百合アンソロジー 百合少女 Vol.2

百合度★★★★★(5.5)

というわけで以前お伝えしたとおり、昨年末に出た百合アンソロジーの第2弾が発売されることになりました。続刊を望む声がたくさんありながら、このアンソロジーだけ続刊の話がなかなか出てこなかったのでファンはやきもきさせられていたんですが、無事2巻が出ました!
森永みるく先生もピンナップで参加!
さらに今回は個人的に好きだった作家さん田中琳先生も参加!
豪華になってきたVOL.2です!

VOL.1に比べると、クオリティが安定してきましたね。
多分同人方面から作家さんを見つけてきてるからだと思うんですが、同人色は相変わらず強いです。ただ同人誌からの再録とかそういうのはなく、全部新作描き下ろしになっています。
同人系と一口に言ってもいろいろなジャンルがあるのが同人系の特色ではあるんですが、前回はカラーがバラバラだったのが、今回はより少女漫画っぽいカラーの人が多くなった印象が強いです。萌え系というよりは少女漫画の方向で女の子の絵柄が可愛い作家さんが増えたせいで、パラパラめくっただけでも分かるくらい誌面も華やかになりました。
さらに新しく参加した作家さんはほとんどが元々同人などで百合な本を以前に出していた方ばかりで、百合属性の強い人が集まりましたね。これは百合好きとしても嬉しいことです。
前回から引き続き参加している作家さんは、前回も良い作品を描いていた人ばかり。これはクオリティがあがるわけですよ。

編集後記によると、「大好きな小説『丘の家のミッキー』や『クララ白書』の雰囲気が出せたらいいなあと思ってつくりました」とのこと。なるほど、これらの小説は30年程昔のライトノベルですが、BLやファンタジー系が流れ込んでオタク要素が強くなった今のライトノベルに比べると、断然少女漫画テイストが強いんですよね。これを漫画でやれば、少女漫画テイストが強くなるのも自然な流れかもしれません。

以下各話感想。
・Special pinup(森永みるく
先輩と一緒に夏の新メニューをチェックしているウェイトレス姿の2人……。これはお仕事中のワンシーンなのでしょうが、ハートマークを飛ばしながら潤んだ目をしている後輩ちゃんの目や、先輩に肩を回す後輩の左腕は仕事とは関係なく特別ですね。先輩もメニューよりその腕の方を意識してしまっているようです。
さらによく見ると右腕は先輩の両脚の間を大きく割って手をついていたり、胸もちょっと触れ合っているように見えて、こちらも見逃せません(笑)。

みるく先生の描くピンナップは、どういうシチュエーションなのかしばらく考えてしまう事が多いんですが、今回は分かりやすいですね。なぜなら横に説明の文章が載っているから(笑)。
金魚が泳いでいたりする上下の枠も面白いですね。

・「チョコとミント」(四位広猫
屋上でたばこを吸っていた女の先生早川にほれてしまった女子高生朝田さんは彼女と親密になるものの、早川先生が藤村先生に恋をしているのを知って思い詰め、屋上でたばこを吸っていたことを内緒にして欲しかったら私とキスして!とせがむのですが……というお話。
リップを塗ってもらって、先生と同じ匂いになってドキドキする朝田さんが可愛いですね。そんな朝田さんに早川先生もほだされ、たばこ味じゃないキスにしようと禁煙までして、ついにキスもしてあげるラストシーンも良いですね。
屋上での秘密は、喫煙から女生徒とキスしてることに変わったのでした(笑)。
今回も視線や匂いなど、感覚的な要素を上手くストーリーに絡めていましたね。

四位広猫先生は前回の「百合少女VOL.1」の巻頭を飾った「見つめていたい」の方ですが、あの作品何気にすごい良かったと思うんですよね。
最初読むと告白したのがヒロインでなく、さやの方だったというどんでん返しのオチに目を引かれると思うんですが、この作品は読み返してみるとそれ以上に良い要素がいろいろあるんですね。
相手に対して恋心はあったものの、告白された時に見せた自分を見つめるさやの目が怖いと思っていたヒロイン、しかし自分自身もさやのことをいやらしい目で見ていることに気付いて自己嫌悪に陥ったり、鏡に映る自分の目が、さやと同じく必死で相手を欲しがる目をしていることに気付いて、自分と同じさやのことがもう怖くなくなり、さやの気持ちを受け入れることが出来たという結末。
こういう目をしているのが片方だけだったら、やはり相手は怖かったり引いてしまったりするんでしょうし、片想いの形としてはありがちな話ですよね。リアリティはあるだろうけどストーリー的にはつまらないでしょう。しかし話を両想いにしたからこそ物語として面白くなっていると思います。
またこの作者さんは可愛いながらも必死な少女を実に魅力的に描けるんですよ!画力があると表現力にも厚みが出て、作品の面白さにも大きく影響してきますね。
今日も読み返していたんですが、何度読んでも実に良く、飽きないですね。

・「願い事ひとつ」(みとうかな
月にお願いをした女子同士の友だちの2人は、翌日からなぜか獣耳が生えてしまって……というお話。
相手の女の子に狼になって、食べてもらいたかったといううさぎ少女のお願いは肉欲系でしたが可愛いですね(笑)。

