いっそ飲むように食え

ヲタクで貴腐人ですが、飼い猫のことなども書きます。 BL以外に、特撮も好きです。 最近はホラー映画をほとんど【ネタバレ】で解説・レビューを頑張ってます。

カテゴリ : 変人列伝

今〜朝の4時を過ぎました。どうしよう、また昼夜逆転しちゃった。昨夜、眠れなくてずっと起きてて、昼間に寝て、暗くなってから起きて…まるで吸血鬼ぞなもし。

というわけで、何もすることがないんで、大昔の、わたしの学生時代にいた、女ボスのいじめっ子の話を書きます。いろいろ書いても、もう会わないだろうし、時効だろうから。その人は仮名でキーさん。
時期は今よりウン十年前の、高校2年の時のことです。

キーはですね、わたしと違って、やたらと恋愛体質で、しょっちゅうAくんが好き、Bくんカッコイイ、と男子を追いかけてばかりの人でした。あと、クラスで6、7人のグループ作ってて、そこのボスでした。
わたしは、友人はいるけど、トイレまで一緒に行くとか、そういうべったりくっついてどこでも一緒、みたいなグループ付き合いはしてなくて、地味ながら1対1の付き合いをし、違うクラスの女子とも仲良くしてました。
ある時、キーのグループから一人の女子が、仲間はずれにされたんです。その子は仮名でユッキちゃん。ユッキちゃんとわたしは、元から仲良しだったんで、昼食時にグループからはじき出されたユッキちゃんは、わたしと一緒にお弁当を食べるようになりました。
でも、変なんですよね。ボスのキーがグループのメンバーに命令出して、ユッキちゃんをのけ者にしておきながら、ユッキちゃんがわたしと二人でお弁当を食べていると、
「ユッキちゃん、どうしたの? 一緒にお弁当食べようよ」
などと言ってくるのが当人のキーなのです。なんか、ユッキちゃんから事情を聞いてそうなわたしに対して、「わたしはユッキちゃんを仲間はずれにしてないよ」とアピールみたいなのをしてくるんですわ。

後で書きますが、わたしもその後、まったく同じような目に遭ったので、そのことがわかりました。
それで、ユッキちゃんがこんな災難に遭った理由はというと、キーが同じクラスにいたAくんを好きになり、協力してくれるように自分のグループのメンバーにも頼んでいたんですよね。毎回同じパターンなんだけど、キーは気になる男性が現れると、必ずお目当ての男子当人ではなく、包囲網を敷いて周りから地固めしていくタイプ。
ところがAくんはユッキちゃんに片思いをしていて、キーが地固めやってる間に、ユッキちゃんに「付き合って」と告白してしまったんですよ。要するに恋敵になってしまったので、グループから追い出したのです。

本当は、人の外見にあれこれ言うのは良くないけど、ユッキちゃんは美少女で、元からモテてたし、当時はもう同じ部活の男子と付き合っていました。(比べてキーの外見はちょっと残念ということで)。彼氏のいるユッキちゃんは、Aくんの告白は断ったけれども、キーとしては、Aくんは自分ではなくユッキちゃんを好きだった、というので嫉妬したんでしょうね。

わたしも後に同じ目に遭う、と書きましたが、キーはいつも、自分で意地悪しておきながら、それを上手に誤魔化すんですよね。だから、ユッキちゃんをグループから追い出しておきながら、平気で、クラスメートの前では
「ユッキちゃん、この頃どうしたの? お弁当を一緒に食べよ?」なんて言うし、ユッキちゃんがいない時に、彼女と親しいわたしの所に来て、
「ユッキちゃん、最近わたしたちのグループから抜けちゃって、わたし、何か怒らせちゃったんだろうか」などと健気な自分をアピール。
そんなわけで、女子の間ではキーは誰にでも優しくて親切ないい子、という評判でしたが、結構いろんな人に、底意地の悪さと世渡りのうまさ、自分で嫌われるようなことをしておきながら、人にはそれを悟らせない小賢しさなど、バレてもいました。
ユッキちゃんはその後、お父さんの転勤で引っ越してしまい、転校していきました。当時の通信手段は手紙ぐらいしかないので(長距離電話は当時、すごく高かった)、わたしとユッキちゃんは文通してましたが、なんとキーもユッキちゃんに手紙を書いては送ってました。ユッキちゃんもわたしもキーの本性はわかってましたが、案の定、
「ユッキちゃんはわたしにお返事くれないけど、でもわたしは時々ゆっきちゃんにお手紙を書いてるんだ」
と、ユッキちゃんをのけ者にした事実などさらりと忘れて、「お返事はもらえなくても、わたしは手紙を書いているの」とクラスじゅうにまた「健気なアタシ」をアピール。
どうせなら近況報告より、謝罪の手紙でも送ったら良かったのにね。

