厳選!オススメ書籍(ビジネス書、学術書、小説etc..)

ビジネス書や学術書、小説等の書評ブログです。読んで良かった本をさくっとまとめています。



タイトルの通り、大学の歴史についてまとめられた一冊。
大学の起源から始まり、制度変容や改革、そしてヨーロッパ・モデルが世界中へと広がっていく流れが端的にまとめられています。
ただ、注意すべきなのは、1945年以降の大学の歴史については書かれていないこと。
それ以降の大学の歴史を知りたい場合は、別の書籍と併せて読む必要があります。
それでも、大学というものがどういう経緯で誕生し、どのような課題を持ちながら変化・変容してきたのかを概観することができたのは、大学で働く身として多くの重要な気づきをいただきました。
以下、メモ。

【中世】
12世紀、パリを中心に、修道会のあいだで、教師が独自に学校を開き、リベラル・アーツ教育などを行うようになる。後に上位科目を教える教師達も合流する。
ボローニャでは、1190年頃に、学生達は権威ある教師のもとに集うことをやめ、学生自身が必要としている教育を彼ら自身で組織するようになる。
この学生達の「ナチオ」が大学として互いに結集するようになり、ボローニャ大学が誕生。
そしてほぼ同時期に、パリ大学、オックスフォード大学が出現。
学問体系は、聖なるものについての学(のちの神学)を上位科目とし、
基礎科目としてリベラルアーツ(文法学、修辞学、論理学、算術、音楽、天文学、幾何学)があった。

16世紀から18世紀にかけて、大学改革が立て続けに行われる。
16,7世紀の改革は、大学に認められていた自治を解体し、国家による管理を強化することが目的とされていた。
18世紀、職業教育が学校教育として行うべきたという声の高まりから、職業需要により適合するように大学改革が進められる。 
国家による改革に抵抗し続けた大学は、効率の悪い大学機関とみなされ、大学から完全に独立した高等教育機関、エコール・スペシアル(専門学校)や職業教育(外科医学等)コレージュ等の設立が始まる。
しかし、真に職業学校と呼べる機関が登場するのは近代に入ってからである。
大学の学位それ自体は実際の能力を裏付けるものではないということを、国家のみならず職業機関も次第に意識するようになっていた。
16世紀から18世紀にかけての大学では、学生の中に貴族階級の学生も含まれていた。
その背景から、貴族階級に憧れる学生が増える、いわゆる大学の貴族化が進む。
18世紀に入ると、平民出身の学生はほぼいなくなってしまう。

ルネサンスの時代(14〜16世紀)に大学が成功したのは、教養に対する威信の高まりからである。
学識の世界に足を踏み入れることを渇望していた平民だけでなく、貴族階級でも学問に魅了される者が現れる。
その頃、大学修了者の主な就職先は、司法職をはじめとする官職、弁護士や医師といった自由業、聖職業であった。
一方、17世紀から18世紀に多くの大学が革新的な知的動向から遠ざかるにつれ、大学の魅力は失われ、学生数が減少する。
貴族は大学ではなく、貴族のための高等教育機関に通うようになる。(貴族コレージュ等)
そこでは、紳士たるに欠かすことのできない科目(舞踏、乗馬、外国語)が教えられていた。
大学がそれらの科目を取り入れ、落ち込んでいた貴族学生数が再び急増することもあった。
学位取得者の有力な就職先としてみなされていた官僚が、世襲特権階級により独占されてしまう。
その結果、17世紀から、学位取得者たちの「余剰」を危険なものとして批判する書物が欧州各地で出回る。

