(2018年6月8日追記)
 コメント欄よりご指摘を受けていますが、この記事には事実誤認による誤った情報がいくつか含まれております。追記として訂正もしてありますが、再調査も行っておりますのでそちらも併せてご覧いただければと存じます。


栗山川沿いの分譲地 (17)
 住んでいる方にはのっけから失礼な物言いであるが、横芝光町は、多分千葉県で最も地味な自治体の一つだと思う。一応九十九里浜には面しており海水浴場もあるものの、一宮や御宿のようなマリンスポーツのイメージはなく、かと言って銚子のように漁港として名を馳せているわけでもない。ネギの名産地であるがこれもまた地味な印象で、町内にはこれと言った観光地もなく、郊外と呼ぶには都心から遠すぎる。

 実は国道沿いにはそれなりに大型量販店などもあって普通に暮らす分には都市近郊のそれと変わらず極端に不便なこともないし、地味なのは、あくまでこの地域が食材の供給地に特化しているからであり、個人的にはこの程度の規模の町が一番暮らすのに丁度いいと感じるのだが、農村住宅と田畑ばかりで雄大な大自然に包まれているわけでもないので、本格派の田舎志向の方にはやや物足りないと思われる。
栗山川沿いの分譲地 (15)
横芝駅前。写真では見えないが、駅舎は木造の風情ある造りだ。

 そんな横芝光町、旧光町の栗山川沿いに、田んぼを埋め立てて造成したと思われる分譲地がある(注:これは誤りであり、実際は山林を切り開いて造成されています)。かなり広範囲に造成された分譲地で区画数だけで言えば相当な数に上ると思うが、おそらく区画の9割近くは空地であり、既に山林と化した区画が多く航空写真でも正確な区画数が判然としない。

 横芝駅からは遠く、そもそも単線で本数の少ない総武本線は電車通勤には不向きで、とは言っても海まで歩いていける距離でもないのでマリンレジャーの拠点ともならない。周辺の自治体もさして地価は変わらず、ベッドタウンとしての需要が到底あるとも思われない。周囲は住宅はそれなりにはあるがほとんど農家で、コンビニ一つ見当たらない。かと言って別荘地のような雰囲気でもない。まさに誰得と言った立地の分譲地であり、当然のことながらほとんど住宅建設は進まず、既に坪単価は1万円を割り出しているものもある。
栗山川沿いの分譲地 (7)
ほとんど建築の進んでいない分譲地。街路の形状もデタラメだ。
栗山川沿いの分譲地 (10)
既に樹木の生育が進み、再利用に余計な手間が掛かる空き地も多い。

 時折草刈り業者の看板は見えるものの半数以上の区画は全く管理されておらず、笹薮どころか樹木まで生え出している更地群の中に、無駄に電柱が立ち並び電線ばかり縦横無尽に張り巡らされている光景は異様である。僅かに並ぶ住宅も、空き家が目に付き、人が住んでいるのか判然としない住宅もいくつかあった。
 あまりに荒れ果てているので土地の境界はおろか道路と宅地の境も判然としない区画がいくつもあり、街路の形状もデタラメでやたらと行き止まりの街路が多く、ミニ分譲地にミニ分譲地を付け加えながら場当たり的に造成したような宅地ばかりであり、笹薮が多くて見通しも良くないことから、団地内は荒野の迷路と化している。
栗山川沿いの分譲地 (6)
空き地の管理状態が極めて悪く、夏場はジャングル化しそうな雰囲気
栗山川沿いの分譲地 (2)
街路は入り組み、所々に住宅が建つが、築浅の住宅はない。すでに人口流入が止まっている。
栗山川沿いの分譲地 (4)
まだ利用可能そうに見える住宅であるが空家だ。

 街路にはみ出た樹木は枝木の伐採もされず、車両の通行が難しくなっている街路が、その迷宮ぶりに拍車をかけており、僅かな住民は、もはやわざわざ自宅の駐車場に車庫入れする必要もないのか、みな路上駐車だ。そのお陰で、住宅地内は通過車両も人もまったく見かけないが(猫はたくさんいる)、意外と車両の進入に苦労する。
栗山川沿いの分譲地 (8)
ひたすら空き地が続く。
栗山川沿いの分譲地 (14)
街路は荒れ、宅地との境界も不明瞭になってきている。
栗山川沿いの分譲地 (1)
街路まで樹木が生い茂って立ち入ることのできない宅地もある。
栗山川沿いの分譲地 (12)
空き家は放置され、樹木に覆われていく。

 いくつかの空き地は太陽光パネルの発電基地となり、住環境の破壊に拍車がかかっている。すでに横芝光周辺におけるバブル期の中古住宅は200万円台でも売れ残る有様で、完全に住宅市場から取り残された様相だ。いくらか見て回ったが、そもそもどこからどこまでが一つの分譲地なのか判然とせず、一旦宅地が途切れたかと思うとまた同じようなミニ分譲地が現れるといった感じで、しかもどの街路も同じような光景ばかりであり、写真を撮影しても自分でも場所の特定が困難になりそうなほどだったので、撮影はある程度のところで打ち切ってしまった。

 分譲地の周囲でも、売地の看板はそこらじゅうにあり、中には、畑用地としてなら無償で貸与、とまで書かれた看板もある。貸地としてはすでに商売が成り立たないレベルに達しているようだ。千葉の田舎は合併前の旧自治体によって宅地開発の度合いにばらつきがあるが、旧光町は特に無残な惨状をさらしている。地元在住者の需要だけで、これだけの規模の分譲地を埋められるわけがないのだ。普通車以上の進入に難があるためかコンテナや資材置き場としてすら利用されていないのだから、いかにこの分譲地が実需を無視して造成されたかがよくわかる。

 その代わり坪単価は下がる一方で、また新規移入者も多くないので、人の気がなくて安ければ良い、という方ならよいかもしれない。自家用車があれば生活に不便を覚えるほどの立地でもないし、病院も近い。
 おそらく元は田んぼ(追記:これは誤認であり、元は山林です)なので地盤は弛いし、川が近いので増水時の不安があるが、地勢は平坦で、金食い虫である擁壁はない。何より観光地ではないのでとにかく静かだ。県道も、車の通りはほとんどない。
栗山川沿いの分譲地 (16)
畑であれば無償で借りられる。興味のある方はいかがだろうか。


川沿いの忘れられた分譲地へのアクセス

横芝光町宮川
・銚子連絡道路横芝光インターより車で10分
・総武本線横芝光駅より横芝光町循環バス「南側循環」 「作間内上」バス停徒歩3分