さて、そんなわけでわたしはキーとは、ケンカもしない代わり、さして仲良くもせず、キーのグループにも入りませんでした。そのキーが急にわたしに接近してきました。それはやっぱり男絡みのことでした。わたしは高校時代、一度も彼氏なんて出来なかったんてすが(その後も出来なかったけど)、中学時代からの知り合いで、普通に仲良くしているテツヤ君(仮名)というクラスメートがいて、テツヤ君の親友B君に、キーは恋をしたそうです。それでわたしを利用したくてキーはいつもの、包囲網を作って射止める作戦に出たわけですね。わたしからテツヤ君を通じて、キーをB君に推薦して欲しかったようです。
でも、過去にユッキちゃんのことがありますからね、テツヤ君とわたしが仲良くしているのは、わたしがB君を好きだからその地固めの一環ではないか、と勘ぐってきて、キーが「アタシも協力するから、好きな人を教えて」なんて言ってきて、本当にウンザリしたんです。キーが包囲網作戦をするのは自由ですが、わたしはそんな面倒なことしないってば。
で、わたしは本当は、まあ好きな人がいたわけなんですが、男好きのキーは、過去に何度も、友人に協力する振りをして自分から男子に近づき、すぐに言い寄って、友人を裏切る前科が数え切れない女ですから、誰が好きかなんて教えたらどうなることやら。
わたしが頑として口を割らなかったものだから、キーが怒りまして、話しかけても無視されました。わたしにとってはキーは友人ではなかったので、「あー、コイツ、好きな人を教えないからって怒ったか」と思って、それきりわたしも、話しかけませんでした。無視されるのに、すり寄る理由なんてないから。
ところが3日ぐらいすると、朝、教室に入ってきていきなり笑顔で
「柚ぽん、おはよう!!!」
ハァ? と思いました。先にケンカ売っといて、いきなりなんじゃい、と今度はわたしが無視。それでもめげずに、
「柚ぽーん」と親しげに懐いてきて、うざいから徹底無視していたところ、キーはやってくれました。
クラスの女子を集めて、
「柚ぽんがね、わたしが挨拶しても、無視するんだ。でもアタシ、これからも柚ぽんには『おはよう』って声をかけようと思ってるの」

って、それ、相手を悪者にして、自分がいい子ぶるための、いつものパターンじゃないの。
それで? 「おはよう」と返さないわたしが意地悪ってことなんですね、ハイハイ。
でもクラスメートの女の子たちだって、だんだんと見えてくるものがあるから、誰一人、「柚ぽん、どうしてキーちゃんを無視するの? キーちゃんが可哀相じゃない」なんて言ってこないわけで、とうとうキーのほうからわたしに話しかけてきました。
「柚ぽん、最近どうしたの? わたしが何かした?」
っておい、怒って無視しやがったのはお前だろが。当人に向かってこのしらばっくれよう、さすがキーであります。とぼけるキーにわたしは「いや、最初に怒って、口をきかなくなったのはキーでしょ」と、言い、向こうは「違う」とかなり粘ったけれど、わたしが4日前にこう言ったらプイと後ろを向いて無視した、と詳細に当時のキーの行動を語ったところ、ようやく
「実は、好きな人を教えてくれないから、ちょっと怒ってた」と認めましたよ。でも話がそれで終わり、納得するかと思いきや、
「じゃあどうして追いかけてきてくれなかったの?」とさらに強い口調でわたしを糾弾。
いや、追いかける価値のある大切な友人以外は、追いかけません。
それきり、例え表面上でも、わたしはキーとは卒業するまで相手にはしないまま、何か連絡事項がある時は敬語で用件のみ伝える、というようにしましたが、キーのメッキも相当剥がれてたようで、ユッキちゃんの時とは違い、わたしは誰からも仲間はずれにはされませんでした。
ちなみにキーのB君への思いは片思いで終わり、一年先輩のC先輩と付き合い始めて、それはC先輩が卒業するまで続いてたみたいです。その時も、まずは先輩女子数人と友達になり、やっぱり包囲網作戦でC先輩ゲッツ、したようです。

