今日は、「原発やめろ!!!!!デモ」(高円寺・渋谷・新宿)の主催者『素人の乱』の松本哉さんのお話を聞いてきました。
場所は、脱原発を掲げている『たんぽぽ舎』の、新しく発足した会場、「スペースたんぽぽ」にて。

本日は、たんぽぽ舎が新しく開設した『スペースたんぽぽ』の開設記念で、松本さんが呼ばれてお話をしました。
最初にたんぽぽ舎の方からご挨拶があり、「このスペースを赤字発足したのは、学習会として利用して活かしたい・活かしてほしいから」、というお話がされました。

----------------------------------

◎そして、『素人の乱』松本さんと、『たんぽぽ舎』柳田さんとの対談という形式でお話が始まりました。

・柳田さん
「松本さんは、リサイクルショップ『素人の乱』5号店の店主さんということで、まず『素人の乱』について教えてほしい」

・松本さん
「高円寺の、あまりパッとしなかった商店街に、リサイクルショップ、古着屋、呑み屋/カフェなどを作り、謎のコミュニティーをつくり、拡大してきた。
今の時代は、人が触れ合う「場所」「コミュニティー」が無いので、そういう「場所」をつくりたかった。
リサイクルショップでも、やってきたお客さんと呑んで語って友達になったりなどコミュニティー化している。」

「言いたいことがあるときはデモも多くしてきた。その始まりは、自らが通っていた法政大学での再開発に対する反対から。
ただ綺麗でつまらなくするような再開発に反対し、「法政大学の貧乏くささを守る会」発足。この名前の会がある時点で大学にとって大きな打撃だろう、というところからアピールした。
キャンパスの一角でコタツを出して鍋集会などをして、学費値上げや再開発に反対をした。」

「学生時代から、学外でもゲリライベントなどを始めていた(新宿駅前などで)。既にリサイクルショップで働いて収入を得ていた。
学校を出てみて街をみると、学内以上に街は窮屈であると感じた。
例えば、勝手に路上で物を売ることや、演説することなど、規制されているものだらけで何もできない。
→タダで、人と人とが交流できる街にしたい。
→当時はしょっちゅうイベントを催していたが、それも疲れてしまうので、リサイクルショップなどの「店」を拠点に構えることにした。」


◎ここから、スクリーンに、4/10高円寺・5/7渋谷・6/11新宿でそれぞれ行われた、素人の乱主催の「原発やめろ!!!!!デモ」の様子が映し出され、それを見ながらお話が進みます。

<4/10高円寺デモについて>
(参照:レポby僕
http://www.h2.dion.ne.jp/~u-sing/20110410.html
写真by僕
http://www.h2.dion.ne.jp/~u-sing/20110410pic.html
)

・柳田さん
曰く、「たんぽぽ舎は23年間、デモをしてきたが参加人数は50~100人だった。それが、今回4/10、新しい勢力が行なったデモで15000人が集まったのを目にして、本当に驚いた」と。

・松本さん、
「自分達もせいぜい2~3000人くればいいだろう、とおもっていたら、15000人集まったので非常にびっくりした」とのこと。
開催日近くなり、インターネットなどでかなり反響が出てきたので警察に申請する際、「今回3000人くらい来るかもしれません」と言うと警察から「いやお前達の実績でいったらせいぜい500人だろう」といわれ、申請書には「500人」と書かされたそう。ふたを開けてみて、警察の人たちもさぞかし驚いただろう、とのこと。

「原発事故が起き、直後は「怖い」「どうなるんだ?!」という気持ちだったが、次第にだんだん報道も原発関連のニュースが減っていき、原発も沈静化している、というような言い方をし始めた。しかしネット等で調べると、沈静化どころではない、ということが明らかである。
この、報道が"沈静化してます"と言っている状況が、一番「怖い」と思った。
このまま報道を信じて不安を抱えてじっとしていて、いざ1年くらい経ってから"本当はヤバかった"と聞かされたところで遅い。
だから"沈静化している"などといい始めている時に、間髪居れずに「冗談じゃない!」といわなきゃいけない、と思った。」

「自分は代表としてここにきてはいるが、これは「仲間」でつくったデモ。最初仲間10人くらいで居酒屋に集まり、話し合ってデモをやろうということになり、10日後がデモ当日だった。
準備をする時間がないので、みんな自ら自前で用意してくれ、ということにした。
サウンドカー、パフォーマンス、アピールの方法、みんなそれぞれ普段の表現方法を自分でもってきてくれ、と。」

