1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 00:39:43.97 ID:DYzfwRxw0
10話後


響「やー、夜にピアノを弾くのもなかなかいいものですなー」

奏「そうね。普段と状況が違うからか、なんだか少しわくわくする」

響「ねえ奏」

奏「どうしたの?」

響「やっぱりこれからも時々は、こうして一緒にピアノ弾かない?」

奏「えー、響がそんなこと言いだすなんて意外!
    いったいどういう風の吹きまわし?」

響「……が、好きだから」

奏「えっ? ごめん、よく聞こえなかった」

響「あ、いや、なんでもないなんでもない! あはははは!」

奏「……」


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 00:46:44.69 ID:DYzfwRxw0
響「それにしてもお腹空いたなぁー! きょーうの晩御飯は何だろうー」

奏「誤魔化さないで、響」

響「えっ?」

奏「響、何か私に隠してる」

響「そっ、そんなことないよ!」

奏「ううん。絶対隠し事してる」

響「どうしてそんなこと分かるの?」

奏「それぐらい分かるよ、小さい頃からずっと一緒だったんだもん」

響「……」

奏「響、前にこう言ってくれたよね? 私達は仲間だから、もう私が奏で、奏が私みたいなものだって」

響「う、うん……、あの時は、奏はリズムだったけど……」

奏「お互い隠しごとは止めよう? どんなことでも受け入れるから……、
   お願い、変に私に気をつかったりしないで」

響「……」


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 00:53:47.00 ID:DYzfwRxw0
響「本当に……」

奏「本当に?」

響「本当に、どんなことでも、受け入れてくれる?」

奏「もっちろん!」

響「じゃ、じゃあ……、目、閉じて」

奏「目を? こうかしら?」

響「うん。そのままじっとしてて」

奏「……?」

響(私は、友達よりももっと深い意味で、奏のことが好き)

響(奏は、私の全てを受け入れてくれると言った)

響(そして今私の目の前には、目を閉じた奏の顔がある)

響(ここで決めなきゃ女がすたる!)

響「ん……」

奏(……? 何、この感触、唇に何か当たって……)

奏「へっ!? ひ、響!? い、いいい、今何してたの!?」


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 01:01:19.55 ID:DYzfwRxw0
響「何ってその、キスだけど……」

奏「どうして突然そんなこと!? はっ、初めてだったのよ私!」

響「キスをする意味なんて決まってるじゃん」

奏「決まってるって……、えっ!? まさか響……」

響「これが私の隠し事。私は奏のことが好き」

奏「す、好きって……いやいや、だって、えぇー……?」

響「奏は私のこと、好きじゃないの?」

奏「そりゃ嫌いか好きかでいえば好きだけど、こういうのはちょっと別問題というか……。
   ……ごめんなさい、ちょっと気持ち悪い」

響「き、気持ち悪い……?」


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 01:08:38.22 ID:DYzfwRxw0
奏「だって私達女の子どうしなんだよ?」

響「……」

奏「ねえ、響。一度ゆっくり頭を冷やして考えてみたら?
    たぶん響は友情と恋を一時的に履き違えてるだけだと思う」

響「そんなことないもん……、だって私、ずっと前から奏のこと……」

奏「とにかく、今日はもう帰ろう」

響「……」


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 01:11:39.85 ID:DYzfwRxw0
――――


響「奏には悪いことしちゃったかな……」

響「あれ、絶対引いてたよね……」

響「……」

響「嫌われちゃったかな、やっぱ」

響「もう昨日までみたいに仲良くできなかったらどうしよう……」

響「……ぐすっ」

響「ぐすっ、ぐすっ、ひっく……」


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 01:19:56.26 ID:DYzfwRxw0
響「やだよぉ……」

響「せっかく昔みたいな仲良しに戻れたと思ったのに……」

響「……」

響「いっそ、勘違いだったってことにしちゃおうかな……」

響「そういうことにして精一杯謝れば、奏も、許して……くれる、よね?」

響「……」

響「なんでこんなに好きになっちゃったんだろう」

響「苦しいよ……」


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 01:29:06.63 ID:DYzfwRxw0
――――


奏(……どうして?)

