このブログは物件情報というよりもその立地や住環境の紹介に主眼を置いていて、特定の物件についての詳細なレビューは、基本的に行っていない。僕は北総の物件情報はアットホームやホームズ、ヤフー不動産などのポータルサイトでほぼ毎日「価格の安い順」に並べ直したうえでチェックはしているのだが、そもそも僕自身が別に不動産の専門家というわけではないし、個別の物件の話題に触れてしまうと、成約した場合、その記事自体が意味のないものになってしまうからである。とは言え、ブログ開始当初に紹介した八街市朝日の廃屋の隣の売地など、その瑕疵が極端なものについては、成約自体が遠い未来の話であろうからネタにしても差し支えあるまいという極めて身勝手な理由で紹介している。
山田台売れ残り広告
 さて、上の画像は、少なくとも僕が北総への引っ越しを検討し始めた2年前の時点で既にアットホームに掲載されていた、八街市山田台の物件広告である。八街で家を探していた人なら目にしたことはあるかもしれない。本日(2017年12月31日)時点でもまだ広告は掲載されているので一応リンクを貼っておくが(https://www.athome.co.jp/kodate/6953916289/?DOWN=0&BKLISTID=018LPC&SEARCHDIV=5&sref=history)、一見平凡に見えるこの中古住宅、実は築年月が2000年8月で既に築後17年経過しているにもかかわらず、いまだ「未入居住宅」として販売が続けられている謎の建売住宅である。
山田台売れ残り広告2
この物件の詳細情報の一部。築17年5か月だが「未入居住宅」とある。

 確かに建売住宅の中には、条件の割に販売価格が高く売れ残ってしまうものが出るのは珍しくなく、僕の家の近所でも、現在築4年の未入居住宅が2棟販売されている。しかし築17年で未入居というのは尋常な事態ではない。当初の販売業者と現在では異なる可能性もあるものの、一体どんな家なのだろうか。まあ、Googleのストリートビューで見れば一目瞭然なんだけど、そこは深く考えないとして、自宅から別に遠くもないので軽く調査に行ってきた。

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築17年の未入居住宅がある八街市山田台の分譲地。右から2軒目が問題の家。
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周囲には数区画の空き地が残る。
 
 その住宅が建つ分譲地は、2車線道路に面した、合計で30区画弱程度の小さな分譲地である。建物は合計で6棟。山田台の分譲地としては空地の多い方である。問題の住宅はそのちょうど中央辺り、進入路の突き当たりの宅地に建てられている。しかし進入路には近隣住民のものと思しき自動車が2台路上駐車されている。はて、先に紹介したアットホームの広告の詳細情報には「私道負担面積なし」とあるのだが、この進入路は公道なのだろうか。この手のミニ分譲地によくある旗竿地にしか見えないが、いずれにせよ共用であるはずの進入路が完全に私物化されているのは見ての通りだ。

 また、広告の「ポイント」には「南向き」と書かれているのに、南側に隣家がスレスレに迫っている。接道は東側だが、南側にベランダがあるので「南向き」。実に都合の良い、しかし何の意味もないキャッチコピーだ。しかも、駐車場3台分だの土地71坪だの書かれているが、家屋が建つ宅地そのものは駐車スペースがない。おそらく下の画像手前(建物東側)か、あるいは近隣の更地が付属しているのだろうが、何にせよ進入路に置かれている車両をどうにかしなくては手前の空地に駐車するにも邪魔で仕方ない。

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進入路に近隣住民の車両が置かれ宅地は旗竿地にしか見えないが。
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南側には隣家が迫り、日当たりはあまりよくない。
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確かに使用された形跡はないが、さすがに外観はもはや新築とは言えない。

 建物はいくら未入居とは言えさすがに築年数の経過は隠せず、外観は一般の中古住宅と変わらない。そして前述のように南側は家屋が並んでいるので、こちらから見る限り、満足な日当たりは望めない。東側の道路に面した区画は草刈り業者の看板が立てられているので、東側の採光部も別の住宅で塞がれる可能性も、低いとは言え皆無ではない。田舎暮らしのメリット0。では建物の裏、西側はどうであろう。回り込んでみると、裏はお線香の香り漂う広大な墓地であった。
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分譲地の西は墓地。

 うーん…まあでも、八街市内においても墓地に近接した分譲地というものは他にもあるし、都市部などでは、もちろん地価は周辺相場よりは落ちるだろうが墓地に面した住宅街などそれこそ珍しくもないし、事実ここにおいても他の家は居住者がいる。僕自身も、積極的に墓地の隣に住もうとは思わないがそこまで神経質にもならない方だ。さて問題の家はどうだろう。墓地の中に進入し、家の裏側まで近づいてみる。
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大木の裏が問題の中古物件。素晴らしいロケーションだ。

 なんと住宅の西側には巨大な大木と杉の木がそびえ、こちらからの日当たりも望めない。造園業者に結構なお金を払って切り倒しても、そこに広がるのは一面の墓地。なるほど、つまりこの家は、都心から遠く離れた八街のさらに最果て、最寄駅から徒歩2時間で周囲にまったく商業エリアがなく隣地に墓石が並ぶ日当たりの悪い旗竿地で進入路を私物化する住民と円満な近所付き合いをしたい人にピッタリの建売住宅、ということだ。ちなみにお値段は740万円。未入居。


 …ということで、やはり売れ残る物件というものは、売れ残るだけの理由があるわけであるが、まさにこの家こそ、北総の土地選びにおいて変なところで妥協すればそれこそ取り返しのつかない事態に突入するという実例そのものである。せめて原価分は回収したいのだろうが740万円という価格ははっきり言って安くなく、未入居であること以外に何一つ利点がなく、しかもその利点のなさが未入居に至った原因であるのだから、これはもう完全に負のスパイラルに陥ったトランプのジョーカーの如き負動産と言えよう。

 ただ、実はこの分譲地自体は墓地が造成される前から存在していたので、一番貧乏くじを引かされたのは、やはり分譲当初に土地を買ってしまい、今日まで塩漬け状態にある空き地の不在地主なのだが、何にせよ、土地代をケチって墓地の隣に住宅を建ててしまったどこかの業者に幸あらん事を願いつつ、併せて北総のリスクも肝に銘じたうえで、来年も引き続き限界ニュータウンを調査していきたいと思う。この家も、来年こそは入居者が決まるのであろうか。


追記; 
 私事ですが正月明けから新しい仕事が始まりますので、更新頻度は落ちる可能性がありますが、どうぞよろしくお願いいたします。




築17年の未入居住宅のある分譲地へのアクセス



八街市山田台
・千葉東金道路山田インターより車で4分
・総武線千葉駅よりちばフラワーバス「千葉線」 山田台バス停 徒歩13分
・総武本線八街駅より八街市ふれあいバス「西コース」「南コース」 二州第一保育園バス停 徒歩3分