コミックハイ! 9月号


表紙もあっことまりで森永みるく先生の「GIRL FRIENDS」の最終回が掲載されている、永久保存版なコミックハイ!
というわけで「GIRL FRIENDS」35話、最終話です。
最終話は高校3年の卒業式、そしてそれぞれの進路に進んだ後の姿まで描かれていて、まりの髪がどんどん伸びていっていることにも象徴されている通り、時間の流れを感じさせる展開でしたね。1年の2学期から2年までをじっくり描いてきたこれまでの作風とは対照的です。

卒業式の日に、お互いの両親と会ってまりとあっこが緊張するシーンは、後に2人で将来のことを考えて不安を感じている心情にも繋がっているのでしょう。2人で一生一緒に暮らしていくとすれば、ゆくゆくは両親にも関係を話さなければいけない日が来るでしょうし、あるいは友達にも……?
しかし2人で一緒に考えることが出来るなら、そんな不安にも打ち勝つことが出来る気分になれる強い2人の姿が描かれていました。

最終話は時間を切り取って映像に残せる「写真」が効果的に使われていましたね。
杉さんが機転を利かせて、卒業式の日の後、プリクラを撮るシーンも象徴的です。セーラー服姿でキスをしながら映る2人ですが、セーラー服を着たのは多分この時が最後だったと思うんですよ。
そしてその後、別々の専門学校に通う際もまりはその写真を待ちうけ画像にして大切に持っているから、専門学校に一緒に勉強する相手があっこと違う子でも、気持ちはあっこに繋がっていることが出来るんですね。
冒頭も3年の時に撮った写真が一杯出てきますが、写真の中の女の子たちの姿は完全に止まっているのと対照的に、本編ではまりの髪も伸びていって、どんどん時間が流れていく様子が強く感じられる演出になっていました。

みるく先生の作品で、こんなに時間の流れを強く感じたのは初めてです。いつもは女の子たちの限られた時間の一部の中でのお話を描いていたことが多かったので、時間が実際に流れていることを感じさせるお話がくると、急にそれまでの時間が、本当に大切なものだったんだなぁと実感がこみ上げてきてしまいます。
そんなことを強く実感してしまうのは、この作品が単行本5巻分にも渡って連載が続いたせいもあるでしょうね。
正直この作品が始まるまで、みるく先生が長編漫画の構成力までめちゃくちゃ持っていたことなども知りませんでしたし(単行本が2巻以上出るのは初めてでしたからね)、この作品のおかげでみるく先生の作品の、新しい魅力をたくさん知ることが出来ました。

そしてこの作品で描かれた女子同士の関係。
今なら女性同士の出会い系サイトもありますし、コミュニティやバーなど、女性が好きな女性が集まる場所はいろいろありますし、女性の恋人を求めて女性がそういう場に赴いて、成立するビアンカップルも多いと思うんですが、この作品ではそうではなく、普通に日常の中で女子同士友達を作ることが出来る学校という舞台にして、数多くの女友達の中から、自分にとって一番大切な人を見つけ、その人と恋に落ちていく過程が描かれていたところが魅力でしたね。

タイトルの「GIRL FRIENDS」というのはもちろんまりとあっこの2人をメインに指してはいるんですが、それだけではなく杉さんやたまみん、くのちんやうららなど、一緒に楽しい学校生活を送った女の子たちも重要な存在になっていたと思います。
つまるところ女子同士が出会って結ばれるまでの過程が描かれる百合作品に、女子同士楽しく過ごす日常をふんだんに取り入れたことによって、普通の百合漫画とは一味違う深みのある作品になりました。

続編はありうると思っていたんだけど……これまでとは違う時間の流れが描かれていた最終話を読むと印象がちょっと変わって、やっぱりないかもな〜と思ってしまいました。なぜならこの作品が第1話から最終話まで、あまりに完成された世界だと思うから!
この完成された世界に続編を作って、それが蛇足にならないようにするのは……かなり難しいことのようにも感じられます。
いえ、秋にはドラマCDも予定されていることですし、まりとあっこの姿自体は必ずまた見れると思うんですけどね。ただ、続編シリーズとなると難しいかなぁというのが私の今の率直な感想。今後2人の続編があるとしても、それは切り口の全く違う作品になりそうですね。

そうなってしまうと、本編でまりとあっこの姿を見れるのはこれが最後になってしまうということで……あーやっぱり泣けるなあもう!
最後、どんどん姿が変わって新しい生活を始めているまりをみると、本当にこれで最後なんだなぁという実感がこみ上げてきてしまいます。でもまりが最後まであっこと繋がって愛し合って暮らしている様子を見ると……これは悲しくて泣いているのではないのですよ(笑)。嬉しくて泣いているのです……。


ともあれ森永みるく先生、長い間連載お疲れ様でした。特に「ガルフレ」が毎月連載になってからは大車輪の活躍でしたからね。しばらくはゆっくり休まれて充電するのも良いんじゃないかと思います。素晴らしい百合作品を描いてくれてありがとう、と言いたいです。