めくりめくる(1)

百合度★★★☆☆

移り変わっていく季節をテーマにしつつ、少年少女たちの日常を軽やかに描いた青春オムニバスストーリーです。全6話中、3話が女子2人の関係のお話でしたね。

第1話。夏(♀)をお花見に行こうとしきりに誘う咲(♀)、夏は委員会の仕事で忙しいため、なかなか付き合って行くことが出来ず、強がって一人で行こうともしてみるのですが、全然気分が盛り上がらず結局「1人で行ってもつまんないよ…」と涙目になって途中で戻って来てしまいます。
そうこうしているうちに雨が降って桜は散ってしまうのですが、後で夏と一緒に行った桜の木の下には花びらがいっぱい敷き詰められており、そこに寝転がって咲は夏と2人でいることに幸せを感じるのでした。さくらの花びらをかけてもらう咲がめっちゃ嬉しそうですね。

描き下ろし4コマでは、咲がその後桜の花びらを瓶詰めにして、花びらシャワーをいつでもやってもらおうとするものの、花びらを腐らせないために押し花にしなければいけないということで、やっぱりつきあわされることになるものの、今度は夏は快諾してあげてるのが良いですね。

第2話は男の子絡みのお話でしたが、雨の日のぼさぼさになったヒロインの髪の毛にクラスメートの女子が顔を埋めスンスン匂いを嗅ぎ、「いい匂い、あたし、好き」と匂いを嗅ぎ続けてしまうシーンがありました。

第4話は友達が出来なくて1人悩んでいる少女が綾戸さんが、クラスで慕われている橘さんに出会って…というお話。
また会えるかなぁと期待しながら神社に来てしまったり、ほんとに会う事が出来て「どうしよう、どうしよう、なんて話しかければ…」とドキドキしてしまう綾戸さんが良いですね。
橘さんの絵馬の隣に自分の絵馬をかけようとする綾戸さんがまた良いですが、そこで橘さんが書いていた絵馬に「友達ができますように」と書いてあって「なんで?」と思ってしまいます。
実はクラス委員という立場でちゃんとした友達が出来なくて悩んでいたという橘さん。
そこで綾戸さんは思い切って「あたしと…友達になって!」と叫んで、後からわたわたしてるのが可愛いですね。
そんな綾戸さんを見て橘さんも「むしろあたしなんかでいいの?そんなに言われると照れちゃう」「よ、よろしくお願いします」とお互い赤くなった後かしこまってしまって良い雰囲気ですね。

単純に人と接する機会がなくて友達がいない綾戸さんの気持ちも、クラス委員になってやっぱり友達が出来ない橘さんの気持ちもなんとなく分かりました。綾戸さんは昔の私で、橘さんは今の私みたいな感じがする(笑)。

第5話は文化祭の演劇で幼馴染みの七海に指名され、お姫さま役をやることになったヒロイン小姫のお話。お姫さま役をやることも、「ひめ」と昔から呼ばれることも最初は抵抗があった小姫ですが、王子さま役をやる女の子七海と屋上で2人きりで一緒に練習をしているうちに仲が良くなり、本番で躓いてピンチのシーンを助けてもらい、キュンとしてしまったのがトドメになり、以後は小姫も七海の胸に額を埋めたり、「2人きりの時だけね」と言いつつ、自分を「ひめ」と呼ぶことも許してあげることになったりして、良い雰囲気になりましたね。
「姫」の王子様を自ら志願して、実際に王子さまのように守ってあげる七海が良いですね。
話の後のページや、あとがきでこの2人は描き下ろしカットがあるんですが、どちらも七海が小姫に後ろから抱き付いている絵で、守ってあげつつくっついていたいという七海の気持ちが伝わってきます。

どのお話もとても爽やかで良いですね。短編集で女子同士のお話は独立しているので、それだけでも楽しめますが、男の子が絡む話かどうかに拘って、線引きをしない方がよりいっそう作品を楽しめるでしょう(笑)。