厳選!オススメ書籍(ビジネス書、学術書、小説etc..)

ビジネス書や学術書、小説等の書評ブログです。読んで良かった本をさくっとまとめています。



立教大学大学院 リーダーシップ開発コースで学んでいる者としてこれは必読書の1つ。
受験前に読んではいたのですが、先日授業でプレゼンがあり読み直す機会があったためレビューも書こうと思います。 

リーダーシップにも様々な歴史・概念がありますが、このシェアド・リーダーシップは全く新しい考え方の1つです。
以前のリーダーシップ理論は、組織においてリーダーはマネジメント的立場にある1人だけに焦点が当てられたものばかりでしたが、シェアド・リーダーシップでは
メンバー全員がリーダーシップを発揮する”という全く新しい方向からリーダーシップを捉えた理論になります。

シェアド・リーダーシップの特徴は以下の3点にまとめられます。
・全員によるリーダーシップ
・全員によるフォロワーシップ
・流動的なリーダーとフォロワー

流動的にリーダーシップを発揮する人が移り変わり、それ以外の人は積極的にフォロワーシップを発揮する、以下のようなイメージです。
このような形のため、リーダーだけでなくフォロワーシップにも主体性や積極性が求められます。
shared-leadership

シェアド・リーダーシップが職場で発揮されると以下のような効果があると言われています。
・職場のメンバーの職務態度の向上
・職場のメンバーのモチベーションの向上
・職場にもたらされる能力や情報量の増加
・職場の成果向上

詳細については割愛しますが、是非書籍をご覧になってください。

また、シェアド・リーダーシップが効果的な場面としても4点挙げられています。
/場を取り巻く環境の曖昧さ
⊃場の成果として創造性が求められる
職場の対応として素早さが求められる
た場のメンバーの専門性が高い

VUCAと呼ばれる現代社会では、かつてのように
「答えが決まっていて、上司がそれを部下に指示してやらせておけば良い」
というマネジメントでは対応できなくなっています。
答えが曖昧で決まっていないため、職場全体として創造性迅速さが求められます。
だからこそ、専門性の高いメンバーがそれぞれの強みをフルに発揮できる環境が生き残っていくのでしょう。
ダイバーシティ&インクルージョンという言葉も昨今よく聞きますが、
多様性のあるメンバーをうまくマネジメントできるかどうかが今後の組織マネジメントの鍵なのでしょう。
そしてこの状態こそシェアド・リーダーシップだと言えるのだと思います。

最後に、職場をシェアド・リーダーシップにするために必要な5つの要因について記載します。
まず、分化と統合という本来反対の方向に力が働く概念を両方高める必要があります。
◆分化:それぞれが、自らの目標に向けて自律的に動く状態
 ー己効力感
 ▲僉璽愁淵螢謄・ベース・リーダーシップ
 B人誉を認める風土
◆統合:それぞれが、1つの目標に向かって協調・連携しながら活動している状態
 ぬ槁犬龍ν化
 セ訶世諒儔宗粉儺卆覆肇侫ールド両方の視点)

個々の強みや性格を活かしたリーダーシップが発揮できる多様性のある風土を作り、メンバーの自己効力感が高い状態を作ることで全員が自律的に動く状態を作ること。
加えて、目標を真の意味で共有し(知っているだけでは不十分で、そのために貢献したいと思うこと)、自分1人の視点だけでなく職場全体を様々な見地から見渡すようになることで、統合を促進する。
このように分化と統合の両方を高めることで、シェアド・リーダーシップが発揮される風土が少しずつできてくるのだと思います。

ちなみに、大学の授業で学生にシェアド・リーダーシップの概念を伝えたところ、グループワークに取り組む際の意識・行動に大きな違いが生まれました。
以前は、
「リーダーはグループに1人で、リーダーシップはその人がだけが発揮するもの。
だから私はその人に任せておとなしくしておきます」
という態度の学生が多かったように思います。
ところが、シェアド・リーダーシップが大事だと理解してからは、
「何とかしてチームに貢献しよう」
「自分の良さや強みをどうやって活かそう」
という意識を持つようになり、グループワークも活発になりました。

