おはようございます、キャナリーゼの森生ゆり子です。

もう以前から覚悟はしていたのですが、マンションの部屋の窓から見える風景が、だんだん狭くなってきました。窓枠のサイズは勿論変わっていませんが、見える風景の空が狭くなってきています。

入居当時は広々として、遠くお台場の観覧車やレインボーブリッジなど観えたのですが、その数年後大規模マンションがそちら方面に建ち、今度は真正面に中規模のマンションが建設中です。もう周りは住宅建設ばかりで、風景がみえなくなるのは時間の問題です。

東京には空がないといわれているのは、この事なんだなあと実感しました。空とは、風景ですね。真上を見上げれば青い空も明るい太陽も月も星も見えます。でも周りがどうなっているのか、遠くの景色で感じる事は出来なくなってしまいます。

まるで豊洲内のコミュニティのようだなと思いました。近い距離はみることが出来ますが、遠い距離の事はわかりません。近くのママ友さんばかりと群れていて、それ以外は全くの無関心。自分に関係ない人、関係ないと判断した人、関係を断ち切ったと判断した人達に対しては、何もないと同じように振舞い、存在すら否定しているかのようです。

風刺的な意味はおいておいて、低層階マンションの豊洲の空は、現実なくなりつつあります。それで豊洲はタワーマンションが人気なのかもしれませんね。遠く離れた景色まで見渡せますし、下界を見下ろす事もできます。気持ち良さそうです。

私は独身の頃、タワーマンションに住んでいました。窓から下を見下ろせば地面は遥かかなた、奈落を覗き込むように感じていました。でも怖いなんて思ったことはなく、普通にベランダに出て夕涼みをしたり、友達が来ればそこでお茶などしたりしていました。

でも今は、タワーマンションってちょと怖いです。まず、パニック障害は平癒しつつありますが、高所、閉所が苦手になってしまいました。恐怖とまではいかないのですが、もやもやっとした嫌な気持ちになります。それと自分が住む事を考えると、色々不安です。

タワーマンションは玄関がひとつしかありませんよね。勿論エレベーターも数台あるでしょうし、玄関は広々として窮屈さを感じないとは思いますが、見渡せるということは、会いたくない人に遭遇する確率も高い、という事ではないでしょうか。

豊洲の空を求めてタワーマンションに引っ越すと、天体を見たり景色を楽しむ余裕がなくなり、別な意味で空がみえないということに私はなりそうです。そうしたものを楽しむのは、五感ではなく六感、心ですから。

桐野夏生さんの、ハピネスは、豊洲のタワーマンションが舞台だと言われています。建ったばかりのタワーマンション、ニューファミリーの坩堝、ママ友さん達のカオス、いい事楽しい事もたくさんありそうだけれど、やっぱりトラブルが多いのよ。ほらね?こんな事あんな事、あなたの近くにもあるでしょう。という小説です。そうした舞台になり易いと思われたのでしょう。

それからどこかのコラムかニュースで、タワーマンションの住人は、長い時間をかけてエレベーターで降りるのが面倒で、外出を避けるようになり、それで引きこもりがちになる、と読んだ事があります。これは一見成る程と思いますが、ちょっと違うのではないでしょうか。

高層マンションのひとつしかない、しかし巨大な玄関。会いたくない人に遭遇する確率が高いので、部屋を出る気がおきない。

という事ではないでしょうか。

私は独身時代に一人で住んでいたタワーマンションで、会いたくない人など誰もいませんでした。昼間は働いていましたし、共通の繋がりのある人もいませんでした。時々顔見知りになった近隣の方に遭遇すると、挨拶くらいはしていましたね、そういえば。希薄なものでした。

豊洲は、子どもで繋がった人々、ママ友達の坩堝です。子どもって本当に厄介な存在です。自分より大切で幸せになって貰わないと困る存在、そんなもので繋がった人々、神経を使わない筈がありません。

そして、コミュニティ内に存在し続ける事が、豊洲で生き残るための唯一の方法だとしたら、あらゆる手段を使って家族を、子どもを守り続けるために、それらが円滑に行われるよう努力するでしょう。

豊洲のあちこちに建設中の新築一斉入居のマンションは、そんな母親を作りだす、ハイスペックで巨大なママ友製造マシンなのです。

そんなタワーマンション、そんなに嫌かと言われれば、結局は住んでみたいです

まず、「豊洲のタワーマンションに住んでいる」というのは、東京オリンピック招致決定も相まって、今一番ホットでトレンディ、単純にカッコいいです。テレビやネットで話題沸騰中の「SKYZ(スカイズ)」など、360度窓が広がる造りになっていて、購入する部屋によって、東京湾花火、スカイツリー、隅田川などなど、東京各地の風景が楽しめるそうです。

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何より羨ましいのは、展望台に天体望遠鏡を設置する予定があるそう。豪華なゲストルームやパーティルームのために管理費が高くなるのは嬉しくないのですが、天体望遠鏡は別です。折に触れ、星を観測し、時にはセミナーやイベントが開催されるそう。宇宙飛行士や、ノーベル賞を受賞するような天文学者が、豊洲から世に出るかもしれませんね。

でも、ここんなにママ友で溢れ返るここ豊洲で、ママ友ゼロなくらいコミュニケーションスキルの低い私、新しいマンションの方と仲良くなる自信はありません。ママ友繋がりを頼ってこうしたイベントや天体観測をさせてもらう、というのも非常に難しいと思います。子どもが噂を聞いてきて、「 ママ、僕も星観に行きたい。SやKはいつも行ってるみたいだゼ」なんて言われたら、どう返事したらいいかしら?

妄想ではなく、今現在も色々こんな事を下の息子も言うようになりました。キャナリーゼでい続ける事は、私にとって憂鬱な事の方が多いのです

それならばいっそと、現在居住している空のなくなりそうなマンションを手放し、新しいタワーマンションにお引っ越しようかしら?でも、タワーマンションのエントランス問題が待っていそうですし、また一からママ友付き合いを始めたとしても、また同じように疎外され、やっぱり駄目だったわという落胆しか待っていない気がします。色々ともやもやしてしまいます。

まずその前に、お金がないのでしたくでも出来ないのですが

空がなくなりそうな窓の景色が悲しくて、一昨日レースのカーテンをちょっと遮光の強いものに変えてみました。景色はぼんやりとしか見えませんが、光はちゃんと入ってきます。ラナンキュラスの模様もいい雰囲気で、とても気にいりました。豊洲の空問題も、いったんはこれで解決ということにしましょう。マンションを変えるのは大変ですが、カーテンなら気軽に変えられます。

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高村光太郎さん作の智恵子抄で、「東京には空がない」と智恵子さんがつぶやいたとありますが、豊洲にいらしたらどんなことを思ったかしら?ちょっと聞いてみたい気がします。