「たえず改革される大学」
大学は、その誕生からつねに、改革すべき未完の状態にあると考えられてきた。
ルネサンスの時代になると、大学の存在を疑問視するようになる。
18世紀のさなかに至るまで時代遅れの教育を続け、その教育が中世の時代から変わらぬ古臭い典拠にもとづいていた。
大学は、同業組合的な頑迷さから、大学の外でいかに革新的な潮流が生じようとも、それを識別することができず、適応が遅れてしまうところが出てくる。
※革新的な学問とは、16世紀では文献学、解釈学、進学の分野で生じた刷新、17世紀では科学や近代法、18世紀では啓蒙主義哲学などである。
そして、近代の大学は、憂慮すべき機能不全に陥る。
修学期間は中世に比べて著しく短縮され、わずか4,5年で容易に学士号や博士号を取得することができるようになった。
また、試験の不正行為や、大学団体規約の不履行の頻発などの問題が発生した。
学位は知的能力を裏付けるものではなくなっていた。学生が将来働くうえで必要とされる能力と、大学の形骸化した教育内容とあいだには、どうすることもできないほどの隔たりが生じてしまっていた。(p.81)
真の教育は、大学の外で獲得されるものとなってしまった。

ゲッテンゲン大学の4つの改革(1733年)
‖膤悗鮓圭鼎聞餡箸隆浜下に置く(とりわけ教授の専任にさいして)
⊂緡階級のための科目の新設(舞踏、乗馬、デッサン、現代語)
8渋綸な科目の設置(歴史学、地理学、物理学、応用数学、自然法、行政学「官房学」)
ぅ好灰薐愿な購読授業や討論に取ってかわる「ゼミナール」の導入

第1の変革-学問か、それとも職業か(1780年頃〜1860年頃)
19世紀前半、ヨーロッパの大学空間は世界に大きく拡大した。
研究あるいは職業教育はおもに大学以外あるいは独立した機関でなされた。

第2の変革-研究か、それとも社会的開放か(1860年頃〜1940年頃)
【アメリカモデルの浮上】-高等教育大衆化へのあらたな道
1860年頃から、アメリカでは、ヨーロッパに負けないような大学、教育と研究を連携させるドイツのような大学を創ることを希望し、スタンフォード大学、ジョンズ・ホプキンス大学、コーネル大学、シカゴ大学が創られた。
学生の自由な選択に任せられた教科の柔軟な組み合わせは、本来の大学教育への裏切りと考える者もいたが、結果として、きわめて多様な学生の共存を許し、大学の存続に役立つことになる。
技術教育や専門教育と教養教育や学問を結びつけ、大学に顧客および多様な財政支援を引きつけ、企業家のごとき学長の権威主義的な鞭撻のもと、大学の繁栄へと繋がっていく。
学習科目が学科ごとに構成(ヨーロッパは講座制)されていたということも革新を容易にした。
加えて、メセナ、各種基金、アルムニからの寄付のおかげで大学が資金不足になることはなかった。
生徒数は増加し、ブルジョワジーに支配されていた教育は、中流階級のための教育に取って変わられる。
1914年にテニュア・システム(助教授としての試用期間後に終身的地位を与える)が導入され、学者の地位向上へと繋がっていく。

【日本】
開国(1868年)して明治時代になるとすぐ、ドイツ・モデルにならって大学設置に動き出す。
全国の8つの学区に1つずつ大学を設置することを法律で定める。
最初の大学は、1877年に東京開成学校と医学校を合わせて創られた東京大学であり、学部は、法学部、文学部、理学部、医学部を含んでいた。後に、1886年3月の勅令によって帝国大学となる。
1897年に京都に2つ目の帝国大学が創られ、さらに東北、九州、北海道にも設置される。
1918年、勅令により、初めての私立大学が認可される。
1948年、日本の高等教育がアメリカの占領軍によって再編される。将来の大国日本の礎は、このアメリカ・モデルによる大衆高等教育への早熟な参入により、この時期に形成されていた。



大学院の授業でダグラス・ホール教授の理論(おそらくプロティアン・キャリア理論中心)についてプレゼンすることになったので、まずは田中先生のこちらの書籍を拝読しました。
めっちゃ分かりやすい。最初にこれを読んで正解でした。

