百合アンソロジー ひらり、(2)
公式
百合度★★★★★(5.5)

新書館の百合アンソロジー、第2弾です!
公式サイトが更新されましたね。URLがVOL.1の時と違うんだ。twitterでフォローしてなかったら気がつかないところだったかも。
試し読みページもありますよ〜。

試し読みページで雰囲気がどこまで伝わるか分かりませんが、今回も良いですよ!
前回VOL.1はクオリティは高いんだけど、読んだ後いろいろ考えてぐるぐる回ってしまう読後感があったんですが、今回は理屈抜きに感覚的に楽しめる作品も増えていて、これはこれで良かったですね〜。こういうのも少女漫画の良さだと思いますし。
今回は湖西晶先生、高嶋ひろみ先生など、男性誌で描いている人も何人か入ってきましたが、それでも全体的な印象としてはやっぱり少女漫画ですね〜。
……そのせいで、ちょっと男性向け情報の方が飛び交いやすいWebでは今ひとつ話題になってないような気もするのですが……(汗)しかし内容はほんとに良いのです!
ちなみに続き物は「ピンク・ラッシュ」の1本だけ、その「ピンク・ラッシュ」も今回のだけ読んでも楽しめる内容になっていますので、VOL.2から買っても全然問題ないです。むしろVOL.2からの方が入りやすいかもしれませんね。
未読の人もこの機会に是非一度、読んでほしいものです。

以下個別の作品紹介を〜。
今回は「部活」をテーマに小特集ということで、確かに部活モノが多く収録されていますね。

・「あさがおと加瀬さん。」(高嶋ひろみ
加瀬さんは隣のクラスの美人でかっこいい女子。彼女のことで頭がいっぱいの山田は!?
うわ〜キャラクターかわいい!等身が大きくて、普段高嶋ひろみ先生が描いている女子キャラとはちょっと違う雰囲気ですよね。これが百合作品に非常にマッチしているのです!
昔南京ぐれ子というペンネームで描いていた頃に雪村理子先生の初単行本のあとがき経由で私が読んだ作品で感じた、ほのかな百合属性が蘇ってきました。正直「コミックハイ!」で連載している作品を読んだだけでは百合属性はあまり感じないと思いますが、この人も良い百合を描ける人なんですよ〜♪
加瀬さんの、頭から水をかぶる豪快なところと、透けて見えたブラの色っぽさの対比を見て一瞬で惚れてしまうシーンや、結婚して自分の苗字が加瀬になったら似合うんじゃないか……などと思って赤くなるヒロインのシーンや、着替え中にお互いの下着姿を見詰め合って、お互いに気があるんじゃないかと意識してその夜ベッドでゴロゴロ悶えてしまうシーンなど、良いシーンが満載でしたね。

・「夏が終わっても暑い」(仙石寛子
「私さ、今年新しい水着買ってあったんだよね」。夏の終わりの真希とめぐみの物語。好評だった前回に続き登場。
プールに誘ってもダイエットが完了してないからと拒む真希に、温泉を再提案して、どっちにしても裸にしたいようなめぐみに笑ってしまった(笑)。
まさか仙石寛子先生の作品が、今回の「ひらり、VOL.2」の中のスキンシップ(というかセクハラ…笑)大賞とは。抱きついてお腹のお肉の感触を堪能したり、真希ちゃんなんてめぐみの胸を2回も触ってますからね。押し倒して胸を触るまでの、一瞬の間が死ぬほど良いです(笑)。

・「ピンク・ラッシュ」(TONO)
アイドルちゃんたちと、周りのおねーさまやお友達の今日のガールズトークは……? 好評だったアイドルストーリー、続編。
TONO先生、今回も来ましたね〜。ファンの前で、意中の女の子マールの前で、忌憚ない発言をぶつけ、深夜に芸能人と付き合いをしていたマールとつかみ合いの喧嘩をしてしまうサナちゃんが痛快(笑)。マールを組み敷いている姿は好きな子を相手にしているとは思えない(笑)。首筋に強くキスをするのも色っぽいんですが、スキャンダルを拡大するための嫌がらせというのがなんとも(笑)。さらに自分もファンだからデートさせろと言ってくるのもストレートですね。
今回はコミカルな展開……と思いきや最後の「ののしられる事よりも、どつかれる事よりも、愛される事の方が……痛い」とグサっとくる描写があるのもTONO先生ならではという感じでしたね。面白かったけどやはり印象的です。