奏(なんで私……、こんなにドキドキしてるの?)

奏(暗がりだったからか響は気がついてなかったけど、
    キスされたって気がついた時は、思わず顔が真っ赤になった)

奏(王子先輩に対するドキドキとこのドキドキはどこか違う)

奏(もしかして、私、響のこと……)

奏(でも……、こんなのおかしい)

奏(女どうしなんて許される筈ない)

奏(世間の目は絶対厳しくなる)

奏(私は我慢できるけど、響は……、あの子、そういうところ意外と脆いから……)


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 01:37:23.82 ID:DYzfwRxw0
奏(でも……)

奏(本当にそれでいいのかな?)

奏(世間体を気にして、自分の気持ちを押し殺して、生き方を周りに迎合して)

奏(そんなの、なんだか……、悲しい)

奏(気持ち悪いだなんて言って、きっと響、傷ついたよね)

奏(明日、謝ろう)

奏(謝って、本当は私も同じなんだって伝えて……)


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 01:42:03.30 ID:DYzfwRxw0
――――


奏「おはよう、響!」

響「あっ、お、おはよう奏……」

響(まさか奏の方から話しかけてくれるなんて……)

奏「あのね、昨日のことなんだけど――」

響「昨日はごめん奏!」

奏「えっ?」

響「私、あれから色々考えたんだけど、やっぱり奏の言う通りだったんだと思う」

奏「響……?」


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 01:52:44.33 ID:DYzfwRxw0
響「もう昨日みたいなことは言わないし、しない」

奏「……」

響「だから……。こっ、これからも、私と親友でいてくれる?」

奏(響、明らかに無理してる)

奏(これは嘘をついてる時の顔)

奏(でも、長い目で見れば……、きっとこれでいいのよね?)

奏「ええ、勿論。それより私の方こそ、昨日は言い過ぎてごめん」

響「ううん。悪いのは私の方」

奏「そんなことないって、私が……、って、これじゃキリがないか」

響「あはは、そうだね」

奏「それじゃあ両成敗ってことで、このことは水に流しましょう」

響「そうしよそうしよー!」


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 02:01:06.35 ID:DYzfwRxw0
――――

放課後


響「やー、今日の午後の授業はまいったまいった」

奏「爆睡して先生に怒られてたもんね。駄目よ、ちゃんと授業は聞かないと」

響「そんなこといっても眠いもんは眠いんだもん」

奏「眠くても我慢する」

響「奏優しくなーい」

奏「優しさと甘さは違うんだから」

響「甘いといえば奏のケーキ。ってことで今日、奏の家にお邪魔してもいい?」

奏「なんでこの話の流れからそう転ぶのよ……。まあ、別にいいけど」

響「やったー! 奏最高!」


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 02:12:12.45 ID:DYzfwRxw0
ラッキースプーンのテラス



奏「はい、お待たせ」

響「んーっ! 美味しい!」

奏「本当にいい食べっぷりよね」

響「だって奏のケーキ大好きだから!」

奏「……」

響「? どうしたの奏?」

奏「やっぱり響は、そうして自然に笑っている時が一番響らしいのよね」


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 02:32:49.29 ID:DYzfwRxw0
響「そう? 自分じゃよく分からないけど」

奏(響には、いつだってこんな風に伸び伸びとしていて欲しいな)

奏(その為にも……)

奏(やっぱり、昨夜決心した通り、私は……)

奏「ねえ、響」

響「ん?」

奏「昨日ピアノを弾いた場所に行きましょう」

響「ええっ!? 今から!?」

響(できればあそこには……、しばらく行きたくないんだけどなあ……)

響(たぶん凄く悲しい気持ちになるから……)


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 02:43:07.88 ID:DYzfwRxw0
奏「うん、そのつもり。嫌かしら?」

響(うっ……)

響(ず、ずるいよ奏)

響(そんな、上目遣いで見られたら……断れるわけないじゃん)

