3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 02:52:52.05 ID:4yHGPynS0
結衣「京子。今日泊まりに来ない?」

京子「ごめん! ちょっと用事が…」

結衣「あ、ならいいんだ」

京子「結衣はさみしがりだからなぁ。そのうち行ってやるよ」

結衣「あはは」

京子は最近私との付き合いが悪くなった。
と言っても急激に悪くなったわけではない。ちょっとだけだ。でも、そのちょっとが案外堪えたりもする。



4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 02:54:19.99 ID:4yHGPynS0
結衣「京子。ごらく部行こうよ」

京子「悪い、私情で行けない!」

結衣「そっか。わかったよ」

京子「ちなつちゃんにも伝えといてね」

結衣「うん」



7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 02:56:26.47 ID:/ZfZ3q7G0
これ悲しい?


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 02:56:38.43 ID:4yHGPynS0
ごらく部には、私以外まだ誰も来てなかった。


結衣(京子がいないと寂しいな)

結衣「……」

結衣(私情ってなんだろう)

結衣(勉強を頑張りだしたとか……それはないか)

結衣(用事って言うってことは、私には言えないことなんだろうな)

結衣(なんか…溝が少し出来た気分だ)

結衣(……あかりとちなつちゃん、遅いなぁ)





その日、私以外は誰もごらく部に来なかった。



10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 02:58:49.12 ID:4yHGPynS0
翌日は全員がごらく部に来た。


結衣「昨日は寂しかったよ。まさか誰も来ないなんて…」

京子「ごめんよー結衣」

あかり「ちなつちゃんも来てなかったの?」

ちなつ「うん。お母さんに頼まれてたことがあって」

結衣「はは。やっぱみんな忙しんだね」

ちなつ「結衣先輩お暇なんですか!? 私とデートしましょう!」

結衣「う、うん。考えておくよ」

ちなつ「キャー。チーナ幸せ!」

京子「考えておくよ、は拒否のサインだぞ」

あかり「京子ちゃん、しーっ」



11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:00:45.41 ID:4yHGPynS0
結衣「それはそうと、久しぶりにお泊り会でもしない?」

ちなつ「いいですね。結衣先輩んち行きたいです」

京子「ああ…ちょっと私はパス」

結衣「えっ…」

京子「最近忙しいんだよー。泊まりに行きたいのはやまやまだけど、なかなか難しくて」

あかり「あ、あかりも無理かなーなんて…」

結衣「そっか…」

結衣「仕方ないね。やめよっか」

ちなつ「えー! じゃあ私だけ行きますよ!」



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:02:15.18 ID:4yHGPynS0
結衣「い、いいの?」

ちなつ「いいに決まってるじゃないですか! 結衣先輩と二人っきりなんて」キャー

京子「結衣は寂しがり屋だもんなー」

結衣「う、うるさいな…」

ちなつ「じゃあ、今週末泊まりに行きますね! 楽しみにしてます!」

結衣「う、うん」

あかり「よかったね、結衣ちゃん」



15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:03:51.04 ID:4yHGPynS0
土曜日、約束通りちなつちゃんは私の家に来た。そして、やはりあかりと京子は来なかった。


ちなつ「お邪魔します」

ちなつ「ほ、本当に結衣先輩と私だけ!」

結衣「あはは…」

ちなつ「それにしても、結衣先輩からこういうこと言い出すの珍しいですね」

結衣「そう?」

ちなつ「はい。いつもなら京子先輩が言いますよ」

結衣(京子、か)

結衣「最近京子が泊まりに来なくなってね、寂しかったんだよ」

ちなつ「結衣先輩、かわいいところあるんですね」



17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:06:23.50 ID:4yHGPynS0
ちなつ「京子先輩が泊まりに来なくなったのかぁ…」

ちなつ「そのことで思い出しましたけど、京子先輩って落ち着きましよね」

結衣「えっ?」

ちなつ「私が入部したばかりの頃はすぐ私に抱きついてきたじゃないですか」

ちなつ「それが最近なくなりました」

ちなつ「あと、あかりちゃんいじりもなくなりましたし」

結衣「確かに」

ちなつ「何かあったんでしょうかね」

結衣「かもね」



18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:06:25.82 ID:LCYHUQMm0
あれ結京だと思ったらまさかの展開か


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:08:33.59 ID:4yHGPynS0
ちなつ「でも意外です」