・柳田さん
「デモを見ていて、"楽しそう"、"明るい"というイメージ。自分でそれぞれ表現するものをもってきているのがいい。」

・松本さん
「以前からよくデモをしていた("家賃をただにしろ"、"放置自転車を撤去するな"など数々のデモ)ので、結構杉並区の警察に理解があったのもよかったかもしれない。
当日、急に参加者が増えたので他の区から警察が増員されたのだが、他の区の警察がピリピリして抑制しようとしたとき、杉並区の警察が「この人たちは別に暴れたりしないから」と守ってくれたりした。デモ慣れしていたのが功を奏したかもしれない。」

「自分は、自分とこの商店街の副会長もしているので、他の商店街の会長達に事前に話してあったのもよかった。
実際デモのあとに、"今回のデモはいいことをしたね"などいってもらえた。」

・柳田さん
「今回のデモは、歴史に残ると思う。
1986年のチェルノブイリ原発事故の後、一時デモの勢いは盛り上がったが(日比谷20000人デモなど。)、その後スーッと退いていった。
今回15000の人数が集まったことは凄いこと。」

・松本さん
「今回、恐らく90%の人がデモ初めての人だったと思う。
デモが決定してから、ネットなどで坂本龍一さんなどが呼びかけてくれたこともあり、問い合わせ・連絡がめちゃくちゃ沢山きた。
そのほとんどが、デモ初めての人だった。
"出たことがなく不安だが、出てみたい"という気持ちで連絡をしてくる。今まで出たことが無かった人達が、変わったんだな!と思った。」

・柳田さん
「『原発やめろ!!!!!デモ』というネーミングについて。
ここ10年、"デモ"というと人が集まらないので"パレード"という言い方をする流れができていたが、今回"デモ"といったのも凄いと思った」

・松本さん
「『原発やめろ!!!!!』については、"シンプル"に言ったほうがいいと思って。
色々な考えの人がいる。
"とにかく節電をしていくべき"、と言う人、"代替エネルギー"を主張する人、"国を守るために、"と言う右翼の人、etc。
なのでここは"原発は怖いからやめて"ということに。シンプルに。」

<5/7渋谷デモについて>
(参照:写真レポby僕
http://blog.livedoor.jp/yuukurihara/archives/3169790.html
)

・松本さん
「警備がとにかく厳しかった。高円寺のデモをみているから、警察が"構えて"きた。
やたらデモ隊を小さくしようとしてきた。
サウンドカー4台出したのだが、車でバンド演奏などをしているからその真後ろが一番盛り上がる。なのに、その"車と人の間"に警察が割って入って、引き離そうとしてきた。
おのずと、もみ合いになり、何も悪いことをしていない人が公務執行妨害で計4人捕まった。すぐ釈放された人もいたが、最後の人は2~3週間出て来れなかった。
例えば、政府を倒そうといているようなデモなら止めにかかるのは分かるが、何故原発反対デモに"反権力"だといって抑圧してくるのかさっぱりわからない。」

・柳田さん
「民衆が拡がりをみせ、盛り上がると、日本の公安警察は必ず"構えて"くる。これが体制で、昔からこういう時は、徹底して規制し、抑えようとしてきた。」

・松本さん
「4/10のデモがあったので、参加者はそれを見てみんな更に工夫をしてきた。「自分でもできる」と思えるから。
集会に参加させてほしいと言ってくるバンドとかも凄く増えた。みんなOKすることは数的にできないので仕方なく絞ってしまうけれど。
「安易に参加してもいいんだ」と思えることはいいこと。たとえ"安易に"参加したとしても、その人は帰ってから、少し原発に対する考えが変わっているはず。
デモをしているとき、路上で横から入ってくる人も沢山いた。反原発じゃない考えの人もいたと思う。しかし周りをみてすぐ何のデモかわかると思うし、
もしそのときは"違う"と思って抜けたとしても、そこから原発について考えはじめたとしたらそれはいいことだ。」

・柳田さん
「たんぽぽ舎は、このデモの時、一番後ろの隊列のところにいた。警察が細かく分断をしてくるので、「デモを切るな!」とシュプレヒコールをし続けた。
なるべく人々に、固まって大勢で動くように声をかけた。
(※僕もこの最後尾あたりにいたので、この光景の最中におりました。)」

