第3話  アメ猫って何やねん






本編

実家から帰る途中の電車の中で、千春はその本、の『マネジメント』をパラパラとめくった。

読み進めていくうちに、その本は主に企業の経営について書かれている本だということが分かった。見出しに釣られてしまった千春であったが、その内容はクラクラのクランの運営と企業の経営はとても遠い話に思えた。

けれども、大きく考えれば、多くの人で集まって、対戦をやっているクランも、大きくみれば組織、といえそうだなと、千春は思った。組織の経営を学ぶ事は、クラクラのリーダーをすることにも、いくらか当てはまるのではないかと考えた。

せっかく父に内緒で持って帰ったのだから、企業の話ではないけれど、せめて組織全般に広く当てはまりそうな部分ををピックアップしながら読み進めていくことにした。



組織の定義付け

あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向づけ、努力を実現するには、「我々の事業は何か。何であるべきか」を定義することが不可欠である。(ドラッガー,p22)



うーん。事業は何か…組織…クラン「アメリカ猫」でやることは何か、って事だよね?

クランで何をするか、クランが何であるべきか考えるのが大事ってことか…?


単純に、クランでやることは、「クラクラで遊ぶ、みんなで対戦をする」ことじゃないのか?と千春は思ったが、そんな簡単な話でもなさそうだった。以下の文が目に付いた。



自らの事業は何かを知れば知ることほど、簡単で分かりきったことはないかと思われるかもしれない。鉄鋼会社は鉄を作り、鉄道会社は貨物と乗客を運び、銀行は金を貸す。しかし実際には、「われわれの事業が何か」の問いはほとんどの場合、答えるのが難しい問題である。分かりきった答えが正しいことは、ほとんどない。(ドラッガー,p23)


なんかここでは、単純にクランは対戦をやります、対戦を頑張ります、ってわけじゃないんだろうなぁ。

どういうことなんだろう?何を意味してるんだろう?

千春は一旦本を閉じて、電車に揺られながら、眠りについた。





数日後、千春はしろちゃんと相談していた。クランの募集ページ、クラン概要や、ルールをwebに作ってほしい、と打診された。新しい人をクランに呼び込むためだ。




千春は、アメ猫をどんなクランにしたいか考えた。仲間みんなで協力しあえる、対戦の強いクランをつくりたいなぁ。という、漠然とした、思いであった。


試しに他のクランページを見てみたが、いまいちピンとこなかった。


どのクランも対戦はそこそこやってるし、対戦勝てます。強いです。楽しいですよ。ってクランだけでも、沢山あるじゃないか。

アメ猫の特色って、何だろうな?アメ猫って何なんだろう?


これがあの変なおっさんの本でいうところの組織の定義付けってことなのかなぁ…難しいよー何をページに書いたらいいんだー( ¯−¯ )




でも、せっかく前のクランを出たんだから、前のクランではできなかったことをやりたいな。当面は、前のクランを超えることが目標だな。



千春は漠然とそう思った。
そう遠くない過去のことを、振り絞るように思い出していた。


そうだな…前のクランは強かったけど、もっと周りとの連携が欲しかったかな。フォローいく人も、ほとんど固定されてたしなぁ。

あとは、対戦の時、攻める場所が、ほとんど同番か、前後に縛られてて、下の番号の自分はなかなか上の番号に、挑戦できる機会がなかったから、もっとクランの人全体が挑戦してもらえる環境も、作りたいな。もちろん対戦も勝ちたいしな。

しろちゃんも動きすぎて潰れそうだったしなぁ。負担が少ない方がいいよなぁ。


「挑戦」と「連携」、「負担分配」が、キーポイントなのかな。
少し前に進んだような気がした。


千春は他のクランの見よう見まねでページを作った。援軍の規定や、対戦の規定を試しに作ってみた。

特に挑戦や連携のできる環境を大事にしています!と試しに書いてみたものの、あまり読み手に伝わっているような気がしなかった。


まぁとりあえず、もがいてみるしかないよなぁ。うーん。

アメ猫が何なのかっていうのは、アメ猫で対戦頑張りながら、ぼちぼち考えていけばいいか。とりあえずもう少し人が来てほしいなぁ。10人対戦ギリギリだし。


そんなことを千春は思っていた。




つづく