それで、今だから言うけど、わたしが好きだったのは、テツヤ君の友人でキーが好きになったB君です。わたしが絶対に好きな人を教えられなかったのは、そういうわけでした。B君とは付き合えなかったけど、テツヤ君はわたしの気持ちを知ってたので、よくわたしも仲間に入れてくれたから、Bくんとは友人というか、登校時にバッタリ会うと、一緒に学校に行く程度には仲良かったです。
 

 


 

本日は悲しいお知らせ(わたしにとって)があります。
睡眠薬が切れました。
わたしは今夜、たとえ眠ろうとしても眠れず、はからずも徹夜する予定です。
本当はこの前の通院日には、3週間分の薬をもらい、週末まで余裕だったはずですが……使ってしまいました。

ダメじゃん、自分!!!


いやー、昔は睡眠薬の処方について、こんなに厳しくなかったんですけどね、ある種類の睡眠薬は、2週間以上出せない、という決まりがあるのです。
これも、昔、お酒に睡眠薬をこっそり混ぜて女性に飲ませてホテルに連れ込む、なんて事件が多発したせいです。ただの睡眠障害の患者は迷惑を被っています。


んで、わたしは睡眠薬だけでも数種類飲んでますが、効き目のあるのが2週間でなくなってしまって、いけないと知りつつ、眠れない時は、本来1回分の薬を2回分飲んだりしたので、早く切れてしまったのでした。
明日病院に行って、訳を話して薬をもらってきます。怒られるだろうけど。


本当は、今の段階で結構眠いし、頭は重たいのです。
でも、それでも眠れないのが不眠症。そんなわけで、今夜はだらだらとあることについて書いていこうかと思います。


今日は久しぶりの変人列伝です。
これは、旧いブログで書いたことがあります。以下、こんな内容。

わたしの友人(だった人)は、人妻でありながら恋愛がやめられず、ご主人の他にボーイフレンドがいるが、その人の家に行くのに、ご主人の車で送ってもらってる。
いやー、よその夫婦って、当人同士しかわかんないものだねー、というもの。


でもね、あの時はここまでしか書かなかったけど、もうその人(ここではユミさんという仮名にしておきます)ともお付き合いが途絶えてかれこれ10年にはなるし、後にも先にも、本物のストーカーと短期間でも付き合いがあったのはユミだけだから、あの信じがたい思考回路について、紹介しようと思います。


ユミは、わたしより年上で、わたしが30代半ばの頃、ちょうど40歳くらいでしたが、見かけは若くて、30歳前後に見えるし、ちょっと可愛い顔立ち、そしておとなしそうな奥様に見えました。
当時から夫とは別居し、でも街なかの立派な分譲マンションに住みつつ、そこのローンは夫が払っているそうで、すでにお互い話がついていて、何か割り切った間柄なのかもしれません。
ユミはわたしと一緒で小説とかいろいろな文章を書くのが好きで、わたしは似たもの同士のような親近感を抱いていましたが、何よりも違ったのは、わたしが恋愛に疎いのに対し、彼女は自称「恋愛中毒」で、夫以外の人との恋愛に常に夢中だったことです。

