百合少女(3)

百合度★★★★★(5.5)

百合少女VOL.3、どんどん方向性が固まってきたように思えましたね。
今回も同人活動をされている方を中心に構成されていて、同人色が強いことには変わりないんですが、VOL.1から比べて全体的に少女漫画的な作風の人が多くて…まあ要するに私好みのアンソロジーになってきたってことなんですが(笑)。
参加されている作家さんも、今回は全員女性だったように見えますね。
そして後半は女子同士のキスシーンがある作品が多かった(笑)。
同人系なんてクオリティ低いから全然興味ない、という人にはおすすめしませんが、同人系の百合作品に興味がある人は必見!です。
百合を描きたそうな作家さんも増えてきて、クオリティもあがってきましたね。

今回は茉崎ミユキ、東風実花、宙花こより先生が初参加!
東風実花先生は「わたおぱ」とは全然違う作風でびっくりするかもしれませんよ(笑)。

・「イエイオン」(未幡
今回も加賀先輩と雪峯さんが登場していましたね。今回のヒロインの志戸さんは誰かへの恋文をしたためていて、加賀先輩に出すラブレターだと思った雪峯さんは手伝ってあげることになるのですが実は出そうとしていた相手は…というお話。ミスリードが上手いですね。
好きなのに気持ちを打ち明けられない少女がいることを知った雪峯さんは、やるせない気持ちになって加賀先輩にしがみついて…まだこの2人はこれから進展しそうな雰囲気もあります。
タイトルのイエイオンとは、1ページ目で志戸さんの隣で咲いてる花なんでしょうね。背丈は低いですが意外と丈夫なところが、志戸さんの性格を表しているのかもしれません。

・「あなたの隣に」(北条KOZ)
確かに高校違っちゃうと、お互いが意思を持って一緒にいようとしないと疎遠になりがちになりますね。
8ページだけだけど、この作品は分かるなぁ。

北条KOZ先生は同日22日発売のflower festaというアンソロジーにも参加されるそうで、こちらもなにやら百合要素が多くなりそうで気になります。
今頃気付いたんですが、西UKO+北条KOZ先生って「ひみつの階段」のファンサイトの管理人さんだったんですね。私ネットを始めたばかりの2001年頃〜このサイト開始するまでよく通ってましたよ、ドリキャスで(笑)。そんなお2人が今では百合漫画で商業デビューされているというのはなんとも感慨深い。

・「セシル・レプリカント」(東風実花)
仕えるレプリカントのセシルに、いつもは不平ばかり言っていたヒロインのエルザですが、寿命で処分されるかもしれないと聞いて…。
最後、お婆ちゃんになってしまったエルザを、まだなお仕えしているセシルの姿が胸を打ちますね。

東風実花先生は言わずもがな「わたおぱ」の人ですが、百合好きにはそれよりむしろ以前「MINCE PIE」名義で発表された、「苺バーレスク」「夏のかげろう」などが好きだったという百合好きが多いかもしれませんね。良い百合を描く人なんですよ。
しかし東風実花の作品がダーク調で純愛鏡先生のがコミカル調になるとは誰が予想できただろうか(笑)。

・「くまっくま」(純愛鏡
前回はドラマチックなお話でしたが今回は打って変わってラブラブな姉妹百合のお話。上達したのか時間をかけたのか、前回より絵柄がかなり可愛くなっている印象があります。作風を変えたせいもあるのかもしれませんが。
お姉ちゃんに自分の部屋にまでクマグッズを持ってこられて怒る妹。クマグッズが嫌いなのか…と思いきや、自分からクマアクセサリーを作ってあげたり、最初にクマの人形をプレゼントしたのも妹ですし、クマが嫌いなわけじゃないんですね。ご褒美がクッキーもクマですし(笑)。ただ、姉が勝手に買ってくるクマや、他のクラスメートからもらうクマに嫉妬していただけだったのでした。
「お姉ちゃん…!?クマと会話とかないよ!!」って笑った(笑)。
前回も姉妹百合、今回も姉妹百合…なんですが同じ人が描いたのかと思う程作風が全然違う(笑)。
前回のダークな話とは打って変わって楽しいお話でした。

・「ヒミツのラブゲーム」(宙花こより)
レンアイゲームが好きなヒロインが、ゲームの中の子がリアルで片想いしている後輩の女の子だったら良いのに…と思ったら本当にそうなってしまうお話。
宙花こより先生は「コミックアニカラめいつ」「ひだまりスケッチ アンソロジーコミック(2)」でうちのサイトでも紹介したことがある作家さんですね。

・「先生の事情」(北尾タキ
あとがきでは謙遜されていますが、今回もしっかりとしたストーリーで、ラストのキスシーンへの展開もばっちりでした!