まず、伝統的キャリアとプロティアン・キャリアの違いについて以下の図でスッキリと理解できました。
protean_compare
また、プロティアン・キャリアがどのようなキャリア理論の変遷の末に現れたのかも
変遷のまとめを読むことで外観を掴むことができました。

個人的に本書で特にポイントだと思った点は、ダグラス・ホール教授のプロティアン・キャリア論に
以下のキャリア資本論
・「無形資産」(リンダ・グラッドン)
・「資本論」(ピエール・ブルデュー)
を接続しているところだと感じました。

「無形資産(intangible asset)(リンダ・グラッドン)からの展開
キャリアを貸借対照表に落とし込む(キャリア資本表)
・資産:有形資産+無形資産(※)
・資本:負債+純資産
【※無形資産】
\源裟資産:スキル、知識
活力資産:健康、友人、パートナー、家族
J竸隼饂此Ъ己理解、人的ネットワーク(外部) 

無形資産が有形資産(金融資産)へと変わっていくので、無形資産をどんどん蓄えようという考え方にはとても共感です。
「最強の投資は自己投資」という言葉がそのまま当てはまると感じました。


「資本論」(ピエール・ブルデュー)からの展開
プロティアン・キャリアを3つの資本の総体として捉える。
キャリア資本=「ビジネス資本」+「社会関係資本」+「経済資本」
.咼献優校駛棔Д好ル、語学、プログラミング、資格、学歴、職歴などの資本
 ・ビジネスリテラシー:ビジネスシーンで問われる論理的思考力の基盤
 ・ビジネスアダプタビリティ:様々な変化に関心を持ち、変化に対応する適応力
 ・ビジネスプロダクティビティ:問題から目を背けず解決する力
⊆匆餞愀源駛棔Э場、友人、地域などでの持続的なネットワークによる資本
7从兒駛棔Ф眩、資産、財産、株式、不動産などの経済的な資本 
※キャリア資本は転職や離職しても減らず、環境を変えることで増大する

そして、上記のキャリア資本論をバランスシートに当てはめるとこのような形になります。
career_capital_BS
貸借対照表の「資産」と「資本」の違いが分かればよりスッキリとキャリアの貸借対照表も理解できると思います。
・資産:所有する財産のこと。
・資本(純資産):商売に必要な元手のこと。
キャリア資本(ビジネス・社会関係・経済)を元手に様々なキャリア経験を積み上げ、
その経験により資産(無形・有形)が増えていく。
無形資産が増えれば、それは将来の有形資産(金融資産)に繋がっていく、という流れかと思います。

キャリア資本と無形資産の内容を見ると、スキルや人脈等、かなり重なる部分があります。 
ビジネススキルや人脈は新たなキャリア経験の元にもなり得るし、
その経験により新たに得られる資産にもなり得る。
ソニー創始者の井深さんが「仕事の報酬は仕事」という名言を残していますが、
それとも通ずるものがあると感じました。

本書に出てくるキャリア・トラップやキャリアに悩む若手社員の声を読んでいると、自分自身が新入社員の頃に抱いていた悩みをリアルに思い出していました。
できれば学生の頃からプロティアンキャリアの考え方を学んでおきたかった。本当にそう思います。
一人ひとりがキャリアについてより真剣に向き合い、戦略的に構築しなければいけない時代。
過去の自分に伝えるように、学生や生徒等若い世代に伝えていきたいと思います。


