ブルーフレンド 1
(えばん ふみ)
百合度★★★★★(5.0)

りぼんマスコットコミックスの百合マンガです。
まあまずは第1話の立ち読みページを読んでみてくださいよ。
今ならりぼんのサイトで声付きのCMも見れるようです(「ガールズラブストーリー」とか言ってますね…笑)。
なんとあのりぼんで連載されている少女漫画が百合なんです!
めちゃくちゃ話題にはなっていたものの、発売されるまでは本当に売れるのかな…という心配もあった作品なんですが、品切れ状態も相次いでいるようですし、売れ行きも良いようでちょっと安心しました。今はちょっと手に入れにくいかもしれませんが…。
これが成功すればあるいは今後少女漫画百合がもっと増えてくるかも……?頼むから売れてくれ!恥かしいor連載1つのために「りぼん」は買えなかった人も単行本は是非買ってください!うちのサイトでも超超超大プッシュの作品です!

第1話の印象が強かったんで、最初はシリアス作品なのかな…と思って読み進めていたら、ところどころなんじゃこりゃと思うようなシーンが突然出てきたりして、戸惑った時もあるんですが、最終話近くまで読むとこれはこういう作品なんだということがわかってきますね。つまり、シリアスなんだけど、時々ツッコミどころもある、この作品はそういう作品なんです(笑)。
シリアスな中にも笑いどころがあるのは、少女漫画の特徴のひとつですね。

第1話。
中学2年のクラス替えで出会った女の子、月島美鈴に一目会った時に「キレイな子だと思った」と見惚れてしまったヒロインの栗原歩。隣の席になってさっそく「よろしく!」と挨拶するもののその時は「静にしてくれない?」とそっけなく言われてしまいます。
キレイなため男からは勝手に写メを撮られ、逆に女の子からはひがまれる美鈴ですが、彼女のことが気になる歩は、どちらの手からも守ってあげます。
最初の頃は心を閉ざしていた美鈴ですが、次第に打ち解けはじめ、歩が口をつけたペットボトルに自分も口をつけたり、「みんなもっと美鈴の良さを分かればいいのに」と自分を庇う歩に対し、ふいに「あたしは歩だけでいい。歩だけでいい」と言い出しして、歩も「数少ない美鈴の言葉は時々、どんな言葉よりも深くひびく。深く、深く」と感じるのですが、スタスタ歩いていく美鈴の後ろで「今すごいこと言ったよ?み…美鈴…?」とキョトンとしてる歩がなんか可愛い(笑)。

男子にモテることに嫉妬した女子に「あんたなんか歩の重荷に決まってんじゃん。歩本当は友達いない子構ってあげてる男狙い」などと言われ、その場から走り去ってしまう美鈴。しかし追いかけてくれ「あたしはあんたが好きだから一緒にいるんだよ」と言って自分を笑わせようと必死な歩を見て思わず涙がこぼれてしまいます。

そしてほっとした歩に、ふいに顔を近づけ、女子同士キスをしてしまい……というところまでが、試し読みページでも読める第1話です。

最初と最後、歩が「名前も知らないこの気持ちに、溺れていった」と感じているのが印象的でしたね。相手に友情以上の感情を抱くという、男女なら珍しくない現象は、初めて女子同士で抱いくと、確かに自分の気持ちに名前がつけられない戸惑いを覚えるかもしれません。
うちのサイト等に来てあらかじめ「百合」と言う単語を先に知識として入れてしまった人はピンと来ないと思いますが、「百合」という単語がまだ一般的に浸透してなかったころから女子同士のそういう関係が好きだったという人は、思い当たる人も多いんじゃないでしょうか。
私も子供の頃は女子同士のそういう関係が好きだったんですが「○○が好き」と言いたくてもの「○○」部分に当てはまる言葉がなかったんですよね。まさに「名前も知らない気持ち」状態。今なら「百合」という言葉を当てはめることが出来るんですけどね。自分の気持ちを表す言葉に名前ないという不思議な感情はリアルに伝わってきます。

第2話。
美鈴にキスをされたことで頭がいっぱいになり、調理実習で火傷をしてしまう歩。そんな歩を保健室に連れていくと後ろから現れる美鈴。

この辺りから、美鈴が後ろからヌっと現れるシーンが多くなってきますね(笑)。



このシーンは確かに怖いですが、歩も何もそんなに怯えなくても(笑)
手当てしてもらいながら「キスは、友達にするモノなの?」と聞く歩。外国ならキスは普通のこと、「それ以上でもそれ以下でもない」と何気ない行為だったと美鈴は説明しますが、クラスでは美鈴が男に興味なさそうな事に加えて、歩といつも一緒にいることから「そっちの気があるのでは」などと噂する女生徒も出てきます。しかしからかう女生徒たちに対しては歩は毅然とした態度で対応します。
そんな中、なんと美鈴ではなく歩の方に告白してきた平井という男が登場。相手の事を全然知らない歩は「友だちから」と言う相手の申し出にとりあえず了承するだけに留まりますが、初めて自分に告白してくれた相手が、自分の良さも見ていたことに悪い気はしません。

