店内性犯罪に関する社交飲食店の安全配慮義務違反を問う、労働審判が開始されました。

労働審判申立書の一部を抜粋して、このページの一番下にあるリンク先に載せています。



この事件の概要は、

●キャバクラ(【店A】)に女性(申立人)がキャスト(接待を提供する従業員)として雇用され、主に【店A】でキャストとして働きながら系列店(【店B】)にも派遣されて働き、
【店A】と【店B】の双方で店内性犯罪の被害に遭っていた。
●【店A】の経営者である店長は、店内性犯罪(指名客による、接客中の申立人に対する痴漢)を目撃しながら放置して被害を持続させた。
●【店A】の経営者である店長は、申立人に、業界に広く存在する、「キャストが自分の接客努力で客の性的接触を回避しろ」という指導をした。

というもので、
これについて、
【店A】の店長を相手方として、安全配慮義務違反に対する慰謝料を請求しています。



安全配慮義務違反として主張しているものは、

① 相手方が、店内性犯罪の防止努力をせずに店内性犯罪を起こしたこと
② 相手方が、店内性犯罪(接客中の痴漢)を目撃しても止めずに放置して被害を持続させたこと
③ 相手方が、同じく店内性犯罪の防止努力がなく店内性犯罪の発生数や程度はより深刻であった【店B】に申立人を派遣したこと
④ 相手方が、「キャストが自分の接客努力で客の性的接触を回避しろ」という指導をしたこと

この4つのすべてで、
特に④に関しては、安全配慮義務を定める労働契約法だけではなく、風営法と迷惑防止条例などを根拠にしています。

(※ この係争は、労働審判なので、傍聴はできません。)



申立書は、
第1 申立ての趣旨
第2 申立ての理由
第3 安全配慮義務違反に関する重要な事実
第4 申立てに至る経緯の概要

から成っており、
このうちの「第3」を、一番下のリンク先に載せています。

先に書いたように、①~④の④に関しては風営法と迷惑防止条例などを根拠にした内容で、
「キャストが自分の接客努力で客の性的接触を回避しろ」という指導をすることは、
痴漢(●卑わいな言動(東京都迷惑防止条例 第五条第一項第三号の違反)●強制わいせつ未遂罪)の被害を日常的に発生させ、
さらにより深刻な痴漢も惹起する、
その指導がなければ生じない痴漢がある、つまり店内痴漢の一部はその指導によって発生している、
という主張になっています。


安全配慮義務違反に関する労働審判申立書の一部を掲載