結衣「何が?」

ちなつ「結衣先輩なら京子先輩の変化の原因知ってそうでしたから」

結衣「いくら私でも京子の全部を知ってるわけじゃないよ」

ちなつ「そうですか…。全部知ってそうでしたが」


そうかもしれない。少し前の私だったら京子のことを、全部とは言えないがほとんど知っていたかもしれない。



ちなつ「先輩。ゲームでもやりましょうよ」

ちなつ「せっかくのお泊りですもん。おしゃべりも楽しいけど、ほかのこともいろいろやりましょうよ」

結衣「…そうだね」



22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:10:51.90 ID:4yHGPynS0
ちなつちゃんは私を色々と楽しませてくれたが、私の心は完全には潤わなかった。
多分、京子のせいだろう。京子じゃなくちなつちゃんだから、ではなく、京子が来ないから何もかもに満足できないんだと思った。

寝る時、ちなつちゃんは妙に改まって私に話しかけた。


ちなつ「結衣先輩」

結衣「うん?」

ちなつ「京子先輩のこと、気になるんですね」

結衣「あ、ごめんね…」

ちなつ「いいんですよ。悪いのは結衣先輩じゃないです」

結衣「いや、でも」

ちなつ「私も、気になってはいるんです」

結衣「?」



23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:11:50.16 ID:4yHGPynS0
ちなつ「でも、私が来て少しはマシだったでしょう?」

結衣「マシってそんな」

ちなつ「いえ、いいんです。私わかってます。京子先輩が来るのがベストだったって」

ちなつ「それでも私は無理やり来たんですよ。結衣先輩、寂しがりなので」

ちなつ「どうですか? 役にたてましたか?」

結衣「……充分だよ」

ちなつ「えへへ、ありがとうございます」



24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:14:19.68 ID:4yHGPynS0
ちなつちゃんのお泊まりの後も、やはり京子は泊まりに来なかった。部活も度々休んだ。度々休んだとは言っても、来る日の方が多かった。ただ、今まで毎日来ていたから、少し来ないだけでよく休むようになったと錯覚するのかもしれない。


結衣「今日もちなつちゃんと私だけだね」

ちなつ「はい。最近多いですね」

結衣「京子は何をやってるんだか」

ちなつ「あかりちゃんもあまり来なくなりましたしね」

結衣「あかり…?」

私はこの時初めて、あかりが休むようになったことに気付いた。いや、気付いていたのかもしれないが、京子のことでかき消されていたのだろう。
京子がいないと、目の前にいるのがあかりでもちなつちゃんでもどちらでもいいようだった。そう言うと酷く見えるが、事実、脳はあかりとちなつちゃんの判別を怠っていた。


結衣「そっか。あかりもいないのか」

結衣「ごらく部も活気がなくなっちゃったなぁ」

ちなつ「仕方ないですよ」

結衣「そうかな?」

ちなつ「はい」



25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:15:09.59 ID:4yHGPynS0
ちなつ「でも活気なんてなくていいんじゃないですか?」

ちなつ「まったりしましょうよ」

結衣「そうだね」



29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:19:13.86 ID:4yHGPynS0
ある日、買い物に出かけていると偶然京子の姿を見かけた。
京子は私が見たこともないようなお洒落な服装をしていて、すごく幸せそうで、誰かとキスしようとしていた。



あかりだった。





私は立ちすくんでしまった。そして、二人が抱き合ってキスする様を見ていた。
京子は幸せそうにあかりとキスしていた。
私はなんだか惨めな気持ちになった。


キスが終わった後、私はようやく自分が二人の様子を見入っていたことに気付き、申し訳なくなって足早にその場を去ろうとした。
その瞬間京子と抱き合ったままのあかりと目が合い、あかりは何か悲しそうな顔をしたが、私は気にせずその場を去り、帰宅した。



30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:20:51.04 ID:Mbaw3S7A0
そう来たか…


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:22:02.18 ID:4yHGPynS0
二人は付き合ってるんだ、と私は思った。今思えば京子が来ない日はあかりもいなかった気がする。どうして今更気づいたのだろう。
私は泣きそうになって、ちなつちゃんに電話をかけた。

ちなつ『もしもし?』

結衣「あ、急にごめん」

ちなつ『いいですよ。どうしましたか?』

結衣「……」

ちなつ『?』

結衣「京子とあかりが…」

ちなつ『ああ…』



33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:25:29.03 ID:4yHGPynS0
ちなつ『見てしまったんですね…』

