おはようございます、元キャナリーゼの森生ゆり子です。

クリスマスも終わり、間もなく年末ですね。そして年始。私も含め、世の中のお母さん達は休まる暇がありません。お仕事もされている方は大変だと思いますが、きっと色々策があり、専業主婦でありながらマゴマゴしている私などと違って、すいすいと切り抜けていらっしゃるのでしょう。

「ライトなラノベコンテスト」に参加中ですが、昨日書いて投稿した後初めて見直した「星新一賞」の小説の破壊力の凄まじさに反省し、益々マイペースで続ける事を決意しました。でも、R18文学賞の方は、何度も推敲し、手直しを入れたものですので、少々の期待はまだ残っています。こちらの一次選考は間もなくだそうです。ドキドキします、なんというか、あの小説も世に出たら、どうしようと思うと・・・

すみません、先に謝っておきます。

今日は「ライトなラノベコンテスト」の続きです。

「ブレイン」を操作し、英語で話す夫にゆり子は驚愕します。そして、とても違和感を感じました。TOEICのスコアは良くても英語が話せない、そしてご近所の外国人のママ友さんと挨拶するゆり子の横でもじもじしている夫、それがゆり子の夫だからです。ゆり子は思います。「この人、私の夫ではないんだわ、当たり前だけれども」

今日のお話は、ここから始まります。

「タクシー呼んだから行こうか?すぐ来るって」夫が言います。
「え?タクシー?いいですいいです、そんな勿体ない。私のタクシーポリシーは、タクシー遣っていいのは、お年寄りとけがをした人、妊婦さん、小さな子どもを連れた人、それから・・・」
「今日は遅くなったから、もう行かないと病院終わっちゃうよ」
「そ、そうですか?なら私、やはりサンと行きたい」
「え?ならそう言ってよ?会社早びけしたんだよ?」

夫はぶつぶつ言いながらも、なんとなくスマートな身のこなしでサンを呼びに行きました。やっぱり夫じゃないわ、こんなこじゃれた人、当たり前だけれども。そして案の定、部屋のドアの向こうでは、サンの怒声が聞こえてきます。娘は100年後も変わらないのね。「xxx買ってあげるから」夫が取引しながらなだめる声が聞こえてきます。

「もうっ」娘のサンが怒りながら部屋に入ってきました。「じゃあ、行く?タクシー下に来てるって」私はほっとしてソファから腰をあげました。それからまた夫に細々と注意されながら、サンとマンションの下に降りていきます。

マンションのエレベーターは、大きな縦に細長い透明なカプセルのような形をしていました。そして、高い!窓から見える景色で想像はしていたのですが、私達の住んでいる階は52階でした。どれだけ高層なのかしら?まだ上に階層があるようです。

エレベーターに、住居階のボタンはありません。エレベーターの中にある名刺大のパネルに指をタッチすると、自分の住んでいる階に行くようです。ボタンを押していけるのは、下b5~5階まで、それから最上階上から5階まで、多分、共用施設の階なのでしょう。今度探検してみたいと思います。

エレベーターの中にチラシが貼ってあります。どうも最上階には天体望遠鏡があり、星を観測するイベントがあるようです。英語なので詳しくはわかりませんが、近々開催されるようです。

「サン、これ行くの?」指をさして聞いてみます。
「うーん、どうしようかな。特に大きなイベントがある天体じゃないから、行かないかも」
「大きなイベントの天体って何?」
「え?うーん、彗星とか、流星群が来るとか、そういうの」

成る程ね。そういえば100年前の去年は、夏休みに山へ行って、流星群を観たのでした。娘は眠い寒いと泣きながら、寝袋に入って観測していました。懐かしいわ、100年前の娘はどうしているかしら?

