ということで、第一話はクラシックパスの話になります。
パスというのは要するに、2つのパケットをトランスフォメーション(例えばカット)の前の元の状態に戻すスライトのことを言います。 いま僕達が知っているクラシックパスの歴史は1902年まで遡ります。マジックの聖書とも言われているS.W.Erdnase 著 "The Expert at The Card Table"  という本の58ページに載っているTwo-Handed Shift が今のクラシックパスの原型となります。原型と言っても、左手の人差し指がデックの上ではなく横にあるだけですが、現在のクラパ(略)はここから来ているということですね。 
 さて、 クラパと聞くと、スピード重視と角度重視の2つの要点が上がってきます。
 スピード重視パスのメリットというと、一瞬でできる、そしてカラチェンとしても使えるということです。とても良い例がアレックス・パンドレアのブリックパスになります。ブリックパスでは、手のカバーは一切使わずに、速さと、少しの揺れだけでパスのカバーを行っています。動画で見られる通り、彼のパスは驚異的な速さを持っています。パスを表向きでやってもパケットが離れる瞬間が全く見えません。パスでカラチェンをするときはかなりの速さが必要ですが、彼ほどになればクラパをカラチェンとして使うのも良いかもですね。しかしデメリットとしては、それなりの速さが出るまでかなりの練習と時間、そして指の筋肉を鍛えないとできないということです。短くても慣れるまでには一ヶ月以上かかります。そこを克服できれば、良いパスが生まれると思います。
 では次は 角度重視。角度重視のメリットというと、ゆっくりできる、そして角度さえうまく行けば、後はあまり気にしなくて良いことですね。良い例だと、ユーチューブにアップされている、DrYamanoさんのクラシックパスですね。初めて見たときは度肝を抜かれました。右手でカバーを一瞬だけしてパスを行っています。このクラパは非常に滑らかで、とても綺麗です。このパスではスライト力ももちろん必要ですが、いちばん大事なのは、どの角度でパスを見せているか、です。最高の角度を見つけ、その角度にあったパスの形を正確に習得すれば、このように綺麗なパスになるのでしょう。ですが、この素晴らしいパスは固定カメラでしか見せるのは難しいものだと思っています。対面式でもこのようなパスは角度的に難しいですし、ましては演技中にこのような動きをしては、逆に疑われてしまいます。個人的に、角度重視は目視用、つまりマジシャンの見せるためのパスだと思っています。

僕のクラパはゴリゴリのスピード重視で、角度重視はデメリットが多すぎると考えているので、真剣に練習したことがありません。ですが、もちろんスピード重視のほうがデメリットが多いと考えてらっしゃる方もたくさんいます。あくまでも、一人の意見だと思って読んでいただけてたら幸いです。では皆さんクラパの練習がんばりましょう!
11.20.16