エビスさんとホテイさん
きづきあきら+サトウナンキ
百合度★★★★★(5.5)

アンソロジー「つぼみ」からの初めて単行本化される百合単行本です。記事の一番下のリンクを参考にしてもらえば分かるとおり、きづきあきら+サトウナンキ先生は百合っぽい話は今までとてもたくさん描いてこられた作家さんなんですが、百合専門レーベルの単行本というのはこれが初となりますね。
試し読みページがこちらに

単行本には最終回のその後が読める描き下ろしも収録されているんですが……最後まで読むと、ひょっとしたらこの作品はこの描き下ろしのために描かれたんじゃ……と思うくらい良いんです!
この作品、正直個人的にはエビマヨとエビ姉の関係をもっとつっこんで描くために続編を作ってもうちょっと説明しないとモヤモヤしたものが残るかなぁと思ってたんですが、描き下ろしの後日談を読んだら全然印象が変わりましたね。雑誌掲載分だけ読むとOL2人の恋物語なんですが、視点の違う描き下ろし部分(下の方で紹介します)を読むと新しい解釈が見えてきて、イメージが変わってくると思います。この作品は是非、描き下ろしを含めて楽しむべきだと思いますよ♪

この作品は森永みるく先生が自らサイン会に赴いたり「超素敵マイ百合バイブルです!百合スキーさんは買うべきーー!!」とのご神託を下されたりする程入れ込んでおられる作品ですので、みるく先生ファンも注目!です。
みるく先生の作品に雰囲気が似ているというイメージは個人的にはないのですが、正反対で対照的だから面白く感じられる部分が多いんじゃないかと私は感じました。
みるく先生の作品は感覚的なものが先にあってそこから物語を作っていっているイメージがあるのに対して、きづきあきら+サトウナンキ先生は、最初にサトウナンキ先生による論理的に構築された設定があって、そこにきづきあきら先生の描く表情豊かなキャラクターが肉付けされて出来上がっていくイメージがあります。
タイプは違うんですが、みるく先生もきづきあきら+サトウナンキも、どちらも素晴らしい作家さんですよね。
第1話。本社から配属されてきたエビちゃんは無愛想でなかなか打ち解けてくれる様子がないものの、どうしようもなく彼女のことが気になってしまうヒロインのホテイちゃん。
いじめられているように見えるホテイちゃんですが実は逆にエビちゃんの靴を隠して仕事場に一緒に残らせようとしたり、さりげなく悪い噂を流しエビちゃんが周りから嫌われて自分だけに縋ってくるようにしたりしていて結構黒い。
しかしそれも全部見越してしまっているらしく、全部軽くかわしながらも、自分に気のあるホテイちゃんが喜ぶのも分かっていて、お弁当をあげるエビマヨがさすがです。
あれこれ仕掛けているし、この時点ではホテイちゃんも結構曲者……と思っていたんですがエビマヨの方が一枚も二枚も上手だったため、その後はホテイちゃんはむしろ純情ツンデレキャラになっていくことに(笑)。

第2話。相変わらずあの手この手でエビマヨを落そうとするホテイさんですが、一枚上手なエビマヨの前ではただのツンデレ娘になってしまっていて面白いですね。しかしエビマヨが大切に育てているハナちゃんに気に入られ、家に行く約束をこぎつけたり昼食を誘って一緒に食べるようになって2人の距離も縮まったようです。しかし出くわしたお姉ちゃんに今度はエビマヨが真っ赤になってしまい……。子供を預かるという大変な仕事を引き受けてしまった辺り、エビマヨはお姉ちゃんには一筋縄ではない想いも抱いていそうですね。

第3話。好きなものは他に一杯あるのに、なぜか「キライ」なエビマヨが一番気になってしまうホテイさんが面白いですね。エビ姉はエビマヨの家にも出現し、食べ散らかし飲み散らかし、ハナちゃんのためにやってきたホテイさんもボロボロになってしまいます。
さらにホテイさんの気持ちに気付き「女同士ですよ!ちがいます」と否定するホテイさんに「なに言ってんの?あるでしょ別に」と女性同士でも恋愛感情が普通にあることを示すためか、なんとホテイさんにキスをしてしまいます。
女同士でもキスをするのが普通なエビ姉は、エビマヨやハナにも同じようにしてきたらしい。エビマヨがエビ姉の前では変に意識しているのは、その辺の過去も関係しているのかもしれません。
恋愛感情があるからこそ、好きな人以外にはキスされたくないというホテイさんの気持ちが分からないところにエビ姉の無茶苦茶なところが現れていますね(笑)。そんなホテイさんのほっぺにキスをしてあげるエビマヨは、多分自分が好きなホテイさんに気遣って慰める気持ちもあったのだと思うのですが、「意味なんてありません」と言っってしまい……。