・松本さん
「俳優の山本太郎さんも毎回デモに出てくれている。この日、細かく分断されてしまった隊列に対して、各隊列に行って声をかけ盛り上げてくれた。
スタッフの腕章もつけて動いてくれていた」



<6/11新宿デモについて>
(参照:写真レポby僕
http://blog.livedoor.jp/yuukurihara/archives/3294444.html
)

・松本さん
「渋谷デモでの警察によるブツ切りに対抗する作戦を考えた。
デモもよいが、民衆のパワー、集合隊を見せ付けたい。⇒アルタ前に集合することを考えた。これをデモの終着点とした。
各車が街頭宣伝許可証を持っているから、集まっている人達は話を聞きに来ているということになり、違反にはならない。これを利用。
この日は全国同時行動の日だった。東京では各団体が各地でそれぞれのデモをし、最後に集まる形にした。
新宿では、コースを短くし、隊が離れないようにした。アルタ前での集合、に力を入れた。」

「TBSが生中継を入れてくれた。1時間に3回も中継を入れた。ヘリも飛ばしていた。」
(デモの生中継は40年ぶりだったらしい!)

「サウンドカーでのバンド達も工夫してくれていた。スピーカーに、デモ隊への警察立ち入り禁止のステッカーを貼ってアピールするなど。
しかしこの日は警察からも変なちょっかいはなかった。
中央公園の広場をとるのは大変だったらしい。
(※新宿中央公園の多目的広場が集合場所だった。申請した担当の方は大変だったらしいとのこと。)」

・柳田さん
「自分のところにも、広場の申請については相談をされたりした」(※柳田さん、元・都庁職員さん?!だったらしい。)

・松本さん
「当日、ネットでの中継をみてから来る人もいて、デモは時間経過につれどんどん人が増えた。
最後のアルタ前では、広場に入りきれない人々が溢れかえっていた。
警察は"通行者の邪魔になるのでデモは解散しろ"というが、デモ参加者は一向に帰る気配がない。
今まで、"警察の言うことは皆きくだろう"と言う認識だったところに、全く言うことを聞かないデモの人々をTVなどで見た人たちは、認識を新たにしたはず。
言うことをきかない、といっても、実際、デモは通行者の道は空けていて邪魔などしていないし、許可証もあるので違反をしていないのだ。」

(聴講者の方から)
「デモの隊列近くの警察数人に、"今日は参加人数何人くらいになってますか"と聞いてみたところ、揃いも揃って"1000人くらいです"と言った。
そのように認識を統一していたのだと思われる。」
(※僕も、デモの翌日に報道のようすを人にきいたところ、1000人と報道されていたケースを聞きました。・・・実際は20000人。)

松本さん「ダンスブロックの車の周りだけでも、もう1000人になっていたはず」

◎この3回のデモの感想と、今後のお話。

・松本さん
「感想を言うならば、いま、いい流れだと思う。声を上げるハードルが確実に下がってきている。
"アルタ前広場に集まる"など、警察に対しても作戦勝ちしてきている。
今後について:巨大デモを月1回でやっていったとしたら疲れたり飽きられたりする可能性があるので、例えば7月はそれぞれがそれぞれの形でやり、
また半年に1回大きく何か打ち出す、という感じかな、と考えていた。が、ここにきて海江田氏が"再稼動"といいだしたり、石原伸晃が"反原発は集団ヒステリー"とか言い出してる。
これはまた悪をこらしめなくちゃ・・・。
石原伸晃の元秘書で現杉並区議の大和田伸が「反原発デモは迷惑。規制すべき」などと言い出している。これに対し、ネットで便乗してきた人もいるが、
みな一斉に抗議をうけてぐったりしていた。しかしそれだけでよいのではなく、もうこんなでたらめは言わせないようにしないと。」

(少し別の話になるが、)
「杉並区に東電所有だった古い団地が有り、使われていない。なのでこれを明け渡してもらい、仮設住宅の代わりに福島の人々に提供してはどうか、とか、
この団地の近くに商店街があり、空き店舗が沢山あるのでそこに福島の商店の人たちに入ってもらうのはどうか、など色々考えている。」



