会長と副会長
袴田めら
百合度★★★★★(5.5)

この作品も面白かったなー。
この作品、百合姫S VOL.3から連載が開始してて意外に長いシリーズだったんですよね。4話くらいで単行本1冊になる百合姫コミックスの中では珍しく、雑誌掲載分だけでなんと10話もあります。単行本では10話全部収録!さらに後日談のラブラブ話までついてきます♪

連載開始が古いから、最初の方の展開を知らない、あるいは忘れてしまったという人も意外と多いのではないでしょうか?
最近読み始めた人は、第1話で会長の方が語り手になってる展開が意外に思われるかもしれません。物語が副会長視点に移ったのは2話以降なんですよね。しかも求愛してるのが会長の方から一方的に、という形になってるのも、今となっては珍しい光景に見えますね。

第2話で体育の時間でも一緒に組む相手がいなかったり、一人きりでお弁当を食べていたりと孤独な副会長から物語が語られてるシーンは、思わず共感してしまう読者も多いと思いますよ。私も学生時代はこんな感じだったなぁ(笑)。
袴田めら先生はあとがきなどを拝見すると麻雀仲間などが多くて友達も多そうなんですが、友達が作れなくて悩む女の子ってよく描かれますね。達観したところから見れるからそういうキャラクターが描けるのか、あるいは私みたいに昔は友達が少なかった経験があったから描けるのか…ちょっと気になってしまいます。

描き下ろしでは、恋人同士になったのになかなか会う時間が増えないことを寂しがる副会長ですが、待ち伏せしてくれた会長が、自分の肩に頭を乗せて甘えてきて、お泊りも提案してきます。2人は一度エッチもしてしまった仲ですから、多分今夜も…(笑)。それも見越して副会長はお泊りセットを常備していたんですね。

カバー下にも描き下ろし漫画があります。2人がコントしてるような話ですが、これは会長の妄想なのでした。しかし副会長の冷静なツッコミも久しぶりに見れて良かったです(笑)。
夢の中ではラブラブな生徒会長(♀)と副会長(♀)。でも現実では仕事をしない会長に副会長が愛想をつかしかけているというのが現状なのでした。「有能な会長の側で働きたいわ」とつっこむ副会長に「やだ!僕以外の相方なんてやらないで!」と会長が泣きついて、その後は意外にしっかり仕事も出来る事も見せて副会長も見直すことになりましたね。

第2話だけ雑誌掲載時は「人を寄せる人」というタイトルでした。しっかりしているようで実は友達がいないことにコンプレックスを抱いていた副会長ですが、自分を特別に想ってくれる会長に自分も副会長として協力してあげることが出来、特別な嬉しさを感じます。

一緒に組む相手がいなくてオリエンテーションが辛いものになるのではないかと心配する副会長ですが、会長がこっそり「我々も交流を深めようではないか」と耳打ちしてくれて憂鬱も晴れます。一緒に組む相手は心配なくなったものの、会長は全く心配していなかった暑さのほうは対処が充分でなく倒れこんでしまう会長ですが、坂を上ったらのご褒美と考えていた副会長の望み……寝ている会長の首筋にキスをしたいという副会長の望みはかなえることが出来たようですね。

書記の桃井ちゃんは前にゲームで会長と一緒に遊んだりしていた子ですが、会長のことが好きだったんですね。副会長が会長の首筋にキスする現場を見て我慢が出来ず、会長が男と映っているプリクラ(兄だとかなんとか、どう見ても何か事情がありそうですが…笑)を見せつけわざと男がいるように見せ、可愛い顔をして怖いですね。しかし「負けないんだから……」とこちらも会長に一途なことには変わりないようです。

書記の女の子に言われたことが気になり、「組み敷いて、全部なぞって、ギューってしたいもん!!」と思い詰め涙まで流してしまう副会長。慰めて「なんでも受け止めるよ!!」と言ってくれた会長に告白、さらに性急にキスまでしてしまうのですが、告白してキスまでしてしまった副会長に会長は戸惑った表情になってしまって……。
しかしプリクラの相手も父ということで誤解も晴れ、告白された時に指の先まで満ちたり、ヴァンパイアが百年ぶりに処女の血を吸うことに成功したような電気が走ったと応える会長はやはり副会長の気持ちには応えたい気持ちがあったというものの、「不特定多数の誰かの特別になりたい」と考えてしまう会長は他の子にも手を出してしまうかもしれないと言い出し、この辺は意外な展開でしたね。確かに大勢の人の前に立つ立場になると1人の人のことだけを愛する気持ちを持ち続けることが出来なくなることはあると思います。相手が異性なら、周りにおしどり夫婦ぶりを見せて株をあげる効果もありますが、同性ではそういう効果が得られることは少ないですし。
耳を噛んで副会長の眼鏡を外す会長。身体の関係も求める会長に、こんな愉悦を知って拒否できるわけないと受け入れてしまう副会長。この後2人はエッチをしてしまったようですね。