以下、メモ。
PROTEAN(プロティアン)は、ギリシャ神話に出てくる神プロテウスに由来する言葉で、
「変化し続ける」「変幻自在な」「一人数役を演じる」という意味がある。
「プラトー」とは「高原」の意味。「キャリア・プラトー」とは、組織で働く人があるときに直面する「停滞状態」のことを指す。それ以上のキャリアアップが見込めず頭打ちになる状態。
プロティアン・キャリアは、1976年に米ボストン大学経営大学院のダグラス・ホール教授が提唱。
「社会や環境の変化に応じて柔軟に変わることのできる変幻自在なキャリア」のことを指す。
プロティアンキャリア診断:15項目をチェックすることで診断できる。
キャリアは「結果」でなく「過程」 これまでの経験の「歴史」でありながら、これからの「未来」でもある。
「キャリアとは、これまで生きてきた足跡(結果)であり、生き方を客観的・相対的に分析すること)現在)でもあり、そして、これからの生き方を構想する羅針盤(未来)なのです。」(筆者) 

【プロティアン・キャリア論の3つのポイント】
.ャリアとは個人が創造するものであり、組織が管理するものではない、と定義したこと
キャリアに社会的な成功や失敗はなく、仕事の報酬は目標が達成されたときに得る「心理的成功」の獲得だと意味づけたこと
仕事には遊びの要素が存在するため、生活との統合が可能だと提唱したこと

【組織●●をキャリア●●に置き換えると分かりやすい】
組織⇨キャリア
組織診断⇨キャリア診断
組織戦略⇨キャリア戦略
事業資本⇨キャリア資本

社会関係資本は「結束型(ボンディング)」と「橋渡し型(ブリッジング)」に区分される

【プロティアン・キャリアが働く人にもたらす3つのメリット】
〃茲泙蠅ったキャリアコースがなくなる
▲ャリア空間の拡大:仕事とプライベートの境界が消える。Work as LIFE
6間の柔軟性:個人と組織の主従関係がなくなり、自由な空間で働く

【プロティアン・キャリアの6つのタイプ】
.肇薀鵐好侫 七拭働きながらビジネス資本を形成し、転職
▲魯ぅ屮螢奪彪拭働きながらビジネス資本を蓄積、掛け合わせユニークな市場価値形成
プロフェッショナル型:1つの専門性を深めてビジネス資本形成
ぅぅ鵐肇薀廛譽福七拭Ъ卞盪餮擦鰺用しビジネス資本を更新、外部との社会関係資本構築
ゥ札襯侫┘鵐廛蹈し拭Я反イ之狙した資本を元手に独立
Ε灰優ター型 :社会関係資本の形成を大切にしながら人と人を繋ぎビジネスやコミュニティを作る



「7つの習慣」×「アクティブラーニング」というカツカレーばりに大好物な2つの掛け合わせ。
一体どんな感じで繋がっているんだろうと思い手に取りました。
著者は高校教員として、物理の授業をアクティブラーニング化して成果を上げてこられた小林昭文先生です。

「ビジネス社会が変化しているのだから学校社会も変化しないといけない」 
正にその通り。
学校と社会の断絶という個人的にとても課題感を感じているところから書籍はスタートします。

「みんなで力を合わせて」と言われるのは文化祭や体育祭のみ。
社会では協力することが求められるのに、なぜか授業ではそれが推奨されない。
つまり、これまでの授業のパラダイムを変える、「パラダイムシフト」が多くの学校に求められているのです。

ちなみに本書、アクティブラーニングの背景に多くの学術的な概念が散りばめられています。
カウンセリング、エンカウンターグループ、アクションラーニング、経験学習モデル、システム思考、リフレクション、一皮むけた経験(金井先生)等々、
やはり良い授業ができる先生は、しっかりと理論を学ばれた上で現場で実践を重ねて来られているんだなと感じました。

第5章では、実践例として授業の流れや生徒への介入の仕方など詳しく書かれています。
多くの科目に適用できるアクティブラーニングのモデルだと思いますので、是非一読をお勧めします。
個人的には、叱ったり、怒鳴ったりしても変わらない生徒へのカウンセリングを活かした対応が特に印象に残っています。
そして、7つの習慣を早い段階で学習することの意義も大きいなと思いました。


