年が近く仲良しの従妹(A子)と近所の幼馴染(X男)の話です。
X男は不細工というほどではないけど野暮ったくて異性には好かれないタイプ。
でもおばちゃんやおばあちゃんには好かれる。
ダサめの女の子がおっさんに「うちの息子の嫁に」と言われる性別逆パターン。

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X男はA子両親にすごく気に入られて両家は家族ぐるみの付き合い。
A子はX男なんて相手にしないし、X男も「A子の気持ちが追いつくまで待つ」と
上から目線で落ち着いていたので、親同士が「いずれは…」と言ってるくらいだった。
A子が社会人として働き始め、彼氏(B男)ができたという話を聞いて
A子両親&X男、X男一家が発狂。
曰く「婚約者のX男を差し置いて、浮気とはひどい」



この時点で婚約どころか、A子とX男はデートもしていない。
A子一家とX男一家で食事や日帰り旅行に行った事があるので
それが家族ぐるみのデートとなっていたとか。
あとX男は休日もせっせとA子家に通い、A子両親に尽くして婿修行wしていた。
当然A子は「X男くんをそんな風には見れない」とお断りするが
周りは「本当に幸せにしてくれるのはX男だ」「結婚すればわかる」と言い張る。
X男は変わらず「A子の気持ちが…」と自分から積極的に動かないまでも
A子家に泊まるようになり、どんどん距離を詰めてくる。

A子はもう成人していたので両親を見限り、実家を家出同然に飛び出して
B男と同棲を開始。
私を含めた仲のいい男や友人で荷物運びだし、実家とは暫く音信不通。
やがて数か月後、A子は妊娠した。
B男は結婚するつもりだったので、そこは問題ないがやっぱり実家の事が気になる。
いろいろ相談した結果、A子母にだけ妊娠と結婚する事を報告してみることにした。
A子が自分で電話して告げたところ、A子母は絶句。
「お母さんの思う通りの相手じゃないけど、私の選んだ夫と子供。
 X男くんのことは諦めて、ちゃんと受け止めてほしい」と伝えて電話を切った。
数日後、A子両親から電話が来た。

「あんた(A子)の妊娠をX男くんに告げたらX男くんが自殺した。
 今晩〇〇(隣市の公共施設)葬式があるから謝りに帰ってこい」
A子は動揺、行くか行くまいか迷うも妊娠を伝える電話で住所も教えていたので
後から自宅に来て責められる事を恐れて自分から行くことにする。
B男は仕事で不在、味方の中で空いているのが私だけだったので私付き添い。
X男家の葬式会場は、普通の葬式と違ってくじら幕や提灯はなく
花がたくさん飾ってあり、奥にぽつんと棺があった。
私たち以外の参列も無し。
私たちが入るとX男母が「ああー」と大きな声を出してその場に倒れ
X男父がそれに付き添って退場。
A子両親が「X男くんの棺に何か言う事はないのか」と言って来て
私たちは何も言えないまま、香典だけ置いて逃げ帰った。


その後、仕事から戻ったB男や友達とみんなで「悪いのはA子じゃない」と
言い聞かせて慰めるも、A子は憔悴。ストレスからお腹の子は流産。
B男は「流産するほどショックなんてX男と何かあったのでは?」と
疑心暗鬼になり、最終的にA子とB男は破局。
疲れ切った様子で一人暮らしを続けるA子が見ていられなくて
私、他友人がA子実家にヘルプを求める。
「X男くんの事は悲しい事だけど、どうしようもないじゃないか。
 A子のせいじゃないと慰めて、優しくしてあげられないか」

そこで知った衝撃の真実。X男は死んでない。偽装葬式だった。
当時はやり始めた生前葬プランをカスタマイズして、知人のいない隣市で開催。
私たちが見たのは空っぽの棺だったそうだ。
呆然とする私を見て能天気に笑うA子両親。
あの、A子のお腹の赤ちゃん死んじゃったんですけど?ともう一回言うと
「かわいそうだけど、祝福されないししょうがない!
 X男くんもA子も若いからすぐできるよ♪」
香典返してくれるとか言ってたけど無視して家を出てA子宅へ。


同じことを電話で教えられたA子は私たちが帰る前に首つってた。


当時、運転免許講習で教えてもらったばかりの心臓マッサージをしながら
救急車呼んだけど、とっくに死んでた。全然意味なかった。

本物のA子の葬式でA子両親は泣き叫んでいた。
「何でなの?!」とか寝言言ってたので
「何でって、遺書読めばいいじゃないですか(殴り書きの遺書が残ってた)
 ていうか、遺書読まなくても、A子はX男くんと結婚なんて
 死んでも嫌って言ってたじゃないですか」と教えてあげた。

A子母は文字通り泡吹いて倒れたあと、急性の鬱?で未だに寝たきりらしいけど
ふーん、まだ死んでないんだとしか思えない。

偽装葬式を言い出したのはX男家だったらしく、ベッタリ仲良しだったのが
夜中に石や汚物を投げ込みあうような泥沼だって。どうでもいい。


長くなってすいません。以上で終わりです。
病院の待合室で読んだ漫画にニセ葬式の話があって急に記憶の扉が開いた…
唯一腹が立つのは、すでに実家を出ているX男が無傷らしいこと。
たぶんA子の事を悲恋の末に死んだ婚約者にでも仕立てて、話してるだろうな。
どこかで神様が因果応報にしてくれるのを信じる。


X男の嫌なところをわかってくれてありがたい。
公務員で高収入じゃないけど安定、高齢者には優しい。
見てすぐわかる欠点はちょいブサ顔くらいしかないので
X男批判すると「顔で見た目を判断するなんて」とこちらが悪者。
結婚はしたくない人なんだ、としか言いようがない。

B男はどうしているのか知らない。誰かA子の訃報を伝えたのか…
とりあえず私からは連絡してないし連絡先も知らない。
B男は一方的に捨てたわけじゃなくて、話し合って別れたらしいので
因果応報とまでは思わない。A子の流産と別れだけでも堪えているようだった。

A子両親からの嘘暴露の引き金を引いた私も罪がある。
全部思い出したのは久しぶりだけど、時々心臓マッサージしてる夢を見る。
自分の親がA子両親に同情的なので、私もほぼ絶縁状態。
家庭や恋愛を含めた幸せな人生なんて想像できない。

良い子の皆は人の生死をおもちゃにしないでね。