flower*flower (2)
石見翔子
百合度★★★★★(5.5)

石見翔子先生の「flower*flower」待望の2巻です!
百合以外のファンタジー要素ってあまり興味のない私がこれくらいハマるのは珍しいことですね。石見先生の描くファンタジーには、他の作品にはない独特の面白さがあると思います。

巻末の描き下ろしでは、本編では足りなかったと石見先生が言っている「キャッキャウフフ」分が描かれています。石見翔子先生らしく、なんか怖い「キャッキャウフフ」になっています(笑)。
カバー下では表紙でニナを見下ろすような体勢になっている朱の秘密が明らかに!
オレンジとか言ってる兄さま。カバー下の一色カラーの色もそうなんですが、ここでは兄さまの胸の中のつめもののことを言っているんでしょうね(笑)。

雑誌掲載時6話は巻頭カラーではなかったんで、単行本の巻頭カラーページ(朱がニナと一緒にお風呂に入る直前をラマと兄がうかがうシーン)はやはり描き下ろしになりましたね。

以下各話感想。
アディンガーラ国は、正妃が毒殺した側室の娘で体よく隣国に追い払ったニナを口実に真伽に戦争をしかけて侵略しようとしているようだし、蒼やラマはそんなニナを警戒して、朱を守るためにはニナを消してもやむを得ないと思っているようだし、ニナはどっちからも狙われていて本当に危うい立場ですね。果たして朱はニナを守ってあげることが出来るんでしょうか。
第6話
お風呂で裸でばったり会ってしまってどうする、という前回から続きですが「貴女どなた?」と聞く二ナは目が悪くて……ってそんなわけはないですね(笑)。
ニナは朱が女であったことより、自分にそのことを話してくれなかったことに怒っているようですね。最後は笑顔で一緒に朝食に誘ってくれるようになりましたが真意は……。ニナの笑顔と言えば第1話のこともありますからね。確かにそのまま受け取って良いかどうかは迷うでしょう(笑)。
別に笑うシーンではないんですが、ラマに言い寄る兄さまが真面目な顔しててなんか笑ってしまった。

単行本描き下ろしでは、朝食へ一緒に行こうと手を引いたニナが、怪しげな目つきで塔の上まで連れて行こうとして、朱が身の危険を感じる4コマが(笑)。

第7話
結局女であることが知られてしまい、自分が男だと思って結婚を申し込まれたことを知って引け目もあったのか、気まずくなって顔を会わせるのが怖くなってしまい、ついニナから逃げてしまう朱ですが、そんな中会ったニナは朱に対して優しく笑顔で接してくれます。
これは……少なくとも第1話の笑顔とは違うでしょう。しかし殴られないことで不安になってしまう朱はヘタレ男属性でも持っているのかも(笑)。

1巻から続く、性別に気づいた事に対するニナの気持ちがまだ気になっている人もいると思いますが、個人的にはもうニナはそのことは許していると思うんですよね。朱の用意した服を着なかったのも、文化的な問題でしょう。なにしろニナは人前で手袋を外すことも恥かしくて出来ないような子ですからね。

第8話
今回はニナの過去が少し分かる話でした。優しくしてくれたけど死んでしまった母親と、生きているけど会ってくれない父親、この2人との関係からニナは心に寂しさを抱えることになってしまったようですね。これだけでも悲しい境遇なんですが、よく読むとニナの母親は王の正妃ではなく側室で、弱って死んでしまったのも単なる病気ではなく、正妃が毒を盛った疑いが強いようです。
王は側室であるニナの母親の葬式に参列すらせず、王妃の方を持っているのでしょうか。そうでないにしろ、にべもなく他国に嫁がせたニナにナイフを送ってアディンガーラとの戦争の口実に使おうとしている節があり、ニナを捨て駒として使おうとしている非情なところが窺えます。
こんな境遇が、ニナの男性に対する態度と女性に対する態度の違を生んだようにも感じられました。
そんな過去を思い出している時に、いつの間にか側に寄っていた朱。
「どうして私の所に来るの?」と聞くニナに対しても「会いたいから」と応える朱に、ニナは本当に嬉しかったでしょうね。この時のニナは、嬉しさで思わず泣きそうになった表情にも見えました。

第9話
ニナは朱に贈ってもらった服を着れないのは、何か文化的な問題がありそうですね。着れないものの愛しげに匂いを嗅いでいるし、お祭りに行こうという朱の誘いは無理をしてだもついていって、ニナが朱に好意を持っているのは間違いないです。
城を出たニナと朱を知った兄さまが「狩の時間だ」などと言ってなにやら不穏ですが……。

第10話
お祭りにやってきた朱とニナ。これってデートなんですよね♪しかしせっかくの機会なのにお店にひとりで並んで買いに行ってしまう朱のヘタレっぷりは相変わらず。
酔っ払ったニナは自分の胸を朱に押し付け、赤くなる朱を見て「わざとよ」とからかってますが、これは朱と性的にも接触したいという気持ちの表れでしょうか?だとすれば友情だけでなくちゃんと恋人同士としてニナが朱を好きになっている希望も見えてきたかも?
酔い潰れたニナを支えきれず通りすがりのおじさんの助けを借りることになって、自分の非力さを悔やむ朱。この国の同姓婚では男役、女役などの分担があるのかどうかは分かりませんが、やはりニナのことは自分で守りたいんでしょうね。
転がり込んだ家はラマの両親の家だったようですね。忍び寄っている黒い影も気になりますが、何か朱に言えない気持ちを隠しているラマの心中も考えると、母親から差し出されたお茶も必ずしも安全とは言い切れない……と思わせるあたりの描写がうまいです。

単行本描き下ろしカットではお酒を出されそうになった朱が頑なに拒む展開が。酔うとニナに額のボタンを突かれてしまいますからね(笑)。

第11話
冒頭、自分は永遠に地の底をさまようと感じるニナ。神父の「清らかなる者、誠実なる者、真実たる者」という言葉に自分が当てはまらないと感じたんでしょうか。この宗教はアディンガーラのものでしょうし、その国の命に背いていることに引け目を感じているのかもしれません。
ラマの実家に泊まることになったニナが、様子を見に来たラマの父を警戒するのも当然でしょう。彼女は戦争のきっかけにしようと、母国の人間からも命を狙われているくらい危険な立場に置かれているのですから。案の定、その一派らしき者がニナを襲ってきます。また他の一派も混じっており、こちらはニナの父の王家に属するものらしいですが、ニナに朱を殺すよう命じているようですね。
朱の兄ちゃんは助けに入ったということで、とりあえず2人とも守る選択をしましたが、ニナが王家の命に従って朱に手をかけようとしていたらまた状況は変わっていたことでしょう。
一方何も知らない朱ですが、ニナを守ることだけは強く誓って、守れるよう強くなりたいようですね。

描き下ろしでは、自分がガチムチなマッチョになる姿を夢見てる朱を、ラマが冷たい目で見つめるカットが(笑)。

異国情緒溢れるファンタジー世界が魅力ですが、同性愛(というか同性婚)を、国による文化の違いの問題と絡めて描いているのが上手い作品ですよね。

ニナの侍女(名前はリアン…で良いんでしょうか)がニナを絶対に守ろうとしている何気ない様子なんかも見所ですね。さらっと読むと気付かないかもしれませんが、作品が気に入った人は一度注目して読み返してみてほしいです。

「flower*flower」1巻の紹介はこちら
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