その中のエピソードの一つに、こんな話があります。


彼女は例のボーイフレンドと恋する前は、ある有名人(ここではTとします)と付き合っていたそうです。
まあ、でも、ここは地方都市ですからね。東京在住でメディアによく顔を出す人と、どうやってお付き合いしてたのかなーって思いますね。
そんな話をした時は、携帯電話もあったけど、まだPHSも幅を利かせていた時代。Tと付き合っていたのはさらに過去のことで、主な手段は、文通だったそうです。
以下、わたしとのやり取り。
「じゃあ、どうやって会ってたの?」
「直接会ったりはしてないよ」
「手紙だけ?」
「そう」
「でも、ユミが手紙を書けば、お返事はくれるのね」
「ううん。来たことない」
「えっ!?」
「ウフフ」
「ユミは手紙を出してたんでしょ」
「うん」
「でもTさんは一度も返事をくれなかったの?」
「そう」
 それは、文通じゃないだろ、とツッコミする寸前、ユミは言いました。
「でもわたしたち、通じ合っていたから」
いやもう、返事がもらえず、彼からのアクションはとうとう一つもなかったのに、なんでそう言い切れるのか。
よく、ドラマでストーカーが出てくると、ストーカーされている人とは直接には会話さえしていないのに、勝手に付き合っているつもりになってるじゃないですか。
完全にそれと同じなんですよ。
この時が初めて、「どうして付き合ってた」と思い込めるのか、という謎にぶつかったと同時に、ユミの人格に疑問を持った瞬間でもありました。
そのTというのは、普通の芸能人ではなくて、なんかこう、文化人や批評家気取りで、自分ではクリエイターかアーティストのつもりなのでしょうが、そっち方面では全然売れていませんでした。ただ女たらしで、そういうことでワイドショーを賑わせてましたが、相手の女性のほうがいつも格上で、視聴者は「美人女優のHと付き合ってる男」くらいにしか思ってなかったです。
わたしだけじゃなくて、ほとんどの人がTを嫌っていたか、無名扱いだったと思いますよ。一部の信者のおかげで糊口をしのいでいたでしょうけど。
さてその当時、Tは女性芸能人と結婚していました。今はとっくに離婚しましたけどね。
それでわたしは
「でもTさん、女優のHさんと結婚しちゃったよね」
と言ったところ、ユミにとっては、それが別れた原因ということになっているようです。
ユミにしてみれば、自分と付き合っていたのに、裏切ってHと結婚した、と怒ったそうで、「Hとの結婚はわたしに対する裏切りです。どうしてわたしを捨てたんですか」
と便せんに10枚くらい恨みごとを書いて送ったそうです。
Tは今でも、メディアに出る人物としてはかなり格下ですが、約10年、ユミは彼に手紙を送り続けていたそうですから、彼にとってもユミは「勝手に恋人扱いしてくる勘違いファン」に過ぎなかったのでは、と思います。

それで、ご主人の運転でボーイフレンドに会いに行った、という経緯のあるユミですが、初めは「付き合ってる」「わたしたち、もう恋人同士だから」と言っているのをわたしは信じてしまい、(へー、夫がいるのに、その他に彼氏もいるんだー)と思ってましたが、よく聞くとそれもまた、全くの彼女の思いこみでした。ヒェーッ!!!

そのボーイフレンドの名前はすっかり忘れてしまったので、トシオ君と命名しておきます。
世の中には「県人会」みたいなコミュニティーが多々あり、そういう場所でユミとトシオ君は出会いました。
ユミは彼のPCアドレスを入手したので、毎日毎日PCのワープロソフトで、40字×40行で12〜3ページに及ぶ長文メールを送っていたそうです。期間は半年以上に渡ってたはずですが、よくそんな長文、毎日書けましたね。内容は自分の身近なことも含めて、トシオさんを支えたいと思っていることなども。
わたしはまた同じ質問をしました。
「返信は来るの?」
彼女は1回だけ来た、と教えてくれました。内容は
「今後一切、メールを送らないで下さい。送ってきたら、受信拒否します」
という一文だったそうです。
いやいやユミちゃん、トシオ君、あなたの恋人じゃない。あにゃた、振られてるよ。それも遠回しにさりげなく、とかじゃなくて、確実に伝わる言い方で断って来てるよ。
わたしは、最初はユミにも日本語が普通に通じると思って、そのことを言ったのですが、すると決まって出てくる言葉が
「わたしたち、もう付き合ってるから」
「彼のわたしを愛する気持ちが、わたしには伝わってくるから」
「わたしたち、通じ合ってるから」
出た、「通じ合ってる」!!! この思い込みがすごいよ。
でもトシオ君、放置していたわけじゃないんですよ。コミュニティーの集まりで同席した時、みんながいる前で、かなりきつい言い方で
「もう僕に毎日メールを寄越すのはやめて下さい」
と言ったり、ユミが以前に送ったプレゼントも全部持ってきて
「これ、返しますから」
と渡されたそうです。そこの皆さん、「あぁっ、自分だったら人前でこんなこと言われたら立ち直れない」なんて思ってる場合じゃないですよ。
ユミはわたしに誇らしげにいいました。
「彼はね、同席していた男の人たちに『俺はユミから毎日メールをもらっているんだぞ』とか、『俺はユミからプレゼントももらったんだぞ』と自慢するためにみんなの前でそう言ったの」
よし、ポジティブ!!! いや、良くない、良くない。
そうかー、ストーカーの思考回路ってこうなんだ……。

