!」と思ってしまう妹が純真で可愛いですね。
お姉ちゃんはバイト先の男に「彼氏とかおります?」と聞かれ、相手に気があったわけではないもののちょっと気分を良くした部分もあったのも事実で、相手に彼女がいて自分は単に友達の合コンの相手を頼まれただけと知って、うぬぼれてしまった自分に落ち込んでしまいます。
こんな時にだけ妹を心の支えになんて図々しい……と思うものの、バイト先までやってくる純真な妹を見て、お姉ちゃんは心が救われたことでしょうね。

・「わたしのアヒルの子」水谷フーカ
イントロのナレーションで「仮面ライダー」を連想(「本郷猛は改造人間である」とか言うじゃないですか)してしまいましたがそれはさておき(笑)。
暗くてひとりぼっちの女の子千穂を、綺麗で皆から人気がある女の子美加がかまってあげて、それだけではなくて恋心まで実は持っていて、独占欲を捨てなきゃ、と思う美加と、依存から抜け出さなきゃ、と思う千穂とすれ違ったりもするものの、やっぱりお互い好きあっていてやっぱり2人一緒にいるのが一番、と開き直って「千穂は私のもんって言ってんでしょ!」と美加が人前でも叫んでしまうラストが清清しいですね。
私はタイプ的には完全に千穂みたいな人間なんですが、こういう作品を読んでると美加のようなタイプにも感情移入して読めてしまうから不思議です。

・「エビスさんとホテイさん」きづきあきら+サトウナンキ
エビマヨ姉にいきなり唇にキスされてしまったホテイさん。直後にエビマヨにもほっぺにキスをされたものの「ほら、意味なんてありません」と言われホテイさんの心中はいかに……という展開の続きです。
仕事をバリバリこなせるエビマヨと、対照的なダメ姉。私もダメ姉タイプなんで、エビマヨみたいなキャラクターを見てるとコンプレックスで胃が痛いです(笑)。
しかしコンプレックスのなさそうなエビマヨも、最初に出会った時に可愛いからなんでも許されそうなホテイちゃんを見てコンプレックスを抱いている部分もあったんですね。
疲れて目の前で眠り込んでしまったエビマヨの服を脱がせ、服の下の胸に手を入れ、キスをしそうになるホテイちゃん。この辺はドキドキしますね〜。ホテイちゃんの方が立派な胸を持っているのに(笑)、やっぱり好きな人の胸は触りたくてしょうがない衝動があるようです。
あとがきコメントで「女の子と話したかったら服屋に行きます。かわいいお姉さんが一生懸命セールストークをしてくれるのです。ハァハァ」と仰ってますが、それは上手い手ですね(笑)。

・「ふへんの日々」秋★枝
タイトル通り不変な日々が続くのかと思われたけーこと雪子が結ばれる展開が来るとは!
実はお互いに好きあっていたことを打ち明けることが出来、出せなかったラブレターとメールの山や思いを綴ったダイアリーを見せ、自分の雪子に対する気持ちを全部打ち明けるけーこが清清しいですね。そしてそんなけーこを見て黙ったまま隣に寄り添い、いきなり抱きついて涙を流す雪子が感動的です!
……しかし秋★枝先生、次号予告にもいませんし、この作品はこれで終わってしまう可能性があるのが心配。2回しか掲載されてないんじゃ単行本にもなりそうもないですし。それはすごく寂しい。結ばれて嬉しいんだけど!あとがきによると秋★枝先生も2人をまた描く意欲はあるようですし、是非実現してほしいですね。

・「思い出箱」久遠あき
告白する練習を女子同士で付き合ってもらったり、振られた彼氏の代わりに夏休みの間だけ付き合うことになって、結局お互いの事が一番好きな事に気付き、再会した数年後にはちゃんと気持ちを告白して付き合う事に……良いなあ。夢みたいな話で羨ましいですが(笑)、良いお話です。

・「恋人。」大朋めがね
今回はVOL.1から登場していた保健医のもなよ先生と、恋人のまゆのお話。VOL.3で喧嘩して別居してるとかいう話題がちょっと出てましたが、その様子が描かれています。実家に帰ったらお見合い話をセッティングされてしまうまゆ。一方もなよは高校の時付き合っていた先輩と再会しますが、お互い離れて他の相手と接するうちに、やはり運命の相手は1人だということに気付きます。
最初読んだ時志村貴子先生の作風に似てるような気がしたんですが、今見たらどこが似てたんだかわからないくらいですね。そういえば南崎いく先生も最初森永みるく先生の作風に似てるように感じたものでした。最初に作品を見ると、つい誰か他の似ている作家さんと比べてしまうんですが、慣れると独自の作風があることに気付きますね。

・「恋のさんかく」小川ひだり
常に守ってあげていた大大大親友の舞は、幼馴染みで昔ちょっとHな人形ごっこ(?)をしていたというくりすの登場で、親友のエミに対する恋心に気付きます。
エミは2人に言い寄られてきゅんとしてしまっている上、いがみあっているように見える舞とくりすも敵視しているわりに気が合っているようで、3人でラブラブなのかもしれませんね(笑)。

・「ガールズトーク」コダマナオコ
キレイなものとか可愛いものが大好きだから自分もキレイで可愛くありたい、そして自分よりキレイで可愛い女の子が現れたら一応嫉妬はするものの、やっぱりキレイで可愛いものは好きだから相手のことも好きになってしまうという女の子のお話。
少女漫画の中の女の子って外見は可愛く描いていても設定としては普通の女の子ということになっている作品が多いんですが、この作品はヒロインが可愛いことをはっきり描いていて、その設定が物語の中で有効に使われているのは面白いですね。キレイで可愛い女の子2人が求愛している姿は目の保養にもなります。続きも是非読みたいです♪

