ナチュラル・ウーマン2010+1994

ナチュラル・ウーマン2010公式
百合度★★★★★

ようやく観れました!
予告は寸止め映像ばかりだったので本編もそうかと思っていたんですが、結構エロいシーンもありましたね(笑)。予告では映さなかっただけだったようです。
パッケージ見たら「本作品は劇場公開時にR-15+指定を受けました」と書いてありました。まあこの内容だとそれくらいは指定されるかな〜。別に15歳以下の子が観て何か有害なものがあるとかそういうことは全くないんですが、単にエロいというだけで成人指定されることは往々にしてありますからね。

原作では同人漫画描きだった(そうそう、この作品原作は同人漫画を描いていた女子2人が恋仲になるという設定なんで、同人と百合が好きな人も興味深く読むことが出来るかもしれませんよ)花世と容子が、物や風景の造詣を知るためカメラに傾倒し、容子に至ってはその後カメラの方が本職になってしまう展開はもちろん原作とは違うし、超有名カメラマンの野村誠一監督が自分の得意なフィールドに持ち込んじゃったなぁあと思いましたが、容子や、古い作品である「ナチュラル・ウーマン」を新しい作品として息吹を吹き込もうとしているのを感じました。

花世が容子にカメラを教えながら一緒に写真を撮りつつ、仲が深まっていく展開も悪くないですね。
写真にキスされそうになって恥かしがる容子に花世が本当にキスをしてあげるシーンは、チュッという感じよりかはブチュっという感じで結構激しい。
その後ベッドインして肩を噛むシーンも色っぽいです。
胸にキスしていくシーンも激しくて、本当にキスマークがついてそうな感じです。唇から首筋へ順に下りていって、乳首もしっかり口に含みつつ胸の周りをぐるっと口付けしてさらにおへそから下へキスの雨を降らせていくシーンも、愛撫が丁寧な様子が分かります。
ちなみにこの後のシーンの原作での描写が良いのでちょっと引用しておきます。
素肌と素肌はしっとりと吸い合うものだということを、ゆうべ生まれて初めて知った。衣服を一枚残らず取り払って体を重ねた時、予期していたよりも遥かに大きな感激に打たれ、唐突に、このまま死んでもいい、という思いが胸に噴き上がった。誰もが性行為に夢中になる理由が納得できた。嬉しいとか愉しいとかいった表現ではとても追いつきそうになかった。感激は今朝も変わらない。
翌朝キスを交わすシーンも原作に準拠していますが、何度も交わしたりお互いの唇を咥え合ったり、鼻にもキスをしてラブラブですね。
シーツの上でじゃれあってまたセックスになるんですが、この過程もすごく良いんですよ!

個人的には、原作の重厚なテーマを100分程度で全部表現しつくすのは無理だと思うんで、女優さんの綺麗な絡みシーンに期待していたんですが、それもちゃんと描かれていましたね。アホかと思われるかもしれませんが、これもこの作品にとっては重要なテーマだと思いますから。映画は映画にしか出来ない部分を表現してほしかったのです。

ちなみに原作にある、相手をスリッパで殴ったりする(笑)、乱暴なシーンは今回の映画にはないですね。アナルプレイに耽ったりまん○り返しをしたりお尻を叩かれて感じてしまったりするSM展開もないのはちょっと惜しい…というかやったらR-15指定どころじゃないですね(笑)。

最初の方を観ていた時は、台詞回しややりとりに違和感があったんで、確かご自身も大変な映画好きだった松浦理英子が今回も脚本もされれば良かったのに…ともちらっと思ったんですが、観続けているうちにこれはこれでいいかな、と思えてきました。松浦先生はもう1994年版の方で脚本は手がけられていますし、今回もやったら似たようなものが2つ出来上がってしまっていたかもしれません。
特に今回はせっかく1994年に制作された映画も同梱されていることですし、2本続けて観るならやはり違う内容のものが良いですよね。
新しい息吹を吹き込むために、別の脚本家の方(木浦里央さんという方です)迎えたというチョイスは悪くなかったんじゃないでしょうか。

そしてこの作品で一番良いのは何と言っても、花世が(もちろん最後まで死ぬ事もなく…笑)再会した容子とゆっくり話し合うシーンが描かれているところですね。
「また会えるよね、いつか」
「うん、会えるといいね」
等語り合った後、それまで風景ばかり撮っていて、人物を撮らなかった容子が再会した時に初めて花世の写真を撮る最後のシーン。容子も花世も、新しい世界へ向かおうとしている前向きな気持ちが伝わってきますね。