・「雨降れば」(湖西晶)
自他とも認める雨女の潤。幼馴染みの陽香との相合い傘にドキドキが止まらない!?
あとがきコメントでも触れられていますが、この中では一番萌え系寄りの人ですね。しかし相合傘で密着する相手にドキドキする描写がめちゃくちゃ良かったのでこれも良し!

・「ほんのともだち」(ささだあすか
図書館で同じクラスの西森さんと出会った幸知。学校とは違う彼女の一面を知り……。注目の作家初登場。
さっちゃんの「二人のひみつにしておきたかったの」という発言も意外に大胆でしたが、長引くかと思わせた誤解もすぐ解けて、この辺の展開は爽快ですね。
その後西森さんが学校まで持ってきた絵本が「さっちゃんだいすき」で、いきなり学校で読み聞かせを始めてしまうという大胆さもすごい!

少女漫画誌で活躍されてる方ですね。絵柄が可愛いなあと思っていた作家さんなので、今回この方の百合作品が読めたのは嬉しい♪


・「ビスケット心中」(三嶋くるみ)
彼女がいつか自分の前から消えてしまうかも……なんて考えただけで胸が張り裂けそう。
ヒロインカップルも良いですが、おばあちゃんカップルが美味しすぎ!

三嶋くるみ先生は「ひらり、」……というか百合専門誌に作品が掲載されるのは初めてですね(百合姫Vol.3の同人誌紹介コーナーに載っていたことはあります)。以前うちのサイトでも「Angel Cheeks」「たんぽぽホリデイ」などを紹介しましたね。良い百合を描く人なんじゃないかと思っていたのにその後お見かけしなくなって残念だったんですが、今回参加されることになって嬉しいですね。同感という方は他にも多いんじゃないでしょうか?

・「指先の声」(前田とも
今日もスケッチブックを手放さない彼女。真面目そうで苦手なんだけどなぜだか目が離せない……。
今回は意中の彼女のほっぺにキスをする佐伯さんが大胆でしたね。その後佐伯さんの姿も描いたスケッチブックを渡す倉田さんも、何気に大胆でこの辺も面白いです。

・「泣いて笑ってまた明日」(藤沢誠
あおいはソフトボール部の先輩・マリに片思い中。自分の気持ちを伝えたいけど…!?
「あおいが私をそういう風に見ててくれたらいいなって下心はずっとあって、でも言ったら迷惑かなって…」というセリフが良いですね。

・「七海先輩とありさちゃん」(石堂くるみ)
わたしの大好きな合唱部の部長! でも部長となかよしの七海先輩はコワイ先輩で……? 元気いっぱいスクールガールズ!!
優しい優子先輩へ求愛していたありさちゃんが、最後には冷たくしていた七海先輩の方と良い仲になっているのですが、これを自然な展開で描いているのが上手いですね。

・「箱庭コスモス」(桑田乃梨子)
「ふしぎ研究会」の設立を目論む女子高生・風和の前に現れたのは美人な先輩たち……!! 桑田節炸裂!のソフト学園百合。
反則(笑)。

・「マイン」(スカーレットベリ子)
気まぐれでかわいらしい真姫とのランチ。いつかこの時間も飽きられちゃうのかな? ドキドキ・スクール・ラブ!!
前回のイケイケ&クールな女子キャラとは全く違うタイプの2人が来ていたんで、別の人かと思ってクレジットを見直してしまったくらいですが、少女キャラのバリエーションを豊富にお持ちなのは良いですね。
自分が飽きられてしまうのではないかと心配する柚子や嫉妬する真姫ちゃんも可愛いですが、後輩の松永さんも何気に可愛いですね。最後キスまでして、本編後のカットでは胸に顔を埋めて抱き合っていて、ラブラブ度も高い。「全部ちょうだい」という真姫ちゃんは、柚子を食べてしまいそうな勢いですね(笑)。