結衣「知ってたの?」

ちなつ『ごめんなさい。実は少し前から』

結衣「そうなんだ…」


なんだか私だけのけものな気がして、余計悲しくなった。


結衣「……うっ…グス…」

ちなつ『結衣先輩? 泣いてるんですか?』

結衣「グス…ごめん……」

ちなつ『謝らなくてもいいんですよ』



35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:28:53.53 ID:4yHGPynS0
結衣「ごめんね、こんなことで電話して」

ちなつ『結衣先輩にとっては大切なことなんでしょう?』

結衣「えっ?」

ちなつ『だから、こんなこと、なんて言わないでください』

結衣「ふふ。ありがとう。私は素敵な後輩を持ったよ」

ちなつ『えへへ、ありがとうございます』

結衣「おやすみ」

ちなつ『おやすみなさい』



36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:30:06.98 ID:4yHGPynS0
その翌日、いいのか悪いのか、ごらく部に全員が集まった。案の定、あかりは心配そうな顔をしていた。


結衣「ちなつちゃん、昨日はありがとう」

ちなつ「いえいえ」

京子「何かあったの?」

結衣「あ、えっと…」

あかり「! 京子ちゃん、今日は京子ちゃんがお茶出してくれると嬉しいな」

京子「なんだと! ちょっと待ってろ」スタスタ

ちなつ「……?」



37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:32:35.30 ID:4yHGPynS0
ちなつ「あかりちゃん」

あかり「なぁに?」

ちなつ「何か知ってるの?」

あかり「ち、ちなつちゃん、それは質問がアバウトすぎるよぉ」

京子「お待たせ」

結衣「京子がやるのなんて久しぶりだな」

京子「へっへーん。あかりに頼まれちゃったもんねー」

結衣「……」



39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:34:35.49 ID:4yHGPynS0
京子「どうした結衣。元気ないぞ?」

結衣「そうでもないよ」

京子「そうでもあるって」

ちなつ「……」

あかり「ゆ、結衣ちゃん?」

結衣「ん? どうした?」

あかり「あ、あの…その……」

結衣「……」

あかり「やっぱりなんでもないよぉ…」

結衣「そっか」

ちなつ「……」



41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:36:36.28 ID:4yHGPynS0
京子「なんか今日みんな変じゃない?」

京子「特に結衣さん」

京子「恋でもしたのかい?」ケラケラ

結衣「……」

あかり「きょ、京子ちゃん!」

京子「ん?」

あかり「多分、結衣ちゃん今悲しいから、そういうのやめてあげて」

京子「なんであかりに結衣のことがわかるんだよ」ケラケラ

ちなつ「……」



あかりは私を気遣ってくれたのだろう。しかしその気遣いは、私がのけものになっていることを正当化されてるみたいで、あまりいい気はしなかった。



43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:39:36.06 ID:4yHGPynS0
あかり「結衣ちゃん、先に一緒に帰らない?」

結衣「えっ」

京子「なんだあかり、結衣と二人で遊ぶのか?」

あかり「ちょっとお話したいことがあって」

京子「ふーん…」

あかり「べ、別に変なことは話さないから!」

京子「わかったわかった」

あかり「さ、結衣ちゃん行こ?」

結衣「う、うん」


私は半ば無理やりあかりに外に連れ出された。



44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:41:49.62 ID:4yHGPynS0
あかりは学校を出てしばらくまではずっと無言だった。私も何か喋る気になれなくて、ずっとあかりの言葉を待っていた。

あかり「……」

結衣「……」

あかり「……あのね」

結衣「うん」

あかり「もう、知ってると思うんだけど……あかり、京子ちゃんと付き合ってるんだ」

結衣「……うん。見たよ」

あかり「ごめんねぇ。言わなくちゃいけないって思ってたけど、京子ちゃんがダメだって」

結衣「京子が…」

あかり「うん…。結衣ちゃんが最近元気ないのは京子ちゃんが原因なんだよね?」

結衣「…うん」

あかり「ごめんね…」


私はちなつちゃんみたいに相手をフォローすることができなかった。そんな余裕なんて、ない。



45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:45:32.72 ID:4yHGPynS0
あかり「あかりがいうのも変だけど…結衣ちゃん、もっと元気出して欲しいなぁ」