会長とセックスをした時の事を思い出して、ビクンとしてしまう副会長が可愛いですが、さっそく会長が書記の女の子に告白されて、抱きしめて返してあげているのを見てしまいます。副会長が見ていたことも知って告白し、さらにキスもしてくる書記の子は怖いぐらい積極的ですね。

会長が書記の女の子に身体を許してしまうのか……という展開は気になりました!
書記の子は後で泣きながらも副会長を会長の元へ後押ししてやって、最後に良いことをしましたね。
書記の子を慰めていた女の子は会計の子ですね。第1話にちょっとだけ出てきていました。
会長が他の女の子にも手を出すことを実感して一時は恋を諦めようとまでしていた副会長ですが、後押しされて、「この恋を捨てるなんて、やっぱりできない。初めて見つけた宝石みたいに光る気持ち」と感じ追いかけていき、積極的になりましたね。
一方会長は両親が離婚する事が決まって、自分にも独占欲があることを自覚し、相手の気持ちも分かるようになる展開は上手いですね。
元々母親とは別居していた会長、父親も離れていってしまうということは、本当にひとりになってしまうということなんですよね。相当ショックなことだったろうと思うのですが、現実的にこういうことはしばしばあるような気がします。
そんな時、側で支えてくれる子がいたら心強いですよね。
会長が改心する理由としては充分な出来事だったことでしょう。

そして最終回は一転して楽しい展開に♪心も晴れた会長、副会長が文化祭を楽しむことになります。劇的な展開ではないですが、こういうお話があると嬉しいですよね。侍姿の副会長が可愛すぎ!眼鏡を外したものの近眼で目を眇めてるところがまたチャーミングですね(笑)。


装丁はこれまでとは違う方を起用されているんですが、今回も良いですね。袴田めら先生はわりとデザイナーの方をちゃんと選んでいる気がするんですが、やはり今回も良い感じに仕上がっていました。

袴田めら先生の作品は、百合姫or百合姫Sが届いた時、真っ先に読んでしまうことが多いですね。設定も登場人物も多すぎず、話も絵柄もすっきりしていて非常に読みやすいから、真っ先に読みたくなってしまいます。一番読みやすいですし、それでいて展開は意外で面白くて、どうやったらこんな展開を思いつくんだろうなぁといつも感心しながら読んでしまいます。
ただ読みやすいわりには百合好きのステロタイプなお話を描くことがなく、オリジナリティ溢れる展開のお話が多いため、特に初心者の百合好きには袴田めら先生の作品の良さがあまり分からないように感じられることが時々あって、それは残念ですね。作品の読みやすさ、オリジナリティなどはもっと評価されてしかるべきだと思うのですが。
ともあれ袴田めら先生の作品は私は大好きですし、是非これからもずっと応援しつづけていきたい作家さんですね。



袴田めら先生が以前に出した百合姫コミックス、「この願いが叶うなら」の紹介はこちら



「夜空の王子と朝焼けの姫」(百合姫コミックス)の紹介はこちら



「わたしの大切なともだち」の紹介はこちら



「暁色の潜伏魔女」の紹介はこちら。



「最後の制服」の紹介はこちら


百合姫編集部では最近、昔出てたティーンズラブや女性作家によるちょっとHな内容も含む作品の新装版を出す事業にも手を出しているようですが、「最後の制服」みたいな作品こそ新装版で出すべきだと思いますよ。
…というか絶版にさせたままの芳文社はどうなっとるんだという気がしますが。百合姫のライバル「つぼみ」を出してる出版社なのに!
ここで百合姫が新装版出したら百合姫の株はつぼみを抑えて上昇すること間違いなしですよ?編集者さん、このチャンスを生かしてみませんか?(笑)

これから発売される袴田めら先生の百合姫コミックス「それが君になる」の先行レビューはこちら