全員発揮のリーダーシップ、是非皆さんの職場もシェアド・リーダーシップ化してみてはいかがでしょうか。良書ですよ。 



マネジメントにおける「承認」の効果について調査・分析しまとめられた本書。
大学院の授業の課題図書として読んだのでこちらでもまとめを残しておきます。 

【分析手法】
ー遡篁罎砲茲訥敢困鮠鞠Г鮃圓α阿噺紊裡臆鷦損棔42問の質問票)
第1回の調査回答を因子分析し、合成尺度を作成
3胴臉尺度の「事前事後」の変化を「承認のあり群・なし群」に分けて分散分析
pre-pos

【効果】
上司からの承認は、企業規模や雇用形態の違いにかかわらず自己効力感、満足度を高める
・結果として内発的モチベーション、外発的モチベーションの双方が高まる
 ・上記以外にも挑戦意欲、組織への貢献意欲、組織への一体感、評価に対する信頼感、会社に役立っている感覚等
・若年層に特に大きな効果
・同僚からの承認は大きなモチベーションには繋がらないが、衛生要因的な役割を果たす

【承認が効果をあげる条件】
・実利とのリンク:承認を昇格や昇級といった実利と連動させること
・承認を歓迎する組織風土:嫉妬がなく周囲から承認される

【承認の方法】 
・正確にフィードバック:不正確だと逆効果
・タイミング:承認にふさわしい事実(特に達成)があった上で承認
       達成以外では、能力の伸長や優れた個性、努力の確認の後も◯ 
・自己効力感向上:具体的事実、客観的情報(顧客の声等)に基づいて承認
・評価への満足:長所や能力、仕事上の努力や貢献を認めて承認 
・二極化対策:高群だけ承認すると、低群のモチベーションが下がり、低群ばかり承認すると高群は不公平感を感じる
 ・高群:能力、業績、貢献度をそのまま認める
 ・低郡:限定的、相対的に承認する
  ・限定的:仕事のどの部分が優れているか、全体ではなく焦点を絞って等
  ・相対的:前回よりどこか伸びたか等
 
おもしろかったのは、マズローの欲求階層説と承認の関係。
巷に溢れる様々なマネジメント理論は、マズローの5つの欲求のいずれかに対応した物がほとんど。
しかし「承認欲求」に焦点を当てた理論がほぼないと筆者は指摘します。
経済的発展により、下層の欲求が満たされる世の中になった今の時代においては
「承認」行動を積極的に実施することがマネジメントにおいても効果的なのかもしれません。
「叱る」よりも「承認」
学校教育でも同じだと思うので、私自身「承認」行為を意識的に増やしていこうと思います。
 Maslow_



アクティブラーニング・シリーズ全7巻のうちの第1巻。
2と3を先に読んでしまったのですが、ここに来て第1巻を読了しました。
アクティブラーニングの中核にはグループ学習が存在し、その効果を高めるには「協同学習(Cooperative Learning)」が有効であると言われています。
前半部分はそんな協同学習について書かれており、後半は事例として「ジグソー法」や「反転授業」、「ケースメソッド」といった手法や授業の進め方について書かれています。
個人的には、協同学習の重要性について認識できたことが大きな学びでした。
大学でPBL型の授業を担当しているのですが、各チームのプロジェクトの成否は正に協同学習の意識がチーム内に醸成されているかどうかが大きなポイントだと、何となく感じていたモヤモヤのイメージがスッキリと認識できた印象です。
本書で学んだ理論的な背景も抑えつつ、協同学習の雰囲気で溢れるようなアクティブラーニングの授業を目指したいと思います。