結衣「…無理だよ」

あかり「……そうだよね」

結衣「今私には、なにもない」

あかり「そんなことないよぉ!」

結衣「っ! あかりにはわからないよ! 私はずっと、ずっと、何年も、京子のこと…」

結衣「京子のこと……」

あかり「好きだったんだよね…」

結衣「ちがっ……」

結衣「私は京子のこと…」

結衣「大切に……」

あかり「好きじゃ…ないの?」

結衣「!」



47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:47:05.62 ID:4yHGPynS0
言葉にされて私はようやく自覚した。私はきっと、ずっと京子のことが……。
そう思った途端あかりといるのさえ辛くなって、私は思わず逃げ出してしまった。


あかり「結衣ちゃん!」

あかりが私を呼んでいたが、とてもじゃないが立ち止まることなんてできなかった。今の私は最高にカッコ悪い。



49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:49:32.40 ID:4yHGPynS0
アパートの前まで来て、私は忘れ物に気づく。
傘だ。
天気予報は雨だと言っていたのに、この日は結局降らなかった。
別に置きっ放しでもいいような気がしたが、明日の朝雨が降ることは十分に考えられるので、私は部室まで取りに戻ることにした。



部室には、まだ京子とちなつちゃんがいるらしかった。
今更中に入るつもりもないので、玄関に置いてあった傘を持ってさっと帰るつもりだった。しかし、京子のある一声が私を踏みとどめた。


京子「ごめん!」


それは、いつもの冗談の声ではなかった。京子は何をちなつちゃんに謝っているのだろう。
私は気になってしまった。



50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:52:10.66 ID:4yHGPynS0
京子「本当に申し訳ないけど、私には…」

ちなつ「あかりちゃんがいますもんね。知ってます」

京子「やっぱ知ってたか…。でも、結衣には言わないでね」

ちなつ「……どうしてですか?」

京子「……」

ちなつ「結衣先輩は、京子先輩を」

京子「言わないで!」

ちなつ「……」

京子「私だって…言ったほうがいいと思ってるよ。でも、どうしても…」

ちなつ「……」

京子「それにしても、ちょっと意外かも。ちなつちゃんが私のこと好きだったなんて」





私はわけがわからなくなってしまった。



51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:52:50.30 ID:/ZfZ3q7G0
嘘だろおい…


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:55:03.46 ID:zaxfg7y60
これはなになに何ですの?


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 03:56:01.91 ID:4yHGPynS0
京子「……あはは、私みんなから好かれて、やっぱ人気者だなー」

京子「なんちゃって…」

ちなつ「…あかりちゃんは大切にしてあげてくださいね」

京子「もちろんだよ」

ちなつ「私の分も…幸せにしてあげてください」

京子「いや、その理屈はおかしいよ。ちなつちゃんの分はちなつちゃんの分。誰かに上げることなんてできないよ」

ちなつ「そうですか…」

京子「そうだよ」


私は思わず持っていた傘を落としてしまった。


京子「ん? 今何か音がしなかった?」

ちなつ「玄関の傘が倒れた音じゃないですか?」

京子「傘かぁ。雨降らないうちに帰ろっか」

ちなつ「……ごめんなさい。私一人で帰りたいので、京子先輩は先に帰ってください」

京子「…うん。じゃあね」



55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:00:01.92 ID:4yHGPynS0
私は慌てて傘を拾い、玄関を出て、京子に見つからない位置に移動した。



京子「……」

京子は部室を出ると、少しだけ空を見上げて、それから足早にここを出ていった。






ちなつ「結衣先輩?」

私が京子の後ろ姿を眺めてると、ちなつちゃんがいつの間にか私を見つけていた。

結衣「ばれちゃったか…」

ちなつ「近くにいるのは知ってましたよ。傘を落とす音がしたので、あかりちゃんか結衣先輩が聞いてたんだなって」

結衣「知ってたんだ」

ちなつ「はい」



57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:03:00.48 ID:4yHGPynS0
私は本日二回目の下校をした。



