2005年12月16日

ポリエステルがプロのテニスを変えてしまった!

これは決してオーバーな表現ではありません。
ポリエステル材質のガットの台頭によって、プロのテニススタイルはがらりと変わってしまいました。
テニス好きのみなさんならご存じでしょう。
ネットプレーヤーがいなくなってしまったのです。

以下は、そうなった原因を考察する私の説です。

ボールを飛ばす要因には2種類あります。それは、
 A.ガットの反発力
  と
 B.ボールの反発力
です。
ポリエステルが現れる以前にほとんどのプロが使用していたのは、A.ガットの反発力に依存たナチュラルガットです。

ところが、ポリエステルの場合、ガットの反発力が抑えられているため、B.ボールの反発力への依存度が高くなりました。

単純に考えると、「ボールの反発力はどちらのガットでも変わらないのだから、ガットも反発力の優れたナチュラルの方がよいのでは?」と思われるでしょう。なぜ、反発力の抑えられたポリエステルがプロに好まれるのでしょう。

それは、ガットが飛びすぎるとボールの反発力を出し切れないのです。ボールがつぶれきる前にボールを離してしまわないとフラット系のボールはアウトしてしまいます。フラット系の選手はフルスイングできないということです。

跳びの抑えられたポリエステルガットは「ボールのぶっつぶれ度」をMaxにできるのです。
ぶっつぶれたボールは、トップスピンをかけなくとも良く落ちます。フラットでフルスイングしてもコートに収めることができるのです。スピンをかけていないということは落下点までの時間が短いため、到達時間の長いトップスピンに比べてより攻撃力のあるボールといえます。

ナチュラルガットの時代にはスペイン勢を筆頭に多くのトップスピン選手が活躍していましたね。ラケットをフルスイングしたいのならトップスピンをかけるのが常識だったのです。

ナチュラルガットでもボールをぶっつぶしてエッグボールを打ちたかった選手はどうしたかというと、とにかくテンションを高くし、フェースの小さいラケットをチョイスしていました。ピート・サンプラスは面サイズ85のラケットに80ポンド近いテンションでナチュラルガットを使用していたのは有名ですね。私も以前有明で彼のボールを横から拝見しましたが、ボールが相手のベースラインの手前でストンと落ちる、真にエッグボールでした。

さてこのエッグボールがプロのテニスを変えてしまったわけですが、エッグボールが一番活きるのはどんな場面でしょう?
そうです。ダウンザラインです。

ダウンザラインはクロスに比べると三重苦です。
 1.距離が短く、
 2.ネットが高く、
 3.自分にオープンコートを作ってしまう
ショットですので、確率とクオリティーが高くないと単なる自滅ショットになってしまいます。昔は、クロスで打ち合ってあまい球が来たらダウンザライン、というのがラリーの基本でしたが、現在のプロテニスでは、クロスで2往復打ち合うのもまれになっています。

ポリエステルガットは三重苦ショットを容易にしてしまったわけですから、あえてネットに出るより、ベースラインで戦ったほうが、容易にポイントをとれるわけです。

ボレーヤーから見た場合、以前は、「低い打点で打たせさえすれば速いパスは来ない」という図式をもとにパスのコースを読み、広いコート全面をカバーしていたわけですが、速いエッグボールでもパスが打てるとなってしまうと、「相手に踏み込んでパスを打たれてしまったら負け」という図式が逆にできてしまいました。

確かにネットプレーヤーの消滅によって、どの試合を見ても同じような展開で、観客にとってはつまらない状況ですが、あの優れたプロ選手とそのコーチ人達が、かしこいネットへの展開法を開発してくれることでしょう。


#全豪の鈴木貴男vsフェデラー戦、ここ数年で一番おもしろい試合でした。
鈴木貴男のプレーがネットプレーヤー復活のヒントのような気がします..



ソーホーストリンガー



この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/yyr_co_jp/50042217