間違ったラノベの作り方
松林悟
百合度★★★★☆(4.5)

これを読めば必ずライトノベル作家としてデビューできる……などという内容とは全く無関係な真っ黒なドタバタ漫画です。
ヒロインが最初女の子から告白されるところから始まり、最後は相手と一緒に暮らすことになる女子同士エンドで、結構百合度も高いですね。本編は女子同士のセクハラシーンの連続ですが(笑)。

作品のネタのため、女子同士付き合おうとするコメディというと「まんがの作り方」なんかが思い浮かびますが、作風は似ても似つかないですね。
表紙からして実際に漫画描いてる人ではなく絵の上手い人が描いていてあざと〜い感じがするんですが、カバーにだまされるとかまるっきりラノベのあざとさを表しています(笑)。逆にあざとさを隠そうともしないこの作品はむしろ潔いです(笑)。

以下内容紹介。
何の前触れもなく「――というワケで私と付き合ってください!と下級生の霧乃に告白されたヒロインの涼葉。
実はラノベ作家志望で、霧乃は観察しキャラクターの造詣を深くするために涼葉に近づいてきたのでした。
以後トイレにまでついてこられて形状を確かめられたり、友人のゆかりと2人で羽交い絞めにして胸を触りまくったり、裸エプロンにさせお尻を直に触りまくったり耳をかぷっと噛んだり、クリームを塗りたくって絡み合ったり、スカートの中がベストポジションだと潜り込んでパンツにピッタリ寄り添ったり、おっぱいを黄緑にしようと(←?)肌に直に書き込んだり、酔っ払って涼葉のおっぱいを揉んだり吸ったりしたあげく、下半身丸出しにした自分の股間にためたワカメ酒を飲ませようとしたり、自分の家に涼葉が来ると聞いて勝負下着やローションを用意してぬりぬりしたり、やりたい放題(笑)。

演技とはいえ霧乃を押し倒し、足の指という指を舐めつくそうとする涼葉も時々ノリノリになりますね(笑)。

編集部に門前払いされ落ち込んだりヤケになったりすることもあった霧乃ですが、そんな霧乃に涼葉は「あんたの小説大好きなんだからー!」と言ってあげて優しい♪
霧乃も調子を取り戻し、「おっぱい揉んでいいですか?」……とこれは調子に乗りすぎですね(笑)。

師匠のバラ野マリア先生との対決にも涼葉への愛の力によって制し、数年後にはラノベ作家として馬車馬のように働き霧乃は大金持ちになることに。涼葉の家も自分の所有物にし、涼葉のお風呂にも自由に出入りできるよう勝手に改築し、「2人で1人なんですから!!」と言われた涼葉も赤くなって「こうなったら最後まで付き合ってあげるわよ!」と応え、2人はずっと一緒に暮らしそうなエンドでしたね。

バラ野マリア先生というキャラが女の子のお面を被ってはいるもののムキムキでこれはおそらく男だろうと思うんですが、涼葉と霧乃の女子同士の関係には全く関わってきません。モブの男たちも「お前のこと好きだったけど……女の子同士には勝てないよな」と皆判で押したように同じような行動を取ってすぐに身を引いていて、身分をわきまえていますね(笑)。
ただバラ野マリア先生のこのビジュアル……どうなんでしょうね?ちょっと強烈すぎやしませんか?(笑)このキャラを後半投入したから2巻以降が続かなかったんじゃないかと思うのは私だけでしょうか?そういう状況を想像したらちょっと笑えてしまった。

柱には印税ガポガポとか書いてあるんですが、この作者さん自身は描いても単行本にならない作品があったりして、印税ガポガポどころか結構苦労されてるタイプのような気がします。ご自身で描かれたカラー絵も扉絵にちゃんとあるんですが、ひょっとしてこれカバーにする予定だったのに却下されたんじゃ……などと思ってしまいました(笑)。


ラノベ作家……中学の時に早くも挫折しましたが、百合小説をせっせと書いていた時期もありましたし、需要があればなりたいという夢は私だってそれなりに持ってましたよ(笑)。
当時私は「ガルフォース」というOVAを見て感銘を受けていた年頃で、2次創作の百合小説を書いていたんですが、それを書いていた時は正規の小説版が出ているということを知らなかったんですよね。
で、後に富田祐弘という人が小説版を書いているのを知って読んで見たんですが、これが信じられないくらい百合百合で、しかも百合シーンもSFシーンもハイクオリティ。私が一生かかっても超えられそうもないような遥か上のクオリティの作品がとっくに書かれていたのにも愕然としましたし、それでも全然評価されてない(私は発売されてるのを全然知らなかったくらいですし)のを知ってこれまた愕然として、カバー裏の作者さんの写真を見てさらに衝撃を……いやこれは関係ないか(笑)、ともあれ私はここで百合小説を書いて仕事をする夢は諦めたのでした。
そしてクオリティの高い作品を書いているのに全然評価されてない作家さんが大勢いることに気付いて、それがきっかけで私はラノベ作家になるよりも、そういう作家さんをリスペクトして皆に知ってもらう役目の方を務めたいという気持ちの方が強くなって、今に至るという経緯もあったりします。

ラノベ作家というのは需要に比べ供給願望のある人が多すぎるのでライトノベルの書き方云々などというHOW TO本が巷に溢れかえってしまうという悲しい現状があると思うんですが、この作品はその辺も上手くネタにしていますね。
ラノベ作家を夢見つつもデビュー出来ない人はたくさんいると思うんですが、商業デビューにこだわってガツガツがむしゃらに頑張るだけでなく、こういう作品を読むことでたまには気分転換してみるのも良いのではないでしょうか。