そうして、この人とは付き合っていけなさそう、と感じたわたしは、疎遠になりました……オハリ。

 


彼女、ユカコ(仮名)は、本当はとても仲良しの友人でした。
縁が切れてしまって寂しいけれど、やっぱり人は変わっていくもの。大人になったらお互い違う価値観を持ってしまうのも仕方のないこと。彼女との別れはそれを痛感しました。

ユカコとは、月に1〜2回、食事を兼ねて飲みに行くような仲でした。
お互い、職場の愚痴を語り合ったりしましたね。
ただ、仲の良かった頃から、ちょっと気になる部分があったんです。

ユカコはあまりにも自惚れが強いということ。
職場の人間を、上司から後輩まで、全員を見下していること。
彼女の自惚れというのは、周りの人間は全然駄目だが、自分は高い精神性を持った高潔な人物である、ということ。
正直、以前の変人列伝で書いたようなノブコのような人間は彼女の職場にはいなかったし、彼女はいじめられているわけでもなんでもなく、普通に仕事をしているようでした。
ただ、30を過ぎたくらいで、彼女の職場は、幹部候補か一生ヒラのままか、決まってしまうのです。そこは女性でも管理職になれるのですが、残念ながら、彼女は幹部候補からはずれ、一生ヒラコースとなりました。定年退職まで、主任にすらなることは決してありません。
わたしたちの仲がぎくしゃくし始めたのはちょうどその頃から。

わたしは、ユカコの職場の愚痴は、親身に聞いていたつもりです。
聞いてあげるだけでも、少しは気が晴れるかと思って。
ユカコに言わせると、全員仕事の出来ない人間ばかり、ちゃんとしてるのは自分だけ。
そして愚痴の内容は、自分より後から入ってきた後輩の女の子が自分より男性にちやほやされてる、といった、高潔とは言い難い、むしろ世俗的なものもたくさんありました。
ユカコはその後輩が相当気に入らないらしく、自分に懐いて来ない、わからないことがあってもちやほやしてくれる男性にばかり訊きに行く、と随分言ってました。
ツッコミする気になれば、「そりゃ、そんなに嫉妬でメラメラしているあなたに訊きに行くのは怖いでしょうよ」とも言えましたけど、言わなかった。友達だから、とにかく話を聞いてたんです。

わたしはユカコからの一方的な話しか聞いてないけれど、彼女が幹部候補になれなかった理由がなんとなくわかるんですよね。
自分だけが仕事が出来ると思っている。
後輩を育てていく器量がない。

たぶんユカコは、仕事は確かに出来る人なのではないかと思います。
成績も良かったし。
でも学歴とか、「自分だけが秀才」と思い込むほど華々しいものではありませんでした。
四大は出ているけど、しょせん地元の、たいした偏差値でもない大学。
わたしの出身高校からでも、上から3分の1くらいにいれば楽勝で入れる程度だし、秀才だと思ってるとしたら、全国レベルでいえば井の中の蛙です。
そして、四大を出ているのが当たり前のような職場で、「自分だけはみんなと違う」「自分だけは俗っぽくないけどみんな低俗」と思っていること、気づいている人も大勢いると思うんです。わたしにあんなに長々とご高説を述べるくらいだから。

