遺産目当てに夫の加藤善一郎さん(当時77歳)と替え玉の男性2人の計3人を殺害したなどとして、殺人や詐欺罪などに問われた中国人で元スナック経営、尹麗娜(いんりな)被告(54)に対し、大阪地裁は28日、無期懲役(求刑・死刑)を言い渡した。長井秀典裁判長は殺人罪のうち替え玉にされた近藤晃さん(当時69歳)の殺人罪を認定。高木清さん(当時71歳)について無罪とし、加藤さんについては「殺意は認められず、少なくとも傷害致死にあたる」と述べた。他の詐欺罪などは起訴内容を認定した。

 検察側は論告で「強制送還を恐れて財産を早く手に入れるため、替え玉殺人事件を計画した」と指摘。弁護側は遺産をだまし取ったとする詐欺罪などの一部を認めたが、3人殺害については「計画しておらず、殺していない」として無罪を主張していた。加藤さんの遺体が見つかっていないなど殺害につながる直接証拠がなく、間接証拠を積み上げた検察側立証への評価が注目された。

 起訴状などによると、尹被告は加藤さんの遺産を相続するため、加藤さんを殺害したうえ、別人を替え玉にして病死と偽装することを計画。01年10~11月、大阪市中央区の自宅で加藤さんを殺害したとされた。また、01年12月~02年2月ごろ、知人でともに糖尿病を患っていた高木さんと近藤さんを、相次いで加藤さんの替え玉に仕立てて殺害したとされた。

 さらに、相続届などを偽造し、加藤さん名義の預貯金計約3200万円を不正に引き出したなどとして詐欺罪などに問われた。近藤さん殺害などの共犯とされた無職、越田俊昭被告(68)は懲役15年の判決を受け、控訴している。【牧野宏美、日野行介】

 ◇ことば 替え玉連続殺人事件

 01年5月に尹麗娜被告と結婚した加藤善一郎さんが同年10月から行方不明になった。02年4月、加藤さんの死亡届が出ていることを家族が知り、大阪府警に相談。死亡したのは別人の近藤晃さんと分かった。さらに尹被告が虚偽の不動産登記をした疑いが浮上し、加藤さんの部屋から加藤さんの肉片が見つかった。同月、頭部などが白骨で見つかった高木清さんが加藤さんの健康保険証を使っていたことも判明。尹被告が加藤さんと身代わりの男性2人を遺産目当てに殺害した容疑が浮かんだ。尹被告は07年10月、東京都内で逮捕された。

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