・「even」(未幡
いつも私についてまわってた幼なじみ。あの頃のこと、もう忘れちゃったーー? こちらはバスケ部。
「バスケ部でバスケがうまい。それだけでその人はえらい」とのことですが、バスケをしている百合少女が上手く描ける、それだけでその人はえらいのです(笑)。汗を流しながらバスケしつつ、同じ部の幼馴染みに恋心を抱き続けている様子がとても良かったです。格好よくなってしまった奈央が「私は、まだ千歳のもの」と言うシーンとかたまらん(笑)。

・「あなたといれば」(朝丘みなぎ)
元フィギュアスケーターの篠田愛が出会ったのは、彼女のファンだという同姓同名の篠田愛…。
駅でスピンを見せてあげる篠田さんが優しい。10年後一緒に会った時には、「…もう触らせた?ソレ」などとおおきいおっぱいが他の人の手に渡っていないか心配していたり「私と結婚すればいいのよ」などと耳元で囁いていて、すっかりラブラブですね。経済的事情で挫折をせざるを得なかったフィギュアをやっていた数年間の苦労も、相手の子をオトすため(おっぱいも手に入れるため…笑)だと思えば受け入れられるという展開も良いです。

・「純粋セカイ培養」(榊花月平尾アウリ)【ショートノベル】
母校の前で再会したのは、あたしがかつていじめてた石元で……? セツナ系ストーリー。
平尾アウリ先生は浪人やニートの女の子を描くと妙に合うなあ(笑)。昔いじめっこといじめられっこだった2人が大きくなって……という展開は、男女だとしばしば見かける話なんですが、女子同士では珍しいですね。あまり見かけなかったタイプの作品だと思います。でもありうる話だと思ったし、作品も良かったです♪

・口絵(今村陽子)
やっぱり今村陽子先生でしたね。最近雑誌でお見かけして、可愛い女の子絵を描く人だなぁと思っていた作家さんなんで嬉しい。

・表紙(遠田志帆)

今回も遠田志帆さんの艶のある少女2人の姿が目印です。浴衣姿が8月発売のアンソロジーの季節を感じさせます。

今回も、女子が女子に心が傾く細かい心の機微の様子を上手く描いた作品が揃っていましたね。ラブラブ度もアップして満足の内容でした♪

このアンソロジーが好きなのはもちろん私が少女漫画好きということもあるんですが、普段読めない作家さんが百合作品を描いているのを読めるところも嬉しいんですよね。

このアンソロジー、良質なことは疑いの余地もないんですが、あざといところが全くないので、商業的に成功するのかどうかということはちょっと不安な面もあるんですよね。新書館は、これまで百合専門誌を出してきた出版社の中ではかなり大きいところですが、売れなければ逆に切る決断をするのも簡単だろうし、この「ひらり、」が安泰である保証は全くないわけです。
やはりここは読者が支えなければいけないでしょうね。良質な百合アンソロジーは継続して発売されてほしいものです。

今回は百合度がアップしていたように感じましたね。前回の帯の文句は「女の子同士の友情とちょっぴり恋の物語」、今回は「夏祭りの喧噪、恋の予感」ということで、確かにただの友情だけではなく、明確に恋を感じさせる作品が多かったです。
前回の作品群はかなりBitterなのが多くて、今回もそのBitterさが全くなくなった、というわけではないんですが、Bitterな中にもほんのり甘みが感じられる作品が増えて、一読しての印象も、単にクオリティが高かった、というだけでなく、豊かな百合作品を読み終えた充実感を得られる内容でした。

創刊号VOL.1の紹介はこちら。