ちなつ「結衣先輩に聞かれちゃったかぁ」

結衣「あれ……本当なの?」

ちなつ「…はい」

結衣「そっか…。うぬぼれてるわけじゃないけど、ちなつちゃんは私のことが好きなんだと思ってたよ」

ちなつ「あはは…」

ちなつ「結衣先輩のことは好きですよ」

ちなつ「でも、その好きって憧れに近いんですよね。少なくとも、私と同じステージには立ってない」

結衣「……」

ちなつ「その点で、京子先輩は私と同じステージだったんです」

結衣「……そっか」

ちなつ「はい。京子先輩は等身大の気持ちで好きになれたんです」



58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:04:00.17 ID:4yHGPynS0
結衣「……京子はすごいな」

ちなつ「あ、結衣先輩がダメなわけではないですよ。むしろ素晴らしいと思います。京子先輩よりもずっと」

結衣「私はそんなにすごくないよ」

ちなつ「結衣先輩がそう思っていても、私にとってはやっぱりすごいんですよ」



59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:06:51.74 ID:4yHGPynS0
ちなつ「で、どうするんです?」

結衣「えっ?」

ちなつ「結衣先輩は何もしないんですか?」

結衣「何って…」

ちなつ「あら…私の勘違いだったらすみません。あかりちゃんと話をしたので何かしら前進できたのかもって思ってましたよ」

結衣「あかりとは……大した話はしてないよ」

ちなつ「そうですか…。残念です」

結衣「…うん」

ちなつ「残念です」



60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:09:15.75 ID:4yHGPynS0
その日、珍しく京子が泊まりに来た。


結衣「久しぶりだな」

京子「嬉しいの?」

結衣「うん」

京子「そう言われると私も嬉しい!」


部室でちなつちゃんと話してた時の雰囲気とは違って、それでますます私は京子との間に距離を感じてしまった。


京子「最近結衣が落ち込んでるみたいだから泊まりに来てやったんだぞ!」

結衣「ありがとう」

京子「ふふん」

結衣「お前は元気だな」

京子「私はいつでも元気だよ」



62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:12:58.39 ID:4yHGPynS0
この前ちなつちゃんが来た時は、京子が来ないから満たされなかったはずなのに、この日は京子が来ても全然満たされなかった。理由なんてわかりきっていた。

京子もそのことに気づいてるようだった。時折心配そうな顔で私を見ていた。私はそれに気づかないふりをした。
しかし、京子もしびれを切らしたのか、とうとう私に聞いた。

京子「結衣……もしかして、知ってるの?」

結衣「お前のことなら何でも知ってるよ」

京子「……」


京子はしばらく黙った。


京子「……結衣は知ってるかもしれないけど、私」

結衣「あかりと付き合ってるんだろ?」

京子「……うん」

結衣「なんでそんな申し訳なさそうな顔するんだよ。人が誰と付き合おうがその人の勝手なんだし、悪く思う必要はないだろ?」

京子「だって!」

結衣「……」

京子「だってさ……」

結衣「……」



64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:14:34.37 ID:4yHGPynS0
京子「実はちょっと前から付き合ってて。結衣には言わなくちゃって思ってたんだけど」

京子「どうしても、言えなくて…」

結衣「なんで?」

京子「それは…」

京子「……」

結衣「……」

京子「…結衣は、私に何かないの?」

結衣「……」

結衣「別に」

京子「……」

京子「そっか」



66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:17:05.57 ID:4yHGPynS0
京子はその日泊まると言っていたのに帰ってしまった。
私は虚無感でいっぱいだった。
何をすればいいのかわからないし、何をしたいのかもわからなかった。




テレビをみながらぼーっとしていると、あかりから電話がかかってきた。

あかり『結衣ちゃん!』

あかり『どうして何もしなかったの!?』

結衣「え? 何? どういうこと?」



68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:20:25.12 ID:4yHGPynS0
あかり『京子ちゃんが結衣ちゃんのおうちに行ったでしょ?』

結衣「う、うん」

あかり『どうして結衣ちゃんの気持ち伝えなかったの?』

結衣「どうしてって…。あかりこそ何様だよ! 人の気持ち分かったような気になって!」

あかり『……このままじゃ、結衣ちゃん戻れなくなっちゃうよ』

結衣「どこに戻れなくなるんだよ! そもそも私は何も」

あかり『京子ちゃんのこと、好きなんでしょ?』

結衣「っ!」

あかり『あかりが言ったんだ。京子ちゃんに、結衣ちゃんのおうちにお泊りに行ってあげてって』

結衣「余計なお世話だよ」

あかり『京子ちゃん悲しんでたよ』

結衣「私には関係ない。あかりが慰めればいいだろ。…恋人なんだから」

あかり『結衣ちゃん…』

あかり『京子ちゃんがね、結衣ちゃんにあかりたちのことを言えなかったのは、京子ちゃんが結衣ちゃんのことを大切に思ってるからなんだよ』



70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:23:07.37 ID:4yHGPynS0
あかり『結衣は私にとってとても大切な友達だし、親友だから。私とあかりが付き合ってることを知ったら、距離を置いちゃうかも知れない。京子ちゃんはそう言ってた』