以下、気になった部分のメモ

『協同学習の定義』(ジョンソン・ジョンソン・ホルベック, 2010)
「協同学習は、学生たちがともに課題に取り組むことにより、自分の学びと仲間の学びを最大限に高めようとする、小グループを活用した指導法である」
 
『協同学習の基本要素』(ジョンソンら, 2010)
々猟蠹相互依存:信頼関係に基づいた仲間同士の依存
個人の2つの責任:自分の学びと仲間の学びに対する責任
Bタ陛相互交流:積極的な交流
ぜ匆馘スキルの促進:グループ学習に必要なスキル
ゥ哀襦璽廚硫善手続き:活動の建設的な評価 

『協同学習の基本要素』 (Kagan, 1994)
〜蠍澎預
個人の責任:ジョンソンらの肯定的相互依存と個人の2つの責任とほぼ同じ
参加の平等性:メンバーが同程度参加できているか
こ萋阿瞭瓜性:活動をメンバーが同時に行う

『協同学習の基本構造』:課題明示⇨個人思考⇨集団思考
集団で話す前に個人で考える時間を取ることがポイント 

『協同学習の効果』
’知:知識やスキルに対して認知が上がり、結果として学業成績も向上する
態度:仲間、協同、学び、学校等に対する態度が変わり、認識が改善される

『協同学習の評価』
・Processing(改善手続き):グループプロセス
・Reflection(省察):自身の体験を自己分析

『死んだ知識』
他の関連した問題解決の状況に使えないような形で脳内に蓄えられた知識のこと(今井・野島 2003)
死んだ知識はノード間の繋がりが少なく孤立している。
対して生きた知識はノード同士が複雑に繋がり合っている。
活用可能な生きた知識は、個人単位の学習では限界がある。

『目標別の2つのアクティブラーニング』
・正解到達型アクティブラーニング:教員が設定した学習目標範囲内での知識習得を目的とする
・目標創出型アクティブラーニング:教員が設定した学習目標を超え、学習者自身が知識を創造していく
今後、教育機関では「目標創出型」のアクティブラーニングが求められる。

『双子の過ち』
・網羅主義:知識伝達型授業は網羅を優先(教えてから学ぶスタイルで学ぶが少ない)
・活動主義:活動を優先しすぎたALは理解、思考が浅い(学ぶが大きいスタイルで理解、思考が少ない)
どちらかに偏ってはダメ。活動的で深く学ぶ学習スタイルが理想(ディープ・アクティブラーニング



タイトルの通り「アクティブラーニングの評価」について理論と事例の双方を含んだ形でまとめられています。
理論の部分では、いくつかの枠組み・物差しを提供してくれたおかげで、アクティブラーニングの評価について立体的に捉えることができるようになったように感じています。
また、改めてアクティブラーニングの持つ力や可能性も感じました。
学力の3要素(知識・技能|思考力・判断力・表現力|態度)を育むためには、アクティブラーニングはもはや欠かせないレベル
そして、目標に対するカリキュラムを作ったら、その学習成果を可視化し、評価する仕組みも当然必要です。
その「目標-内容-方法-評価」という一連のつながりの中での「評価」について、様々な角度から理解を深めることができます。

以下、理論についての学びメモです。


『能力の三軸構造』
‖仂歙こΔ箸隆愀(認知的側面):認知的コンピテンシー
他者との関係(社会的側面):対人的コンピテンシー
自己との関係(情意的側面):自己内コンピテンシー

『学習評価の4つのタイプ』 
直接/間接、質的/量的の2軸で4つに分類できる。
ヾ/質:感想文、ミニッツペーパー
間/量:質問紙調査
D/量:客観テスト(採点者の主観に左右されない)
つ/質:パフォーマンス、ポートフォリオ評価