今回のDVDにはなんと、1994年に出た映画もセットでついています。(単品で少し値段が安いものも同時リリースされています)

雰囲気は上のジャケットを参考にしてください。セット販売の方に上の1994年版もついてきます。

1994年のやつは松浦理恵子先生も仰っていた通り結末がいまいちですが、女優さん2人の絡みがとにかく綺麗!脚本も松浦理恵子先生が手がけておられますが、確かキャスティングにも関わってたんじゃなかったかなぁ。で、キャスティングは大成功だったとどっかで仰っていたような。私も同感です(笑)。というわけで値段も安いことですし、未見の人はこちらで決定でしょう。当時はまだVHSの時代だったからDVDを持ってないという人も結構いるんじゃないでしょうか。そういう人にもおすすめです。
94年の方は後半見続けるのが辛くなってきたら視聴を中断して、女優さんたちの絡みに戻ってそことあとエンディングの後で素の女優さん2人が仲睦まじげにしてる映像だけ繰り返し観るという手もあります(笑)。

全然観た事がない人は、最初にこちらを観て、後から2010年版を見ることをおすすめします。1994年版は途中まではすごく良いんですよ。ただし結末が後味の悪さが残ってしまうので、あとから2010年版を観ると、後味の悪さも払拭されて、心地よい鑑賞感が得られると思います。
しかし今観ると、1994年版も良いなぁ。何と言っても女優さんがマッチしているし演技も上手いし、雰囲気や台詞回しも良い。


ナチュラル・ウーマン
(松浦理英子)
百合度★★★★★

原作は言わずもがな。私も20年くらい前に散々読み返していたものです。
DVDが届く前に久しぶりに最初から最後まで再読しました。昔はそんなこと思いもしなかったけど、今読むと登場人物はもちろん、作者さんや読んでいた時の自分まで含めて、若いなーという気がしてしまいますね。青春百合小説って感じ。登場人物も若いけど読んでた当時の私も若かったんで、精一杯背伸びしてた当時の思い出が蘇ってきてしまいます。あの時は文学が一番高尚なものだと単純に考えていましたから。今は背伸びするより視点を低くして読む方が百合は面白くなってきたんで少女漫画とかティーンズラブとか子供向けのものを優先的に読むようになってしまいましたが(笑)。

久しぶりに読むとまた違ったイメージがありますね。今読むと冒頭の夕記子の生理の血がベッド一面に広がっていて、それを見たがるヒロインのシーンとか、鮮烈なイメージが目の前に広がりますよ。理屈云々もあるけどイメージも重要ですよね。久しぶりに読むとやっぱり違うなあ。
やっぱり読み終わると不思議な感慨があります。やっぱり名作。

今回の映画化にあたって、原作者の松浦理英子先生がコメントを寄せておられます。
私の二〇代は「ナチュラル・ウーマン」を書くためにあった、と言っても大げさではない。
この作品を書くことは、自分で自分にトラウマを刻印するような激しい行為だった。
若くて、世の中に受け入れられていなくて、無力だったからこそ、そういう闇雲な試みができた。
今でも「ナチュラル・ウーマン」の世界に没入すると、心も体も普通の状態ではなくなる。
容子と花世という二人の登場人物とともに、私も何度も傷つく。
そして、容子と花世は魂のやわらかい部分を、血を流すほど触れ合わせているはずなのに、なぜ別れを選ばなければならなかったのか、と考える――。
発刊から二十三年、小説の世界は映画「ナチュラル・ウーマン2010」という新しい姿で立ち顕われた。
正直、欠点も数多い映画だと思う。
しかし、若い日の私が描ききれなかった、容子と花世が別れなければならなかった理由について、この映画は一つの説得力ある解釈を示している。
製作にかかわってくださったみなさん、とりわけ、熱意を持って難しい役を演じてくださった、容子役の亜矢乃さんと花世役の汐見ゆかりさんに感謝を捧げたい。
松浦理英子
なるほどなー、と思います。なぜ別れなければいけなかったかについては私も一応自分の中で解釈を持っているんですが(作者さんの私生活に対する推測も含んでいるんでここで述べるのは控えておきます)、この作品も確かにひとつの解釈を提示していますね。