あかり『今思えばそれは間違いだったのかもしれない』

あかり『けど、これだけは知っておいて』

あかり『京子ちゃんは、結衣ちゃんのことを本当に大切に思ってる』

あかり『だから、京子ちゃんを突き放すようなことはしないで』




私は思った。京子は馬鹿だ。私のことを大切に思ってるくせに全然わかってない。でも、私も京子のことなんか全然わかってない。私も、馬鹿だ。



72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:24:08.59 ID:4yHGPynS0
私は電話を切ると、すぐに京子に電話をした。

京子『なんだよ、私が恋しくなったか?』

結衣「今からお前んち行っていいか?」



75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:26:10.58 ID:4yHGPynS0
すぐに寒くない格好にして、私は家を出た。
京子の家に着くと、京子はすぐに玄関を開け部屋に入れてくれた。


京子「突然どうしたんだよ」

結衣「お前は、馬鹿だな」

京子「はあ? 貶しにきたのか?」

結衣「馬鹿だよ。私のことなんか全然わかってない」

京子「え?」

結衣「なんで普通に言ってくれなかったんだよ」

結衣「あかりと付き合ってるってこと。なんで隠してたんだよ」

京子「それは…結衣が私から離れちゃうような気がして…」

京子「それに、悲しませるかもって、思ったから」

結衣「そんなことないんだよ」



77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:27:32.03 ID:4yHGPynS0
結衣「親友のお前が幸せになって、なんで私が悲しまなくちゃいけないんだよ」

京子「! ゆ、結衣は私のこと…」

結衣「親友だと思ってる」

結衣「それ以外の何でもない」

京子「……そ、そっかぁ」

京子「なんだよ、心配して損しちゃったじゃないか」

京子「てっきり、結衣は私のこと好きなんだと…」

結衣「そんなわけあるか。京子は大切な親友。それだけだよ。勘違いするな」

京子「へへっ」

京子「ありがとう。気が楽になったよ」

結衣「お前は案外いろいろと考えすぎるからな」

結衣「あかりと幸せにな」

京子「ありがとう」



79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:29:30.25 ID:4yHGPynS0
あかり「結衣ちゃんが元気になってよかったよぉ」

結衣「そうか?」

京子「私に本音をぶつけてくれたからな!」

あかり(結衣ちゃん、言えたんだ。よかったよぉ)

ちなつ「今度結衣先輩のおうちでお泊まり会しませんか?」

京子「いいねー」

あかり「あかりも行きたいなぁ」

結衣「いいよ。みんなおいでよ」

結衣「京子は絶対来いよ」

京子「わかってるって。私たち親友だもんな!」

結衣「ああ、親友だよ」


京子は私のことを知らない。



おわり



71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:23:53.87 ID:WcP46t1p0
おいおいこれじゃあかりと京子最低じゃねーか


80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:30:40.41 ID:4yHGPynS0
ごめん今考えたら>>71の言う通りだ。
ずっとSS書いてるとよくわからなくなってくるスマン



83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:31:31.09 ID:zaxfg7y60

結衣さん悲しいな


84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 04:35:15.83 ID:4yHGPynS0
納得できない人のために。
あかりは、結衣が本音を溜め込まず口に出すことで楽になれると考えて、京子に告白させようとした。

これでもまだおかしいところがあったら俺がおかしい



88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 05:21:55.67 ID:Z+ULu908P
>>84で別におかしくない
きっとあかりちゃんは、後からこの頃のことを振り返って
自分はもしかして結衣ちゃんにひどいことをしたんじゃないかと気付くだろう
でも、気付かずにひどいことをしてしまうのはJCにはよくあること

乙乙


91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/12(月) 06:50:37.21 ID:9hjywPkw0
残酷な優しさだけどこの年頃なら損なもんかなって思う
なんにせよ乙