・「ベリーガーデン」(未幡
前回に引き続き加賀先輩や雪峰さんが登場しています。「私先輩のこと、好きですよー」と大声で告白して、赤くなった加賀先輩も悪い気はしないようでこの2人もますます良い雰囲気になっていますね。
そして今回のお話は、そんな加賀先輩に憧れる少女高取と旭のお話……かと思いきや、高取は実は旭のことが好きだったというお話。
一方本気で加賀先輩のことが好きだった旭は、花を渡そうとして断られ落ち込んでしまいますが、そんな旭を見て先輩を一緒に遠くから眺めるのをやめようかと言われ、1人になってから隣に旭がいた時間が大切だったことに気付いたようですね。

・「さくらさくら」(田中琳
田中琳先生は先日急病を患われて手術までされたばかりというかなり難しい状況で、掲載されるかどうかも心配だったんですが、掲載されていて嬉しいですね。作品もしっかりしたものでした♪

中学の卒業式の日、意を決して告白したヒロイン、ドキドキしつつも女の子同士だからキモチワルイと思われて断られても仕方がないと最初から覚悟をしていたものの、相手から返ってきた返事は意外にも「いいよ。私もさくらちゃんのこと好きだから……」と言われ、逆にびっくりしてしまいます。
しかし今はダメ、3年後にまたここで会おうと言って去られ、その時のことを桜の見せた幻のように感じていたヒロインですが、3年の月日が経ち再会しその理由を知ります。
3年のブランクを置いたのは海外に留学していたせいもありますが、メールもしなかったのはさくらの気持ちが変わってしまわないか、華ちゃんの方も不安だったからなのでしょうね。

やっぱり田中琳先生の描く女子キャラは可愛いですね♪特に後半、3年後になって2人が成長した後の姿は、「さくらちゃん……綺麗になったね」「それはこっちのセリフだよ華ちゃんっ」という作中のセリフもありますが本当に綺麗です♪普段これくらい(かもうちょっと上)の等身で描いている田中琳先生の本領が発揮されているように感じましたね。
最後、桜の木の下でキスをするシーンの構図も印象的でした、
全編桜の花びらに包まれ、非常に美しい雰囲気で良かったです♪

7月17日発売の百合姫コミックス「フィダンツァートのためいき」も要チェック!

・「2人のヒミツ…」(ちんじゃおろおす
この方の作品は「Schooldays」「たまとたま」などうちのブログでも何度か取り上げていますが、この方も百合な作品をよく描かれる方ですよね。女の子絵が断然可愛い(&格好良い男の子絵を描くのは苦手そう…笑)ということもあるんでしょうが、女の子絵を描く事がお好きそうなのは見て取れますし、やはり女子同士の話を描く方が面白いんでしょう。
今回はユニットを組んでいる女子アイドルのお話(あとがきで色々想像しながら描いたと仰られていますが、モデルになったアイドルユニットがいるのでしょうか…笑)。
相手の事をいつも気遣ってあげる幼馴染みの少女の心情も良いですが、抱き合ってドキドキして「超大好きっ」と告白もして「私も……」と言おうとして良い雰囲気になった……と思ったら結局その前から気になっていた大きいおっぱいを舞が触って雰囲気を壊してしまったのに笑ってしまいましたが、この作者さんの作品は、女子が性への好奇心から相手と接触するのがきっかけで女子と……というパターンがたびたびあるような気がしますね。でもこういうお話好きです(笑)。

・「だからこれは私の秘密」(君川瑠衣)    
前回のお話の続きです。やっぱり前回のお話は続きがあったんですね。
傷跡のことを何気ない風に振舞っているものの、実は好きだと言われた子に切られたという花奈。電話でも誰かと言い争っているのを見て気になってしょうがない朱音はようやく自分が花奈のことが「好き」だということに気付いたようですね。花奈は自分を傷つけた相手のことなどを隠しているようですが、一方朱音は自分なら花奈を傷つけずに愛そうとするものの、「好き」と言った相手が傷つけてきた花奈を怖がらせないよう、自分の「好き」だという気持ちを秘密にしたようです。
まだこの話は続きがありそうで気になりますが、それも百合少女の3巻が出るかどうかにかかっていると思うので、3巻は是非出て欲しいですね。

・「溺れる魚」(北尾タキ
水泳部の枝里の水着姿をいつもプール裏から眺めてストーキングしていた友人早希でしたが、実は理由があって……というお話。
タイムが伸びなくて悩んでいる枝里を遊びに連れ出して楽しませてあげたり、実はずっと応援していたことを告白したりする早希に、枝里も水泳を続けたい意欲を取り戻し、服のまま一緒にプールに飛び込んで、キスも交わす2人が良いですね。
北尾タキ先生は、相変わらずきっちりと、しかしラブラブにお話をまとめてきますね。

・「恋眠姫」(純愛鏡
国のため長い眠りについたのにさらに非難される姉を見て耐えられなくなった妹の取った行動とは……。最後、姉妹のキスシーンも壮絶ですね。

Cover illustration(早瀬あきら

百合アンソロジー 百合少女 Vol.2

やはりレジには持っていきにくい感じにはなりましたが(笑)、今回も良い感じになりましたね。サイトの今のトップ絵も良い感じです。こういう表紙だとますますレジに持っていきにくかったでしょうが(笑)。

百合少女VOL.1の紹介はこちら。

1巻の時もそうでしたが、今回も3巻の予告とかは特に書いてないです。これも売れ行き次第、ということになるのでしょうか。
百合姫Sは消滅することになってとても悲しいし残念なんですが、こういうアンソロジーには頑張って欲しいものですね。