HONEY☆CRUSH (2)
椿あす
百合度★★★★★(5.5)

「百合姫S」が休刊になるのはいろいろ寂しいんですが、何が一番寂しいかというとこの作品が終わってしまうのが一番寂しいかもしれません。みつときょうちゃんは創刊号からVOL.12まで毎回百合姫Sの表紙を飾っていて、「百合姫S」の看板キャラと言っても良かったですからね。他の作品は新しく隔月になる百合姫に合流することもあるでしょうが、この作品は合流することはないことも寂しい限りです。

単行本には「小百合姫」に載っていたお話と描き下ろしエピソードが。どちらもちょっとHなエピソードです(笑)。
まだまどかさんに未練のあった頃のみつときょうちゃんは、まどかの着替えを見ようとしたり妨害したりしていますが、それが終わるとついみつはきょうちゃんのほうの着替えに見入ってしまいます。
架夜登場の後は後ろから抱きついた架夜がしっかりきょうちゃんの胸を掴んでしまって「いいカラダしてるわいつも抱きついてるときに触ってるわよ」などと言っていてこれは大胆(笑)。
「みつも触らせてもらいなさいよ。いいわよ、ほどよくボインで。ほらほらはやくぅ」とそそのかす架夜に、ドキドキしながら触ろうとするみつが良いですね。結局きょうちゃんには怒られてしまいましたが、きょうちゃんも意識してしまって恥かしくなったようにも見える?
さらにきょうちゃんのブラを眺めてる架夜とみつ。「脱がせてみたら超セクシーな下着つけてたりしたらよくない?ギャップ萌えっていうの?それだ普段と違う自分を見られて恥かしがる恭子さん…」と恥らうエロいきょうちゃんの姿を想像する架夜に、みつも「そ、それいいかも」とゴクリとしてしまいますが、勝手に自分のエロい想像をされていた恭子にはまた怒られてしまいます。やっぱり恥かしいんですね(笑)。

背景が足されていたりトーンが追加されていたり、加筆修正は結構多いですね。8話は話が跨線橋の上で進んでいるんですが、単行本では青空の背景がたくさん使われていて、雰囲気が出ています。

そして巻末にはみつが成仏した後の2人の姿を描いた描き下ろしが……。
CRUSH★7
いつも通りぎゅうぎゅう詰めで一緒に寝て幸せを感じるみつ、この辺からみつのきょうちゃんへの恋心がはっきりしてきましたね。
1巻ではまだみつがまどかに未練がある描写が多かったのですが、意中の人と結ばれてしまったこともあり、まどかは2巻前半部ではあまり出てこなかったですね。2巻ではみつの気持ちがきょうちゃんのほうに傾いていく様子が上手く描かれています。

CRUSH★8
女の子に告白したのにすぐに受け入れてもらえず、死のうとしていた少女を助けようとするきょうちゃんとみつですが、身体がまだ生き残っていると聞いて、まどかへ生身でアタックするため「じゃあその身体もらった!!」と言い出すみつは、生きていることの貴重さを間接的に教えてあげる意図があったのか……と思いきや本当に身体を乗っ取ろうとしていたらしい。「ちょうだいもういらないんでしょ?」と目を輝かせながら言うみつは恐ろしいほど黒い(笑)。

CRUSH★9
冒頭みつが覗いている百合カップルは濃厚にキスをしていてすごいですが、これは前回幽霊の姿で自殺しそうになっていた菊と、意中の相手舞なんですね。告白されて戸惑って、一時は避けてしまってさえいた舞なんですが、友達からまた始め、結局自分も菊への恋心があることに気付き、晴れて結ばれたようです。

自分がまどかと接触できないことをもどかしく思うみつですが、「熱でもあるの?」とおでこをくっつけたきょうちゃんにはドキドキしてしまいます。見つめあってみつがドキッとしたり、この辺の描写はたまりませんね。
そんな中出会ったもう1人の幽霊少女、架夜にまどかをこっちの世界へ連れてこようと交換殺人の話をもちかけられてしまう展開は笑った。「私がみつの好きな人を殺してあげるから」と勇んで行った架夜ですが、何をするかと思いきやわら人形に釘を打ちつけようとしていただけという可愛いものだったんですが、みつに引止められ「しばらくつるも?」と強引に家に来た所きょうちゃんに惚れてしまったようで……みつの場所を奪ってきょうちゃんと添い寝してる架夜が図々しくて面白いですね(笑)。

CRUSH★10
きょうちゃんの着替えに欲情している新キャラの架夜に「見ちゃだめ!えっちな目で見てたもん!」と非難するみつですが、みつだって第一話でまどかさんの着替えを邪な目でガン見してたような(笑)。相手が気付いてない分、あの時の方が凶悪でしたね。
みつがいなくなったとたん、「好きです!」と告白して抱きしめる架夜はやはり行動が早い(笑)。それを見つけ引き離すみつに「ちゃんと抵抗しなきゃだめ!!」と言われ「わかった、ちゃんと抵抗するよ」と答えるきょうちゃんはこのシーンではまだ、まどかさんのために操を守る、という意味で答えたんでしょうが、嫉妬しているみつの気持ちには少しずつ気付いてきているようですね。
この話、雑誌掲載時ページの順番が間違っていた箇所も単行本では直っています。

