小棚(器局)完成 / 小棚(器局) その21

2006年07月08日
半年以上に渡って小棚(器局)の製作工程をご紹介してきましたが、とうとう…。

完成です!

ここでは、2つの作品を掲載しておきますね。


・花瓶に梅(クリックで拡大します)

小棚/器局(花瓶に梅)




・鉄線花(クリックで拡大します)

小棚/器局(鉄線花)



写真だけではなかなか、作品の細かなところまではわかりにくいと思いますので、実物をご覧になりたい方は、こちらまでお気軽にお問い合わせくださいませ。


さてさて、次にご紹介できる作品はいったい何になるのでしょう。  

Posted by 職人探し請負人 at 15:47 │この記事のカテゴリ : 小棚(器局)の製作工程Comments(0)TrackBack(1)

箔絵 / 小棚(器局) その20

2006年07月04日
勇助塗の工程を、木地の段階から半年以上に渡ってご紹介してきましたが、小棚(器局)の作業工程については今回で終わりです。

完成した作品は、次回掲載させていただきますね。(もったいぶるなー…)

さて「箔絵」です。


下の2枚の写真では、漆でなにやら描いていますよね。

いったい何だと思いますか?

・箔絵(クリックで拡大します)

箔絵
箔絵2



答えは、

「宝相華(ほうそうげ)」

です。


勇助塗では昔からよく使われる図案で、一見簡単に描けそうですが、細野さんいわく


「簡単そうやろ?
でも、この独特の雰囲気がまた、
難しいがいちゃ。」(※富山弁)


とのことです。

なるほどなるほど。

ここでは、戸の写真のみ掲載してありますが、胴の左右側面や前面にも宝相華が描かれています。

そして、この漆が接着剤の役目となり、この上に金箔を押した(貼った)状態が、次の写真です。

・箔絵完了(クリックで拡大します)

箔絵3(完了)



この後、漆が乾き金箔がはがれなくなってから、綿などで余分な金箔をきれいに拭き取り、完了です。


次回はいよいよ、完成した小棚(器局)をご覧いただきましょう。

お楽しみに!  
Posted by 職人探し請負人 at 14:56 │この記事のカテゴリ : 小棚(器局)の製作工程Comments(0)TrackBack(0)

彩色・古び(ふるび) / 小棚(器局) その19

2006年06月27日
錆絵も描き終わり、色漆で絵に色をつけていく彩色の工程です。

・彩色(クリックで拡大します)

彩色
彩色2
彩色3(完了)



ひとことで「彩色」とは言っても、絵の具などとは違い、漆の場合は原則として、漆と顔料とを混ぜ合わせ「色を作る」作業から始まります。

また、一部の色を除いては長期に渡ってその色漆を保存できないため、その都度色を作らなければなりません。これは、作り手以外には案外知られていないことかもしれませんね。


そして、次に「古び」をかけます。

古びは、かけた後拭き取るのですが、凹部や隅にわずかに残ることによって、読んで字のごとく、勇助塗らしい「古びた」というか「落ち着いた」というか、そのような感じを見る者に与えます。

ちなみにこの古びは、作品の絵以外の箇所にもかけられているのですよ。

・古びをかける(クリックで拡大します)

古び



・古びを拭き取る(クリックで拡大します)

古び2
古び3
古び4



・古び完了(クリックで拡大します)

古び5(完了)



絵によっては、この古びを拭き取った後にさらに、色漆で葉脈などを描いたり、箔絵を描いたりします。


次回はこの

「箔絵」

を描いている様子をご紹介します。  
Posted by 職人探し請負人 at 17:42 │この記事のカテゴリ : 小棚(器局)の製作工程Comments(0)TrackBack(0)

錆絵(さびえ) / 小棚(器局) その18

2006年06月22日
いよいよ錆絵です。

いくつかある勇助塗の特徴のなかでも、この玉石入りの錆絵はやはり、勇助塗らしさを最も表している技法ではないかと思います。

錆絵は文字通り、「錆漆」という漆を用いて描きます。

この錆漆は、漆と砥粉を混ぜ合わせ、それに水を加えて硬さを調整したものなのですが、この硬さが筆運びや細い線を描くことを難しくしているようです。


・錆絵(クリックで拡大します)

錆絵
錆絵2
錆絵3(完了)



この作業を2回から3回繰り返すことで、蒔絵とはまた一味違う、立体感のあるものになります。


次回は

「彩色・古び」

の工程をまとめてご紹介します。  
Posted by 職人探し請負人 at 16:33 │この記事のカテゴリ : 小棚(器局)の製作工程Comments(0)TrackBack(0)

玉石(4) - 貼る - / 小棚(器局) その17

2006年06月20日
前回彫刻した玉石を、貼りつけます。

その前にまず、漆器本体に置目(おきめ)をつけます。

※「置目」については「玉石(2) - 置目(おきめ) -」をご参照ください。

・置目

置目




そして、模様にあわせて切り取り・彫刻した玉石を、漆を用いて貼りつけます。

・玉石貼り

玉石貼り




ここまでくると、完成までもう少し!

今後ご紹介する工程は

・錆絵を描く
・彩色
・古びをかける
・箔絵を描く
・完成

となり、ようやく先が見えてきた、といったところでしょうか?