響「分かったわかった! 分かったからそんな顔は止めてったら」

奏「さーっすが響!」


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 03:09:12.87 ID:DYzfwRxw0
――――


響「……それで、どうしてこんな場所に? 今からピアノでも弾くの?」

奏「それもいいんだけど……、少し、話をしようよ」

響「話って、それなら何もここに来なくても……」

奏「ううん、ここがよかったの。ここは私達にとって特別な場所だから」

響「……」

奏「昨日ね、家に帰ってからずっと考えてたんだ。響のこと」

響「私のこと?」

奏「うん」


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 03:18:32.97 ID:DYzfwRxw0
奏「自分にとって響って一体どんな存在なんだろうって、そんなことを考えてたの」

響「……で、答えは出たの?」

奏「さあ、どうでしょう」

響「ええーっ! 何それっ!?」

奏「ふふっ、ごめんごめん! 今のは冗談。ちゃんと出たよ、私なりの答え」

響「どんな答えなのか聞かせてくれない……?」

奏「いいよ。ただし条件が一つあります」

響「条件ー?」

奏「昨夜私がしたみたいに、少しの間、目を閉じて。そしたら教えてあげる」


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 03:29:48.08 ID:DYzfwRxw0
響「……。分かった」

奏(ここでキスしてしまったら、多分もう後戻りはできない)

奏(でも……、やっぱり私は響が好き)

奏(きっと響となら辛い道でも越えていける)

奏(だから……)

奏「ん……」

響(この、感触……。そっか、奏……)


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 03:36:28.41 ID:DYzfwRxw0
奏「好きよ、響」

響「奏……。私もっ、私も奏の、こと、が……」

奏「どうしたの?」

響「ごっ、ごめん……。なんか……、嬉し過ぎて……泣けてきちゃって……」

奏「響……」

響「これ、夢じゃ……ないんだよね?」

奏「紛れもない現実よ。だからほら」

響「あ……」

奏「抱き締めると、こんなに暖かい」

響「うん……、そうだね」


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 03:46:38.57 ID:DYzfwRxw0
奏「きっとこういう関係は、許されないものだと思う」

響「……うん」

奏「でも、誰が何と言おうと、私は響を守るから」

響「奏ぇ……」

奏「ああもう、泣かないの。まったく、響は本当に小さい頃から変わらないんだから」

響「そっ、そんなことないよ! 私だって色々……、成長してるって。少なくとも奏よりは」

奏「どどっ、どこ見て言ってんの!? そっ、そりゃ私は胸小さいけど、まだ成長期だし……」

響「私が大きくしてあげよっか?」

奏「……響の馬鹿。変態」


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 03:57:01.34 ID:DYzfwRxw0
響「でも奏、本当に私なんかでいいの?」

奏「ええ。よく考えて決めたことだから」

響「じゃあ王子先輩のことはもう――」

奏「好きだよ。好きだけど……、そうね、恋というよりは、憧れみたいなものだから。
    響に対する気持ちとはまた別物かな」

響「そうなんだ……」

奏「なんだか納得いかない様子ね」

響「別にそんなことないよ」

奏「ううん、そんなことある。……あっ、もしかして王子先輩に妬いてる?」

響「ちっ、違うってそんなんじゃ!」

奏「大丈夫。私が一番好きなのは響。これは胸を張って言えるわ」

響「あ……、う、うん。ありがとう」


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 04:23:27.62 ID:DYzfwRxw0
響「ね、奏。もう一回キスしよう」

奏「うん!」

2人は互いの両手を絡ませ合うと、3度目の口づけをした

響「ぷはっ……。あ、奏、よだれたれてる。きたなーい」

奏「そういう響だって」

響「ええっ!? あ、本当だ」

奏「あはは……、なんか締まらないわね、私達」

響「いいよそんなの。2人で一緒に成長していけば、それで」

奏「そうね。キスも、それ以上のことも……、まだまだ時間はたっぷりあるもんね」


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/22(金) 04:26:08.85 ID:DYzfwRxw0
とにかくこの二人のいちゃいちゃが書きたかった
眠気のピーク。寝