・「まっすぐ君に」(みとうかな
絵柄がまた上達されたような?一目惚れは信じられなかったという水音ですが、半年見てきた柚によって気持ちも変わってきたようですね。クラスメートの前で柚にキスをしてしまう水音が大胆です(笑)。

・「Love Letters」(四位広猫
この作品はベタとトーンの話だけ話題になってしまいそうな気もするんですがまあそれはさておき(笑)。
ボーイッシュでとっつきにくそうな女の子が、机上通信の中でだんだんヒロインと打ち解けて、最後「あなたが好きです」と書き綴ってしまって、ヒロインもそれに答えて「いっぱい言ってあげる。かわいいとそれから、大好き」と耳打ちする展開が良かったですね。
四位広猫先生はこないだ描かれていた「嘘つきは姫君のはじまり」のコミカライズも良い感じでした。

・「私だけの」(ちんじゃおろおす
いじめっこからいつも守ってくれて、自分だけの王子様で初恋の相手だった海と離れ離れになってしまい、再会してもその気持ちは変わらなかったというお話。
再会してかああっと赤くなってしまうヒロインのほたるが可愛いですね。
ほたるをもう守ってあげられなくなったから柔道をやめてしまい、海も寂しい気持ちを抱えていたという…やはり海も女の子、弱いところもあることが分かる展開にきゅーんと来てしまいます。
変則的な百合作品ばかりの方だと思っていたんですが、意外にストレートに良い百合作品を描かれていてちょっとびっくり(笑)。

・カラーイラスト(茉崎ミユキ)
茉崎ミユキ先生は、「ひらりVOL.1」「百合姫Collection Vol.1」にも参加されていたのでご存知の方も多いでしょう。
茉崎ミユキ先生のカラーイラストって、商業誌で見るのは初めてのような。とっっっても綺麗なイラストです!
耳元で囁いている言葉が気になりますね。聞かされた女の子が頬を赤らめていて、2人の間でだけ交わされるナイショ話だったようです。何かエッチな内容も含んでいたのかもしれません(笑)。
2人で制服&うわばきで芝生の上に座っていて、学校の休み時間の一コマなのでしょうかね。

Cover illustration(早瀬あきら

お互いの膝を割って座っているのが密かな萌えポイント(笑)。恋人繋ぎではないですが、こんな手の繋ぎ方も良いですね。

巻末の編集者コメントに「今年にはいってから入院される先生方が続出しております。早めの検査と養生、心がけてくださいね。そして私に素敵な作品を読ませてください〜。」とありますが、編集者さんが作家さんを気遣っていることが分かりますね。

それにしても、このアンソロジーが発売される情報をお寄せくださった田中琳先生自身の作品が、ご病気により掲載出来なくなってしまったのは残念です。
田中琳先生の作品はもうプロットも通っていたそうで、ちゃんと掲載される予定だったであろうのに、病院の検査結果で状況が一変してしまいました…。前回はスケジュールがきつかったので8ページの漫画で顔見せ程度でしたが、今回はもっとたくさんの原稿が掲載されるんじゃないかと私も期待していただけに、やはり返す返す残念です。

しかし田中琳先生がいないとはいえ、このアンソロジーはなくなってもらっては困りますからね。
大変なことになるかもしれませんが、田中琳先生は退院されてリハビリもされて、きっと復帰される日は来るでしょう。
しかし多分、病気が治ったからといってすぐにエッチ系を描くのはキツイと思うんですよ。
同じようにがんを患った作家さんとして雪村理子先生がいますが、理子先生はもう復帰はされていて、一般の漫画はちょくちょく掲載されているものの、エッチありのティーンズラブ作品はお目にかけなくなって、最近「恋愛天国」に寄稿された作品も、途中までは描けていてそろそろエッチシーン…というところで急に話が終わってしまい、ちょっと不自然な感じだったんですよね。
雪村理子先生はtwitterなどを見る限りお元気そうなんですが、お仕事ぶりを見ると、そういう障害はあるのかなぁと感じてしまいました。
エッチ系の作品って大病を患った後楽しむのは難しいと思うし、ましてやお話を考えてペンで描くのはさらに体力がいると思いますからね。

だから田中琳先生も、病後しばらくは非エッチ系でのんびりやっていただいて、本当に元気になったらまた「百合姫Wildrose」などで活躍してもらえるのが理想です。
その点、このアンソロジーでは田中琳先生の一般向け百合作品が読めることですし、プロットももう出来ていたということで、後はこれを完成させれば良いだけなわけですから、最初に復帰する場所としてはうってつけです。

多分コスミック出版の編集部の方も、田中琳先生が参加出来なくなってしまったことは痛手だったことと思いますが、田中琳先生が復帰されるまで頑張って、シリーズはなんとしてでも続いていてほしいですね。

前回VOL.2に掲載された田中琳先生の作品、「さくらさくら」の2人のように、しばらくは会えなくなって(作品が読めなくなって)、あるいは音信も不通になってしまっても、またこの「百合少女」で田中琳先生の作品に会うことが出来たら…そんなハッピーエンドがやってくることを切に願っております。

百合少女VOL.1の紹介はこちら
百合少女VOL.2の紹介はこちら