CRUSH★11
「私が温めてあげます!!」と抱きつく架夜に「いや冷たいからやめて」とツッコむきょうちゃんに笑ってしまった。確かにユーレイに抱きつかれても寒気がするだけですね(笑)。今回は浄霊師の女の子が2人登場。最初の女の子はきょうちゃんに気があるようにも見えたんですが、単に浄霊代のお金が欲しかっただけというオチもまた面白い(笑)。

CRUSH★12
冒頭、成仏して別れることを決意しても誰にも引き止めてもらえない架夜が泣ける(笑)。
まどかが急にみつのことが見えるようになり、記憶を失っているのをいいことに恋人同士だと説明するのがちゃっかりしているみつですが、やはりきょうちゃんのほうが重要な存在になっていたのでした。
泣いてる顔を見られるのを恥かしがるきょうちゃんに「すごい顔。こんな恭子初めてみた。可愛い」と言ってあげるみつは容赦ないですね(笑)。

CRUSH★13
きょうちゃんと晴れて結ばれ、一緒に寝る時も向き合って顔を見つめあおうと幸せ一杯な冒頭のみつが微笑ましいですが、心が満たされたら成仏しなければいけない事実を思い出し、すでにみつが足元から消えかけているのに気がつきます。
みつが消えるのを防ぐため、「少し距離を置いてみる?」というきょうちゃんの言葉は何気ないですが、前後の感情を押し殺した表情が切なそうで印象的です……。
みつも、まどかとの時はそんなにまでなることはなかったんじゃないかと思うくらい泣きじゃくってしまいます。
そしてきょうちゃんの取った選択とは……。

ブラックコメディで始まったこの作品がこんな泣ける展開になるとは思いませんでした……。
百合姫Sが消えることもさることながら、この作品が最終回だというのが悲しさにさらに拍車をかけます……。

巻末には描き下ろしで、天国でみつが架夜と会うカットが。「こんなに早く(みつが)成仏してくるならもう少しねばるんだった!」と言っていて、恭子のことは諦めていないんですね(笑)。
さらに描き下ろし漫画では、ひとりになったきょうちゃんが、みつのことを住んでいた場所もお墓の場所も誕生日も命日も知らないことに、ショックを受ける展開が。好きな人のことだからイロイロ知っておきたいという気持ちが表れていますね。

あとがきのコメントでは、「これでも恭子をかわいそう過ぎないようにと頑張ってみました。でもやっぱりごめんね、恭子」と作者さんも語っておられました。それは読んでいてもなんとなく伝わってきますよね。
最終話で気持ちが結ばれたみつときょうちゃん、来世では2人幸せに結ばれることになったのかどうか気になるところで、後日談でそれが描かれる可能性もないわけではなかったんですが、やはりそれをやってしまったら身も蓋もなくなってしまうような気が個人的にはしたし、これで良かったんじゃないかと思います。
安易なハッピーエンドは描かれていませんでしたが、読者のひとりひとりがハッピーエンドな来世の2人を想像する余地は充分残してありますし、なにより想い合えることのステキさが描かれている、素晴らしい作品になりました。

親友に告白したのに相手が拒絶してしまうようになったのがショックで幽霊になってしまった菊、その気持ちに戸惑っていたものの次の話では濃厚なキスを受け入れていて気持ちも受け入れることになったらしい舞、交換殺人を持ちかけておきつつみつと出会ったらベタ惚れになってしまいさっさと以前のことは忘れてしまう水玉のタイもラブリーな架夜、シュミで浄霊出来るほど経済的に恵まれていないから「ぼったくり屋」と言われつつもお客を取り込んで高額なお金を請求する浄霊師の女の子、逆に正義感から浄霊してるライバル浄霊師の女の子、妖怪なのに心優しい座敷童子、ひたすら天然なまどか、そしてヒロインのくせにストーカーで内面も黒いところを時折見せるみつ、言いたいことははっきり言うタイプだけど実は優しいきょうちゃん、そんなに多くはないですが出てくるキャラクターはどの子も魅力的でしたね。

後日談できょうちゃんが、みつのことを記憶に浸りながら、「黒い」とか「泣き虫なくせに相手の姿が見えないと気が大きくなってばかをやらかす」など的確な(笑)分析をしているのですが、私も上でみつのことを書こうとしたら良いところが確かに出てこなかったですね(笑)。
しかし良いところがひとつもない、そんなみつのことをきょうちゃんはやっぱり「そーいうとこが好き」と思っているのでした。

連載が終わってしまったのは寂しい限りですが、作品は最初から最後まで、パーフェクトに面白かったです。

切ない百合も良いですが、百合ジャンルの可能性はそれだけではないですし、その点この作品は百合作品にブラックジョークを交えている点も良かったですね。
私的には完璧に面白かった。是非とも椿あす先生の百合な次回作を読みたいものです。

1巻の紹介はこちら