しかし平井はなぜかその後遠ざかるようになります。恋愛感情まではいかなかったものの「自分が何をしたのか全然分からない。人が離れてくっていうのはやっぱり悲しいや…」と落ち込んでいる歩をなでなでしてあげる美鈴がめっちゃ可愛い♪

しかしそれが美鈴が男に歩と交際を断るよう頼んだと聞いた歩は美鈴を問いただす歩。それに対し美鈴は「あんな奴に歩むを取られたくない!私だって歩が欲しいよ…!」と心のうちを告白。いいセリフですね〜。それに対し歩が「あたしは美鈴が怖い」とか思ってるのに苦笑してしまいますが(笑)。

第3話
美鈴のことが怖くなって突き放してしまった歩。女子たちの間での噂が広まるのは早く、美鈴は再び孤立してしまいます。歩にすがってくる美鈴の手を振り払う歩は、美鈴のことが気になりながらも、まだ大人でないため、庇う精神的な余裕がないんですね。
そんな中、自分に告白してきた男平井の会話を偶然聞いた歩。男友達と接する時の彼はいつもと打って変わって軽薄な様子で、彼は本当は歩なんて最初から眼中になく、やはり意中の相手は美鈴。8回告白しても振られたので今度は親友らしい歩の方に声をかけてきたとのこと。
そして歩が平井に気持ちが傾いていくのを悲しんだ美鈴は、平井の思惑通り、自分の時間を平井のために割くと申し出たというのです。
平井は最低ですね。しかし「…はぁ?栗原歩なんて元から眼中にねぇよ?」の時の表情や、その後の「ゴッ…」という効果音には笑った。歩が平井を殴った音なんでしょうね(笑)。「ダメンズ平井」とか言ってるし(笑)。
事情を知った歩は美鈴のことを想い、彼女が家でも親とうまくいかず、雨の降る街中をひとり佇んでいるのを見かけ、抱きしめてあげるのでした。

第4話

扉絵、めがねかけてる美鈴が可愛すぎ!
美鈴と抱き合い、一度突き放したことを悔いて「あたしは決めたんだ。もう今度は離さない」と誓う歩ですが、しかしその後美鈴の靴箱の中に、過去を歩にバラしちゃうよ、お前は歩と一緒にいる資格はないなどと、差出人不明の脅迫めいた紙が入るようになってしまいます。
それを読んでこわくなった美鈴は、部活を休んで自分と一緒にいてと歩にせがみます。部活を休むことまで指図されているのにさすがに見かねた周りの子が忠告している折、その子の近くにカバンが飛んできた(!)と思ったら、前回2人が抱き合っているのを目撃していた少女が登場。この子は名前を東五月と言い、校舎のガラスを割ったりして停学になっていていたのが明けて登校してきたのでした。
五月から怯えるようにしている美鈴は、絶対に彼女とは仲良くならないでと歩に頼みます。
相変わらず男に近寄られている美鈴は、歩が呼び出し役を頼まれて丁重に断ろうとしていたところ、「お前らに用はない。消えて」ときつい言葉(^^;で男を突き放し、その後「男なんていらない!歩だけがいればいいんだもん!」とすがってくるのですが、急にいらいらしたり甘えてくる美鈴に歩は戸惑い……。

美鈴の幼馴染みだったという五月は、資料室で歩と2人きりになったところ「あんたらってデキてんの?」などと聞いた挙句(おいおい…(^^;)、彼女の心が歪んでいることを知っているからと忠告し、彼女の過去を教えてあげようかと言い出すのですが、歩はそれに耳を傾けることなく資料室を飛び出します。