『評価のジレンマ』
・人格の深い部分まで評価してしまう「全人評価」
・他者からの評価を気にしすぎる「自己コントロールの檻」
・評価の連続による「評価疲れ」

『授業評価の流れ』
\古未砲弔韻気擦燭の呂箸浪燭世辰燭
△修領呂鬚匹里茲Δ鵬鳥覯修靴燭
2鳥覯修気譴仁呂鬚匹里茲Δ癖法で評価したか
っが評価したか


また、後半の事例部分では、京都府立園部高等学校の「英語科におけるパフォーマンス評価」 が個人的に印象に残りました。
筆記テストで点数づけする場合が多い英語教育ですが、こちらの高校ではパフォーマンス課題・評価を取り入れ、生徒の主体的な学習態度をうまく引き出しています。
英語の教科内容と現実世界の文脈をうまく融合し、実世界で活用することをイメージしながら学習できる設計も◎
そして、評価の仕組みである"Sonobe Assessment Grid"(ルーブリック)がこれまた秀逸。
Common European Framework of Reference for Language(CEFR)を参考に作成されたようなので、このフレームワークは調べてみようと思いました。 
また詳細は記載されていませんでしたが、おそらく担当されている先生の「協働的学習空間」の場づくりのファシリテーションがすごく上手いのではないかと推察しました。
同じ仕組みでも生徒の気持ちが乗ってくるかどうかは先生のファシリテーション能力にかなり左右されるような気がしています。このあたりをもっと知りたいと感じました。  



溝上先生監修による「アクティブラーニング・シリーズ 全7巻」のうちの1つである本書。
PBLについて学びを深めたく、シリーズの中でも真っ先に手に取りました。
前半部分で理論、後半部分で事例が書かれており、全体を通して参考になるものが多くありました。
特に有益だったと思う情報をメモでまとめます。

2つのPBLの違いについて
PBLは、Problem-based LearningとProject-based Learningの2つがあり、両者の違いについて整理したいと思っていたところでした。

まず、2つのPBLの定義と背景について以下のようにまとめられています。
『Problem-based Learning(問題解決学習)』
問題解決学習とは、実世界で直面する問題やシナリオの解決を通して、基礎と実世界とを繋ぐ知識の習得、問題解決に関する能力や態度等を身につける学習のこと。 (溝上・成田, 2016)
背景:1960年代後半にカナダのマックマスター大学メディカルスクールで開発される

『Project-based Learning(プロジェクト型学習)』
プロジェクト学習とは、実世界に関する解決すべき複雑な問題や問い、仮説を、プロジェクトとして解決・検証していく学習のことである。学生の自己主導型の学習デザイン、教師のファシリテーションのもと、問題や問い、仮説などの立て方、問題解決に関する思考力や協働学習等の能力や態度を身につける。(溝上, 2016)
背景:20世紀初頭に初等教育におけるキルパトリックの「project method」がルーツ 

この2つには共通点があり、『2つのPBLの共通点』として以下のようにまとめられています。
ー太こΔ量簑蟆魴茲房茲蠢箸
¬簑蟆魴菁塾呂魄蕕討
2鯏は1つとは限らない
ぜ己主導型学習を行う
ザ働学習を行う
構成的アプローチを採る
・知識構成:問題解決の中で自身の知識世界を構成的に発展
・社会的構成:他者の考えを取込み、知識世界を社会構成的に発展


また、アクティブラーニングが機能するかどうかは、学生のリーダーシップが発揮されるかどうかによるところが大きいということもハッとした気づきでした。
PBLを通してリーダーシップが開発される一面は大いにあると思いますが、
結果だけでなくリーダーシップは手段でもあるということです。

また、京都光華女子大学短期大学部の「ブライダルをテーマにしたPBL」の 事例では、先日読んだディープ・アクティブラーニングの「深い学習、深い理解、深い関与」を授業に組み込んでいることが印象的でした。
プロジェクトを成功させるという活動目標だけでなく、教育目標の達成をために、学びに広がりや深みを出すことは非常に重要な点なので、自身の授業でも参考として取り入れたいと思いました。

大学だけでなく、高校の探究学習の事例なども掲載されているので、PBLに関して興味を持たれている先生方にオススメの1冊です。 

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