最後に、7つの習慣とアクティブラーニングの掛け合わせのメモを残しておきます。

第1の習慣:主体的である 
 ・積極性や率先、自ら選択できること、選択したことには責任があること
 ・選択する力は、「自覚」「想像」「良心」「意志」の4つの能力によってもたらされる 
 ・リーダーシップを発揮する(私的成功から公的成功へ)
  ・セルフリーダーシップから他者へのリーダーシップの発揮へ
第2の習慣:終わりを思い描くことから始める
 ・目的地を決めてから始める
第3の習慣:最優先事項を優先する
 ・限られた時間配分を考える
 ・説明は最小限にし、生徒に任せるところは思い切って任せる
 ・教科書を読めばわかる部分は端折る
第4の習慣:Win-Winを考える
 ・人よりよい点をとることが目的ではない
 ・欠乏マインドではなく豊かさマインドを
第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される
 ・コミュニケーションの鍵は、相手の話を聴き、心から理解しようと努めること
第6の習慣:シナジーを創り出す
 ・自分のできることだけでない、他者と協力することで力を発揮させる
第7の習慣:刃を研ぐ:「肉体」「知性」「社会・情緒」「精神」の4つの側面を磨く
 ・肉体:体育
 ・知性:様々な科目の授業
 ・社会・情緒:コミュニケーションを通じて良好な人間関係を築く
 ・精神:内省


ピーター・センゲの「学習する組織」、ドナルド・ショーンの「省察的実践とは何か
これら名著は組織学習の前進に大きく貢献しました。
しかし、本書の著者であるハーバード大学教育学大学院のロバート・キーガン(Robert Kegan)教授は、
これらの学習理論にも問題点があると本書を上梓し、一石を投じます。
その問題点というのが、30年前の常識であった「思春期以降、人間の知性に質的変化は起きない」という観念。
ここへのアンチテーゼとして、組織学習の理論に「大人の発達」という視点を取り入れ、
学習の次元を1段階上げようと試みたのが本書になります。

分厚い本ですが、ざっくりと構成を述べると、
第1部で、「人間が変わるとはどういうことか」 について大人の発達について新しい視点を提供し、
※本書の目玉とも言える「免疫マップ」というツールの紹介もあります。 
第2部では免疫マップを使ってどのように組織全体が変化するかの事例について書かれ、
第3部では、実践するためのTipsについてまとめられています。

私自身、大学院のチーム課題で、リアルクライアントに「免疫マップ」を使ったワークを実施しました。
事前に自分達でも使用し、その効果を確認してみたのですが、
普段意識することのない個人や組織が変われない要因(裏の目標や固定観念)に
気づくことができ、そのパワフルさを実感しました。
「変わりたくても変われない」そんな要因に気づかせてくれるのが免疫マップです。

以下、ざっと本書のポイントと思う点をまとめます。
※400ページ強の分厚さですので、本当にポイントのみです

【大人の知性の3つの段階】
大人の知性には3つの段階があり、(成人発達理論では5段階でまとめられています)
現代社会において我々は、より高い次元の知性を身につけ、
それに基づき自分自身とまわりの世界を理解することが求められてきています。

ヾ超順応型知性(Socialized Mind)
・周囲からどのように見られ、どういう役割を期待されるかによって、自己が形成される
・帰属意識を抱く:対象に従い、その対象に忠実に行動することを通じて、一つの自我を形成する
・順応する対象は、主に他者、もしくは考え方や価値観の流派、あるいはその両方

⊆己主導型知性(Self-Authoring Mind)
・周囲の環境を客観的に見ることにより、内的な判断基準を確立し、それに基づいて周りの期待について判断し、選択をおこなえる
・自分自身の価値観やイデオロギー、行動規範に従い、自律的に行動し、自分の立場を鮮明にし、自分に何ができるかを決め、自分の価値観に基づいて自戒の範囲を設定しそれを管理する。
・こうしたことを通じて、1つの自我を形成する