第5話
冒頭、幼い頃の美鈴が本当の自分の父親ではない医者の男をひとり待っているうち、若いほかの医者に力になるよと声をかけてもらう美鈴の回想シーンから始まります。
いじわるをしていたように見えた五月は相変わらず態度は悪いですが、束縛しすぎて相手が疲れちゃうんじゃない?と何気に美鈴と歩のことを気遣ってるんですね。
転校前の学校でも、実の父親でない親子関係などを他の生徒に言われていじめられている美鈴を何気に助けてあげてますし。
しかしせっかくの忠告も耳に入らない程歩に執着している美鈴は、歩が他の女の子と気楽に話しているのを見て嫉妬してしまい、肩をつかんで「歩はあたしのこと好きだよね?じゃあもう他の女の子と仲良くしないで!」と叫んでしまいますが、それを聞いた歩も「重いしキツイよ!美鈴って疲れる!」と返してしまいます。
昨日は言い過ぎたかなぁと反省する歩ですが翌朝、掲示板に美鈴が若い男の医者と体の関係を持っていた最低な女だという中傷ビラが貼られているのを見て驚いてしまいます。こんなの嘘でしょうと美鈴に直接問いただす歩ですが、美鈴は「いやあああ!」と叫んでその場で気を失ってしまい……。
薄れゆく意識の中の美鈴の回想では、男がニヤリと笑って美鈴の肩に手をかけていて……。

1巻に収録されているのはここまで。単行本だけで追っている百合好きには気を持たせる引きになっているのかな?しかし第6話がめちゃくちゃ良いのですよ。
以下単行本に収録されていない第6話の紹介。










第6話
男に襲われた美鈴は、五月に助けてもらったんですね。ランドセルを投げつけ、窓ガラスを割って助けに入る小学生の五月が格好良い♪
五月が助けに入ったのは騒ぐなとか男が言ってる最中ということで、美鈴の貞操も守られていたようです。やっぱり掲載誌が「りぼん」ということもあって、あまりひどい展開はないですね。一安心。
とはいえ男に襲い掛かられた時のことは嫌な思い出として残っていて、重い過去のある美鈴を受け止めることが出来るのかと問う五月に、歩は一瞬過去に美鈴を突き放したりしてしまった記憶がよぎるものの、「これからの人生を賭けて美鈴を支えられる人間になりたい!」と強く言い、と美鈴を一生支え続けていく覚悟も出来たようですね。すごい!
そして保健室から消えた(窓から逃げていった…?笑)美鈴を歩は追いかけていくことに。
それを見て「あーあ、残念」と呟く五月は、もし歩が支えられないと言ったら自分が美鈴を守ってあげるつもりで、そうしたかったのかもしれませんね(笑)。
そして中傷ビラを撒いていたのは、当時その男の婚約者だった保健医の先生だったのでした。
対峙する五月に向かってくる先生ですが、ガシャンと音がして五月が撃退したのでしょうか?今回モノが割れる描写が多い(笑)。

一方美鈴を追いかけていった歩は、駅で美鈴をみかけ、迷わず一緒に電車に乗り込み、一緒についていくと美鈴に伝えるところで第6話は終わっていました。

第6話はめちゃくちゃ良い展開で終わりましたねー!単行本でもここまで収録してくれたらさらに評価が高くなったかもしれない。
雑誌読んでる身としてはどうでもいいような細かい話だと思うんですが、百合好きで単行本しか買ってない人は意外とこういう細かいところで作品全体を評価してしまうところがあるようなので、そうなってしまうと惜しいですね。
しかし覚えておいてください、美鈴を襲った男も未遂で終わっていますし、歩も美鈴とずっと一緒にいたいという百合的にも良い感じのところで第6話は終わってますから!
うちのサイトでもネタバレをしてしまいましたが、でも「ブルーフレンド」1巻が好評なのは多分皆6話で話が好転するのを知っているからだと思う。でなきゃまたレイニーブルーだなんだと騒ぎになっていたでしょうからね。


靴下をはいてないっぽい美鈴のひざのあたりに頭を横たえ、美鈴の髪を手に取っている歩。タイトルは「フレンド」ですが、どう見ても友達以上の妖しい関係に見えます(笑)。

せっかくですのでりぼんに掲載されていたえばんふみ先生のインタビューも載せておきましょうか。
ニャン原:今までのまんがとイメージがちがうのニャ。なぜこれを描こうと思ったのニャ?
えばん:思春期に人に言えない悩みを抱えている女の子たちを描きたいと思ったのがキッカケです。
ニャン原:もしや、えばん先生も女の子に憧れたことが…?
えばん:私自身がおおざっぱで男っぽい性格なので、かよわくて女の子らしいコにはフツーに憧れを抱いていました…
ニャン原:ふーみんかっこいいニャ…。最後にりぼんっコにひとこと!
えばん:独特なテーマのお話ですが読んでもらえたら嬉しいです。
それで王子さま役の歩が妙にナチュラルなのか(笑)。物語は美鈴視点で描かれるパートと歩視点で描かれるパートがあるんですが、読者は歩視点の方に共感して読んでしまうかもしれません。ガチな百合っ子は美鈴の方なんですけどね(笑)。