本当は、わたしはユカコに恩義を感じていました。
小説を書くこと、誰よりも応援してくれたのは彼女でした。
わたしが弱音を吐き
「本当に才能のある人なら、高校生でもうデビューしている。わたしはこの年になっても何の賞も取れない」と言った時も
「何言ってるの、まだまだこれからでしょ」とハッパをかけてくれたのは彼女でした。
でも、本当にわたしが賞を取った時、彼女に一番に報告した時の、彼女のむっつりとした不機嫌な顔。それを見てわたしは「ああ、この人は本当は、わたしなんか賞を取れるはずがないって思ってたんだな」と知りました。
受賞作品が本になって発売され、北海道新聞に書評が載り、地元のラジオに出演して、そのラジオの収録の後、彼女と会いました。
そしてそれが最後の食事会になりました。ユカコから電話で
「わたしは、毎朝ちゃんと通勤するようなお勤め人としか付き合いたくない」と言われて、それから付き合っていません。
その時はとてもショックだったけれど、周囲は皆、「賞を取ったと聞いて不機嫌になった時点でこうなると予測出来てた」と言いました。
15歳の時からの友情がこんなふうに終わり、淋しかったのは事実です。


 

それは、もう7、8年前のことでしょうか。
わたしはカルチャーセンターで習い事をしていました。
そこは前半は先生の講義、後半は生徒さんの作品を一人一人が感想を述べたり批評したりする、合評会でした。
ある時、いかにもマダム〜という感じの、40過ぎの女性が友達と一緒にその教室に入ってきました。別の教室で習っていたけれども、そこがなくなったので入ってきたということで、どちらもかなりの経験者でした。

さて、教室には一人、いつもかなーりふざけた出来映えの作品を持ってくる人がいました。
わざわざお金を払ってまで習いに来るぐらいだから、好きこそものの上手なれ、ではないけれど、もう少しマシな作品が出来そうだと思うのですが、箸にも棒にもかからないものを自信満々で提出する30代男性でありました。

別にその教室はプロ養成所ではないので、まあいいっちゃいいんですが、でもこの姿勢はどうだろう、とみんな思ってはいました。もう少し真面目に取り組めば、ダメならダメなりに評価のしようもあるけれど、最初から真面目に取り組む気もない出鱈目な作品を手直し一つもせずに持ってくる。基本中の基本が出来てない。作品を持ってくるたびに「基本はこうですよ」と注意されたり教えられても、絶対に直さない。だけど毎回作品は作ってきて、本人はドヤ顔。

合評の時も、彼の場合は言っても無駄なので、いつも似たような展開で、なあなあになってました。(しかも他の生徒の作品からパクるとか、基本がどうこうより人としてどうよ、的な人物でした)

そこで新人のマダム、めっちゃ吠えました。吠えて吠えて吠えまくり、けちょんけちょんにその男性の作品を斬りまくりました。


わたしは、きつい人だなー、とは思いましたが、別に間違ったことを言ってるわけじゃなし、むしろわたしを含め、他の生徒たちが匙を投げてしまって適当なことしか言ってなかった状態だったので、「このマダム、ただ者ではない」と思いました。ちなみにマダムの作品は、市が主催したコンテストで奨励賞を受賞した、非常に優れたもので、根拠もなく偉そうにしているわけではなかったのです。

ただ、あまりに物言いがきついので、マダムのいない場所でちょっとした物議になったりしました。
そしてわたしがたまたま教室を休んだ日、わたしも普段仲良くしていたA夫人が、マダムの物言いを注意したというのです。
それをわたしはA夫人からのメールで直接知りました。
わたしは、人に感想や評価してもらうのに、いい加減な作品ばかり持ってくる男性にいい感情を持ってなかったので、なんで関係ないA夫人がそんなことをするのか「?」だったのですが、A夫人は、彼だけの問題じゃない、わたしたちみんなが傷つく、とか大義名分を言い出して、ちょっとおかしいな、とは思っていたのです。

そうです。今日の変人列伝は、マダムではなくてこのA夫人が主役なのです。

で、マダムにけんかを売ったA夫人ですが、まるっきり相手にされず、一言か二言、言い返されたらもう次の句が継げなくなり、敗北。それからというもの、わたしと会うたびにマダムの陰口をたたくA夫人。マダムの作品についてもあれこれ欠点を言い立てるのですが、マダムの作品とA夫人の作品では、役者が違います。当人がどんな人間であろうと、いいものはいい、優れてるものは優れてる。マダムの作品は教室でも一、二を争う出来でした。