そんな事を考えていると、エレベーターは一瞬で地上に着きました。耳も痛くないですし、ふわっとする違和感もありませんでした。そしてエレベーターを降りると、足が浮いています。ちょっと怖い、滑って転びそう。娘はスケートのように滑りながら歩いています。私も、と真似をするのですが、きれいに滑りません。

「ママのシューズはローラーがついていないから、滑らないわよ」

ああ、そうなの。100年後でもローラーシューズは人気なのね。娘はさも慣れた風にすいすい滑って進んでいます。私はやや慌てて、タクシー乗り場に向かい、タクシーに乗り込みました。ちょっと形は未来形というのか、すらっとした形ですが、普通の車と同じ形状です。タイヤもありますし。

「豊洲総合病院までお願いします。ママ、すぐ着くからね」

サンがテキパキと指示してくれました。なんとこのタクシー、運転手がいません!自動運転?はああーなんか大丈夫なんでしょうか。マンションの車寄せからタクシーが発車しました。すうーっと動いて、体が浮いたような感覚です。多分、車が浮いているのでしょう。果たして窓から見る他の車も滑るように動いています。

道路もきれい、シンガポールもこんなかしら?ゴミひとつ落ちていませんし、道路のペイントも今塗ったばかりにはっきりくっきりしています。車の車輪が道路に触れないせいでしょうね。アスファルトも黒々としています。タイヤの粉塵も、排気ガスもゼロ。喘息持ちの子供もゼロになったかしら?

そんな所に感心していると、豊洲島と豊洲を繋ぐ橋に差し掛かりました。綺麗な橋ね、レインボーブリッジに似ているかも。色々な形の車があるのね。あ、あの車、100年前のと同じ形。

「ブロロロロロ・・・」

車が急に、音を立て始めました。周りをみると、信号が見えます。「豊洲5丁目駅前」

どうやらいつの間にか豊洲に入ったようです。他の車をみると、車輪が回っています。人も普通に歩いています。どうやら人や車が浮いて移動するのは、豊洲島だけのようです。

「豊洲・・・」

100年前に私が住んでいた街、色々な事がこの街でありました。ママ友付き合いで苦労した事、娘の反抗に悩んだこと、(名前をよんではいけない幼児施設)の園長先生に叱られたこと、クリスマス会で息子の拘りに感心したこと、ボスママ達に次々と苛められ、仲間外れになった事、そして地域でも排除され、村八分のような状態になり、今度こそ豊洲から脱出したいと思った事、みんな、みんなこの街で100年前にあったことなのです。

私は胸が熱くなりました。懐かしい豊洲。やっぱりここは、第二の私の故郷なんだわ。

「ママ、降りて」

いつの間にかタクシーは大きな病院の車寄せに到着していました。私はは慌てて車から降ります。

画像1

「ここ、聖路加?」
「ママ、何言ってるの。聖路加は月島でしょう。ここは豊洲よ」
「なんだか似ていたから、ごめんね」
「ママ、ぼさっとしないで。ほら、車椅子の方を先に通してあげて」
「あ、ごめんなさい」

私は後ろから来た車椅子をよけて、道をあけます。

「ありがとうございます」

車いすを押した方がお礼を言いながら通り過ぎていきます。

「あら?ダリアちゃん?」娘が声をかけます。車いすを押す女性にくっついて歩いている女の子、どうやらサンの知り合いのようです。となると、車いすを押している女性はその子のお母さん?となると、、、、もしや、、、、

「ママ友?」

豊洲島に来て初めて遭遇する、ママ友かもしれません。私はドキドキしました。そして同時に100年前にママ友で辛酸を舐めつくし、あげく心の病に苦しんだ事も思いだしました。

今にも胸がきゅうーっとなり、倒れそうです。

でもここは100年後の豊洲、私を知っている人は誰もいない筈。挨拶よ、ゆり子。そして当たり障りのない会話を二言三言、そして会釈をして華麗に立ち去るのよ。余計な事は言っちゃだめ、目線も強く合わせちゃダメなのよ。さあ、今よ、相手がこちらに気がついた今のタイミング、ほら・・・。

「こんにちは、いつも娘がお世話に・・・・