カブスの福留孝介外野手(30)は4日、当地でのブルワーズとのオープン戦でバットを折りながらメジャー1号本塁打を放ち、3打数3安打2打点で実力を証明。打順を3番から2番に“降格”させられ、試合前にはコーチから打撃指導を受けた“屈辱”を瞬時に晴らした。ただ、貴重なバットは5試合で5本を折ってしまい、緊急対策を講じることになった。
4年総額4800万ドル(約50億円)の片りんを見せつけた。打球は雲一つない青空に向かってぐんぐん伸びた。3回1死無走者、昨季11勝を挙げた先発バルガスの内角速球を料理した。第1打席の中前打に続く快打は右翼フェンスを越え、自軍ブルペンに飛び込んだ。
「(空気が)乾燥してて、ここは飛ぶからね。ホームラン打って、バットが折れたのも乾燥のせいかな。でも感触は悪くなかった。(喜びは)別にないね」
オープン戦通算14打席目に飛び出した初アーチ。第3打席もマイナーの招待選手から左前に適時打を放った。だが福留に満面の笑みはない。打順変更について「この時期は1番、2番とかの役割で細かいことをやっているわけでない。関係ないよ」。ぶぜんとしていた。
4試合務めた3番から2番に実質的な降格。3試合連続無安打の新人を少しでも多く打席に立たせることが首脳陣の狙いだが、中日でもデビューした99年ぐらいしか記憶にない打順。さらに試合前、ペリー打撃コーチから口答で技術指導を受けた。
直後、同僚のリーから「あんまり(コーチの)言うことを聞くなよ。おまえは日本でも活躍した。こっちでも自分が思った通りにやれば大丈夫」と励まされたが、プライドの固まりでもある福留にとっては激励自体が屈辱的だったかもしれない。
それでもコーチの助言を最低限、聞き入れた。「ベースから離れて立ってみた。タイミング優先で大きく振ることも取り入れた」。効果はてきめん。ピネラ監督は「福留にとっていい日になったな」と言い、ペリー・コーチは「教えはしたが、もともと福留はいいものを持っている」と、うなずいていた。
相手のブルワーズは開幕戦の相手で、同じ中地区のライバル。しかし「オープン戦はオープン戦。本番はまた違うから」と浮かれない。「照準は開幕。不安はない」。メジャーの大物新人は、自信をのぞかせた。
◆5試合で5本…緊急事態
福留は折れ続けるバットに緊急事態を宣言した。前日の3本に続き、また1本。しかも本塁打を打った時にグリップの部分がバキッ。「感触は悪くなかったけど、瞬間、嫌な感じはしたんで、あっと思った。帰ってきたら折れていた」。オープン戦5試合で5本。1試合1本の計算だ。
折れる原因は「アリゾナの乾燥している気候のせい」とした。「重さが10グラム以上減っている。折れたバットを見たら、中がスカスカだった」。
福留は、打った時の感触が「粘りがある」とされ、日本では多くの選手が使用するアオダモバットを使っている。中日時代からジュラルミン製ケースに保存しているが、湿気と温度がより一定に保てるアイテムが欲しいところ。報道陣からは「ワインセラーのようなものは」と提案が出たが、中沢トレーナーは「誰が持つの? オレは嫌だよ」と拒み、頭を悩ますことになりそうだ。
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