美鈴はヤンヤンデレデレですね。いつも影からヌっと歩の前に現れる姿がちょっと怖いですが(笑)、まあでも可愛いです。
歩は役割的には女の子王子さまなんですが、遠い世界の憧れの人……ということは全然なくえらくナチュラルで隣にでもいそうな子です。読者は歩視点で作品を読んでいけるんじゃないでしょうか。
最後の方まで読むと五月が良い奴に見えてきて、彼女には好感を持ってしまいますね〜。

今回の「ブルーフレンド」連載開始にあたっては、「りぼん」巻末のアンケートでは「この作品を気に入った、気に入らなかった」の大きな質問のほかにも細か〜く質問があって、嫌いな人に聞く理由で「美鈴が嫌い」「キスシーンが気持ち悪かった」などの項目があった覚えがあります。なんともシビアなアンケートですよね。
なんとか1巻までは打ち切りにならずに済みましたが、りぼんでは次号最終回なので3巻はありません…。

まだ完結した作品ではないし、先の展開ばっか気になっちゃってまだこれからもうちょっと読まないと正直作品の評価も難しいかなぁ…と思っていたんですが、6話を読んだら印象が随分変わりました。やっぱり歩の「人生を賭けて美鈴を支えられる人間になりたい」宣言が大きかった。過去の男絡みのエピソードも大事に至らなかったこともわかったし、伏線もほぼ消化出来そうだし、かなり良い作品になるんじゃないかという予感がしてきました!

「りぼん」では次号第7話で最終回ということで、一時は残念な気分にもなったんですが、巻末に「2巻、2011年早春に発売予定」とちゃんと書いてありますし、落ち着いて考えればそれ程悲観的に考えることもないかなぁと思えるようになってきました。
一般の雑誌だと2巻目が全部埋まる前に連載が終わるのは打ち切りっぽいですが、「りぼん」ではこういう形は結構多いんですよね。うちで紹介した作品ですと「バドガール」とか「だまっていればの花愛ちゃん」とか。
問題は打ち切りかどうかではなく、ストーリーがちゃんと完結しているかどうか、作品自体の出来が良いかどうかですよね。
この作品はその点、伏線も回収出来そうだしハッピーエンドもすぐそこまで見えているし、あと1話で終わっても傑作になりそうな予感は充分にあるんです!

ストーリーも、進んだかと思ったらまた戻って、という繰り返しがやや多いような印象があったんですが、最終話近くまで読むとこんな展開も不思議と腑に落ちるものがあって、納得して読み返すことが出来ました。
絵柄も、第1話の時から少しずつ上手くなってますね。最新の第6話は、可愛さが安定していました。

NEKOMOCHIさんのところのブルーフレンドレビューが作品の良さを上手く語られているし、イラストも可愛いので是非参考にしてください♪

「りぼん」でこれくらい百合度が高い作品が載っていたのは、過去10年だと……ないですね。もうちょっと遡れば藤井みほな先生の「秘密の花園」がありますが、あれは雑誌掲載で読んでいた人なら知っている通り(私も当時「りぼん」読んでましたので…笑)、相手役の朔耶が途中までは男の子のように描かれていて、最終話2つ前でようやく女の子だということが分かるという、不意打ち百合展開だったからなんとか「りぼん」で打ち切られずに連載を続けられたのかもしれません。それでも私の記憶によると、朔耶が女の子だと分かってからは確かその後何号か休載になってしまって、ようやく再開されたと思ったら最終話だった覚えがあります。
あの単行本は通常のりぼんマスコットコミックスより妙に分厚いし、最終話1話前で一区切りついているので、ひょっとしたら最終話1つ前は1巻ラストの区切りで、ほんとは作者さんが考えられていたらしい「姫子のいじわる」エピソードなどで構成された2巻以降も作者さんは描くつもりがあったのに打ち切りになったんじゃ……とも思うんですよね。

その「秘密の花園」を除くと1990年代、1980年代まで遡ってもこれくらい百合だった作品って記憶にないですし、「りぼん」で百合作品を連載することはやっぱり難しいんですよ。この作品は「りぼん」では15年に1度くらいの少女漫画百合作品なんですね。これは是が非でも次に繋げなければほんとに……。
「ブルーフレンド」はもうじき最終回を迎えてしまいますが、この作品を応援すれば次の芽が出る可能性は充分にあると感じました。
作品自体も、特に終盤良くなってくるのでおすすめですよ。