第2話「その本との出会い」






こうして、千春は新しいクランのリーダーになった。
クランの名前は、他にいい名前が思いつかなかったので、そのまま「アメリカンショートヘア」にした。



こうして、集まった9人によって、クラン「アメリカンショートヘア」が設立された。名前が長いので、クランのみんなは「あめ猫」と呼ぶようになった。


1人は千春の独立を知り、すぐに他のクランからかけつけてくれた。

こうして「あめ猫」はあっという間に10人になった。





「千春さん〜〜。久しぶり〜。」


「やっほー!鳩山さん元気だった!?( 'ω' )」




10人目にかけつけた彼の名前は鳩山さん、といった。
鳩山さんは旧クランからの知り合いであった。鳩山さんは温和でとてつもなくマイペースな人柄だった。

しっかりメールの指示を見ていないことが度重なってしまい、前クランのリーダーに蹴られていた。鳩山さんと千春は趣味や年齢が近いこともあり、仲が良かったため、千春の独立を知ると、すぐに駆けつけてくれた。


こうして、千春、シロちゃん、鳩山さんをはじめとする10人で、ひとまずクラン戦ができるようになった。


「なんだか上手くいきすぎてる様な気がする。。。このまま上手くいけばいいけど。。。」

心配性のシロちゃんが呟いた。

「シロちゃんなんでー?クラン戦できるじゃん。」


「千春さん、普通クラン始める時ってさ、もっと苦労するんだ。人が集まらないからね。クランを始めてたった、2.3日でクラン戦が出来るなんて、普通そうそう出来ないことだよ。」

「えっ!そんなもんなんだ…。」



「そうだね、俺がそうだったからさ」

シロちゃんは言った。


 


なるほど。


…シロちゃんは前のクランを始める前に1度リーダーをやった事があったのか。


千春は3ヶ月ほどシロちゃんと同じクランにいたが、前のクランに入るまでシロちゃんがリーダーをしていたことなどは、まったく知らなかった。



あのしっかり者のシロちゃんでもリーダーする事は難しいのか。だからリーダーしないって、この前言ったのかなぁ…


千春は急に不安になってきた。特に何も準備していなかったし、リーダーをやる上で何かアイディアがあるわけでもなかった。


簡単にリーダーなんて引き受けるんじゃなかった…どうしよう…。

 


「私もリーダー頑張る!みんなもアメショー頑張ろうね!」


表では意気込みをみんなに見せながらも千春はとても動揺していた。





そんな中で千春は、ある一冊の本と出会った。「マネジメント」という本だった。


著者はドラッガー、有名な本で千春もタイトルだけは知っていた。





千春は休暇中に帰省した際、偶然その本を見つけた。



千春の父は本を買って読むのが好きだったが、仕事が忙しく、買うだけ買って読まない本がたくさんあった。その読まれない本の数々は、家のいたるところに積まれていた。



「マネジメント」の本はリビングのソファーの横のサイドテーブルに積まれていた。

千春がソファーでくつろいでいる時に、その本が偶然目に入ったのだった。試しにパラパラとめくってみた。

その本は経営者の経営論などについて書かれている様だった。専門用語などもたくさん書かれており、パラパラとめくるだけで千春は目が霞むような気がした。



「マネジメントかぁ…広くクラクラのリーダーも組織としてみれば、マネジメントなのかなぁ…」



 
きちんと読むこともなく、パラパラとページをめくり続けていると、千春の目はこの本のある一小節に引っかかった。


「マネジャー に出来なければならないことは 、そのほとんどが教わらなくても学ぶことができる。」


教わらなくてもできる…?



「しかし、学ぶことのできない資質、後天的に獲得することのできない資質、初めから身につけていなければならない資質が、一つだけある。 才能ではない。真摯さである。」(130p,ドラッガー,2001)



「真摯さ。。」


千春は小さく呟いた。




パラパラとページをめくる手を止め、ふと思案した。


…とりあえずクヨクヨ悩んでるところをみんなの見えるところで出してはいけないな…


この本が、どういう事を書いているのか千春はこの時、まだよく理解できていなかったが、とりあえずひたむきにクラクラのリーダーを頑張ってみることに決めた。

とても不安ではあったものの、とにかく迷っていても始まらないので、
何をすればいいのか具体的にはわからなかったけれども、とにかく真摯にやってみよう、頑張ってみようと心に決めたのであった。


千春は、この本、「マネジメント(エッセンシャル版)」をこっそり下宿先に持って帰ることにした。父に内緒で。






つづく≡( ε:)