というわけで、次回は

「錆絵」

についてです。  
Posted by 職人探し請負人 at 11:27 │この記事のカテゴリ : 小棚(器局)の製作工程Comments(0)TrackBack(0)

玉石(3) - 切り取る・彫る - / 小棚(器局) その16

2006年06月13日
まず、模様の輪郭線にそって、玉石を慎重に糸ノコで切り取っていきます。

・玉石を切る

玉石を切る
玉石を切る2
玉石を切る3(完了)



・玉石を切る

玉石を切る4
玉石を切る5
玉石を切る6(完了)




そして、玉石を彫る作業に入るのですが、その前に…。
玉石を木片に糊で貼り付けます。このことによって、

・彫刻の作業をしやすくし、
・また、彫刻中に玉石が割れるのを防ぎます。


・仮貼り

玉石仮貼り
玉石仮貼り2




いよいよ彫刻です。
ここでは、何種類もの彫刻刀などを使用して、やはり、玉石が割れないように慎重に慎重に作業を進めていきます。

・玉石を彫る

玉石を彫る
玉石を彫る2



・玉石を彫る

玉石を彫る3
玉石を彫る4




実作業の写真のみ掲載していますが、硬い石を彫るため、作業の途中で何度も何度も彫刻刀を研ぐ作業が入ってきます。

なんとなく、こういうところにも手仕事の魅力を感じてしまう今日この頃です。


次回は、玉石に関わる最後の工程

「置目をつける・玉石を貼る」

をご紹介します。  
Posted by 職人探し請負人 at 14:37 │この記事のカテゴリ : 小棚(器局)の製作工程Comments(0)TrackBack(0)

玉石(2) - 置目(おきめ) - / 小棚(器局) その15

2006年06月08日
まず、図案を描いた薄紙の裏から、漆で模様をなぞっていきます。

その後、その紙を玉石の上にのせ、模様を写し取ります。現代のカーボン紙のような役割ですね。

・置目をつける

玉石置目
玉石置目2



すると…。

このような感じで、玉石に漆で模様を描いたようになります。

玉石置目完了



この図案は「梅花文」の一部なのですが、あと数工程でそのおおまかな全体像をご紹介できると思います。

どうか楽しみにしていてくださいね。


それでは次回は、

「玉石を切り取る・彫る」

工程についてです。  
Posted by 職人探し請負人 at 14:14 │この記事のカテゴリ : 小棚(器局)の製作工程Comments(0)TrackBack(0)

玉石(1) - 厚さ調整 - / 小棚(器局) その14

2006年06月03日
金ノコで、玉石をある程度の薄さに切り取ったあとの状態が、次の写真です。

・玉石

玉石




この後、

・金ノコの目をなくす
・玉石をさらに薄くする

ために、紙やすりで厚さなどを調整していきます。

・厚さ調整

玉石2



写真のように、薄い玉石を指で押さえながら削ります。

そのため、爪や指紋が…。


次回は、この玉石に模様を写し取る作業である

「玉石に置目(おきめ)をつける」

工程をご紹介します。  
Posted by 職人探し請負人 at 07:55 │この記事のカテゴリ : 小棚(器局)の製作工程Comments(0)TrackBack(0)

存星(ぞんせい)を彫る / 小棚(器局) その13

2006年05月30日
勇助塗における存星は、下の写真のように

・刃物で直交する線を彫り
・さらにその交差する箇所のまわりに点を彫ります


・存星を彫る

存星を彫る
存星完了



・拡大写真

存星完了(拡大)


漆を彫るわけですから、失敗は許されません!

作業をジ〜ッと見ている私にも、その緊張感がヒシヒシと伝わってきて、コチラも緊張してしまいました。

さて。

この存星が「地紋」となり、この上に、勇助塗特有の「錆絵(さびえ)」を描いていくことになります。


ようやく、「加飾(かしょく)-模様などを描くこと-」の工程まできました。


次回は錆絵の中に入れる

「玉石(ぎょくせき)」

についてです。  
Posted by 職人探し請負人 at 12:26 │この記事のカテゴリ : 小棚(器局)の製作工程Comments(0)TrackBack(0)

呂色(蝋色)磨き / 小棚(器局) その12

2006年05月24日
上塗りが乾き、磨いた後、

・漆を薄く摺りこむ
・それを磨く

という作業を3〜4回繰り返すことにより、塗りっぱなしの漆の艶とは一味違う、深みのある艶を得ることができます。

この作業を「呂色磨き(ろいろみがき)」と呼びます。

まず、生漆を綿に取り、次の写真のように、ほとんど拭ききるくらいの感覚で薄くムラなく漆を摺りこんでいきます。→摺漆(すりうるし)

・摺漆

呂色磨き(生漆)
摺漆(胴)




そして、1晩おいて綿で油磨きをし、粉末の歯磨き粉(もしくは角粉やチタン)を指先につけ、丁寧に磨いていきます。

・呂色磨き(戸)

呂色磨き(戸)
呂色磨き(戸)2




・呂色磨き(胴)

呂色磨き(胴)
呂色磨き(胴)2



静止画である写真ではラクな作業のように見えますが、実はかなり「重労働」だったりします。

細野さんも、かなりお疲れの様子でしたよ。(笑)


次の工程は

「存星を彫る」

作業になります。  
Posted by 職人探し請負人 at 17:17 │この記事のカテゴリ : 小棚(器局)の製作工程Comments(0)TrackBack(0)