上を見上げると雲1つと無い綺麗な青空が広がっている。

僕の産まれたこの国は17の種族が共存し、種族によって色々な役割があたえられる。
例えば、バーバリアンなら戦争があるたびに駆り出されるし、アーチャーなら塔の上から僕等の国へ攻めてくる敵が居ないか見張って、時には自らも戦争に駆り出される。

僕はゴブリン、役割は無い。

お前はまだ子供だからって言われるけど、大人のゴブリンも役割はほとんど無く、ごく稀に戦争に駆り出されて、そのまま帰ってこない。
村でゴブリンは嫌われているのだ、何もできない癖に逃げ足が速くて手癖が悪いから、村でお金が無くなったらゴブリンのせいにされる。
「おいゴブリン、お前また俺のヘソクリ盗んだだろ」
ほらまた来た、威圧的な態度でこう言ってくるのはジャイアントだ。彼はフィジカルが強く戦争の際にはみんなの盾役となり敵の村の攻撃施設をバッタバッタと壊していく。
「僕じゃ無いよ」
こう言っても大体聞く耳を持ってくれないから僕はすぐさま逃げて岩陰に隠れる。ジャイアントは足が遅いから絶対に追いついてこれない。

本当に僕じゃ無いのに...

喉まで出掛かった言葉を飲み込み立ち上がるとそこにはヒーラーが居た。
ヒーラーの役割は傷付いた戦士を治癒する事だ。
「ねえ、あんたジャイアントのヘソクリ盗ったの?」
僕等ゴブリンには味方は居ない、ジャイアントのヘソクリが無くなった話はたちまち村中に回り僕の居場所が段々と無くなってゆく。
ここでもまた逃げる。

本当に僕じゃないのに...

どうせ誰も聞いてくれないから1人で思ってるだけ。

ポケットに手を入れて歩く。
「あれ、何これ」
ポケットに1万ゴールドが入っていた。
そうか、僕はゴブリンなんだ、バーバリアンが産まれながらの戦士なのと同じ様に僕等ゴブリンは産まれながらの盗人だ、お金を見ると自我を失う、いつも以上の早さと力を手にし相手が気付かない早さで奪い取る。
「返さなきゃ」
正直に言えばジャイアントは許してくれるだろうか、きっと許してくれない。
それでも僕は返しに行く事にした。

「ねえ」
ジャイアントが振り返る。
「おう、クソゴブリンなんだよ」
相変わらずの威圧的な態度、僕はこれが苦手だ。
「ごめん、僕だった」
そう言いながら僕は1万ゴールドを渡す、
渡すと同時に上から大きな拳が振り下ろされる、まるで大きなハンマーで殴られたかの様な衝撃が走り僕はそこで気を失った。