コダマナオコ先生はこの作品が「つぼみ」初参加ですが、「マリア様がみてる」同人もされていた方ですね。知らない人のために一応どんな作風なのか人なのか絵を貼っておきますと……。

というわけでめっちゃ可愛くてHな女の子絵を描く人です。ティーンズラブや「あまだれ!」なども良かったんですが、やはり百合作品を見てみたかったので、個人的にはめっちゃ嬉しいです!
後書きコメントによると
百合大好きなので、描けて楽しかったです。女の子描くのが楽しくてしょうがない…!
とのことで、このコメントも嬉しいですね。

・「ミチ」(吉田美紀子)
相手ではなく、自分に対する恋心を試すため雪の中行軍する2人。お互い少女であるが故の不思議な行動が面白いですね。

・「シフォン」(吉田美紀子)
母親に疑われつつも結衣の家にお泊りしに行く紗英はもちろん、風邪を引いても無理にドレスを着て待っている結衣もやっぱりお互いのことを好きなんでしょうね。
相手のことを好きな男がいると話だし、「このままだと誰も幸せじゃない気がする」と言ってしまう結衣に、言われた紗英は寂しくて泣きながらケーキを独り占めしてしまいますが、結衣は女性同士で付き合っていることで紗英が幸せになれないんじゃないかと心配したのかもしれませんね。

・「ガールズライド」(磯本つよし)
サイトにもサンプルが。転校してきたばかりの野辺山さんですが、さっそくツーリング相手の女子を見つけたようですね。ツーリングの間に2人の仲もさらに深まることでしょう。

・「私の嫌いなあなた」(かずといずみ)
100人に聞いたら100人がこの人を「好き」と答えそうな二階堂さんが嫌いだとい久間さんは、自分ひとりのものにしたいのに出来ないのがもどかしいんでしょうね。
相手のことが気になって仕方がないため、ストッキングを履き替えているのにも見入ってしまい、気になって気になって、目で追わずにはいられない程執着してしまっています。
サイトを拝見したところ、これは同人誌で発表したという作品を手直しをして寄稿されたようですね。
かずといずみ先生は百合好きにはおなじみですね。うちのサイトでも何作か取り上げさせていただきました。
「小さな惑星の小さなお話」の紹介はこちら
「貧乏姉妹物語」の紹介はこちら

・「ひみつのレシピ」森永みるく
言わずと知れた百合女神が今回も降臨。実は切ない思いを胸に秘めていた若槻、しかし口をついて出てきた言葉は「私、部長に発情してるみたいです!!」ということでこれは果たして告白になったのか……という展開の続きですが、部長も若槻自身も気がつかず、やっぱり告白にはならなかったようですね。
部室で2人きりになったからと、いきなりちゅうううっとディープに部長にキスをして服を脱がせてそれ以上のことをしようとする若槻と、おたまで殴って諌める部長が面白すぎです(笑)。
部長が先輩との別れの時に涙を流している写メを見て嫉妬した若槻は、自分もと自作の怪しげなケーキを作るのですがそれを部長の教室の机の上にいきなり乗せていて、まるでイジメのようですね。若槻自身は愛を込めて作った自作ケーキに自信満々で「部長、私に私に夢中になっちゃうカモ☆きゃーうふうふ」などと妄想しているようですが(笑)。
森永みるく先生は切ない百合も良いですが、明るい百合もやっぱり面白いですね〜。

今年の書籍関連の百合ニュースは「つぼみ」一色か……と思いきや年末にかけて新たな百合アンソロジーが続々と発刊されるようで、混戦模様になってしまいましたが、森永みるく先生の作品が読める百合専門誌はこれだけ!
……ということもありますし、「コミックエール」時代に百合専門誌を作りませんか?というアンケートは私も送った手前もありますし、「つぼみ」も応援したいですね。もちろん百合専門誌は全部応援しているんですが(笑)。


VOL.1の紹介はこちら



VOL.2の紹介はこちら



VOL.3の紹介はこちら


本に挟まっているアンケート、今回は「面白かったお話」より「もう一歩だったお話」につっこんだ意見を書く欄が多いですね。実際本を買って、50円切手を貼ってアンケートを送る読者の意見はそれだけ貴重だということなんでしょう。
しかし「もう一歩だったお話」……考えるのが結っっっ構難しいです。それくらい今回はどれも良かった。
後半の方に収録されてる作品はページ数が少ないので食い足りなさはやや感じましたが、それは作品が悪いというよりは、もう少し続きも読んでみたいという気分になったくらいなんで、悪かったということでは全然ないですしね。むしろ是非次号に続きを載せてほしいものばかりでした。選ぶのはやっぱり難しいですね。

おーらんどーさんもレビューを書いてくれました。こちらも参考にしてください。今回のVOL.4はいつもにも増して評価が高いですね。かく言う私も気がつけばついつい読み返してしまっていますし。新しい百合アンソロジーが次々発刊されることになって、いつもより気合が入っているのかもしれません。競争原理が働くというのは出版社にとっては大変なことかもしれませんが、読者としてはクオリティの高い作品を安価に読むことが出来て嬉しいことです♪

以下在庫チェッカー。VOL.1の時は発売前後1ヶ月くらい品切れ状態でしたが、そろそろ落ち着いてきたでしょうか?(最近バックナンバーの在庫は確認してないからわかりませんが……)