新国立劇場『影のない女』行ってきましたウラジオストク

2010年06月12日

サロネン&フィルハーモニア管withハーン

 6月1日。フィルハーモニア管@東京文化会館。
 何だかもう1週間以上経ってしまいましたが、たまたま先週は忙しくて感想書くのが延び延びになってしまいました。曲目はサロネン自作+チャイコフスキー+幻想交響曲という組み合わせ。

 もともと私はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲というものを好んで聴くようになったのが比較的最近で、それもハイフェッツの演奏を聴いて「あ、これ単に生理的快楽だけを要求してもいい曲なんだ」と思ったのがきっかけ。そんな中、内省的で真摯で、一つ一つの音にしっかりと意味が込められ、深いところからじわじわと感動が襲ってくるような今回のハーンの演奏は虚を突かれた感じで、まさに目から鱗でした。
 普通のヴァイオリニストがスピッカートで華やかに技巧を披露するような個所でも、一つ一つの音を柔らかく慈しむように弾いていて、弾き飛ばす個所が全くありません。全体を通して物凄い密度で、ハーンの出す一音一音に釘付けでした。「オーケストラ!」のラストみたいに他のこと考えてる余裕などない感じで。やはりこれ、いい曲なんですね。ベートーヴェンやブラームスの協奏曲と同じくらいの充実感(いやどうも偏見が抜けない)。

 「幻想」は面白いところも多々あり、各楽器の音量バランスなどかなり特異だったのですが、なにぶんあの市民公会堂の音響でしかもかなりかぶりつきに近い席だったので、あまりフェアな評価はできません。
 ただ、世界的オケにしてはちょっと緩いかな、と思ったのも事実。サロネンが色々面白いことをやろうとしているものの、オケのほうがそれを手の内に入れきれてないのか、途中何度か意識が飛びました。それとももともとサロネンの構想に不備があるのか、その辺はよくわかりませんが、オケの機能性という点からいえばN響など東京のオケの方が上だろうし、こういうサロネン的な演奏をやるにも適してるんじゃなかろうか。

 それが、アンコールのドビュッシー(「夜想曲」の中の「祭り」)になると、水を得た魚のように音楽が活き活きして素晴らしかったです。サロネンらしいこだわりは相変わらずあちこちに聴かれたものの、こちらではそれがことごとく様になっていて無理が感じられない。かっこいい。こんななら最初からドビュッシー聴きたかった…。アンコールではあと「ローエングリン」第3幕への前奏曲もやりましたが、元気はいいもののやや硬い感も。

yusuke_1974 at 17:04│Comments(2)TrackBack(3)

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この記事へのコメント

1. Posted by kimata   2010年06月12日 22:21
あのチャイコフスキーに対するヒラリー・ハーンの狙いはなんだったのか、あれからCD録音を聴いて考えてるところでした。CDの解説にあるとおり、とくに意図があってチャイコフスキーを温存していたわけではなく、「たまたまなんとなく」だったそうですが、長いブランクを経て手にとっていろいろ10代のころとは違う側面が見えてきたようです。それが今回聞かせてくれたチャイコフスキーらしからぬ「音楽的充実」みたいです。わたしもこの曲はハイフェッツぐらいしか聴いたことがないのでまさに虚を突かれましたです。

フィルハーモニアは個々の技量はすごいけど、アンサンブル的にはどうなのかなぁとたしかに感じました。しかしN響とかあまり聴いたことがないので、それでも名フィルよりはすごいや!、って素直に感心してましたけど(笑)。
2. Posted by yusuke   2010年06月12日 23:13
なるほど…。ドイツ物はバッハ、ベートーヴェン、ブラームス、シェーンベルクと古い方から徐々に積み上げていき、ロシア物はショスタコ、プロコ、グラズノフ、今回のチャイコと段々遡って行っているので、てっきり今回のチャイコフスキーも、戦略上最後まで取っておいたのかと思っていましたが、「たまたま何となく」でしたか…。案外そういうものかもしれませんね(実はCDまだ買っていないんです。会場でも売ってましたが何となくあの高密度な演奏を直後に聴く気がしなくて…)。

名フィルは、ブログ界隈(単に私の巡回先だけかもしれませんが)で話題になることがやたらと多いので、一度聴かなと思っているところです(笑)。

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