◎お話を聞き終わり、質疑応答で。

Q「主張が異なる団体・政党などの参加や、ともに行動することについてどう考えるか」

松本さん
「個人の深いところまで入りこむと、(みな主張が違うので)大きな動きは出来ない。
一つ一つのデモであれば、どんな主張の人がきても構わない。しかし、もし一つの運動団体として共に動くなら、無理。自分はここで仕切っている。」

Q「素人の乱というショップ展開の考え方について」

松本さん
「金儲けしたい人の下で働いて苦しんでいる形をよいと思わない。
自分の店も、自分が人を何十人も雇うのではなく、それぞれが自分でやれる限度のやりくりで、自分でやる形をとっている。倒れそうになったら助ける。
"なんとかBAR"といって、場所だけ貸して、一日ごとに店主が変わるやり方の店などもやっている。仕入れも値段設定も全て自分でやって、と。
その代わり家賃がまわる分だけ払ってもらい、あとの売り上げはもっていって、と。
それぞれお客さんの毛色が違い、毎日店主とお客が変わることで敷居もなくなって横のつながりがうまれる。」

以前からの人間関係や遊び・イベントが今回のデモにも活きたと思う。」

Q
「大学で反原発運動が全く起こっていないらしい。→大学にデモをもっていったりする予定は?」
「今の大学のようすについてどう思うか」

・柳田さん
「大学事務局が、右翼が介入しそうな運動は一切を却下してしまう。」 
・松本さん
「本来一番自由に物を考えて表現できる大学生が何故動けない状態なのか、と思う。
一方、学生自身も、昔に比べて、自分が「○○大学の学生である」というアイデンティティーがとても薄くなったように思われる。そのウェイトが少ないところで、運動しようという気にならないのかも。」

「自分たちは、自分達が「普段居る場所」・「普段やっていること」、で、やっている。そうやって、仲間にアピールすることから、がいいと考える。」

Q
「デモのあと大宴会を計画したときいた。行きたかったのだが行けなかったので、今後の予定は?」

松本さん
「デモの場ではお互いがよく話せないので、やってよかったと思う。
普段職場で反原発のことなどを話せない環境の人なども話をしにきたり。またやるべきと思う。」

Q(というか意見をおっしゃった方も。↓)
・「松本さんは、"例えば、政府を倒そうといているようなデモなら止めにかかるのは分かるが、何故原発反対デモに"反権力"だといって抑圧してくるのかさっぱりわからない。"とおっしゃった。
しかし、「権力側」「支配階級側」からしたら、決してそうは思わない。民衆が10000人以上集まっていたら、支配階級の恐怖心が、その行動をとる。これを踏まえて今後展開していくべき。」



◎最後に各団体の方から

・6/26に反原発をテーマとした映画祭が行なわれるというお話
・同じく6/26に、福島にてパレードを行なうというお話
(この方は、政府に対して話し合いはもう無駄と分かった、直接行動しかない、とおっしゃっていました。)
・9/19に全国集会が行なわれるというお話

・最後に柳田さんから
「4/10の素人の乱主催のデモで15000の人数が集まったことにおいて、更に、この人数がつながりをつくり、学んでいけたら、よりよいと思った。
昔から運動をしてきた従来の勢力と、新しい勢力とをつなげて更に大きい運動にしたい。その気持ちもこめてこのスペースをつくった。
みなさんにどんどん参加してほしい。」


--------------------

以上、スペースたんぽぽにて、「素人の乱」松本さんと「たんぽぽ舎」柳田さんの対話でした。
僕の書き方、読み辛かったかもしれません、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

近々、松本さんの素人の乱5号店にお邪魔してこようと考えている栗原でした。
(あ・そうだ、そこで扇風機買おう!)

では、また!
NO NOKES

(文責:栗原優)


「6.11.新宿・原発やめろ!!!!!デモ」記録と感想by 栗原優
http://blog.livedoor.jp/yuukurihara/archives/3294444.html
(ブログをさかのぼっていくと これ以前のレポもあります◎)


『たんぽぽ舎』
脱原発と、環境破壊のない社会をめざして多くの人々が出会える「小広場」
http://www.tanpoposya.net/

『素人の乱』
素人の乱とは、ネットラジオとリサイクルショップと古着屋、呑み屋、定食屋、多目的雑貨店などの名前です。
http://trio4.nobody.jp/keita/index.html