自己変容型知性(Self-Transforming Mind)
・自分自身のイデオロギーと価値基準を客観的に見て、その限界を検討できる。
・あらゆるシステムや秩序の断片的、ないし不完全なものだと理解している。
・これ以前の段階の知性の持ち主に比べて、矛盾や反対を受け入れることができ、1つのシステムをすべての場面に適用せずに複数のシステムを保持しようとする。
・1つの価値観だけ抱くことを人間としての完全性とはき違えず、対立する考え方の一方にくみするのではなく両者を統合することを通じて、1つの自我を形成する

では、上記の知性レベルはどのように高められるのでしょうか。
知性レベルは、主体と客体がどのように線引きされているかで決まるとされています。
・主体:自分が「所有されて」いる思考や感情(主体としての性格をもつ思考や感情)
・客体:自分が「所有して」いる思考や感情(客観視できる客体としての性格をもつ思考や感情)
知性レベルが高まると、視界に入る要素(客体)が増え、視界に入らない要素(主体)が減少し、
これにより、複雑な世界への対応能力が高まると言われています。
この「主体から客体へ移行する連続的なプロセス」がキーガンの言う人間の意識の成長・発達です。
詳しくは成人発達理論について別途まとめようと思います。
ちなみに、知性レベルと仕事の能力との間には相関関係がある、
つまり、役職の高い人ほど仕事の能力だけでなく知性レベルも高い傾向があるようです。

上記の知性レベルが課題解決と関係してきます。
ハイフェッツ曰く【人が直面する課題】には2種類あると言われています。
ゝ蚕囘な課題
適応を要する課題

△蓮⊆分の処理能力を超えた課題であり、既存の思考様式では対応できません。
このため、知性レベルを高め、思考様式を変容させる必要があります。
課題解決は「問題」だけでなく「人間」の側の要因にも着目しなければいけないということです。

では、適応を要する課題に対しては、具体的にどう対処すればよいか。
一連の流れは以下のように
・問題を明確に定義し、
・解決策を見出し、
・必要に応じて自身を変える、
というプロセスで進められますが、最初の問題を明確にする際のツールとして、
本書のメインディッシュである「免疫マップ」が登場します。
人も組織も「変わりたくてもなかなか変われない」ということはよくあります。
それは、深層心理では「変わりたくない」といった固定観念があり、
それが変化することを拒んでいるのです。
免疫マップは、そんな「変革を阻む免疫機能」を炙り出してくれるツールになります。
↓こんな感じ
immunity_to_change
上記の例は、書籍内で例として書かれていた「大学図書館の司書たち」の免疫マップです。
免疫マップは「改善目標」「阻害行動」「裏の目標」「固定観念」という4つの柱で構成されます。
使い方はシンプルで、それぞれの枠内に左から順に記入していきます。
これにより、自分自身が意識して取っている行動の裏にある無意識の思考や感覚に気づくことができます。
個人でも組織でもどちらも活用できるので、ご興味あれば是非活用してみてはいかがでしょうか。

最後に【変わるために必要な3つの要素】についてもメモしておきます。
・要素1:心の底-変革を起こすためのやる気の源
自分の矛盾した状態-片足をアクセルに、片足をブレーキに置いた状態を知った人はたいてい、心の底から自己変革への強い欲求を感じるようになる

・要素2:頭脳とハート-思考と感情の両面にはたらきかける 
「どう知っているか」を変えないかぎり「どう感じるか」は変えられない

・要素3:思考と行動を同時に変える
必要なのは、行動を変えるのと並行して考え方と感じ方も変えること


以上が、ざっくりとですが本書のまとめです。
「学習の次元を上げたい」「変わりたいけど変われない理由を知りたい」
という個人・組織の方々にオススメの 一冊です。



立教大学大学院 リーダーシップ開発コースで学んでいる者としてこれは必読書の1つ。
受験前に読んではいたのですが、先日授業でプレゼンがあり読み直す機会があったためレビューも書こうと思います。 