わたしは、マダムのような人物を回避する人が多いのはわかりますが、なんでそんなにA夫人がムキになっているのか、どうして執拗にマダムを嫌うのか、その時はまるでわからなかったのです。
そう、A夫人が一言、
「フン、娘を二人とも私立に通わせてるくらいだから、どうせ金持ってるんでしょうよ!!!!!!」と吐き捨てるまでは。

いやー、独身のわたしはやっぱり鈍かった。A夫人がこう吐き捨てたので、ようやく、A夫人の劣等感の居所がわかったのでした。
いつもいつも、お金がない、夫の収入が少ない、と愚痴を言ってたA夫人。
なんで気づかなかったんでしょう、わたし。マダムがいつも上等のコート、上品で優雅な服を着ていたこと。身につけているアクセサリーもバッグも素敵で、それゆえにあだ名がマダムだったこと。
どちらも専業主婦でありながら、この落差。そしてA夫人もお子さんは二人で、二人ともお嬢さん。
そう、立場が似ていることで、A夫人はマダムをライバル視してたのです。でもマダムにはまったく相手にもされていませんでしたが。
A夫人はわたしやマダムよりずっと年上だったので、二人のお嬢さんもマダムのお嬢さんより年上で、二人とも高校を出てすぐ就職してました。大学に行かせるだけの財力がA家にはなかったのでした。そして就職してる娘さんも実は100万単位で借金があり、困っている真っ最中だったのです。
それに引き替えマダムは、娘がまだ中学生のうちから、地元の公立ではなく私立に通わせている。当然大学まで進学させるのが可能な家庭。それがA夫人を憎しみに駆り立てていたのですね。
お金持ちへの嫉妬かぁ……。蓋を開けてみれば、あっけない理由でした。

でも、自分は自分、人は人って、どうして思えないんでしょうか。いちいちお金持ちを憎んでても何も始まらないと思いますが。
マダムのことは関係ないと思いますが、A夫人はその後離婚。娘は旦那さんのところにおいて、不倫相手と再婚しました。ちなみにその不倫相手は無職(学校出てからずっとニートで、今は50代)で、日々の生活費は舅・姑の年金がすべてです。
自分でお金のない人を選んでるのでは? と思いながらも、彼女がそういう道を進んだことで習い事にも来なくなり、自然と疎遠になりました。
わたしが占いをやっていることは彼女も知ってたので、相談を持ちかけられたこともあるんですけど、深入りしたくないですね、A夫人には。


  

auのブログで変人列伝を書いていた時から、
「こんな長文、誰が読むんだよ」と完全に自己満足で書いていましたが、ある時カウンター見て、変人列伝を書いた日は普段の四倍アクセスがあると知り、ビビったものです。
そはともかくlivedoorに来てみたら、ブログ自体、誰も来ないので、自己満足度がUPしても別にいいんだと思うと、気が楽です。

さて、昨日の話はもう15年くらい前の話です。
追加するエピソードは、この頃に、携帯電話が普及し始めたことに関係あります。
そう、ノブコも携帯電話を持ち、会社の若い男性に番号を教えまくったのです。(後にこのツールは社長との逢い引きに大いに活用されることとなります)
ただ、この頃の携帯は完全なナンバーディスプレイではなく、同じ携帯会社のものでないと、かかってきた番号が表示されなかったのです。

ノブコはすごい勘違いした人で、「自分はこの会社でみんなから大事にされて当然」と思ってて、かなり嫌われはじめた頃も、都合悪い情報は一切気にしない人でした。
わたしも携帯電話は持っていましたが、会社の人に電話番号を把握されるというのが嫌で、内緒でバッグに忍ばせてたのに対し、大々的に公表したノブコ。
その日のうちに早速着信があったけれど、気づかなくて出られなかったらしい。
すると次の日、若い男性社員一人一人に
「昨日、電話くれました?」
と部署が違うのにのこのこ出かけて訊きに行ったノブコ。
全員から
「かけるわけねーだろ」
「なんで俺がかけるんだよ」
とさんざん言われた上、彼女の目の上のこぶであるわたしに、みんなが内線寄越して笑い話みたく
「俺にかけたかって訊かれてさあ、なんで俺があいつに電話する必要あるんだよ」と苦笑半分で愚痴られました。

ノブコ、人望なさすぎ、自信ありすぎです。

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