第4話。仕事をバリバリこなせるエビマヨと、対照的なダメ姉。私もダメ姉タイプなんで、エビマヨみたいなキャラクターを見てるとコンプレックスで胃が痛いです(笑)。
しかしコンプレックスのなさそうなエビマヨも、最初に出会った時に可愛いからなんでも許されそうなホテイちゃんを見てコンプレックスを抱いている部分もあったんですね。
疲れて目の前で眠り込んでしまったエビマヨの服を脱がせ、服の下の胸に手を入れ、キスをしそうになるホテイちゃん。この辺はドキドキしますね〜。ホテイちゃんの方が立派な胸を持っているのに(笑)、やっぱり好きな人の胸は触りたくてしょうがない衝動があるようです。

第5話最終話。エビマヨとの過去を語るお姉ちゃん。エビマヨの彼氏をことごとく寝取ってしまったとのことですが、子供もその流れで出来たとしたら怖い……けどこの作者さんはそういう百合を描きそうな気もする(笑)。
正反対だから惹かれるということはありますね。みるく先生はこの作品を大変気に入ってらっしゃるそうですが、作風が正反対なせいもあるんじゃないかと私は思っているんです。ちなみに私がみるく先生を好きなのもそういうところがあります。イライラはしませんが(笑)。
自分が好きなものを横から取ってしまう習性があるお姉ちゃんは意外に妹のことがかなり好きなんですね。あー、それで第3話でホテイちゃんがエビマヨに「かわいらしい方」と言われた直後にキスしてきたんだ。あの時ニヤリと意味深な笑顔してましたもんね。
そんなお姉ちゃんに取られないようにしろとホテイさんに忠告するエビマヨ。
つまりエビマヨが今好きな人は……!
「いっ一緒にくらそう!」と押しかけ女房のような形で東京までついてきたホテイさんは行動力を出しましたね。おかげでホテイさんとは同棲生活をすることが出来たようです♪ホテイさんは完全にエビマヨの女房役になったんですね♪

描き下ろしではやっぱり同棲生活をしている2人の姿が描かれていました♪
ハナちゃんが大きくなってる!しかもストーリーはそのハナちゃんから語られています!
家のことを聞かれても引け目を感じることなく嬉しそうに話すハナちゃん。聞いてきた子は「ヤッダー」「パパがいないのーお?」という言葉遣いからしてやはり女の子のようですね。
彼女はカリカリしてはいるものの家庭環境を馬鹿にしてるのではなく、気になる友達ハナちゃんが自分のことをあまり話してくれないことに拗ねているようで、ハナちゃんはそんな相手の子が家に来たがっている相手の気持ちを察して誘ってあげて、「遺伝かなー。こういうコ好き……」などと考えていて、母親役の2人が愛し合っていることも、その子供役である自分も女子同士で好きになることが自然なことだと考えていて、分かっている子供になりましたね〜。

描き下ろしではエビマヨとホテイさんが、ハナちゃんと一緒に同棲している一戸建ての間取り図まで公開されているのですが、エビマヨ、ホテイさん、ハナちゃんの部屋はあってもエビ姉の部屋はないんですね。住人も3人に加えて「時々、お姉ちゃん」と書いてあるしローンもエビマヨとホテイさんが2人で返しているということで、エビ姉は常に同居しているわけではないんですね。よく訪れてはいるようですが、住居はどこか他にちゃんとあるようです。
エビ姉は東京までついてきて3人ともよく一緒にいるので、てっきり同じところを塒にしてるのかと思っていました。
ということは、エビマヨとホテイさんのカップルが、子供のハナちゃんの面倒を見ているということで……ほんとに女性同士で子供のある夫婦のように幸せに暮らしているんですね。

頬を寄せ合ってくすくす話をしているエビマヨとホテイさんの姿を、ハナちゃんが後ろから赤くなりながら笑顔で見つめてる姿が良すぎです!

この作品、正直個人的にはエビマヨとエビ姉の関係をもっとつっこんで描くために続編を作ってもうちょっと説明しないとモヤモヤしたものが残るかなぁと思ってたんですが、視点の全然違う描き下ろしの後日談を読んだら全然印象が変わりましたね。エビ姉は、エビマヨとホテイさんにとっての子供のようなハナちゃんという存在の作るために登場してきたと考えても良いくらいでしょう。
女性2人(+1人)の母親に囲まれて、ハナちゃんも全然違和感なく幸せに暮らしていて、これは女性同士で幸せに暮らす姿の理想のひとつなんじゃないかと思ってしまいました。

うちのサイトの拍手で頂いたメッセージも良くて、皆さんにも是非読んで頂きたいので掲載させていただきます。
エビホテさんは、今のところマイベスト百合作品です! このブログでも取り上げられていて嬉しくなっちゃいましたので、喜びにかえて、拍手を贈らせて頂きます。単行本書き下ろしの、頬を寄せ合って笑うカットに妙に感動してしまいました。
頬を寄せ合って夫婦のように幸せに暮らしている2人のカット、確かに感動してしまいますよね〜。マオさんコメントありがとうございました〜♪

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