リーダーシップにも様々な歴史・概念がありますが、このシェアド・リーダーシップは全く新しい考え方の1つです。
以前のリーダーシップ理論は、組織においてリーダーはマネジメント的立場にある1人だけに焦点が当てられたものばかりでしたが、シェアド・リーダーシップでは
メンバー全員がリーダーシップを発揮する”という全く新しい方向からリーダーシップを捉えた理論になります。

シェアド・リーダーシップの特徴は以下の3点にまとめられます。
・全員によるリーダーシップ
・全員によるフォロワーシップ
・流動的なリーダーとフォロワー

流動的にリーダーシップを発揮する人が移り変わり、それ以外の人は積極的にフォロワーシップを発揮する、以下のようなイメージです。
このような形のため、リーダーだけでなくフォロワーシップにも主体性や積極性が求められます。
shared-leadership

シェアド・リーダーシップが職場で発揮されると以下のような効果があると言われています。
・職場のメンバーの職務態度の向上
・職場のメンバーのモチベーションの向上
・職場にもたらされる能力や情報量の増加
・職場の成果向上

詳細については割愛しますが、是非書籍をご覧になってください。

また、シェアド・リーダーシップが効果的な場面としても4点挙げられています。
/場を取り巻く環境の曖昧さ
⊃場の成果として創造性が求められる
職場の対応として素早さが求められる
た場のメンバーの専門性が高い

VUCAと呼ばれる現代社会では、かつてのように
「答えが決まっていて、上司がそれを部下に指示してやらせておけば良い」
というマネジメントでは対応できなくなっています。
答えが曖昧で決まっていないため、職場全体として創造性迅速さが求められます。
だからこそ、専門性の高いメンバーがそれぞれの強みをフルに発揮できる環境が生き残っていくのでしょう。
ダイバーシティ&インクルージョンという言葉も昨今よく聞きますが、
多様性のあるメンバーをうまくマネジメントできるかどうかが今後の組織マネジメントの鍵なのでしょう。
そしてこの状態こそシェアド・リーダーシップだと言えるのだと思います。

最後に、職場をシェアド・リーダーシップにするために必要な5つの要因について記載します。
まず、分化と統合という本来反対の方向に力が働く概念を両方高める必要があります。
◆分化:それぞれが、自らの目標に向けて自律的に動く状態
 ー己効力感
 ▲僉璽愁淵螢謄・ベース・リーダーシップ
 B人誉を認める風土
◆統合:それぞれが、1つの目標に向かって協調・連携しながら活動している状態
 ぬ槁犬龍ν化
 セ訶世諒儔宗粉儺卆覆肇侫ールド両方の視点)

個々の強みや性格を活かしたリーダーシップが発揮できる多様性のある風土を作り、メンバーの自己効力感が高い状態を作ることで全員が自律的に動く状態を作ること。
加えて、目標を真の意味で共有し(知っているだけでは不十分で、そのために貢献したいと思うこと)、自分1人の視点だけでなく職場全体を様々な見地から見渡すようになることで、統合を促進する。
このように分化と統合の両方を高めることで、シェアド・リーダーシップが発揮される風土が少しずつできてくるのだと思います。

ちなみに、大学の授業で学生にシェアド・リーダーシップの概念を伝えたところ、グループワークに取り組む際の意識・行動に大きな違いが生まれました。
以前は、
「リーダーはグループに1人で、リーダーシップはその人がだけが発揮するもの。
だから私はその人に任せておとなしくしておきます」
という態度の学生が多かったように思います。
ところが、シェアド・リーダーシップが大事だと理解してからは、
「何とかしてチームに貢献しよう」
「自分の良さや強みをどうやって活かそう」
という意識を持つようになり、グループワークも活発になりました。

全員発揮のリーダーシップ、是非皆さんの職場もシェアド・リーダーシップ化してみてはいかがでしょうか。良書ですよ。 

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